Web制作会社・代理店向けにLLMO対策の提案方法を解説。診断・実装・運用の3層メニュー化、工数ベースの価格設計、提案書の構成、保証表現を避ける期待値設定、失敗例と内製外注の判断表まで提供側の実務を整理します。
- web制作会社 llmo 提案の定義、実務判断、確認項目をAI検索時代の情報源設計として整理する。
- 公式情報と一次情報を優先し、表示保証や順位改善の断定を避ける。
- 本文、FAQ、内部リンク、llms.txt、構造化データの整合性を継続確認する。
実務で見る観点
各AI検索サービスのクローラー名とrobots.txtでの扱いを公式情報で確認する。
サービス内容、料金、対象者、事例、会社情報を正規ページに集約して矛盾を減らす。
外部メディア、SNS、比較サイトに出ている説明と自社サイトの記述がずれていないか見る。
クライアントから「ChatGPTで調べてもうちの会社が出てこない」「AI検索対策って何かやったほうがいいの?」と聞かれる場面が、Web制作会社・広告代理店の現場で増えています。結論から言うと、LLMO対策の提案は、制作会社にとって「新規事業をゼロから立ち上げる話」ではありません。すでに持っているサイト構造設計・構造化データ実装・コンテンツ制作・保守運用の技術を、AI検索という新しい評価軸で再パッケージする話です。
本記事では、Web制作会社・代理店がLLMO対策をクライアントに提案するための「メニュー化の型」「価格設計の考え方」「提案書の構成」「商談での想定問答」「やってはいけない失敗例」を、提供側の視点で整理します。
Web制作会社のLLMO提案とは(定義)
Web制作会社・代理店におけるLLMO提案とは、クライアントのWebサイトが、ChatGPT・Gemini・Perplexity・GoogleのAI Overview(AIによる概要)などのAI検索・生成AIの回答に正しく参照される状態を作るための、診断・実装改善・継続運用のサービスを商品として設計し、既存の制作・保守契約に接続して提供することを指します。LLMO(Large Language Model Optimization)はAIO・GEO・AI検索対策とほぼ同義で使われることが多く、実務上の中身は「AIがサイト内容を正確に取得・理解・引用できるようにする情報設計と技術実装」です。
重要な前提が1つあります。Googleは公式ドキュメントで、AI OverviewやAIモードに表示されるために「追加の要件や特別な最適化は必要ない」と明言しています(出典:Google検索セントラル「AI features and your website」)。つまりLLMO対策の実体は、魔法の新技術ではなく、クロール可能性・構造化データ・コンテンツ品質・エンティティ情報の整理といった、制作会社が本来得意とする領域の延長にあります。ここを正直に語れることが、むしろ提案の信頼性になります。
なぜ今、制作会社側がLLMOをメニュー化すべきか
理由1:クライアントからの質問が先に来る
AI検索の話題は経営層に届きやすく、「うちのサイトはAIにどう見えているのか」という質問は、制作会社が準備する前にクライアント側から飛んできます。このとき「対応メニューがあります」と答えられるか、「調べておきます」で終わるかで、その後の立ち位置が変わります。答えを持たない状態が続くと、LLMOを掲げる別の会社にリプレイスの入口を作られます。
理由2:必要な技術の大半をすでに持っている
LLMO対策の実装項目は、robots.txtの整備、構造化データ(schema.org)の実装、サイト構造・内部リンクの設計、会社情報・料金・FAQページの情報設計、コンテンツの更新運用など、制作会社の既存業務と大きく重なります。足りないのは技術ではなく、「AI検索の観点で点検・報告する枠組み」と「商品としての名前と価格」です。
理由3:診断商品は営業装置になる
「AI検索診断」は、既存クライアントへのアップセルにも、新規リードの獲得にも使える入口商品になります。診断→改善実装→継続運用という3層構造にすれば、単発で終わらない契約設計ができます。
提案の前に決めておく:約束してよいこと・いけないこと
LLMO提案で最も事故が起きやすいのは、期待値設定です。AIの回答にサイトが引用されるかどうかは、最終的にAI事業者側のシステムが決めるため、制作会社がコントロールできる範囲は「引用されうる状態を整える」までです。ここを曖昧にしたまま受注すると、数カ月後に「引用されていないじゃないか」というクレームになります。
| 区分 | 提案書に書いてよいこと | 書いてはいけないこと |
|---|---|---|
| 成果 | AIがサイト情報を取得・理解できる状態を整備する。現状をAIに質問して回答内容を記録し、変化を観測する | 「必ず引用されます」「AI検索で上位表示します」などの結果保証 |
| 技術 | robots.txt・構造化データ・情報設計など、確認可能な実装項目の完了 | 「llms.txtを置けばAIに読まれます」など、標準化されていない仕様の効果断定 |
| 計測 | AI経由と推定される流入の観測環境の整備、定点質問チェックの記録 | 引用率◯%改善、流入◯倍などの数値コミット |
| 期間 | 継続的な点検・更新運用としての契約設計 | 「短期間で成果が出る」という期間保証 |
なお、llms.txtは2024年9月にAnswer.AIのJeremy Howard氏が提案したコミュニティ主導のフォーマットであり、主要AI事業者が公式に採用を表明した標準仕様ではありません(出典:llmstxt.org)。提案書では「低コストで設置でき将来に備えられる施策。ただし現時点で効果が確約された仕様ではない」と正確に書くべきです。この正確さ自体が、競合の煽り型提案との差別化になります。
メニュー化の型:診断・実装・運用の3層で作る
LLMOサービスは、単発の「LLMO対策一式」で売るより、3層に分けたほうが受注しやすく、納品トラブルも減ります。
第1層:AI検索診断(入口商品)
現状を可視化して報告するだけの、範囲が明確な商品です。診断項目は次のような構成が実務的です。
| No. | 診断項目 | 確認内容 |
|---|---|---|
| 1 | AI回答の現状記録 | ChatGPT・Gemini・Perplexity・AI Overviewに社名・商品名・「業界名+おすすめ」等の定点質問を投げ、回答内容と引用元を記録する |
| 2 | AIクローラーの受け入れ状態 | robots.txtでOAI-SearchBot・GPTBot・PerplexityBot等の扱いを確認。WAF・CDNでAIクローラーをブロックしていないかも確認する |
| 3 | 構造化データ | Organization・FAQPage・Article等のschema.org実装の有無と正確性 |
| 4 | エンティティ情報の一貫性 | 会社概要・サービス説明・所在地・実績表記がサイト内外で一貫しているか。AIが誤情報を回答していないか |
| 5 | 引用されやすいページ構造 | 結論先出し・定義ブロック・Q&A形式・比較表など、切り出して意味が通る構造になっているか |
| 6 | 基礎SEOの健全性 | インデックス状況・内部リンク・ページ体験。Google公式ガイダンス上、AI表示の土台は通常のSEO要件と同じであるため |
診断でチェックすべきクローラーの仕様は一次情報で確認できます。OpenAIはOAI-SearchBot(ChatGPT検索用)・GPTBot(学習用)・ChatGPT-User(ユーザー操作起点)を分けて公開しており、robots.txtで個別制御が可能です(出典:OpenAI公式Botドキュメント)。Perplexityも検索用のPerplexityBotとユーザー起点のPerplexity-Userを公開しています(出典:Perplexity公式ドキュメント)。「検索表示は許可し、学習利用は拒否する」といった切り分け提案ができると、クライアントの法務・広報の懸念にも答えられます。診断項目の詳細はLLMO対策の監査チェックリスト、robots.txtの具体的な書き方はAIクローラー向けrobots.txt設定が参考になります。
第2層:改善実装(制作会社の本業)
診断結果に基づく実装フェーズです。構造化データの実装、robots.txt・sitemapの整備、会社概要・料金・FAQ・導入事例ページの情報設計改修、既存記事のリライトなど、通常の制作・改修案件として見積もれます。ここは既存の制作単価表がそのまま使えるため、新しい値付けはほぼ不要です。実装の技術詳細は構造化データとAI検索やllms.txtとはを参照してください。
第3層:継続運用(月次のストック収益)
AI検索は回答内容が変動するため、定点質問チェック・誤情報の検知と修正・コンテンツ更新・レポーティングを月次運用として提供します。既存のサイト保守契約に「AI検索観測レポート」を追加する形が最も導入しやすく、保守契約の単価改定の根拠にもなります。AIが会社情報を間違えて回答しているケースの対処はAIが会社情報を間違えるときの修正方法で詳しく解説しています。
価格設計の考え方:相場ではなく工数と責任範囲から決める
「LLMO対策の相場はいくらか」という発想で値付けすると失敗します。市場が新しく、各社のサービス範囲がバラバラなため、相場という比較軸自体が成立していないからです。価格は次の3原則で決めます。
第1に、工数ベースで積み上げることです。診断は「定点質問の設計と記録+技術チェック+報告書作成」の実工数、実装は既存の制作単価、運用は月次の観測・報告工数で見積もります。既存業務の再パッケージである以上、原価計算は通常案件と同じ方法で成立します。
第2に、成果報酬型にしないことです。引用可否をコントロールできない以上、「引用されたら◯円」型の契約は履行の定義で必ず揉めます。責任範囲を「合意した実装・観測・報告の実行」に置く固定報酬が、提供側・発注側の双方にとって安全です。
第3に、診断を軽く、運用を厚くすることです。診断は入口商品なので、範囲を絞って着手しやすい価格にし、収益は実装と月次運用で作ります。診断を無料にする場合も、範囲を明確に限定しないと営業コストが膨らみます。
発注側がどんな費用感覚でLLMO対策を見ているかは、LLMO対策の費用で発注者向けに整理しています。提供側は、この「買い手が読む記事」を逆から読んで、自社の見積書がどう見えるかを点検しておくと提案の精度が上がります。
提案書の構成テンプレート
商談用の提案書は、次の章立てが実務で機能します。
- 現状把握:クライアントの社名・商品名でAIに実際に質問した結果のスクリーンショットと、引用されている競合の記録。ここが提案書の最強のフックになります。自社の名前が出てこない画面、あるいは間違った情報が表示されている画面を最初に見せる
- 背景の説明:AI検索の利用が広がる中で、AIに参照されない・誤って説明されるリスクの整理。煽らず、事実と観測結果だけで構成する
- 診断結果のサマリー:前述の診断項目の結果を◯△×で一覧化した表
- 改善提案:優先度順の実装項目と、それぞれが「何を可能にするか」の説明。効果の断定はせず「引用されうる状態の整備」と表現を統一する
- 提供範囲と責任範囲:やること・やらないこと・保証しないことの明文化
- 体制とスケジュール:診断→実装→運用の流れと、クライアント側に依頼する作業(情報提供・確認)
- 費用:層ごとの見積もり
クライアント側の担当者が社内稟議を通す場面まで想定するなら、LLMO対策の社内説得・稟議の通し方の論点を提案書に先回りして入れておくと、担当者が上申しやすくなります。
商談での想定問答
「効果は保証できますか」と聞かれたら
保証できない、と答えるのが正解です。そのうえで「AIの回答にどのサイトを引用するかはAI事業者側が決めるため、当社がお約束するのは、引用の候補になれる状態を技術的・内容的に整備し、変化を観測・報告することです」と続けます。ここで曖昧に「大丈夫です」と答える会社は、後で必ず信頼を失います。保証しない誠実さは、この市場では営業上の強みです。
「SEOと何が違うのですか」と聞かれたら
土台は同じで、評価の出口が違う、と答えます。Google公式もAI表示に特別な最適化は不要としており、基礎は通常のSEOです。そのうえで、AIに切り出されても意味が通る文章構造、エンティティ情報の一貫性、複数AIサービスのクローラー受け入れ設定など、AI検索特有の点検項目が追加になる、と説明します。詳細な違いはSEOとLLMOの違いの整理が使えます。
「llms.txtを置けばいいと聞いたのですが」と聞かれたら
llms.txtは提案段階のフォーマットで、主要AI事業者の公式採用は確認されていない、と正確に伝えます。設置コストが低いので「やっておく価値はあるが、それ単体をLLMO対策と呼ぶのは誇大」という位置づけです。この一言が言えるかどうかで、情報の確かさを見られています。
失敗例:提供側がやりがちな4つの事故
| No. | 失敗例 | 何が起きるか | 予防策 |
|---|---|---|---|
| 1 | 「AIに引用されるようにします」と保証して受注 | 数カ月後に引用されず、契約トラブル・返金要求・信頼喪失に発展する | 提案書と契約書の両方で責任範囲を「状態整備と観測報告」に明文化する |
| 2 | llms.txt設置だけを「LLMO対策一式」として納品 | 実体の薄い納品と見なされ、他社の診断で指摘されてリプレイスされる | 診断項目を公開し、実装内容を項目単位で報告する |
| 3 | 観測指標を決めずに運用契約を開始 | 月次報告に書くことがなくなり、契約更新時に「何をやってくれたのか」と問われる | 定点質問リスト・チェック頻度・報告フォーマットを契約前に合意する |
| 4 | 無料診断の範囲を決めずに営業投入 | 1件ごとの診断工数が重く、受注しても採算が合わない | 無料版は質問数・チェック項目数を限定し、詳細診断を有料化する |
判断表:自社で提供するか、外部と組むか
すべての制作会社が全層を内製する必要はありません。自社の状況ごとの判断の目安をまとめます。
| 自社の状況 | 推奨する形 | 理由 |
|---|---|---|
| SEO・構造化データの実装経験が社内にある | 診断から運用まで内製でメニュー化 | 技術資産をそのまま商品化でき、利益率が最も高い |
| 制作は強いがSEO・計測の知見が薄い | 診断・戦略は専門会社と提携し、実装を自社で担う | 実装は本業のため外に出さず、知見が必要な診断層だけ補完する |
| ディレクション中心で実装リソースがない | ホワイトレーベルで診断・実装を外部化し、窓口と提案を自社が持つ | クライアント接点を守りながらメニューを揃えられる |
| 単発案件中心で運用契約の体制がない | 診断+実装の単発商品に絞り、運用は無理に売らない | 観測・報告の体制がないまま月次契約を結ぶと失敗例3に直結する |
内製と外注の切り分けの考え方は、発注側向けに書いたLLMO対策の内製と外注の判断が裏返しでそのまま使えます。クライアントが「内製できるか」を判断する基準を知っておけば、提案時に「ここは御社内でできます、ここは当社が担います」という切り分け提案ができ、押し売り感のない見積もりになります。
よくある質問
Q. LLMO対策の専門資格や認定は必要ですか
A. 現時点でLLMOに公的な資格・認定制度はありません。信頼の根拠になるのは、診断項目の透明性、一次情報(Google・OpenAI・Perplexity等の公式ドキュメント)に基づく説明、そして自社サイト自身がAI検索でどう扱われているかの実例です。まず自社サイトを診断・改善して、その過程を提案の実例にするのが最短です。
Q. 小規模なクライアントにも提案すべきですか
A. サイト経由の問い合わせ・指名検索がビジネスに直結しているクライアントなら、規模に関係なく診断の価値はあります。ただし予算が小さい場合は、診断+優先度上位の実装数項目に絞った小さいパッケージにし、月次運用を無理に付けないほうが関係が長続きします。
Q. 提案の効果測定はどうすればよいですか
A. 保証はできませんが、観測はできます。定点質問への回答内容の変化記録、GA4でのAI関連リファラーの観測、Search Consoleでの指名検索・インプレッションの推移などを組み合わせ、「観測レポート」として報告する設計にします。測れないものを測れると言わないことが、運用契約を長続きさせます。
まとめ:正直な期待値設定が、そのまま競争力になる
Web制作会社・代理店にとってLLMO提案は、既存の技術と契約を「AI検索」という新しい観点で再パッケージする取り組みです。診断・実装・運用の3層でメニューを作り、価格は工数と責任範囲から積み上げ、保証できないことは保証しないと明言する。この当たり前の設計ができている会社が、煽り型の営業が淘汰されたあとに残ります。
メニュー設計の出発点として、まず自社サイトを題材にAI検索診断を一度回してみてください。診断の観点を体系的に確認したい場合は、UravationのLLMO診断で診断項目の全体像を参照できます。自社で一度経験した診断は、そのままクライアントへの提案書の骨格になります。
公式情報で確認するポイント
AI検索まわりは仕様変更が多いため、記事公開前後に公式情報を確認し、本文の言い切りや実装方針を更新します。
- Google Search Central「Optimizing your website for generative AI features」 生成AI検索に対して、通常のSEO・技術要件・独自性の扱いを確認する公式ガイド。
- Google Search Central「Creating helpful, reliable, people-first content」 人間に役立つ信頼性の高いコンテンツを評価するための公式観点。
よくある質問
この記事の検索意図に対して、相談前に確認されやすい論点を短く整理しています。
この記事では何を確認できますか?
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どのページから見直すべきですか?
トップ、サービス、事例、FAQ、会社情報、関連メディア記事の順に、読者が確認したい情報と内部リンクのつながりを見ます。
相談前に準備するものはありますか?
主要ページ、問い合わせが多い質問、既存記事、外部掲載情報、現在のllms.txtや構造化データの有無を整理しておくと確認が進めやすくなります。
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