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【2026年5月】Gemini AIエージェント基盤|Vertex AIから改名

【2026年5月】Gemini AIエージェント基盤|Vertex AIから改名

結論: GoogleはCloud Next 2026(2026年4月22〜23日)で、Vertex AIをGemini Enterprise Agent Platformへ改名・大幅拡張し、エンタープライズAIエージェント開発の統合プラットフォームとして位置づけを刷新した。

この記事の要点:

  • Vertex AI → Gemini Enterprise Agent Platformへ改名。ADK・Agent Engine・A2Aプロトコルを統合した「エージェント完結型」プラットフォームへ進化
  • $750Mのパートナーファンドを発表。McKinsey・Deloitte・Accentureら大手SIへGoogleがエンジニアを常駐派遣
  • AWS Bedrock AgentCore・Azure AI Foundryとの3社争いが激化。日本企業の選定基準が根本から変わる

対象読者: AIエージェント導入・クラウドプラットフォーム選定を検討中のIT担当者・CTO・DX推進担当者
読了後にできること: Gemini Enterprise Agent Platformと競合の違いを整理し、自社のクラウド環境に合った選定判断ができる


「Vertex AIって、これからも使い続けていいの?」

Google Cloud Next 2026(2026年4月22〜23日、ラスベガス)が終わった翌週、企業向けAI研修の場でこの質問が急増しました。Googleが「Vertex AI」という名前を廃止し、「Gemini Enterprise Agent Platform」に変えると発表したからです。

改名は単なるブランディング変更ではありません。AIエージェント時代における「クラウドプラットフォーム会社の本気宣言」として読み解く必要があります。同時発表された$750Mのパートナーファンドと、AWS・Azureとの競争激化という文脈を合わせて理解することが重要です。

この記事では、Gemini Enterprise Agent Platformの実態、$750Mファンドの戦略的意図、そして3社(Google・AWS・Microsoft)の競争構造が日本企業のベンダー選定にどう影響するかを解説します。

エンタープライズAIエージェントの全体像については、AIエージェント導入完全ガイドも参照してください。

Vertex AI改名の全貌 — 何が変わり、何が変わらないのか

改名のタイムライン

時期出来事
2025年までVertex AI = Google Cloudの機械学習・生成AIプラットフォーム
2026年4月22〜23日Google Cloud Next 2026でGemini Enterprise Agent Platformを発表
2026年4月以降Vertex AIはGemini Enterprise Agent Platform内に統合
2026年6月24日旧Vertex AI SDKの非推奨モジュールがアップデート停止

Google Cloud公式ブログ(2026年4月22日)によると、Gemini Enterprise Agent Platformは「Vertex AIの進化形であり、モデル選択・モデル構築・エージェント構築の機能に加え、エージェント統合・DevOps・オーケストレーション・セキュリティの新機能を追加したもの」とされています。

プラットフォームの4つの主要コンポーネント

1. Agent Development Kit(ADK)— コードファースト開発

ADKはエンタープライズ規模でAIエージェントを構築・デバッグ・デプロイするためのオープンソースフレームワークです。2026年初頭にPython・TypeScript・Go・Javaの4言語でv1.0安定版がリリースされました。マルチエージェントアーキテクチャをネイティブサポートしており、複数のエージェントが協調・タスク委任できる設計になっています。

2. Agent Studio — ローコードビジュアルビルダー

開発者でなくてもビジュアルインターフェースでエージェントを構築できます。コーディングが苦手なビジネス担当者がプロトタイプを作り、それをエンジニアがADKで本番化するという分業が可能になります。

3. Agent Engine — マネージドランタイム

インフラを隠蔽し、オートスケーリング・サブ秒のコールドスタート・セッション管理・長時間実行を自動処理します。エージェントの「動かし続ける」部分の運用コストを大幅に削減します。

4. A2A(Agent2Agent)プロトコル

異なるモデル・プラットフォームのエージェントが相互通信できるプロトコルです。LangGraph・CrewAI・LlamaIndex Agents・Semantic Kernel・AutoGenなど主要フレームワークにネイティブ対応しています。「自社のClaudeエージェントとGeminiエージェントを連携させる」といった異種エージェント協調が可能になります。

200+基盤モデルを一箇所に

特筆すべきは、プラットフォームがGeminiだけでなく、AnthropicのClaude・MetaのLlama・Mistralなど200以上の基盤モデルを提供している点です。「Googleのプラットフォームを使いながらClaude 3.7 Sonnetを使う」という選択が可能です。これはAWS Bedrockの40+モデルカタログと同様の「マルチモデル・マルチベンダー」戦略です。

$750Mパートナーファンドの戦略的意図

ファンドの概要

Google Cloudは2026年4月22日、AIエージェント開発のパートナーを支援する$750M(約1,100億円)のファンドを発表しました(Google Cloud公式プレスリリース)。対象は世界120,000社のパートナーエコシステムです。

資金の使途は以下の5つです。

  1. AI価値の特定(どこにエージェントを適用すべきかの調査)
  2. AIエージェントのプロトタイピング
  3. エージェントの本番構築・デプロイ
  4. 担当者のスキルアップ
  5. GoogleのForward Deployed Engineers(FDE)の常駐派遣

大手SIへのFDE常駐が意味するもの

最も注目すべきは、Google社員(FDE)をAccenture・Capgemini・Cognizant・Deloitte・HCLTech・PwC・TCSなどの大手コンサルに「常駐」させるという戦略です(The Next Web、2026年4月22日)。

McKinseyとDeloitteには「Geminiモデルへの早期アクセス」も付与されます。これは単なる資金提供ではなく、「SIのプロジェクトにGoogleがエンジニアとして入り込む」という相当に積極的な戦略です。

「$750Mは、Googleがパートナー経由のAI導入を本気で加速させようとしているシグナルだ。コンサルの顧客は大企業がほとんど。つまりGoogleはエンタープライズ市場を正面から攻めようとしている」
— The AI Insider Tech, 2026年4月23日

日本企業にとっての実務的な意味は「アクセンチュア・デロイト経由でGemini Enterprise導入を検討すると、Googleのエンジニアが直接サポートする可能性がある」ということです。

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AWS・Azure・Googleの3社競争構造

エンタープライズAIエージェント基盤の比較表

観点Google Gemini EnterpriseAWS Bedrock AgentCoreAzure AI Foundry
コアモデルGemini 3系 + 200+モデルClaude 4系 + 40+モデルGPT-4o/o3/o4-mini(独占提供)
エージェントランタイムAgent Engine(マネージド)AgentCore(GA 2025年10月〜)Azure AI Agent Service
通信プロトコルA2A + MCPMCP中心MCP + Entra ID統合
ガバナンスAgent Identity + Agent GatewayCedarポリシー(デフォルト拒否)Entra Agent ID(人と同じ管理)
日本語サポートGemini 3で大幅改善Claude 3.7で高品質GPT-4oで安定
既存ユーザー向け優位Google WorkspaceユーザーAWSネイティブ環境Microsoft 365 / Azure AD環境
パートナー支援$750Mファンド + FDE常駐AWS Partner NetworkMicrosoft AI Cloud Partner Program

旧Vertex AIユーザーへの影響

既にVertex AIを利用している企業へ重要なアップデートがあります。

  • 既存のVertex AIサービスはGemini Enterprise Agent Platform内で継続提供される
  • 旧Vertex AI SDKの非推奨モジュールは2026年6月24日にアップデート停止
  • 移行作業が必要な場合は2026年5月〜6月が推奨時期
  • 価格体系は「ペイパーユー」(従量課金)が維持される

技術的な後方互換性は担保されていますが、新機能(Agent Engine・Agent Studio)を使うには新SDKへの移行が必要です。

ID 2851記事との差別化について

本サイトの既存記事「Gemini Enterprise解説|メルカリに学ぶAIエージェント導入の実態」では、メルカリがAgentspaceをどのように活用しているかを詳細に解説しています。本記事はその記事とは異なり、2026年4月のCloud Next発表を起点に「Vertex AIからの改名戦略・$750Mファンド・3社競合構造」に焦点を当てています。具体的な企業事例については上記記事を参照してください。

賛否両論 — 楽観論と慎重論

楽観論:「エージェント時代に最も準備できているプラットフォーム」

「ADKがPython・Go・Java・TypeScriptに対応し、A2Aプロトコルで異種エージェント連携ができる。これはマルチクラウド・マルチモデルの実務環境に最も適した設計だ」
— TechTarget, 2026年4月

TechTargetなど技術メディアが指摘するように、Vertex AIは元来「モデルの訓練・推論」に特化していました。そこにエージェントの「実行・管理・ガバナンス」機能を丸ごと追加したのが今回の刷新です。既存のVertex AIユーザーは追加コストなく新機能を使えるという点で優位性があります。

慎重論:「改名より実装が先」

「Googleはここ数年、AI製品を何度も改名してきた。Bard→Gemini、Vertex AI→Gemini Enterprise… 名前が変わっても、実際の企業導入でどれだけ安定して動くかが問われる」
— The New Stack, 2026年4月

懸念は「Googleの改名文化」です。Bard→Geminiへの改名が記憶に新しい中、Vertex AI→Gemini Enterpriseへの改名は「また変わった」という疲労感を生んでいます。企業側が「今覚えたことが来年また変わるのでは」という懸念を持つのは合理的です。

また、AWS Bedrock AgentCoreが2025年10月に一般提供(GA)開始し、先行して実績を積んでいる点も見逃せません。Googleのプラットフォームはまだ一部機能がプレビュー段階です。

日本企業への実務的な示唆

Google Workspaceユーザー企業の場合

Gemini Enterprise App(旧Gemini Enterprise for Workspace)とGemini Enterprise Agent Platformは統合されています。すでにGoogle WorkspaceでGeminiを使っている企業にとって、Agent Platformへのアップグレードは比較的スムーズなルートです。

特に、Google WorkspaceのGmailやDriveのデータとエージェントを連携させる「内部業務自動化」にはGemini Enterprise Agent Platformが最も自然なアーキテクチャです。

AWSネイティブ企業の場合

既にAWSをメインクラウドとして使っている企業は、Bedrock AgentCoreがGA済みで実績もある点を重視できます。特にAnthropicへの$25B追加投資により、Bedrock上のClaude提供の継続性も担保されています。

Microsoft 365ユーザー企業の場合

Azure AI Foundryは「Entra ID(Active Directory)による人と同じIDでエージェントを管理する」というガバナンスが特徴的です。既存のIT管理体制をそのまま使えるという点で、Microsoft 365環境が整っている大企業には合理的な選択肢です。

「現在のクラウド基盤で選ぶ」が実務的に正しい

100社超のAI研修・コンサル経験から見ると、どのAIエージェント基盤を選ぶかは「どのクラウドをメインに使っているか」によって9割が決まります。Gemini Enterpriseが優れているからといって、AWSネイティブ企業がGoogle Cloudに移行するコストは膨大です。

現実的な判断フレームワーク:

  1. 現在のメインクラウドを優先(Google Cloud→Gemini Enterprise、AWS→Bedrock、Azure→AI Foundry)
  2. ただしモデル選定は別(Gemini Enterprise上でClaudeを使うことも可能)
  3. 将来的なマルチクラウド対応のためにA2A/MCP準拠の設計を選ぶ

企業がとるべき5つのアクション

1. 既存Vertex AIユーザーは移行期限を確認する

旧Vertex AI SDKの非推奨モジュールは2026年6月24日にアップデートが停止します。現在Vertex AIを使っている場合、2026年5〜6月中に移行作業を計画してください。

2. A2Aプロトコル対応フレームワークを選定する

LangGraph・CrewAI・LlamaIndex・AutoGenなどA2Aプロトコル対応フレームワークを選んでおくと、将来的にGoogle・AWS・Azureのどのプラットフォームに移行しても資産が活きます。特定ベンダーのAPIに依存したコードは避けることを推奨します。

// A2Aプロトコル準拠のエージェント呼び出しイメージ(設計指針)
// ベンダー非依存の抽象レイヤーを挟む

const agent_call = async (task, model_preference) => {
  // A2A/MCPプロトコル経由でベンダー選択
  const endpoint = a2a_router.resolve(model_preference);
  return await endpoint.execute(task);
  // 不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
};

3. $750Mファンドの活用可能性を確認する

アクセンチュア・デロイト・PwC・TCSなど$750Mファンド対象のSIと既に契約がある場合、FDE(Googleエンジニア)の常駐支援を受けられる可能性があります。これは無償ではありませんが、技術的ハードルを下げる選択肢として有効です。

4. Google Cloud Next発表の新機能をPoC対象にする

Agent Studio(ローコード)とADK(コードファースト)の両方をPoC(概念実証)対象にすることで、開発チームとビジネス担当の両方でエージェント開発の学習を同時進行できます。

5. マルチプラットフォーム対応の設計方針を決める

現在のクラウド判断に縛られない「エスケープハッチ」として、Agent定義をA2Aプロトコル準拠の形式で保存しておくことを推奨します。将来的なプラットフォーム変更に対応できます。

まとめ:Vertex AI改名から読み取るGoogleの本気

Vertex AI → Gemini Enterprise Agent Platformへの改名は、Googleが「AIエージェント時代における統合プラットフォーム提供者」として戦う宣言です。$750MパートナーファンドとコンサルへのFDE常駐は、エンタープライズ市場の直接攻略を意味します。

AWS・Azure・Googleの三つ巴の競争が激化する中、日本企業にとって最も重要なのは「どのプラットフォームが優れているか」ではなく「自社の現在のクラウド環境・ガバナンス要件・パートナー関係に最も合っているか」という視点で選定することです。

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参考・出典


著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。早稲田大学法学部在学中に生成AIの可能性に魅了され、X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援を展開。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
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佐藤傑
この記事を書いた人 佐藤傑

株式会社Uravation代表取締役。早稲田大学法学部在学中に生成AIの可能性に魅了され、X(旧Twitter)で活用法を発信(@SuguruKun_ai、フォロワー10万人超)。100社以上の企業向けAI研修・導入支援を展開。著書累計3万部突破。SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

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