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media AI活用の最前線

保育園・幼稚園のAI活用ガイド|おたより・連絡帳・事務を軽くする【2026】

結論:生成AIは、保育園・幼稚園・こども園の「おたより」「連絡帳」「行事の案内文」「保護者対応の文章」「シフトや事務の下ごしらえ」といった文章作成・事務作業を軽くし、保育士が子どもと向き合う時間を取り戻すための実務的な道具です。子どもの発達や安全に関わる判断はこれまで通り保育の専門職が行い、AIはあくまで下書きづくりの補助として使うのが基本です。

この記事の要点

  • おたより・園だより・お知らせ文の下書きは、AIに箇条書きを渡すだけで数分でたたき台ができる(清書と温度の調整は人がやる)
  • 連絡帳・日誌・記録の「文章化」を補助すると、メモから保護者向け・記録向けの文へ整えやすくなる
  • 子ども・保護者の個人情報や写真はAIに入れない。匿名化・最小限・規約確認が大前提(2026年6月時点)

対象読者:保育園・幼稚園・こども園の園長・運営者・主任・保育士で、事務や文章作成の負担を少しでも減らしたい方。
読了後にできること:今日の「園だより」の一段落を、AIにたたき台を作らせて自分の言葉で仕上げる、を試せます。


「この園だより、今日中に仕上げないと…でも、まだ書き出しの一行も決まってない」

先日、ある認定こども園の主任の先生とお話ししていたとき、こんな声をいただきました。日中は子どもたちと全力で過ごし、お昼寝の時間や子どもが帰ったあとのわずかな時間で、月のおたより、行事の案内、保護者へのお知らせ、連絡帳の返事、シフトの調整……と、文字を書く仕事が次から次へと押し寄せてくる。「子どもと向き合う仕事のはずなのに、気づいたらパソコンの前にいる時間が長い」と、少し申し訳なさそうにおっしゃっていたのが印象に残っています。

これは特別な園の話ではありません。私たちが100社以上の企業や団体でAI活用の研修をしてきたなかでも、保育の現場は「人と人との温かいやりとり」が中心にある一方で、その裏側に膨大な文章仕事と事務がぶら下がっている、という共通の構造が見えてきました。そしてここに、生成AIがちょうどよく効く余地があります。

大事なのは、AIに保育を任せるのではない、ということです。子どもの様子を見て、その子に合った声かけを考え、保護者の気持ちに寄り添うのは、これからも先生方の仕事です。AIが手伝えるのは、その手前にある「文章のたたき台づくり」や「事務の下ごしらえ」。ここを軽くすることで、本当に大切な「子どもと向き合う時間」を少しでも取り戻す、という考え方です。

この記事では、保育園・幼稚園・こども園ですぐに使える生成AIの活用法を、そのままコピーして使えるプロンプト(AIへの指示文)つきで紹介します。個人情報を入れない安全な書き方に絞っていますので、ぜひ今日から、無理のない範囲で試してみてください。

まず試したい「5分でできる」AI活用 3選

難しい設定はいりません。ChatGPTなどの無料で使えるAIに、ふだん使っている言葉で話しかけるだけで、文章のたたき台が出てきます。まずは負担の重い3つから始めてみましょう。生成AIをビジネスでどう使い始めるかの全体像は、ChatGPTビジネス活用ガイドでも体系的にまとめています。

活用1:園だより・おたよりの「書き出し」をAIに任せる

いちばん時間がかかるのは、実は「最初の一行」だったりします。伝えたい中身は頭の中にあるのに、文章の形にする入口でつまずく。そこをAIに任せると、ぐっと楽になります。

あるこども園では、月のおたよりの「園長あいさつ」の部分にいつも30分以上かかっていたそうですが、季節の話題と伝えたいことを箇条書きで渡すだけで、たたき台が数分で出るようになり、あとは自分の言葉に直すだけで仕上がるようになった、という声がありました。

あなたは保育園のおたより作成を手伝うアシスタントです。
以下のメモをもとに、保護者向けの「6月の園だより」の書き出しあいさつ文を
300字程度で作ってください。

# 条件
- やわらかく、温かい口調で
- 専門用語は使わず、保護者にやさしい言葉で
- 季節の話題を1つ入れる
- 最後は「今月もどうぞよろしくお願いします」で締める

# 今月のメモ
- 梅雨の時期、室内遊びが増えている
- 子どもたちは新聞紙遊びに夢中
- 来週、衣替えのお願いをしたい

使い方のコツ:出てきた文章は必ず自分で読み返し、園の雰囲気に合う言葉に直してください。AIの文章は整っている反面、少しよそゆきになりがちです。「いつもの先生の言葉」を一言足すだけで、ぐっと温かくなります。

活用2:連絡帳・日誌の「メモを文章にする」を手伝ってもらう

子どもの様子をメモで書き留めておき、それを保護者向けの連絡帳の文や、記録としての日誌の文に整えるのは、地味に時間がかかります。ここでAIに「文章化」だけを手伝ってもらいます。ただし、子どもの名前や個人が特定できる情報は入れず、「Aちゃん」のように匿名にして渡すのが鉄則です。

保育の記録メモを、保護者向けの連絡帳の文章に整えてください。

# 条件
- 子どもは「○○ちゃん」と伏せ字のまま
- 温かく、その子の良いところが伝わるように
- 100〜120字程度
- 体調や安全に関わる断定はしない

# メモ
- 今日は積み木で高いタワーを作ろうとしていた
- 何度も倒れたが最後まであきらめなかった
- 完成したとき、まわりの友だちと一緒に喜んでいた

注意:体調・けが・発達に関わることは、AIの言葉をそのまま使わず、必ず先生が事実を確認したうえで書いてください。AIは「文章の整え役」であって、保育の判断をする立場ではありません。

活用3:行事の「お知らせ文」と「持ち物リスト」を一気に下書きする

遠足、運動会、発表会、保護者会。行事のたびに案内文と持ち物リストを作るのは、毎回ゼロから書き起こすと大変です。日時や場所などの要点を渡せば、案内文と持ち物チェックリストをまとめて下書きしてもらえます。

保育園の保護者向けに、「親子遠足」のお知らせ文と持ち物リストを作ってください。

# お知らせ文の条件
- 400字程度、やわらかい口調
- 雨天時の対応も一言ふれる

# 持ち物リストの条件
- チェックボックス形式(□)で箇条書き
- 親子で参加することを前提に

# 要点
- 日程:来月の第2土曜
- 場所:近くの大きな公園
- 集合:午前9時30分、現地集合
- 昼食:お弁当持参
- 雨天:翌週に延期

持ち物の抜け漏れチェックにもなるので、「あとで保護者から問い合わせが来る」ことが減ります。AIでイベント企画・集客を効率化する記事では、行事の企画から事後フォローまでの流れをくわしく紹介しています。

保育園のAI活用5場面。①おたより(園だより・お知らせ文)②連絡帳・記録(日誌の文章化)③行事(企画・案内・チェックリスト)④保護者対応(連絡文・FAQ)⑤事務・シフトの効率化。子ども・保護者の個人情報や写真をAIに入れない。
保育園のAI活用5場面(おたより・連絡帳記録・行事・保護者対応・事務シフト)

保育の現場でのAI活用は「3つの型」で考える

あれもこれもと欲張ると続きません。保育園・幼稚園での生成AIの使いどころは、大きく次の3つの型に整理できます。自分の園で「いちばん負担が重いところ」から1つ選んで始めるのがおすすめです。

内容向いている業務始めやすさ
① 文章を「作る」型箇条書きやメモから、おたより・案内文・あいさつ文の下書きを作る園だより、行事案内、お知らせ、保護者会資料★★★(まずここから)
② 文章を「整える」型すでにある文を、わかりやすく・やさしい言葉に直す連絡帳の返事、日誌、保護者への連絡文★★☆
③ 事務を「下ごしらえする」型条件を渡して、たたき台やチェックリストを作るシフトのたたき台、アンケート項目、FAQ、準備リスト★☆☆(確認が必須)

①と②は失敗してもやり直しがきくので安心して試せます。③のシフトや事務は、AIの出力を必ず先生が確認・修正する前提で使ってください。

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業務別のAI活用テクニック

おたより・園だより・お知らせ文

毎月・毎週やってくる文章仕事の代表格です。ポイントは「全部を書かせる」のではなく「たたき台を出させて、自分が仕上げる」こと。テンプレを毎回作り直す必要がなくなります。

保育園の「保健だより」を作る手伝いをしてください。

# 条件
- 保護者向け、A4半分くらいのボリューム(500字程度)
- 見出しを2〜3個つけて読みやすく
- おどかすような表現は避け、前向きな口調で

# 今月のテーマ
- 夏に向けて、水分補給と帽子の大切さ
- 早寝早起きの生活リズム
- 体調がすぐれないときは無理せず連絡を、というお願い

活用例:保健だより・食育だより・クラスだよりなど、テーマ違いで使い回せます。仕上げのコツ:園独自のルールや、その月ならではのエピソードを一文足すと、テンプレ感が消えて「この園のおたより」になります。

保護者対応(連絡文・FAQ・アンケート)

保護者へのお願いや、よくある質問への答えは、毎回似たような文面を考えることになりがちです。AIに「やわらかいお願いの文」や「FAQのたたき台」を作ってもらうと、角が立たない言い回しを探す時間が減ります。

保護者向けに、「登園時の検温と健康チェックのお願い」の連絡文を作ってください。

# 条件
- 250字程度
- 一方的な指示ではなく、お願いとして
- 協力への感謝を最後に一言

# 伝えたいこと
- 朝、家庭で検温をお願いしたい
- 体調がすぐれない場合は登園前に連絡を
- みんなが安心して過ごすための取り組みであること

保護者アンケートの設問づくりにも使えます。「行事の感想を聞くアンケートを、5問くらいで、自由記述と選択式を混ぜて作って」と頼めば、たたき台が出てきます。集まった声を要約・分類してもらうのも得意です(ただし回答に個人名が入る場合は、名前を消してから渡してください)。日々の問い合わせ対応の仕組み化は、AIメール対応の効率化ガイドも参考になります。

連絡帳・日誌・記録の文章化

前述の通り、メモを文章に整える補助としてとても役立ちます。コツは「箇条書きのメモ」と「どんなトーンで、何字くらい」を一緒に渡すこと。複数の子の記録をまとめて整えたいときも、ひとりずつ匿名のメモにして渡せば、それぞれの文に仕上げてくれます。

行事の企画・準備チェックリスト

「運動会の準備、何から手をつければいいか整理したい」というときは、AIに準備リストのたたき台を作らせると見通しが立ちます。

保育園の運動会の準備チェックリストを作ってください。

# 条件
- 「2か月前」「1か月前」「前日」「当日」の時系列で
- 各項目はチェックボックス(□)形式
- 備品・係分担・保護者への連絡、の観点を入れる

行事は屋外、未就学児が対象という前提でお願いします。

出てきたリストを、自分の園の実情に合わせて足し引きすれば、毎年の準備がぐっと楽になります。

シフト作成・事務の下ごしらえ

シフトそのものをAIに丸投げするのは現時点ではおすすめしませんが、「たたき台づくり」や「条件の整理」には使えます。たとえば「常勤◯名・パート◯名、開園7時〜19時、必ず2名以上配置」といった条件を渡して、考え方のたたき台を出してもらう、という使い方です。シフト作成をAIで楽にする具体的な手順は、AIでシフト作成を自動化する記事でくわしく解説しています。

マニュアルや手順書の整備も、AIにたたき台を作らせると進みやすくなります。「新人の先生向けに、朝の受け入れの流れをマニュアルにして」と頼めば、抜けのない手順書のもとが出てきます(園のルールに合わせて必ず確認・修正してください)。AIで業務マニュアルを作る記事もあわせてどうぞ。

SNS・ブログでの園の発信

園のブログやSNSで日々の様子を発信している園も増えました。投稿文のたたき台づくりにAIは便利です。ただし、子どもの顔写真や個人が特定できる情報は、AIに入れないこと。文章だけを、匿名の前提で作ってもらいます。発信の続け方は、AIでSNS運用を効率化する記事も参考になります。

【要注意】保育現場でのAI活用、ここだけは気をつけたい

失敗1:子ども・保護者の個人情報や写真をそのまま入れてしまう

❌ 子どもの実名やけがの詳細、家庭の事情、顔写真をAIに貼り付けて文章を作らせる
⭕ 名前は「○○ちゃん」と伏せ、個人が特定できる情報は外し、文章作成に必要な最小限の内容だけを匿名で渡す

なぜ重要か:保育の現場が扱う情報は、子どもと家庭のとても大切な個人情報です。個人情報保護委員会のガイドラインでも、利用目的の範囲や安全な取り扱いが求められています。便利だからといって、子どもや保護者の情報を不用意に外部のサービスへ入れるのは避けてください。使うAIサービスの利用規約や、入力した内容がどう扱われるかも、導入前に確認しておくと安心です。

失敗2:AIの文章をそのまま貼り付けて、温かみが消える

❌ AIが作った文章を一字も直さず、おたよりや連絡帳にそのまま使う
⭕ 必ず先生が読み返し、その子・その園ならではの一言を足して「自分の言葉」にする

AIの文章は整っていますが、どこか「よそゆき」です。保護者が読んで安心するのは、整った文章よりも、先生の温度が伝わる言葉です。AIは下書きまで、最後の仕上げは人が、と覚えておいてください。

失敗3:子どもの安全・発達の判断までAIに頼ってしまう

❌ 「この子の様子、AIに聞いて対応を決める」
⭕ 子どもの体調・発達・安全に関わる判断は、保育士や専門職が責任をもって行い、AIは事務・文章の補助に限る

これはいちばん大事な線引きです。AIは保育の専門家ではありません。気になる様子があれば、これまで通り先生方の目と経験、そして必要に応じて専門職や保護者との連携で判断してください。

失敗4:いきなり全部をAI化しようとして、かえって混乱する

❌ おたより・連絡帳・シフト・事務、全部いっぺんにAIに置き換えようとする
⭕ いちばん負担が重い1つ(多くの園は「おたより」)から始め、慣れたら少しずつ広げる

研修の現場でも、欲張らず1つに絞った園のほうが、結果として長く続いています。小さく始めて、効果を感じてから広げるのが、無理のない進め方です。

導入を進めるときの考え方

園として生成AIを取り入れるなら、いきなり全員で使うのではなく、まずは園長・主任など数名で試し、「どこまでなら入れてよいか」「個人情報は入れない」といった簡単な園内ルールを1枚にまとめてから広げると安心です。AI導入を組織として進める手順は、AI導入戦略の完全ガイドで体系的に整理しています。

あわせて、保育の現場ではこども家庭庁が「保育DX」や保育所等のICT化推進を後押ししており、業務システムの導入に対する補助の仕組みも用意されています(2026年6月時点)。自治体ごとに制度や条件が異なるため、お住まいの市区町村の窓口やこども家庭庁の公式情報を確認してみてください。

まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること:いちばん負担に感じている「おたより」の書き出し一段落を、上のプロンプトでたたき台にして、自分の言葉で仕上げてみる。
  2. 今週中:連絡帳や行事案内など、ほかの1種類でも試してみて、「AIに任せられる部分」と「人が仕上げる部分」の線引きを自分のなかで掴む。
  3. 今月中:園内で「個人情報は入れない」「最後は必ず人が確認する」という簡単なルールを1枚にまとめ、主任・園長で共有する。

生成AIは、保育を置き換えるものではありません。文章や事務の下ごしらえを引き受けてもらうことで、先生方が本当に大切にしたい「子どもと向き合う時間」を少しでも増やすための、頼れる裏方です。小さく始めて、無理なく続けていきましょう。


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著者:佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

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参考・出典

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