結論: KlaviyoとGoogleは2026年2月24日に戦略的パートナーシップを発表し、Google検索結果からRCS(次世代SMS)を経由して直接AIエージェントと会話できる「Search-to-RCS」体験を世界で初めて提供開始しました。BtoCマーケティングとCRMの概念が根本から変わる転換点です。
この記事の要点:
- 要点1: Google検索→RCSメッセージで直接AIエージェント会話が開始できる「Search-to-RCS」。Klaviyoが世界初の実装パートナー。
- 要点2: 「キャンペーン配信」から「自律型顧客体験(Autonomous CX)」へ。マーケの仕事が根本から変わる。
- 要点3: 発表当日にKVYO株が約8%急騰。Klaviyo AI Agentsは9つの新機能を含む大型アップデート。
対象読者: EC・小売・BtoCマーケティング・CRM担当者・DX推進担当者
読了後にできること: Autonomous CXの本質を理解し、自社のマーケティング・CRM戦略を見直す具体的な3ステップを実行できます。
「メルマガの開封率が下がり続けています…どうすればいいでしょうか?」
企業向けのデジタルマーケティング研修でよく聞く悩みです。実は、この問い自体が古くなりつつあります。2026年2月24日にKlaviyoとGoogleが発表したパートナーシップは、「メルマガを開封させる」という発想そのものを過去のものにする可能性があります。
100社以上のAI研修・コンサル経験から見ると、BtoCのCRM・マーケ領域では「AIがルーティンの顧客対応を全自動化する」という流れが急速に具体化しています。Klaviyo×Googleのパートナーシップは、その流れを加速する出来事です。
この記事では、発表の全詳細から株価急騰の背景、そして日本企業のマーケティング・CRM戦略への具体的な示唆まで解説します。
何が起きたのか — 2026年2月24日発表の全容
発表はBusinessWire・Klaviyo公式IRページ・Telecom Resellerなど複数のチャネルで2026年2月24日(現地時間)に行われました。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年2月24日 |
| パートナー企業 | Klaviyo × Google |
| 核心機能 | Search-to-RCS(Google検索→RCSで直接AIエージェント会話) |
| 日本株式ティッカー | NYSE: KVYO |
| 発表当日の株価反応 | +5〜8%($16.68〜$17.15) |
| Klaviyo AI Agents新機能数 | 9機能(同時発表) |
| Search-to-RCSの提供状況 | 限定パイロット(一部顧客向け先行) |
「Autonomous CX」とは何か — パラダイムシフトを理解する
今回の発表のキーワードは「Autonomous Customer Experiences(自律型顧客体験)」です。これは従来のCRM・マーケティングオートメーションとどう違うのでしょうか。
従来型: キャンペーン中心のCRM
【従来のCRMフロー(例)】
顧客データ収集 → セグメント分類 → メルマガ/LINE配信 → 開封/クリック追跡
→ 次回キャンペーン設計(担当者が分析・企画)
→ ※ 全ステップで人間が介在し、週次〜月次のサイクルで動く
Autonomous CX: AIが「今この瞬間の意図」に即時反応
【Autonomous CXのフロー(Klaviyo×Google)】
顧客がGoogle検索
→ 検索結果にブランドのRCS(次世代SMS)エントリーポイントが表示
→ 顧客がタップ → AIエージェントとの会話が即開始
→ AIが過去の購買履歴・行動データ・リアルタイムの意図を統合
→ 最適な提案・回答・誘導を自動実行(人間介在なし)
→ 全会話内容がKlaviyoの顧客プロフィールに自動追加
→ 次の接触点でさらにパーソナライズされた体験
重要なのは「キャンペーンを届ける」から「顧客の意図を読み取って即応する」への転換です。マーケターの仕事が「クリエイティブとキャンペーン設計」に集中できるようになる一方、ルーティンの返答・案内・推薦はAIが担います。
Search-to-RCS の技術的な仕組み
「RCS(Rich Communication Services)とは何か?」という疑問に答えておきましょう。RCSはSMSの進化版で、画像・動画・インタラクティブボタンを送受信できる次世代メッセージングプロトコルです。
| 比較軸 | 従来のSMS | RCS for Business |
|---|---|---|
| コンテンツ | テキストのみ | 画像・動画・カルーセル・ボタン |
| 既読確認 | 不可 | 可能 |
| AIエージェント統合 | 不可 | 可能(Klaviyo×Googleで実現) |
| 送信者認証 | なし(スパム多発) | ブランド認証(なりすまし防止) |
| 日本の普及状況 | 主流 | 2025年以降各キャリアが対応中 |
Search-to-RCSは「ユーザーがGoogle検索で商品・サービスを調べた瞬間に、ブランドのAIエージェントへの入り口が表示される」という仕組みです。ユーザーは「問い合わせページを探してフォームに記入する」という手間なしに、即座に会話型の接客を受けられます。
Klaviyo AI Agents — 9つの新機能
同日発表された「Klaviyo AI Agents」の拡張機能も見逃せません。単なるパートナーシップ発表ではなく、Klaviyo自体のプロダクト大型アップデートが同時に起きています。
「私たちは『キャンペーンを送るツール』から、ブランドが提供できる最も価値ある顧客体験を自動的に実現する『自律型B2C CRM』へと進化しています。」— Klaviyo公式IR発表より
Klaviyo AI Agentsの新機能(詳細は2026年3月以降に順次公開):
- Composer AI(マーケティングコンテンツの自動生成)
- Google BigQuery統合(企業規模のデータ一元化)
- Google Ads連携(Klaviyoデータを使ったリッチ広告ターゲティング)
- Nano Banana統合(Remix AIによる画像生成・コンテンツ制作)
- Search-to-RCS(Google検索→RCS会話エントリーポイント)
- リアルタイム顧客意図検出(セッション中の行動を即時CRMに反映)
- 自動A/Bテスト最適化(AIがメッセージを自動改善)
- カスタマーサービスエージェント(返品・問い合わせの自律対応)
- AIによるセグメント自動生成(自然言語でセグメント設計可能)
株価急騰の背景 — 投資家が見た未来
発表当日にKVYO株が5〜8%上昇した理由を分解します。
Klaviyoの業績基盤
2025年通期の好業績(詳細は2026年2月に発表済み)の上に今回のパートナーシップが乗った形です。第1四半期2026年決算は2026年5月5日発表予定で、Search-to-RCS機能の初期顧客反応が数字に反映されるか注目されています。
TAM拡大ストーリー
Klaviyoは従来「ECブランドのメール・SMS自動化ツール」として認識されていましたが、今回のパートナーシップによって「Google検索流入を直接AIエージェントで受け付けるBtoCプラットフォーム」へと市場のポジショニングが変わります。TAM(総取得可能市場)が大幅に広がるという期待が株価に反映されました。
AIエージェント×CRM=投資家のテーマ
2026年はAIエージェントを活用したBtoB・BtoCのCRMプラットフォームに投資資金が集まっています。Salesforce・HubSpot・Zendeskも軒並みAIエージェント機能を発表しており、Klaviyoのパートナーシップは「この波に先行投資する」という評価を得ました。
賛否両論
楽観論: 「Search-to-RCSは検索→購買の最短経路。スマホ普及率が高い日本でも相性が良い。Klaviyoは先行優位を確立した。」(Seeking Alpha・BenzingaなどのAI系投資家)
慎重論: 「RCS for BusinessはiPhone(Apple)での標準サポートが限定的。完全普及には時間がかかる。また、プライバシー規制(GDPR・個人情報保護法)との整合性が課題。」(Simply Wall St・一部アナリスト)
日本企業のマーケティング・CRM戦略への示唆
100社以上のAI研修・コンサル経験から見ると、日本企業への影響は3つの軸で整理できます。
軸1: 日本でのRCS普及と対応タイムライン
日本ではNTTドコモ・au・SoftBankがRCS(+メッセージ)に対応済みです。ただし「RCS for Business」(企業がブランド認証でRCS送信する)の本格普及は2025〜2026年にかけて進行中です。
Googleが日本市場でSearch-to-RCS体験を展開するタイムラインは未定ですが、iOS標準対応が整えば一気に加速します。今のうちから「RCS対応の顧客データ・メッセージング戦略」を準備しておく企業が有利になります。
軸2: CRMツール選定の見直し
日本企業がBtoCのCRM・MA(マーケティングオートメーション)ツールを選定する際、「AIエージェント機能の有無」が今後の重要評価軸になります。
| CRM/MAツール | AIエージェント機能 | 日本語対応 |
|---|---|---|
| Klaviyo | Autonomous CX・Search-to-RCS(新機能) | UI一部日本語化 |
| Salesforce(Einstein AI) | Agentforce(全社対応) | 完全日本語対応 |
| HubSpot(Breeze AI) | Copilot・AI Agent機能 | 日本語対応 |
| Braze | AIパーソナライゼーション強化中 | 日本語対応 |
| 国産CRM(Synergy!/Kaizen/ZOHO Japan等) | AIエージェント機能は発展途上 | 完全日本語対応 |
軸3: マーケターの役割変化への備え
Autonomous CXが普及すると、「メルマガ作成・配信・分析」というルーティン業務はAIが担います。マーケターに求められるのは「AIエージェントの設計・監督・クリエイティブ戦略」という上流の仕事になります。
今から「AIを使ってキャンペーンを効率化する」スキルではなく、「AIエージェントに正しい判断をさせるためのプロンプト設計・データ設計」スキルを身につけることが重要です。
【Autonomous CX移行準備 セルフ診断プロンプト】
以下の観点で自社のCRM・マーケティング現状を分析してください:
1. 現在のCRM/MAツールはAIエージェント機能を持っているか?
2. 顧客データ(行動履歴・購買データ・問い合わせ履歴)は一元化されているか?
3. RCS for Businessへの対応を検討したことがあるか?
4. カスタマーサービスの問い合わせのうち、AIで自動対応できる比率はどの程度か?
5. マーケティングチームはAIツールを日常的に使っているか?
現状のギャップと優先して取り組むべき3つのアクションを提案してください。
仮定した点は必ず「仮定」と明記してください。
企業がとるべきアクション — 3ステップ
- CRM戦略の現状棚卸し: 現在使用しているCRM/MAツールがAIエージェント機能を持っているか確認する。SalesforceのAgentforce・HubSpotのBreeze AI・KlaviyoのAI Agentsなど各社の最新機能をチェックし、自社の顧客接点(EC・LINE・メール・問い合わせ)と照合する。
- 顧客データの一元化検討: Search-to-RCSやAI CRMを活用するには、顧客データが統合されていることが前提です。現状のデータ分散状況(CRM・EC基盤・MAツール・カスタマーサポートツール)を把握し、統合ロードマップを描く。
- AIエージェントPoC設計: 自社のカスタマーサポート問い合わせのうち「FAQ対応」と「返品・交換手続き」をAIエージェントで自動化するPoCを設計する。1ヶ月・特定の問い合わせ種別・KPIは「自動解決率」と「顧客満足度」で設定する。
【AIカスタマーサービスエージェント PoC設計テンプレート】
目的: 〔FAQ問い合わせ/返品受付/注文確認〕のAI自動対応率を高める
期間: 1ヶ月(2026年〇月〇日〜〇日)
対象: 月間問い合わせ件数のうちFAQ系〇件(全体の約〇%)
測定KPI:
- AI自動解決率(%)
- 平均応答時間(秒)
- 顧客満足度スコア(★1〜5)
- 有人対応に引き継いだ割合(%)
ツール候補: Klaviyo AI Agents / Salesforce Agentforce / HubSpot Breeze AI
不足している情報があれば、最初に質問してから設計を開始してください。
【要注意】よくある誤解と回避策
誤解1: 「AIがCRMを全部やってくれるようになる」
❌「Autonomous CXが来たら、マーケターは要らなくなる」
⭕「AIがルーティンを担い、人間はクリエイティブ戦略・AIエージェントの設計・監督に集中する」
なぜ重要か: AIは「過去データから最適を選ぶ」ことは得意ですが、「新しい市場・顧客体験を創造する」という創造的判断は人間の領域です。
誤解2: 「Klaviyoは日本向けではない」
❌「Klaviyoは英語圏のツールで、日本のEC企業には関係ない」
⭕「Klaviyoは日本語対応を強化中。また今回のパートナーシップのトレンド(Autonomous CX)は国産ツール含め全体に波及する」
なぜ重要か: ツールを使うかどうかよりも、「Autonomous CXというパラダイム」が到来することへの準備が重要です。
誤解3: 「RCSはLINEに勝てない(日本では関係ない)」
❌「日本はLINEが主流だからRCSは無関係」
⭕「LINEとRCSは競合しつつ共存する。また法人向けメッセージング(B2C CRM)では、なりすまし対策・AIエージェント統合の観点でRCSが優位な場面がある」
なぜ重要か: LINEは個人向けに圧倒的ですが、「Google検索から直接会話が始まる」体験はLINEでは実現しにくく、RCSならではの強みです。
誤解4: 「顧客データを統合せずにAIだけ導入できる」
❌「AIエージェントさえ入れれば、自動的にパーソナライズされた体験ができる」
⭕「Autonomous CXの前提は顧客データの一元化。データが分散している状態でAIを入れても、アウトプットの質は上がらない」
なぜ重要か: 「AIツールを入れる」前に「データ基盤を整える」が必須です。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 自社のカスタマーサポート問い合わせを分類する。FAQで答えられるもの・返品交換対応・注文確認などを仕分けし、「AIで自動対応できそうな割合」を概算する。
- 今週中: 現在のCRM/MAツールのベンダーから「AIエージェント機能のロードマップ」を確認する。既存ツールに機能が追加予定なら、それを活用するプランを検討する。
- 今月中: 社内のマーケティングチーム向けに「Autonomous CX入門」の勉強会を開く。Klaviyo×Googleの事例を使えば、具体的に「CRMの未来像」を議論できます。経営陣への提言にもなります。
BtoCのマーケティング・CRM領域では、「AIが助けてくれる時代」から「AIが主体的に動く時代」への移行が始まっています。Klaviyo×Googleの発表は、その到来を告げるサインです。
参考・出典
- Klaviyo and Google Announce Strategic Partnership to Power Autonomous Customer Experiences — Klaviyo IR(参照日: 2026-04-19)
- Klaviyo and Google Announce Strategic Partnership — BusinessWire(参照日: 2026-04-19)
- Klaviyo climbs on Google partnership to fuel ‘autonomous customer experiences’ — Seeking Alpha(参照日: 2026-04-19)
- Klaviyo Expands AI Agents to Power the Autonomous B2C CRM — Klaviyo IR(参照日: 2026-04-19)
- Klaviyo and Google Partner to Power Autonomous AI Commerce Across Ads, Search, and RCS — Martech Edge(参照日: 2026-04-19)
- AI-Powered CX: Klaviyo Connects with Google for Marketers — CMSWire(参照日: 2026-04-19)
著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。早稲田大学法学部在学中に生成AIの可能性に魅了され、X(旧Twitter)で活用法を発信(@SuguruKun_ai、フォロワー約10万人)。100社以上の企業向けAI研修・導入支援を展開。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
ご質問・ご相談は お問い合わせフォーム からお気軽にどうぞ。
あわせて読みたい:
- ChatGPT業務活用完全ガイド — AI活用の実践ノウハウ
- AI導入戦略完全ガイド — 中小企業のAI活用ロードマップ


