【2026年最新】AIで新商品・サービス企画|アイデア出しを加速する7プロンプト
結論:AIは新商品・新サービス企画の「発散(アイデアを大量に出す)」と「整理(コンセプトに束ねる)」を爆速にしてくれる。ただし、市場性や顧客ニーズの最終判断は人間と一次情報でやる。この役割分担さえ守れば、企画会議の準備が半日から30分に縮みます。
この記事の要点:
- 要点1:企画は「発散→収束」の2フェーズで考える。AIが得意なのは発散と整理で、ここを丸ごと任せると数十案が数分で出る
- 要点2:コピペで使える7つのプロンプト(自社の強み発散・顧客の悩み起点・競合の隙・コンセプト1枚整理・ネーミング・ターゲット検証・簡易市場性チェック)を全公開
- 要点3:AIが出す市場規模や数字はあくまで仮説。製品化前に必ず一次情報(顧客への聞き取り・公的統計)で裏取りする
対象読者:新商品・新サービスのネタ出しに悩む経営者・経営企画・商品開発・マーケ担当(特に中小企業)
読了後にできること:自社の強みを入力するだけで、今日30分でアイデアを30案出し、上位3案をコンセプト1枚にまとめられるようになります。
「来期の新商品、そろそろ何か出さないとマズいんだけど……ネタが浮かばない」
これ、企業向けのAI研修をやっていると本当によく相談されます。社長も企画担当も、毎日の業務に追われていて、まとまった時間をとって「ゼロから新しいアイデアを練る」のがなかなかできないんですよね。会議で「何かない?」と振っても、シーン……となる。あの空気、経験ある人多いんじゃないでしょうか。
正直に言うと、僕も最初は「アイデア出しこそ人間の領域で、AIは苦手だろう」と思っていました。でも実際にプロンプトを工夫して使ってみると、考えが変わりました。AIは「ひとつの正解を出す」のは苦手でも、「下手な鉄砲を数撃つ」のはめちゃくちゃ得意なんです。会議で1時間うなって5案しか出なかったものが、AIだと3分で30案。質はバラつくけど、その中に「あ、これ面白いかも」という種が必ず混じっている。
もうひとつ気づいたことがあります。AIで企画をやると、いわゆる「企画が得意な一部の人」だけのものだった発想作業が、チーム全員でできるようになるんです。これまでアイデア出しが苦手で会議で黙っていた人も、AIが叩き台を30案出してくれれば「この案のここをこう変えたら?」とコメントできる。ゼロから生み出すのは苦手でも、出てきたものに反応するのは得意、という人は意外と多い。AIは企画の「最初のハードル」を下げてくれる道具でもあるんですよね。
この記事では、新商品・新サービスの企画を、アイデア出しからコンセプト整理、ネーミング、ターゲット検証、簡易市場性チェックまでAIで加速する方法を、コピペ可能な7つのプロンプトつきで全公開します。5分で試せるものから順に紹介していくので、ぜひ今日の企画ネタ出しに使ってみてください。なお、本記事で紹介する具体例は、捏造を避けるため事例区分マーカーをつけて明示しています。
事例区分:想定シナリオ
本記事に登場する企業の具体例は、100社以上の研修・導入支援の経験から構成した典型的なシナリオです。特定の実在企業の機密情報ではありません。
企画は「発散→収束」の2フェーズ|AIの役割をまず整理する
プロンプトを紹介する前に、ひとつだけ前提を共有させてください。これを理解しておくと、AIの使いどころが一気にクリアになります。
新商品・サービス企画は、ざっくり「発散」と「収束」の2フェーズに分かれます。
- 発散フェーズ:とにかくアイデアの数を出す。質は気にしない。「こんなのアリ?」も含めて広げる
- 収束フェーズ:出したアイデアを整理し、評価軸で絞り込み、コンセプトに束ねていく
多くの企画会議が失敗するのは、この2つを同時にやろうとするからです。アイデアを出した瞬間に「いや、それは予算が」「うちの技術じゃ無理」と否定が入る。すると誰もアイデアを出さなくなって、会議が沈黙する。発散と収束は、脳の使い方がまったく逆なんですよ。
ここでAIが効きます。AIは発散(数を出す)と整理(軸でまとめる)の両方が得意。しかも、否定されてもへこまない。気まずい空気にもならない。だから人間は「最終的にどれを選ぶか」「本当に売れるか」という判断と検証に集中できます。AI活用の全体像については、ChatGPTビジネス活用完全ガイドでも体系的にまとめているので、あわせて読んでみてください。
役割分担を表にするとこうなります。
| フェーズ | やること | AIの担当 | 人間の担当 |
|---|---|---|---|
| 発散 | アイデアを大量に出す | ◎ 数十案を数分で生成 | 視点の指示・刺激のインプット |
| 整理 | アイデアを分類・構造化 | ◎ 軸を立てて束ねる | 評価軸の決定 |
| コンセプト化 | 1つの提供価値に言語化 | ○ ドラフト作成 | 磨き込み・取捨選択 |
| 検証 | ニーズ・市場性の確認 | △ 仮説出しのみ | ◎ 一次情報で裏取り・最終判断 |
「検証」の欄だけAIが△になっているのが超重要です。ここを勘違いして「AIが市場規模1,000億円って言ったから行ける!」と突っ走ると、痛い目を見ます。詳しくは後半の失敗パターンで触れますが、まずこの役割分担を頭に入れたうえで、プロンプトを使ってください。
もうひとつ、研修で必ず伝えているのが「AIに渡すインプットの質が、出力の質を決める」という話です。同じプロンプトでも、自社の強みを「漬物を作っている」とだけ書く人と、「30年蓄積した発酵技術と、地元農家30軒との直接取引網がある」と書く人では、返ってくるアイデアの濃さがまるで違います。AIは入力された情報の範囲でしか発想できません。だから企画でAIを使うときは、プロンプトのテンプレートを覚えること以上に、自社のことを言語化して入力することが効いてきます。「うちの強みって何だっけ?」を考える作業自体が、実は企画の第一歩なんですよね。
まず試したい「5分即効」プロンプト3選|発散フェーズ
ここからは実際に使えるプロンプトです。まずは発散フェーズ、つまり「アイデアの数を出す」ための3つ。コピペして、[ ]の部分を自社の情報に書き換えるだけで動きます。
プロンプト1:自社の強みからアイデアを発散させる
一番手っ取り早いのが、自社が既に持っている強みを起点にする方法です。ゼロから「世の中にないもの」を考えるより、「うちの強みを別の使い方ができないか」と考えるほうが、現実味のあるアイデアが出ます。
事例区分:想定シナリオ
研修先の地方の食品メーカー(従業員50名規模)でこのプロンプトを使ったところ、「うちは漬物しか作ってない」と思い込んでいた担当者が、「発酵技術」という強みに気づき、ペット用の発酵フードや、飲食店向けの発酵調味料という発散案が出てきました。あくまで発散段階なので採用はこれからですが、視点が広がった瞬間は会議が盛り上がりました。
あなたは新規事業のアイデア発想を支援するコンサルタントです。
# 自社の情報
- 事業内容:[例:地方で漬物を製造・販売]
- 強み・コア技術:[例:30年蓄積した発酵技術、地元農家との直接取引]
- 既存顧客:[例:地元スーパー、土産物店]
- 使える経営資源:[例:自社工場、配送網、ECサイト]
# 依頼
上記の「強み・コア技術」を別の市場・用途に転用する新商品/新サービスのアイデアを30個、出してください。
以下の観点でバラけさせてください:
- 既存顧客への深掘り(10個)
- まったく別の業界への転用(10個)
- BtoBへの展開(10個)
各アイデアは「商品名仮称:一言説明(活かす強み)」の形式で。
この段階では実現可能性は問いません。数と幅を優先してください。
推測で事実を断定せず、自社情報から確実に言える範囲で発想してください。効果:会議で1時間うなっても出なかった案が、3分で30案。質はバラつきますが、その中に必ず「検討する価値がある種」が混じっています。30案中、使えそうなのが2〜3案あれば大成功です。
プロンプト2:顧客の悩み起点でアイデアを出す
強み起点と並んで強力なのが「顧客の悩み」起点です。自社が直接見えている顧客の困りごとから逆算すると、ニーズの裏付けがある分、後の検証がラクになります。
あなたは顧客課題の分析に長けたマーケターです。
# 顧客情報
- ターゲット顧客:[例:共働きで30〜40代の子育て世帯]
- その顧客が普段抱えている悩み・不満:
[例:平日の夕食準備に時間がない/献立を考えるのが面倒/栄養バランスが不安]
- 自社が提供できること:[例:発酵食品、地元食材の調達力、ECでの配送]
# 依頼
上記の顧客の悩みを起点に、自社が解決できそうな新商品/新サービスのアイデアを20個出してください。
各アイデアは以下の形式で:
- 解決する悩み:(どの悩みに対応するか)
- 商品/サービス案:(一言で)
- なぜ刺さるか:(顧客視点での価値)
悩みのうち、自社情報からは確認できていない推測部分があれば「※要検証」と明記してください。事例区分:想定シナリオ
顧問先のBtoBサービス企業(従業員20名規模)で、営業担当が普段ヒアリングしている顧客の「困りごとメモ」をこのプロンプトに流し込んだことがあります。すると、本業のサービスとは別に「困りごとを解決する小さなデジタルツール」のアイデアが複数出てきて、結果的に既存サービスの追加オプションとして検討する流れになりました。現場が日々聞いている悩みは、それ自体が最高のインプットなんですよね。
効果:このプロンプトのいいところは、出てきたアイデアに「なぜ刺さるか」が紐づいている点です。発散しながら、検証の手がかりも同時に得られます。ただし「悩み」の入力が雑だと出力も雑になるので、できるだけ現場で実際に聞いた生の声を入れてください。
プロンプト3:競合の隙を突くアイデアを探す
3つ目は、競合が手をつけていない領域を探すプロンプトです。レッドオーシャンで真っ向勝負するより、競合が「やらない・やれない」隙を狙うほうが、中小企業にとっては現実的です。
あなたは競合分析に基づく差別化戦略の専門家です。
# 市場情報
- 自社の事業領域:[例:地方の食品製造・販売]
- 主要な競合とその特徴:
[例:大手A社=全国流通だが地域性なし/中堅B社=低価格だが品質均一]
- 自社が小回りを効かせられる点:[例:少量多品種、地元農家との連携、短納期]
# 依頼
競合が「やっていない」「やりたがらない」「規模が大きくてやれない」領域を5つ挙げ、
それぞれに対して自社が攻められる新商品/新サービスのアイデアを3個ずつ(計15個)出してください。
各領域について:
- 競合が手をつけない理由(仮説)
- 自社が攻められる理由
- 具体的なアイデア3つ
競合の動向は最新情報を反映できていない可能性があります。
ここで挙げる「競合がやっていない理由」は仮説として扱い、実際の競合製品は別途確認してください。効果:大手が「採算が合わなくてやらない」ニッチは、規模の小さい会社にとっては十分おいしい市場だったりします。このプロンプトは「自社の身の丈に合った勝ち筋」を見つけるのに向いています。ただしAIが知っている競合情報は学習時点のもので古い可能性があるので、出てきた「競合がやっていない理由」は必ず自分の目で競合サイトや店頭を確認してください。
アイデアを形にする「収束」プロンプト4選
発散で数十案が出たら、次は収束フェーズです。バラバラのアイデアを整理し、磨き、検証可能な形にしていきます。ここでもAIが大活躍します。
プロンプト4:コンセプトを1枚に整理する
発散で出た上位案を、AIに「コンセプトシート」として1枚にまとめさせます。アイデアを「誰に・何を・なぜ・どう提供するか」の構造に落とし込むと、一気に企画書っぽくなります。
事例区分:想定シナリオ
研修で「アイデアは出るけど、それを上司に説明する形にできない」という相談をよく受けます。実際、製造業の若手企画担当の方が、ふわっとしたアイデアをこのプロンプトに通したら「上司に通る企画書の骨子になった」と喜んでいました。整理はAIの得意技です。
あなたは新規事業のコンセプト設計を支援するプランナーです。
# アイデアの種
[発散フェーズで出たアイデアを1つ貼り付け。例:共働き世帯向けに、地元食材を使った「温めるだけ発酵惣菜」のサブスク]
# 依頼
上記のアイデアを、以下の「コンセプトシート」の形に整理してください。
1. ターゲット顧客(誰の、どんな状況の人か)
2. 顧客が抱える課題(ジョブ:何を片付けたいのか)
3. 提供価値(その課題をどう解決するか・一言で)
4. 競合・代替手段(顧客は今どうやって済ませているか)
5. 差別化ポイント(なぜ自社の案が選ばれるか)
6. 収益モデル(どうやってお金をもらうか)
7. 検証すべき最大の前提(この企画が成立するために確かめるべき仮説 上位3つ)
特に「7. 検証すべき前提」は、思い込みを排して厳しめに挙げてください。
データの裏付けがない箇所は「※未検証の仮説」と明記してください。効果:このプロンプトの一番の価値は、最後の「7. 検証すべき前提」です。アイデアに惚れ込むと、人は都合の悪い前提を見ないふりをします。AIに「厳しめに挙げて」と頼むと、自分では気づかなかった穴を冷静に指摘してくれます。ここで挙がった前提が、次のターゲット検証・市場性チェックの出発点になります。
プロンプト5:ネーミング案を出す
コンセプトが固まったら、ネーミングです。商品名・サービス名は、ひとつ決めるまでに人間だと延々と悩みますが、AIなら方向性別に大量に出してくれます。
あなたはブランドネーミングの専門家です。
# 商品/サービスの情報
- 内容:[例:共働き世帯向け、地元食材の温めるだけ発酵惣菜サブスク]
- ターゲット:[例:30〜40代の共働き子育て世帯]
- 伝えたい価値・世界観:[例:手軽さ、健康、地元の安心感、罪悪感のなさ]
- トーン:[例:親しみやすく、でも安っぽくない]
# 依頼
商品/サービス名の候補を、以下の方向性ごとに5個ずつ出してください。
- A. 直球でわかりやすい系
- B. 価値・ベネフィットを連想させる系
- C. 造語・オリジナル系
- D. 和テイスト・情緒系
各案に「読み方」と「込めた意味」を添えてください。
最後に、商標・ドメインの観点から「念のため事前確認したほうがよい案」があれば指摘してください。
(※実際の商標・ドメイン空き状況は確認できないため、確認推奨の指摘にとどめてください)効果:20案も出ると、「自分たちが何を大事にしたいか」が逆に見えてきます。「あ、うちは造語よりわかりやすさ重視だな」とか。なお、最終的に使う名前は、必ずJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)での商標調査とドメインの空き確認をしてください。AIは商標の空き状況をリアルタイムでは知りません。気に入った名前が既に他社の登録商標だった、というのは企画の世界ではよくある事故です。
プロンプト6:ターゲット顧客を検証する
ネーミングまで来ると気分が乗ってきますが、ここで一度立ち止まります。「そもそもこの商品、本当に想定したターゲットに刺さるのか?」をAIと一緒に詰めます。
あなたは顧客リサーチとペルソナ設計の専門家です。
# 商品/サービスとターゲット仮説
- 商品/サービス:[例:温めるだけ発酵惣菜サブスク]
- ターゲット仮説:[例:30〜40代の共働き子育て世帯、世帯年収600万円以上]
# 依頼
このターゲット仮説について、以下を整理してください。
1. ペルソナの具体化(1日の生活・購買行動・情報接触を含む)
2. このペルソナが本当にこの商品を欲しがる理由(仮説)
3. 逆に「買わない理由」「離脱しそうなポイント」(厳しめに)
4. ターゲットがズレている可能性(実は別の層のほうが刺さるのでは?という別案)
5. この仮説を検証するための具体的な質問(実際の見込み客に聞くインタビュー項目を5つ)
1〜4はあくまでAIによる仮説です。断定を避け、検証すべき点を明確にしてください。
5の質問は、誘導にならない中立な聞き方にしてください。効果:注目してほしいのは「5. 検証するための質問」です。AIが出すペルソナ像(1〜4)はあくまで仮説。でも、その仮説を実際の見込み客に確かめるための質問リストをAIに作らせれば、すぐにヒアリングに動けます。研修でもよく言うんですが、企画の精度は「机上で何時間考えたか」ではなく「何人の実際の顧客に話を聞いたか」で決まります。AIはその一次調査の準備を爆速にしてくれる、というのが正しい位置づけです。
プロンプト7:簡易市場性をチェックする(仮説出しまで)
最後は市場性のチェックです。ここが一番、AIの限界を理解して使うべきプロンプトになります。
事例区分:想定シナリオ
これは僕自身がやらかしかけた話に近いのですが、研修中に受講者が「AIに市場規模を聞いたら〇〇億円って出たので、これでいけます」と発表したことがあります。出典を聞いたら「AIが言ってました」。会場が一瞬ざわっとして、僕も含めて「それは危ない」となりました。AIの数字は、それっぽく出てくるからこそ怖いんです。
あなたは市場分析を支援するアナリストです。
ただし、あなたが出す数字はすべて「仮説・推定」であり、確定情報ではないことを前提にしてください。
# 商品/サービス
[例:共働き世帯向け、温めるだけ発酵惣菜サブスク]
# 依頼
以下を「検証用のたたき台」として整理してください。
1. この商品が属する市場の捉え方(複数の切り口で。例:惣菜市場/食品サブスク市場/時短ニーズ市場)
2. 市場規模を見積もる際の「考え方・計算式」(数字そのものではなく、何を掛け合わせれば推定できるかのフレーム。例:対象世帯数 × 利用率 × 客単価 × 頻度)
3. その計算式に当てはめる各数字を「どこで調べれば一次情報が得られるか」(公的統計・業界団体など、探すべき情報源の種類)
4. 市場の成長性・縮小リスクの観点(仮説)
5. この市場性チェックで最も検証すべき不確実な数字 上位3つ
重要:具体的な市場規模の数値を断定しないでください。
あくまで「どう考え、どこで裏取りすべきか」のフレームと、調べるべき情報源の種類を提示してください。効果:このプロンプトのポイントは、AIに具体的な数字を出させないこと。代わりに「市場規模をどう見積もればいいか」という考え方の枠組みと、「その数字をどこで一次情報として取れるか」を出させます。たとえば「対象世帯数 × 利用率 × 客単価 × 頻度」というフレームが手に入れば、対象世帯数は総務省の統計、客単価は自社で設定、利用率は実際の見込み客ヒアリングで……と、自分で裏取りする道筋が見えます。これがAIの市場分析の正しい使い方です。AIに数字そのものを出させて鵜呑みにするのは、企画における最大の事故のひとつです。
データ分析の文脈でAIをどう使い分けるかについては、中小企業のAIデータ分析実践ガイドでも詳しく触れているので、市場性チェックを本格化させたい方はあわせてどうぞ。
7プロンプトをつなげる「企画の流れ」
ここまで7つ紹介しましたが、バラバラに使うより、流れで使うと効果が跳ね上がります。発散→収束の順に並べると、こうなります。
| ステップ | 使うプロンプト | フェーズ | アウトプット |
|---|---|---|---|
| 1. ネタを広げる | 1(強み)・2(顧客の悩み)・3(競合の隙) | 発散 | 数十案のアイデアリスト |
| 2. 形にする | 4(コンセプト1枚整理) | 収束 | コンセプトシート+検証すべき前提 |
| 3. 名前をつける | 5(ネーミング) | 収束 | 名称候補20案 |
| 4. 顧客を確かめる | 6(ターゲット検証) | 検証準備 | ペルソナ+ヒアリング質問 |
| 5. 市場性を見る | 7(市場性チェック) | 検証準備 | 見積もりフレーム+調べるべき情報源 |
ステップ1〜3はAIで一気に回せます。早ければ1時間かかりません。そしてステップ4〜5以降は、AIが用意した質問リストとフレームを持って、現実の顧客・現実のデータに向かう。ここが人間の仕事です。机に向かってウンウン悩む時間をAIに肩代わりさせて、浮いた時間を「顧客に会う」「店頭を見る」「統計を調べる」に使う。これが2026年の企画の進め方だと、僕は研修で伝えています。
実際に流れで回すとどうなるか(想定ウォークスルー)
事例区分:想定シナリオ
以下は、研修でこの流れを実演するときに使う典型的なシナリオです。実在の特定企業の事例ではありません。
たとえば、地元食材を扱う食品メーカーの企画担当だとします。まずプロンプト1に「発酵技術」「地元農家との取引網」「自社EC」を入れて発散すると、30案の中に「共働き世帯向けの温めるだけ発酵惣菜サブスク」という案が出てきた、とします。次にプロンプト2で「共働き世帯の悩み(夕食準備の時間がない、栄養が不安)」を起点に検証すると、「時短ニーズと健康ニーズの両方を満たす」という刺さりどころが見えてくる。プロンプト3で競合を見ると、大手は全国一律の冷凍惣菜は強いけれど「地域性・発酵・少量多品種」はやれていない、という隙が浮かびます。
ここでプロンプト4に通すと、コンセプトシートと一緒に「検証すべき前提:①共働き世帯はサブスクで惣菜を買うか②客単価はいくらまで許容されるか③配送コストで採算が合うか」という3つの宿題が出てきます。プロンプト5でネーミングを20案、プロンプト6でターゲット検証の質問リスト、プロンプト7で「対象世帯数×利用率×客単価×頻度」という市場見積もりのフレームと、世帯数は総務省の家計調査・国勢調査で調べる、という調べ先まで揃う。
ここまでがAIの仕事で、所要時間は慣れれば1時間ちょっと。そして翌週、企画担当はこの宿題リストを持って、実際の共働き世帯3〜5人にヒアリングに行く。「①サブスクで惣菜は買うか」を生身の顧客にぶつけて、「いや、惣菜は店で見て選びたい」と言われればコンセプトを修正するし、「むしろ献立を考えなくていいのが助かる」と言われれば自信を持って次に進める。AIで作った仮説を、現実の声で潰したり磨いたりする——この往復が企画の本体です。AIはその往復の準備を爆速にしてくれる道具、という理解が一番しっくりきます。
【要注意】AIで企画するときの失敗パターン4つ
便利な反面、使い方を間違えると痛い目を見ます。研修現場で実際に見てきた、よくある4つの失敗と回避策を共有します。
失敗1:AIのアイデアを検証せずそのまま製品化に進む
❌ AIが出した30案の中から「これいいじゃん」と1つ選んで、いきなり開発・仕入れに動く
⭕ 選んだ案を必ずコンセプトシート(プロンプト4)で「検証すべき前提」を洗い出し、見込み客に話を聞いてから判断する
なぜ重要か:AIが出すアイデアは「もっともらしさ」が高い。だから検証なしでも「いけそう」に見えてしまうんです。でもAIは、そのアイデアに需要があるかを知りません。あくまで言葉の組み合わせとして自然なものを出しているだけ。「もっともらしい」と「売れる」はまったく別物です。製品化の前に、必ず最低でも数人の見込み客に話を聞いてください。
事例区分:想定シナリオ
研修で、AIが出したアイデアにチーム全員が惚れ込んで、検証フェーズを飛ばそうとした場面に立ち会ったことがあります。「いったん3人でいいので、対象になりそうなお客さんに聞いてみませんか」と提案したら、1人目のヒアリングで「それ、もう無料アプリでできるよ」と言われてフリーズ。検証を飛ばしていたら、開発費をかけてから気づいていたところでした。
失敗2:AIが出した市場規模の数字を鵜呑みにする
❌ 「AIに聞いたら市場規模1,200億円って言ってたので、十分大きい市場です」と企画書に書く
⭕ AIには「数字の出し方(計算式)と調べ先」だけ出させ、実際の数字は公的統計・業界団体の一次情報で自分で確認する
なぜ重要か:AIが出す市場規模の数字は、出典が不明確なことがほとんどです。学習データの中の断片を組み合わせて「それっぽい数字」を生成している場合があり、根拠を聞いても明確に示せないことが多い。企画書にAI由来の数字を出典なしで書くと、決裁の場で「その数字の根拠は?」と聞かれて詰みます。プロンプト7のように「数字は出させず、考え方と調べ先を出させる」のが正解です。
失敗3:発散だけして収束させない
❌ アイデアを100案出して満足し、「うわー、いっぱい出た!」で会議が終わる
⭕ 発散したら必ず評価軸(市場性・実現性・自社との相性など)を決めて上位3案に絞り、コンセプト化まで進める
なぜ重要か:AIで発散すると気持ちよくなって、数を出すこと自体が目的化しがちです。でもアイデアは出しただけでは1円も生みません。「100案出た」は成果ではなく、ただの素材。必ず収束フェーズ(プロンプト4)に進めて、検証できる形まで持っていってください。発散と収束はセットです。
事例区分:想定シナリオ
顧問先の企画チームで、AI発散が楽しくなりすぎて毎週アイデア出しだけを繰り返し、3ヶ月たっても1件も形にならなかったケースがあります。「今月は1案でいいので、コンセプトシートと最初のヒアリングまでやりきりましょう」とゴールを収束側に置き直したら、ようやく前に進み始めました。発散は中毒性があるので要注意です。
失敗4:自社の強みと無関係なアイデアに飛びつく
❌ AIが出した「流行りのAI×〇〇」みたいな派手な案に飛びつくが、自社にやれる体制がない
⭕ プロンプト1のように自社の強み・経営資源を起点にし、「やれる根拠」がある案を優先する
なぜ重要か:AIは制約を知らないので、ときどき「夢のある大型案」を出します。それ自体は悪くないんですが、自社の技術・人員・資金とかけ離れた案に飛びつくと、実行段階で頓挫します。特に中小企業は、リソースが限られているからこそ「自社の強みの延長線上にある案」のほうが成功率が高い。派手さより「自分たちがやれる理由」を重視してください。
正直にお伝えする、AI企画の限界
ここまで便利さを語ってきましたが、フェアにAIの限界もお伝えします。
- 市場の最新動向には弱い:AIの知識には学習時点という区切りがあります。直近の競合の新商品や、急に変わった消費トレンドは反映されていないことがある
- 数字に責任を持てない:それっぽい数字を出しても、出典が不明確なことが多い。鵜呑み厳禁
- 「本当に売れるか」は判断できない:需要の有無は、結局のところ実際の顧客に聞かないとわからない
- 自社固有の事情を知らない:社内政治、過去の失敗、取引先との関係など、文脈を入力しない限りAIは知らない
だからこそ、「AIに企画を丸投げ」ではなく「AIと企画を協業」が正しいスタンスです。発散と整理はAIに任せて、判断と検証は人間がやる。この線引きさえ守れば、AIは企画担当の強力な相棒になります。逆に言うと、この線引きを忘れた瞬間、AIは「もっともらしい間違いを量産する装置」に変わります。便利だからこそ、使い手の判断力が問われるんですよね。
チームでAI企画を回すための運用ルール
個人で使うだけでなく、チームや会社全体でAI企画を回すなら、いくつかルールを決めておくと事故が減ります。研修でおすすめしている運用ルールはこんな感じです。
- 「AI由来の数字には出典をつける」を徹底:企画書にAIが出した数字を載せるときは「※要一次確認」と明記。確認が取れたら出典URLに置き換える
- 発散と収束のミーティングを分ける:発散の会議では否定禁止、収束の会議で評価。同じ会議でやらない
- 顧客ヒアリングを企画プロセスに必須化:「最低3人の見込み客に聞くまで開発判断しない」など、検証ステップを制度として入れる
- 機密情報の入力ルールを決める:未公開の新商品情報を外部のAIサービスに入力する場合、利用するサービスのデータ取り扱い方針を確認し、必要なら法人向けプランや学習に使われない設定を使う
特に最後の機密情報の扱いは、新商品企画では超重要です。世に出る前のアイデアは会社の財産。どのAIサービスに何を入れていいか、社内で線引きしておきましょう。
まとめ:今日から始める3つのアクション
新商品・サービス企画は、AIを「発散と整理の相棒」として使い、「判断と検証は人間」と割り切ることで、驚くほどスピードが上がります。最後に、今日から始められる3ステップをまとめます。
- 今日やること:プロンプト1(自社の強みからアイデア発散)に、自社の強みと経営資源を入れて30案出してみる。所要時間はたった5分。「うちにこんな広がりがあったのか」という発見があるはずです
- 今週中:発散した中から面白い1案を選び、プロンプト4(コンセプト1枚整理)でコンセプトシート化。「検証すべき前提」を3つ書き出して、チームに共有する
- 今月中:プロンプト6で作ったヒアリング質問を持って、実際の見込み客に最低3人話を聞く。AIの仮説を、現実の声で検証するところまでやりきる
大事なのは、AIで浮いた時間を「顧客に会う」「現場を見る」「データを調べる」に再投資すること。AIは机上の作業を肩代わりしてくれますが、企画の質を決めるのは、最後はいつも現実との接点です。
あわせて読みたい:
- ChatGPT・Claude・Gemini徹底比較2026 — 企画用途でどのAIを使うべきか、ツール選びの参考に
- 中小企業のAIデータ分析実践ガイド — 市場性チェックの裏取りを本格化させたい方へ
次回予告:次の記事では「AIで作った企画を、社内決裁を通す資料に仕上げるプロンプト」をテーマに、企画書・稟議書づくりを加速する実践テクニックをお届けします。
参考・出典
- 家計調査(総務省統計局) — 総務省統計局(参照日: 2026-05-24)。世帯の消費動向・客単価の見積もりに使える一次統計
- 特許情報プラットフォーム J-PlatPat — 独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)(参照日: 2026-05-24)。商品名・サービス名の商標調査に使用
- 中小企業白書 — 中小企業庁(参照日: 2026-05-24)。市場環境・中小企業の事業展開動向の参照に
著者:佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
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