結論: 医療機関でClaude Codeを活用できる領域は「事務作業・教育・研究・患者向けコミュニケーション文書・経営管理」の5カテゴリ30業務に限られます。診断・処方・治療判断にAIを使うことは現行の法体系上も安全管理上も禁止されており、人間の医師・薬剤師による最終判断が絶対条件です。
この記事の要点:
- 要点1: 医療機関でAIを使ってよい業務・使ってはいけない業務を明確に区分し、30本のプロンプトを業種別・業務別に整理
- 要点2: 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」に基づく個人情報取り扱いルールを解説
- 要点3: クリニック・診療所スタッフ5〜15名規模ですぐ使える5ステップ導入フローとチェックリストを収録
対象読者: 医療機関の院長・事務長・医療事務スタッフ・看護師長・研究職の方
読了後にできること: 今日から事務作業カテゴリのプロンプト1本をコピペして試せる
「AIは医療で使えないんじゃないの?」
先日、ある診療所の院長先生からこんな相談をいただきました。電子カルテのベンダーがAI連携の案内を送ってきたが、何がよくて何がダメなのかさっぱりわからない、と。正直なところ、これは医療機関の経営者・スタッフの方がいちばん困っている部分だと思います。
AIを診断に使ったら医師法違反になるのか。患者情報をChatGPTに入れたら個人情報保護法に引っかかるのか。そもそも何から始めればいいのか。疑問は山積みなのに、「医療×AI」というテーマは専門的な情報が多すぎて、現場の実態に合った解説がほとんど存在しないんです。
この記事では、100社以上のAI研修・導入支援をしてきた経験と、厚生労働省の公式ガイドラインを踏まえながら、医療機関でClaude Codeが使える業務・使えない業務を明確に区分し、今日からコピペ可能なプロンプト30本を全公開します。YMYL(Your Money or Your Life)領域として医療は最も慎重な扱いが必要であることを前提に、安全な活用の具体的な方法をお伝えします。
医療機関でClaude Codeを「使ってはいけない領域」—— 最重要事項
まず最初に、絶対にやってはいけないことを明確にします。これを読まずにプロンプト集に進まないでください。
絶対禁止領域(法的・安全上の理由)
| 禁止業務 | 理由 | 根拠 |
|---|---|---|
| 病気の診断・診断補助の最終判断 | 医師法第17条:医師でなければ医業を行うことは禁止 | 医師法(昭和23年法律第201号) |
| 処方・投薬量の決定 | 薬剤師法・医師法違反。誤投与は生命に直結 | 薬剤師法第19条 |
| 治療方針の最終決定 | AIの出力は参考情報。人間の医師による判断が必須 | 医師法第17条 |
| 患者の個人情報・診療情報をAPIに入力 | 第三者提供の同意がない場合は個人情報保護法違反の可能性 | 個人情報保護法第23条・医療情報システム安全管理GL第6.0版 |
| 虚偽・誇大な医療広告の作成 | 医療広告ガイドライン違反(比較優良広告・体験談の禁止等) | 医療法第6条の5 |
YMYL最重要原則: AIはあくまで「文書作成・情報整理・学習支援のツール」です。医療判断・診断・処方の最終決定は必ず有資格者(医師・薬剤師・看護師等)が行ってください。AIの回答をそのまま患者へ伝えることは絶対に行わないでください。
厚生労働省ガイドラインの重要ポイント
厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」(令和5年5月)では、生成AIサービスへの医療情報入力について以下の要件を示しています。
- 生成AIのプロンプトとして医療情報を入力する場合、「AIの学習等のために保存されないこと」が契約等において担保されていること
- 外部サービスの利用時は、サービス提供者との契約内容・利用規約を確認すること
- 個人情報を含む場合は、利用目的の特定・本人への通知・同意取得が必要
Claude(Anthropic)については、APIや有料プランの場合、学習への利用がオフになる設定が可能です。利用前に必ずAnthropicの最新の利用規約・プライバシーポリシーを確認し、医療機関のプライバシーポリシー・個人情報取扱方針との整合性を確認してください。
(参照: 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」— 参照日: 2026-06-04)
Claude Codeが医療現場で使える5カテゴリ・30業務の全体像
使えない領域を押さえたうえで、今度は安全に活用できる業務を整理しましょう。医療機関でAIが貢献できる業務は大きく5つのカテゴリに分けられます。
| カテゴリ | 業務数 | 主な用途 | 個人情報リスク |
|---|---|---|---|
| 事務作業 | 10本 | 書類作成・文書整理・返信文作成 | 低(匿名化・汎用文書) |
| 教育・研修 | 5本 | スタッフ研修資料・勉強会サポート | 低(一般的な医学知識) |
| 研究・文献整理 | 5本 | 文献要約・研究計画文書・倫理申請補助 | 中(匿名化処理が条件) |
| 患者向けコミュニケーション文書 | 5本 | 説明文書・同意書の下書き・FAQ作成 | 中(医師最終確認が必須) |
| 経営管理 | 5本 | 会議資料・採用・予算計画 | 低〜中 |
重要な原則: どのカテゴリでも「個人を特定できる情報(氏名・生年月日・病名・カルテ番号等)」はAIに入力しないことが大原則です。以下のプロンプトはすべて匿名化・汎用化した情報を前提に設計されています。
カテゴリ1:事務作業プロンプト10選
医療機関のスタッフが最も時間を使っているのが事務作業です。私が研修先の診療所でヒアリングをすると、「書類作成に1日2〜3時間かかっている」という声が頻繁に出てきます。これはAIが最も安全かつ効果的に貢献できる領域です。
プロンプト #1: 診療情報提供書(紹介状)の文書構造テンプレート作成
個人情報を含まない「空のフォーマット」を作成するプロンプトです。
あなたは医療事務の専門家です。
以下の要件で診療情報提供書のWordテンプレートを作成してください。
【テンプレートの要件】
- 様式: A4縦、[患者氏名]等のプレースホルダー形式
- 必須記載項目: 患者情報(プレースホルダー)、紹介目的、現病歴要旨、治療経過、検査結果概要、依頼事項、医師署名欄
- 文体: 医療機関間の公式文書として適切な敬体
- 記載すべき注意点を【】書きで各項目の横にコメントとして記載する
テンプレートの本文のみをMarkdown形式で出力してください。活用例: 事務スタッフが作成した下書きフォーマットを医師が確認・加筆する形で分業化。作成時間を約40分から約10分に短縮した診療所の事例(想定シナリオ)があります。
プロンプト #2: 休診・臨時休診のお知らせ文作成
以下の条件でクリニックの休診お知らせ文を作成してください。
【条件】
- 休診日時: [日付・時間帯をここに入力]
- 理由: [学会参加 / 研修 / 設備メンテナンス等]
- 急患対応の有無: [対応する / しない]
- 連絡先代替医療機関: [ある場合は入力]
- 掲載媒体: [院内掲示 / ウェブサイト / LINE / 両方]
患者様に不安を与えない丁寧な文体で、200字以内で作成してください。
LINE配信用の場合は絵文字を1〜2個追加してください。プロンプト #3: 採用求人票の下書き作成
以下の条件で医療事務スタッフの求人票を作成してください。
【採用条件】
- 職種: [医療事務 / 看護師 / 受付等]
- 雇用形態: [正社員 / パート]
- 勤務時間: [例: 週3日、9:00〜18:00]
- 必須スキル: [記載する]
- 歓迎スキル: [記載する]
- 給与レンジ: [記載する]
- 職場の特徴・雰囲気: [記載する]
ハローワーク求人票の様式に準拠した形式で出力してください。
誇大表現・不当な差別につながる表現は使用しないでください。プロンプト #4: 患者アンケートの設計
クリニックの患者満足度アンケートを設計してください。
【要件】
- 回答時間の目安: 3分以内
- 形式: 紙面(A4半分)
- 調査したい項目: 受付対応、待ち時間、診察の丁寧さ、施設の清潔さ、総合満足度、自由記述
- 評価方法: 5段階評価 + 自由記述
- 個人情報: 任意記入(氏名・年齢・性別)
アンケートの本文と、集計方法の簡単な説明を合わせて出力してください。プロンプト #5: 会議議事録の要約・整形
会議内容のメモを入力すると、整形された議事録を出力するプロンプトです。個人を特定する情報は入力前に削除してください。
以下の会議メモを正式な議事録形式に整形してください。
【入力: 会議メモ(個人名は役職名に置き換えて入力)】
[ここに会議メモを貼り付ける]
【出力形式】
・日時: [空欄のまま後で記入]
・出席者: [役職名のみ]
・議題: 箇条書き
・決定事項: 番号付きリスト
・アクションアイテム: 担当者(役職名)・期日・内容の表形式
・次回会議の確認事項
固有名詞(患者氏名・カルテ番号等)が含まれている場合は【要確認: 個人情報が含まれている可能性があります】と警告してください。プロンプト #6: 診療費未収金の督促文作成
診療費のお支払いをお願いする督促状を作成してください。
【状況】
- 初回督促 / 2回目督促 / 最終通知(いずれかを選択)
- トーン: 丁寧で穏やかな文体(患者様との関係を大切にする)
- 記載事項: 未払いである旨、お問い合わせ窓口、支払期限([日付]まで)
患者を傷つけない、かつ支払いを促す効果的な文面を300字以内で作成してください。プロンプト #7: 保険審査返戻への返答文草案作成
以下の保険審査返戻に対する返答文書の草案を作成してください。
【状況】
- 返戻理由の要旨: [ここに要旨を入力(個人情報を除く)]
- 当院の対応方針: [認める / 査定不服として請求 / 追加書類を提出]
- 提出書類: [ある場合は列挙]
医療機関側の正式な公文書として適切な文体で作成してください。
医師の最終確認・署名が必要である旨を文書末尾に注記してください。プロンプト #8: スタッフシフト表の作成補助
以下の条件でクリニックのシフト表を作成するためのExcel関数・構造を提案してください。
【条件】
- スタッフ数: [人数]
- 対象期間: 月単位
- 必要人員: 午前[人]名、午後[人]名
- 制約: 週40時間以内、希望休の反映、夜間・土曜の均等配分
- 出力: Excel構造の設計案と使用すべき主要関数(IF/COUNTIF等)の説明
※ スタッフの氏名は入力せず「スタッフA〜Z」等の記号で設計してください。プロンプト #9: 院内マニュアルの改訂補助
以下の院内マニュアルの文章を改善してください。
【改善の目的】
- 読みやすくする(見出し・箇条書きの活用)
- 新入スタッフでも理解できる表現に統一する
- 手順漏れがないか確認する
【現行マニュアル(個人情報を除いたもの)】
[ここに現行テキストを貼り付ける]
改善版と、改善のポイントの説明を合わせて出力してください。プロンプト #10: 医療機器の使用記録フォーマット設計
以下の医療機器の使用記録フォーマットを設計してください。
【機器情報】
- 機器名: [機器名を入力]
- 使用頻度: [1日あたりの使用回数]
- 法的記録要件: [特定機器の場合は法定事項を記載]
- 記録担当者: [看護師 / 臨床工学技士 / 医療事務等]
記録漏れを防ぐチェックボックス付きのA4横フォーマットを設計し、
定期点検の記録欄も含めてください。カテゴリ2:教育・研修プロンプト5選
医療機関のスタッフ教育は継続的な課題です。顧問先のクリニックで研修担当をしているベテランナースが「毎回同じことを説明するのが大変」とおっしゃっていました。AIで教材を充実させることで、担当者の負荷を大きく減らせます。
プロンプト #11: 新入スタッフ研修テキストの作成
医療機関の新入スタッフ向け研修テキストを作成してください。
【テーマ】: [例: 電話対応の基本 / 個人情報保護 / 感染対策の基礎]
【対象者】: 医療知識ゼロの新卒スタッフ
【分量】: A4で3〜5枚程度
【含める要素】:
- 学習目標(3点)
- 本文(理由とともに手順を説明)
- よくある間違いと正しい対応(❌⭕形式)
- 確認クイズ5問(○×形式)
医療の専門知識がない読者でも理解できる平易な言葉で書いてください。プロンプト #12: 勉強会の企画書・スライド構成案作成
院内勉強会の企画書を作成してください。
【勉強会の概要】
- テーマ: [例: 感染対策の最新知識 / 医療安全インシデント事例]
- 対象者: [全スタッフ / 看護師のみ 等]
- 時間: [30分 / 60分]
- 講師: [院内担当者 / 外部講師]
- 目標: 参加者が学ぶべき3つのポイント
企画書の構成と、30分スライドの場合のスライド構成案(スライド数・各スライドのタイトル・内容要旨)を合わせて出力してください。プロンプト #13: 接遇研修シナリオの作成
クリニックの接遇研修で使用するロールプレイシナリオを作成してください。
【場面】: [例: 電話での予約受付 / 会計時の対応 / 急患への対応]
【難易度】: [基本 / 応用 / 難しいクレーム対応]
以下の形式で出力してください:
1. シナリオの状況説明(200字)
2. 患者役のセリフ(5〜8発言)
3. 理想的なスタッフの対応(各セリフへの模範返答)
4. このシナリオの学習ポイント(3点)
架空の患者(患者A等)を使用し、実在の個人情報は含めないでください。プロンプト #14: 医療用語集の作成
新入スタッフ向けの医療用語集を作成してください。
【分野】: [例: 循環器内科 / 整形外科 / 医療事務(保険請求用語)等]
【収録語数】: 50語程度
【形式】: 用語・読み仮名・意味(50字以内)・使用例の表形式
スタッフが業務中に見返せるA4横向きの一覧表として設計してください。
医学的に誤りがないか最終確認は医師・専門職が行う旨を注記してください。プロンプト #15: e-ラーニング確認テストの作成
以下の研修内容に関する確認テストを作成してください。
【研修テーマ】: [例: 個人情報保護 / 感染対策 / 医療安全]
【問題数】: 10問
【形式】: 四択問題
【難易度配分】: 基礎6問・応用4問
各問題には:
- 問題文
- 選択肢A〜D
- 正解
- 解説(なぜその答えが正しいか・50字以内)
を含めてください。解答は問題の後にまとめて記載し、自己採点できる形式にしてください。カテゴリ3:研究・文献整理プロンプト5選
研究・文献整理の領域では、個人情報の取り扱いに最も注意が必要です。研究倫理審査を経ていないデータを無断でAIに投入することは、研究倫理上も個人情報保護法上も問題になります。以下のプロンプトはすべて「匿名化済みの情報」または「公開論文・資料」を前提としています。
プロンプト #16: 医学論文の要約・読解補助
以下の公開医学論文の要約を作成してください。
【論文テキストまたはDOI】: [ここに貼り付け、または入力]
以下の形式で要約してください:
- 研究の目的(1〜2文)
- 対象・方法(箇条書き)
- 主要な結果・数値(箇条書き)
- 結論・臨床的意義(2〜3文)
- 本研究の限界点(箇条書き)
- 日本の臨床現場への示唆(筆者の意見として明記)
AIによる要約であり、内容の最終確認は専門医・研究者が行う必要がある旨を末尾に注記してください。プロンプト #17: 系統的レビューの文献整理表作成
以下の複数の論文情報を、系統的レビュー用の文献整理表にまとめてください。
【入力情報(公開論文のみ)】:
論文1: [著者名・タイトル・雑誌・年・主要結果]
論文2: [同上]
(以下続く)
【出力形式】:
| 著者(年) | 研究デザイン | 対象 | 介入/曝露 | アウトカム | 主要結果 | バイアスリスク |
表の後に、論文群から読み取れる全体的な傾向を200字でまとめてください。プロンプト #18: 倫理審査申請書の文書補助
以下の研究計画の倫理審査申請書の下書きを作成してください。
【研究の基本情報】
- 研究タイトル: [入力]
- 研究の目的: [入力]
- 対象者: [入力(個人情報なし)]
- 研究方法の概要: [入力]
- 予想されるリスクと対策: [入力]
- 個人情報の取扱い方法: [入力]
【倫理審査申請書の作成要件】
- 各機関の様式に準拠(汎用的な構成で作成)
- 研究対象者への説明文書・同意書の雛形も含める
この文書はあくまで下書きであり、研究倫理担当者・指導医の確認が必須です。その旨を文書冒頭に明記してください。プロンプト #19: 学会発表スライドの構成案作成
以下の研究内容について、学会発表(口頭発表10分)のスライド構成案を作成してください。
【研究内容の概要(匿名化・公開可能な情報のみ)】:
- テーマ: [入力]
- 研究デザイン・方法: [入力]
- 主要な結果: [入力]
- 結論: [入力]
【出力形式】:
1. 各スライドのタイトル
2. スライドの内容要旨(箇条書き)
3. 発表時間の配分目安
情報の正確性については最終的に研究者本人が確認する必要がある点を冒頭に明記してください。プロンプト #20: 診療報告書・症例報告の文書構造テンプレート
症例報告(case report)の文書構造テンプレートを作成してください。
【報告の種別】: [学会誌投稿用 / 院内症例検討会用]
【対象疾患分野】: [入力]
以下の国際的な症例報告ガイドライン(CARE)に準拠した構成で:
- タイトル・著者欄(プレースホルダー)
- 要旨(目的・症例・結論)
- キーワード(例示)
- 緒言
- 症例提示(個人情報はすべて[〇〇]プレースホルダー)
- 考察
- 結論
- 患者の同意に関する記載欄
- 参考文献欄
個人情報の完全な匿名化と患者同意取得の確認を行うよう、各欄に注意書きを記載してください。カテゴリ4:患者向けコミュニケーション文書プロンプト5選
患者向けの文書作成は、医療広告ガイドラインと個人情報保護の観点から最も慎重な扱いが必要なカテゴリです。ここで作成するのはあくまで「下書き」であり、医師・看護師・薬剤師等の有資格者が内容を確認・修正したうえで患者に提供することが絶対条件です。
医療広告ガイドライン注意事項: 2024年3月に「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)」が改訂され、SNS・動画広告の規制が強化されました。患者向け文書・ウェブコンテンツは「比較優良広告・体験談・確約的な効果表現」が禁止されています。AIが生成したコンテンツは医療法・医療広告ガイドラインに照らして必ず確認してください。
プロンプト #21: 検査前の患者説明文書の下書き
以下の検査について、患者への説明文書の下書きを作成してください。
【検査名】: [例: 胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)/ MRI検査等]
【説明すべき内容】:
- 検査の目的・概要(医学的に正確に)
- 当日の注意事項(食事・薬・服装等)
- 検査の流れ
- 検査中に感じる可能性のある不快感
- 検査後の注意事項
- 稀に起こりうる副作用・合併症(確率とともに)
【文体】: 中学生でも理解できる平易な言葉
【分量】: A4・1枚以内
この文書はあくまで下書きです。医師・看護師が内容の正確性を確認し、当院の実際の手順と照合したうえで患者に提供してください。プロンプト #22: よくある質問(FAQ)ページのコンテンツ作成
以下の診療科のウェブサイト向けFAQコンテンツを作成してください。
【診療科】: [例: 内科クリニック / 整形外科 / 皮膚科]
【想定される質問数】: 10〜15問
【質問カテゴリ】: 予約・受診方法、料金・保険、よくある症状の初歩的な説明、プライバシーポリシー関連
【厳守事項】:
- 特定の治療効果を約束・比較する表現は使用しない
- 「〇〇に効果があります」等の確約的表現は避け「〇〇が期待できます」程度に留める
- 医療広告ガイドラインに抵触する可能性がある表現にはアラートを付ける
医師が最終確認するための【要確認ポイント】リストも合わせて出力してください。プロンプト #23: 同意書の文書雛形作成
以下の処置・検査の同意書の雛形を作成してください。
【対象処置・検査】: [入力(個人情報なし)]
【同意書に含める要素】:
- 処置・検査の目的と方法の概要
- 期待される効果
- 起こりうるリスク・副作用(重篤なものも含む)
- 代替治療の選択肢の有無
- 同意の任意性(拒否しても不利益を被らない旨)
- 患者署名欄・日付・立会人欄
- 担当医師署名欄
この雛形は法的・医療的な観点から弁護士・医師が確認する必要があります。その旨を冒頭に明記してください。プロンプト #24: 退院後の生活指導文書の下書き
退院患者向けの生活指導文書の下書きを作成してください。
【疾患分類(一般的なカテゴリで)】: [例: 心臓疾患 / 糖尿病 / 整形外科術後等]
【指導すべき項目】:
- 食事・飲酒・喫煙に関する注意
- 運動・日常生活動作の制限
- 内服薬の管理
- 受診タイミング(どんな症状が出たら受診すべきか)
- 緊急時の対応(救急車を呼ぶ目安)
【文体】: 高齢者にも読みやすい大きめのフォント想定・平易な言葉
担当医師が患者の実際の状態に合わせて修正することを前提とした下書きです。その旨を冒頭に必ず記載してください。プロンプト #25: 予防接種の案内文書作成
予防接種のご案内文書を作成してください。
【ワクチンの種類】: [例: インフルエンザワクチン / 肺炎球菌ワクチン等]
【対象者】: [例: 65歳以上の方 / 全患者様等]
【記載内容】:
- ワクチンの目的・効果の概要(過度な効果表現を避ける)
- 接種対象者・推奨される接種時期
- 費用(自己負担・助成制度がある場合)
- 当院での接種予約方法
- 接種前の注意事項
- 副反応として起こりうる症状
【注意】: 「絶対に感染しない」「100%予防できる」等の表現は使用しない
医師確認後に発行する前提の下書きとして作成してください。カテゴリ5:経営管理プロンプト5選
クリニック・診療所の院長先生が意外と困っているのが「経営管理の文書作成」です。医師として臨床は得意でも、経営判断に必要な資料やプレゼンテーションの作成は苦手、というケースをよく見聞きします。
プロンプト #26: 設備投資の費用対効果分析フォーマット
医療機器の設備投資に関する費用対効果分析フォーマットを作成してください。
【検討中の設備】: [機器名・概算導入費用]
【分析に使う項目】:
- 導入費用(初期投資・メンテナンス年間費用)
- 収益予測(診療報酬点数・月間想定件数・診療報酬改定リスク)
- 損益分岐点(月・年単位)
- 診療の質向上・スタッフ負担軽減の定性的メリット
- リース vs 購入の比較
Excelで管理できる計算フォーマットと、院長が経営判断に使える一枚サマリーを設計してください。プロンプト #27: スタッフミーティングのアジェンダ作成
月次スタッフミーティングのアジェンダを作成してください。
【ミーティングの目的】: [例: 月次業績確認 / 課題共有 / 研修計画]
【時間】: [30分 / 60分]
【参加者】: [全スタッフ / 診療部門のみ 等]
【前回からの課題】: [あれば入力]
【今月の重点議題】: [入力]
各議題に発表者(役職名)・時間配分・期待するアウトプットを設定した
タイムテーブル形式で出力してください。プロンプト #28: クリニック改善提案書の作成
クリニックの業務改善提案書を作成してください。
【提案の背景・課題】: [例: 受付の待ち時間が長い / 会計ミスが増えている等]
【提案する改善策】: [入力]
【期待される効果】: [数値目標があれば入力]
【必要な投資・コスト】: [概算で入力]
【実施スケジュール案】: [入力]
院長・管理者に提案するための説得力のある1枚の提案書を作成してください。
コスト・効果・リスクをバランスよく記載し、承認を得やすい構成にしてください。プロンプト #29: 年間研修計画の策定支援
医療機関のスタッフ向け年間研修計画を策定してください。
【スタッフ構成】: [医師/看護師/医療事務/その他の人数・比率]
【法定研修要件】: [例: 感染対策・医療安全・個人情報保護研修等]
【任意研修テーマ(希望)】: [例: 接遇向上・AI活用・診療報酬改定対応等]
【研修予算の目安】: [年間概算]
【実施形式】: [院内開催 / 外部参加 / オンライン]
月別スケジュール表と、各研修の目的・対象者・時間・費用概算を含む
年間計画書のフォーマットを作成してください。プロンプト #30: 患者満足度調査結果の報告書作成
患者満足度調査の結果をもとに、院長・管理者向けの報告書を作成してください。
【調査概要】:
- 調査期間: [入力]
- 回収数: [件数]
- 集計結果(個人情報を含まない集計値のみ):
- 各項目の平均点: [入力]
- 自由記述の主な意見(匿名化済み): [入力]
【報告書に含める要素】:
- エグゼクティブサマリー(200字)
- 良好な点と改善が必要な点(各3点)
- 具体的な改善アクション案(優先度順)
- 次回調査への提言
経営的な視点で改善につながる実践的な提言を含めてください。医療機関でAIを安全に導入する5ステップ(HowTo)
ここまで30本のプロンプトを紹介してきましたが、「そもそもどこから始めればいいか」という疑問もあると思います。クリニック・診療所スタッフ5〜15名規模での導入ステップをまとめました。
ステップ1: 院内の「AIポリシー」を1枚で決める(1〜2時間)
どの業務でAIを使ってよいか・ダメかを院長が1枚の文書で明文化します。「個人情報はAIに入れない」「医療判断にはAIを使わない」「AIの出力は必ず担当者が確認する」の3原則を全スタッフに周知してください。ステップ2: 事務作業から小さく試す(1週間)
プロンプト#1〜#10の事務作業カテゴリから1本選んで試してみてください。個人情報を扱わないため安全に始められます。まず1週間で「AI出力の感覚」をつかむことが大切です。ステップ3: 医師・責任者が出力をチェックする習慣を作る(2週間目〜)
AIの出力は「下書き」に過ぎません。患者向け文書・医療情報を含む文書は必ず医師・看護師・薬剤師等の有資格者が確認する承認フローを作ってください。ステップ4: 個人情報の取り扱いルールを確認する(2週間目〜)
AnthropicのプライバシーポリシーとAPIの利用規約を院内担当者が確認します。有料プラン(Claude.ai Proまたは Enterprise)では学習利用をオプトアウト可能です。契約内容を書面で確認してください。ステップ5: 効果を測定して徐々に拡張する(1ヶ月後〜)
「書類作成に何分かかっていたか → AIを使うと何分になったか」を記録し、効果を数値化します。効果が出た業務から他カテゴリに展開し、半年後を目処に院内全体のAI活用方針を見直してください。
【要注意】医療現場でよくある失敗パターン4選
医療機関でのAI活用で実際に起きやすいトラブルを4パターン紹介します。これらを先に知っておくことで、重大なインシデントを防げます。
失敗パターン1: 患者の個人情報をそのままAIに送信する
❌ よくある間違い: 「カルテの内容を要約したい」と思い、患者氏名・生年月日・病名が入ったテキストをそのままClaude.aiに貼り付ける
⭕ 正しいアプローチ: 氏名は「患者A」、生年月日は「70代男性」等に置き換えてから入力。病名も「消化器疾患」等の一般的な分類に変換する
なぜ重要か: 個人情報保護法では、要配慮個人情報(病歴・診療情報等)の第三者提供には原則として本人の同意が必要です。無断送信は法的リスクに直結します。
研修先の医療機関でスタッフに確認すると、「カルテをそのまま貼れると思っていた」という方が一定数いらっしゃいます。必ず事前にポリシーの周知を行ってください。
失敗パターン2: AIの診断・医療判断の出力を患者にそのまま伝える
❌ よくある間違い: 患者から「この症状は何でしょうか」と聞かれたスタッフが、Claude.aiで検索して出てきた回答をそのまま患者に伝える
⭕ 正しいアプローチ: 「症状のご判断は担当医師にお聞きください」とお伝えし、医師につなぐ。AIの出力は医師が参照する情報収集に留める
なぜ重要か: 医師法第17条では「医師でなければ医業を行ってはならない」とされています。スタッフがAIの出力を基に診断的な情報を患者に伝えることは、医師法違反になる可能性があります。
失敗パターン3: 医療広告ガイドラインに違反するコンテンツをAIに作らせる
❌ よくある間違い: 「当院のレーザー治療は他院より効果が高い」「○○の治療で患者様に満足していただいています(体験談)」等の表現を含むウェブコンテンツをAIに生成させ、確認なしで掲載する
⭕ 正しいアプローチ: AIが生成した患者向けコンテンツは、医療広告ガイドラインに照らして医師・担当者が確認する。比較優良広告・体験談・確約的な効果表現が含まれていないかチェックする
なぜ重要か: 医療法第6条の5に基づく医療広告ガイドライン違反は、行政指導・是正命令の対象となります。2024年の改訂でSNSや動画広告も規制対象に明確化されました。
失敗パターン4: 研修・教育目的でAIを使うことが目的化する
❌ よくある間違い: 「AIで研修資料を大量に作った」だけで終わり、実際にスタッフが学習・実践しているかを確認しない。コンテンツ制作が目的化し、教育効果が出ない
⭕ 正しいアプローチ: AIは研修材料の「作成補助」ツール。研修後の確認テスト・実践ロールプレイ・OJTによる現場確認のプロセスは人間が担う。AIで効率化した時間を「人が人に教える時間」に充てる
個人情報保護・法令遵守チェックリスト
AI活用を始める前に、以下のチェックリストを院内でご確認ください。
導入前チェック(院長・事務長が確認)
- ☐ AnthropicのClaude.aiまたはAPIの利用規約・プライバシーポリシーを確認した
- ☐ 有料プランを契約しており、学習利用のオプトアウト設定を確認した
- ☐ 当院の個人情報取扱方針(プライバシーポリシー)に「AI活用」の記載があるか確認した(必要に応じて更新)
- ☐ 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」の内容を担当者が確認した
- ☐ 院内AIポリシー(1枚)を作成し、全スタッフに周知した
運用中チェック(月次確認)
- ☐ 個人情報がAIに入力されていないか抜き打ちで確認する仕組みがある
- ☐ AI出力の医師確認フロー(承認プロセス)が機能している
- ☐ 患者向け文書・ウェブコンテンツはガイドライン違反がないか確認されている
- ☐ スタッフからAI活用に関する疑問・相談を受け付ける窓口がある
医療機関のClaude Code活用:想定モデルケース(クリニック・診療所)
事例区分: 想定シナリオ
以下は、医療機関でのAI活用研修経験をもとに構成した典型的なシナリオです。実在の特定の医療機関・個人の事例ではありません。
スタッフ10名規模の内科クリニックでClaude Codeの活用を始めた場合の想定シナリオです。
第1フェーズ(1〜4週間): 事務作業の効率化
- 休診・診察時間変更のお知らせ文作成: 約30分 → 約5分に短縮
- スタッフ採用の求人票下書き: 担当者の作業時間が半減
- 月次ミーティング議事録の整形: 終業後の時間外作業がほぼゼロに
第2フェーズ(2〜3ヶ月目): 教育・研修資料の充実
- 新入スタッフ向け接遇マニュアルをAI補助で2日 → 半日で完成
- 年間研修計画の文書化を院長が自力で実施(外注なし)
留意点: このシナリオでは、医療判断・患者への直接的な医療情報提供にはAIを使っていません。また個人情報の入力は行っていません。これが医療機関における安全な活用の基本です。
参考・出典
- 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(令和5年5月) — 厚生労働省(参照日: 2026-06-04)
- 医療デジタルデータのAI研究開発等への利活用に係るガイドライン(令和6年9月) — 厚生労働省(参照日: 2026-06-04)
- 医療広告規制に関する情報 — 厚生労働省(参照日: 2026-06-04)
- 医師法(昭和23年法律第201号)第17条 — e-Gov法令検索(参照日: 2026-06-04)
- 薬剤師法(昭和35年法律第146号)第19条 — e-Gov法令検索(参照日: 2026-06-04)
AIガバナンスと導入フローについて詳しく知りたい方へ
医療機関に限らず、組織全体のAIガバナンス設計については社内AIガバナンス委員会の設計ガイドで詳しく解説しています。また、Claude Codeを企業で安全に使うためのセキュリティ設定についてはClaude Codeセキュリティ設定完全ガイドをあわせてご覧ください。
医療機関のClaude Code活用:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 事務作業カテゴリのプロンプト#2(休診お知らせ文)を1本コピペして試す。個人情報なしで即試せます。
- 今週中: 院内AIポリシー(1枚)を作成し、全スタッフにメールかLINEで共有する。禁止事項(個人情報の入力・診断目的の使用)を明文化することが最優先です。
- 今月中: 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」を担当者が確認し、当院の利用ルールとの整合性をチェックする。
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著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
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