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ツール比較・実践ガイド 20分で読めます

【2026年最新】AutoGen完全ガイド|マルチエージェント会話設計

結論: AutoGen(現在の安定版 v0.7.5)は、複数のAIエージェントが「自然言語で会話しながら協力してタスクを解決する」という設計思想のOSSフレームワークです。LangGraphが状態機械型のグラフでワークフローを明示的に制御するのに対し、AutoGenは「エージェント同士の会話」を基本単位とし、GroupChat・Selector・RoundRobinといったチーム編成パターンで複雑なマルチエージェントを構築できます。

この記事の要点:

  • AutoGen v0.4で三層構造(autogen-core / autogen-agentchat / autogen-ext)に完全再設計。GitHub Stars 56,800+(2026年5月)
  • GroupChat の RoundRobinGroupChat vs SelectorGroupChat の使い分けを実装コード付きで解説
  • AutoGen vs LangGraph vs OpenAI Agents SDK vs Claude Agent SDK の4軸比較表で選定基準を整理

対象読者: Pythonエンジニア・AIエージェント設計中の開発者・技術選定担当
読了後にできること: 今日中にAssistantAgent + UserProxyAgentで最初の2エージェント会話を動かし、GroupChatで3エージェントチームを組める


「エージェント同士を会話させたいんですけど、LangGraphだとグラフの設計が複雑で…」

先日、顧問先のシステム開発会社(従業員80名)のバックエンドリードから、こんな相談を受けました。社内の調査レポート自動生成システムを作りたいのですが、「企画担当エージェント」「リサーチエージェント」「品質チェックエージェント」の3つが議論しながらレポートを作る仕組みをLangGraphで組もうとして、グラフの設計に1週間費やしたというんです。

話を聞いて、「それ、AutoGenの方が圧倒的に向いているんです」と即答しました。AutoGenは「エージェント同士の会話」を第一級の概念として設計されているので、グループチャット的なマルチエージェント協調は、LangGraphのようなグラフ定義を書かなくてもシンプルなコードで実現できます。

この記事では、AutoGen 0.4の三層アーキテクチャ(autogen-core / autogen-agentchat / autogen-ext)を徹底解説します。GroupChat・Selector・RoundRobinの実装パターン、AutoGen Studioによるノーコード構築、そして「AutoGenかLangGraphか」の選定判断まで、コード付きで全公開します。


まず5分で動かす:AssistantAgent + UserProxyAgentの2エージェント構成

AIエージェントの全体像については、AIエージェント導入完全ガイドで体系的にまとめています。まずAutoGenの具体的なコードから始めましょう。

インストールとセットアップ(AutoGen v0.4系)

# AutoGen v0.4の三層パッケージをインストール
# 最新版: autogen-agentchat 0.7.5 (2025-09-30)
pip install -U "autogen-agentchat"           # AgentChat高レベルAPI
pip install -U "autogen-ext[openai]"         # OpenAI拡張
pip install -U "autogen-ext[anthropic]"      # Claude拡張
pip install -U "autogenstudio"               # ノーコードGUI

# AutoGen Studio を起動(ノーコードGUI)
autogenstudio ui --port 8080
# → http://localhost:8080 でブラウザ起動

# 環境変数設定
export OPENAI_API_KEY="sk-..."
export ANTHROPIC_API_KEY="sk-ant-..."

最小構成:AssistantAgent + UserProxyAgent(5分で動く版)

import asyncio
from autogen_agentchat.agents import AssistantAgent, UserProxyAgent
from autogen_agentchat.ui import Console
from autogen_ext.models.openai import OpenAIChatCompletionClient

# 1. モデルクライアントの設定
model_client = OpenAIChatCompletionClient(
    model="gpt-4o",
    api_key="sk-..."  # 実際はos.environ.get()で取得
)

# Claudeを使う場合
from autogen_ext.models.anthropic import AnthropicChatCompletionClient
claude_client = AnthropicChatCompletionClient(model="claude-sonnet-4-5")

# 2. AssistantAgentの定義(LLMが応答するエージェント)
assistant = AssistantAgent(
    name="AI_Assistant",
    model_client=model_client,
    system_message="""あなたはビジネス分析の専門家です。
    質問に対して、具体的な分析と実行可能な提案を日本語で提供してください。
    数字と根拠を必ず添えてください。
    不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。""",
)

# 3. UserProxyAgentの定義(人間の代理エージェント)
user_proxy = UserProxyAgent(
    name="User",
    input_func=None,  # Noneで自動応答(HumanInputMode=NEVER相当)
    # input_func=input  # ターミナルで手動入力する場合
)

# 4. 2エージェント会話の実行
async def run_two_agent_chat():
    result = await Console(
        user_proxy.run_stream(
            task="競合他社3社のAI研修事業の特徴を分析して、差別化ポイントを提案してください。",
            termination_condition=None,  # デフォルトは10ターンで終了
        )
    )
    return result

asyncio.run(run_two_agent_chat())

研修先での活用例: このコードをそのままコピーして、顧問先システム開発会社のリードエンジニアに渡したところ、30分後に「動きました! これだけシンプルなんですね」と連絡が来ました。LangGraphで1週間かけていたグラフ定義が、このコード量で同等の2エージェント会話が実現できます。ただし「会話型エージェント」と「ワークフロー型エージェント」という設計思想の違いを最初に理解することが重要です。


AutoGen v0.4の三層アーキテクチャを理解する

AutoGen v0.4の最大の変更点は、三層構造への完全再設計です。これを理解することで、どのレイヤーを使うべきかが判断できるようになります。

三層の役割と使い分け

レイヤーパッケージ用途学習コスト
autogen-coreautogen-coreアクターモデル・非同期メッセージング・分散実行高(フレームワーク設計者向け)
autogen-agentchatautogen-agentchatAssistantAgent・GroupChat・Selector(最も使う)低(すぐ使える高レベルAPI)
autogen-extautogen-ext[openai]等LLMクライアント・コード実行・外部ツール拡張中(必要な拡張だけインストール)

実務では autogen-agentchat から始めるのが正解です。autogen-coreは「LangGraphのような低レベルのアクターシステムを自分で作りたい」場合に使う設計者向けAPIです。

ツール(Tool)の定義と使い方

from autogen_agentchat.agents import AssistantAgent
from autogen_core.tools import FunctionTool
import httpx

# 1. Pythonの関数をToolとして定義
async def search_company_info(company_name: str) -> str:
    """企業情報を検索する(実際はAPIを叩く)"""
    # 実装例: DuckDuckGo APIなど
    return f"{company_name}の売上高: 約500億円、従業員数: 2,000名"

async def calculate_roi(investment: float, benefit: float, months: int) -> str:
    """ROIを計算する"""
    roi = (benefit - investment) / investment * 100
    payback_months = investment / (benefit / months) if benefit > 0 else float('inf')
    return f"ROI: {roi:.1f}%, 投資回収期間: {payback_months:.1f}ヶ月"

# 2. FunctionToolでラップ(型アノテーションが重要)
search_tool = FunctionTool(
    search_company_info,
    description="会社名を受け取り、基本的な企業情報を返す"
)
roi_tool = FunctionTool(
    calculate_roi,
    description="投資額・便益・月数を受け取りROIを計算する"
)

# 3. AssistantAgentにToolsを渡す
analyst = AssistantAgent(
    name="Business_Analyst",
    model_client=model_client,
    tools=[search_tool, roi_tool],
    system_message="企業分析の専門家です。ツールを使って正確な数値を確認してから回答します。",
)

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GroupChat実装:RoundRobin vs Selector の使い分け

AutoGenの最大の強みはGroupChat(複数エージェントのチーム会話)です。2026年現在、主要な2パターンを使い分けることがポイントです。

パターン1:RoundRobinGroupChat(固定順序・シンプル)

from autogen_agentchat.agents import AssistantAgent
from autogen_agentchat.teams import RoundRobinGroupChat
from autogen_agentchat.conditions import MaxMessageTermination, TextMentionTermination
from autogen_agentchat.ui import Console

# 3エージェントチームの定義
planner = AssistantAgent(
    name="Planner",
    model_client=model_client,
    system_message="""あなたはプロジェクト企画の専門家です。
    タスクを分解し、各専門家への指示を明確に出してください。
    不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。""",
)

researcher = AssistantAgent(
    name="Researcher",
    model_client=model_client,
    system_message="""あなたはデータリサーチの専門家です。
    Plannerの指示に基づき、根拠のある情報を収集・整理してください。
    数字と出典を必ず添えてください。""",
)

critic = AssistantAgent(
    name="Critic",
    model_client=model_client,
    system_message="""あなたはQAレビュアーです。
    出力の品質・正確性・論理的一貫性をチェックし、改善点を指摘してください。
    問題がなければ 'REPORT_COMPLETE' と発言してください。""",
)

# 終了条件の設定
termination = (
    TextMentionTermination("REPORT_COMPLETE") |  # Criticが完了サイン
    MaxMessageTermination(15)                     # 最大15メッセージで強制終了
)

# RoundRobinGroupChat: Planner → Researcher → Critic → Planner → ... の順で発言
team = RoundRobinGroupChat(
    participants=[planner, researcher, critic],
    termination_condition=termination,
)

# 実行
async def run_roundrobin():
    result = await Console(
        team.run_stream(task="AI研修市場の2026年トレンドレポートを作成してください")
    )
    return result

asyncio.run(run_roundrobin())

パターン2:SelectorGroupChat(LLMが次の発言者を動的選択)

from autogen_agentchat.teams import SelectorGroupChat

# 専門家エージェントの定義(RoundRobinと同じエージェントを流用可)
legal_expert = AssistantAgent(
    name="Legal_Expert",
    model_client=model_client,
    system_message="法律・コンプライアンスの専門家。法的観点から回答します。",
)
tech_expert = AssistantAgent(
    name="Tech_Expert",
    model_client=model_client,
    system_message="技術アーキテクチャの専門家。技術的実現可能性を評価します。",
)
biz_expert = AssistantAgent(
    name="Biz_Expert",
    model_client=model_client,
    system_message="ビジネス戦略の専門家。ROIと事業価値を評価します。",
)
coordinator = AssistantAgent(
    name="Coordinator",
    model_client=model_client,
    system_message="""全体を統括するコーディネーター。
    議論をまとめ、最終的な判断を下します。
    全専門家の意見が揃ったら 'DECISION_MADE' と発言してください。""",
)

# SelectorGroupChat: 次の発言者をLLMが文脈に基づいて動的に選択
selector_team = SelectorGroupChat(
    participants=[legal_expert, tech_expert, biz_expert, coordinator],
    model_client=model_client,  # 発言者選択に使うLLM
    termination_condition=TextMentionTermination("DECISION_MADE"),
    selector_prompt="""以下の発言履歴を読み、次に最も適切な専門家を選んでください。
    法的な質問 → Legal_Expert、技術的な質問 → Tech_Expert、
    ビジネス判断 → Biz_Expert、まとめが必要 → Coordinator
    選択理由も添えてください。次の発言者: """,
)

async def run_selector():
    result = await Console(
        selector_team.run_stream(
            task="自社にAIエージェントシステムを導入する際の意思決定をしてください"
        )
    )
    return result

RoundRobin vs Selector の選択基準

"""
RoundRobinGroupChat を選ぶ場合:
- ✅ 各ステップの順番が固定で明確(企画→調査→レビューのパイプライン型)
- ✅ 再現性が必要(毎回同じ順序で処理したい)
- ✅ デバッグしやすさを優先(どのエージェントが何番目に発言するか予測可能)
- ✅ シンプルさを優先(設定が少ない)

SelectorGroupChat を選ぶ場合:
- ✅ 議論の内容によって必要な専門家が変わる(法律→技術→ビジネスの順序が都度変わる)
- ✅ 動的なルーティングが必要(質問の性質に応じて最適な専門家が応答する)
- ✅ 会議・ブレインストーミング的な協調(LangGraphのConditional Edgesと類似)
- ⚠️ 追加コスト: 発言者選択のたびにLLMを1回呼ぶ(トークンコスト増加)
- ⚠️ 非決定的(同じタスクでも毎回発言順序が変わる可能性)
"""

個人的なおすすめ: 最初はRoundRobinで動かして、「この質問はリサーチャーに直接聞きたいけどPlannerを経由させたくない」という要件が出てきたタイミングでSelectorに移行する順番が失敗が少ないです。顧問先でも、まずRoundRobinで動かしてから、半月後に「このステップは不要だ」とわかってSelectorに切り替えるパターンが多いです。


AutoGen Studio:ノーコードGUIでチームを組む

AutoGen Studioは、プログラムを書かずにドラッグ&ドロップでエージェントチームを構築できるWebGUIです。エンジニア以外の業務担当者がエージェントの動作を試したい場合に非常に有効です。

Studio の起動とエージェント作成

# AutoGen Studio インストールと起動
pip install -U autogenstudio
autogenstudio ui --port 8080 --appdir ./my-autogen-app

# → ブラウザで http://localhost:8080 が開く

## AutoGen Studio でできること(2026年版)
#
# 1. エージェントの作成(GUIで)
#    → 名前・モデル・システムプロンプト・ツールをフォームで入力
#    → JSON定義として保存・再利用可能
#
# 2. チームの組み立て(ドラッグ&ドロップ)
#    → エージェントをチームに追加
#    → RoundRobin / Selector を選択
#    → 終了条件を設定
#
# 3. タスクの実行(インタラクティブ)
#    → テキストでタスクを入力
#    → 各エージェントの発言をリアルタイムで確認
#    → 人間が会話に割り込むことも可能
#
# 4. セッションの保存・再現
#    → 過去のセッションを保存して後で参照
#    → 成功したセッションをもとに別タスクを実行

## Studio の設定をPythonコードに変換する例
from autogenstudio.database import DatabaseManager
db = DatabaseManager("sqlite:///./my-autogen-app/autogen.db")
# StudioのJSON定義をPythonオブジェクトとして読み込んで再利用可能

重要な注意点(正直な話): AutoGen Studio は「研究プロトタイプ」と公式ドキュメントに明記されており、本番環境での使用は推奨されていません。業務担当者がエージェントの動作を理解するためのデモツールとして非常に優秀ですが、実際のシステムに組み込む場合はPythonコードで実装してください。顧問先では「Studioで動作確認→Pythonに移植」という2段階のアプローチを採用しています。


非同期実装とコード実行エージェント

AutoGen v0.4はasyncio完全対応です。本番のAPIサーバー(FastAPI等)と組み合わせる場合の実装パターンを解説します。

FastAPI + AutoGen の統合パターン

from fastapi import FastAPI
from fastapi.responses import StreamingResponse
from autogen_agentchat.agents import AssistantAgent
from autogen_agentchat.teams import RoundRobinGroupChat
from autogen_agentchat.conditions import MaxMessageTermination
import asyncio, json

app = FastAPI()

@app.post("/analyze")
async def analyze_with_agents(task: str):
    """エージェントチームの出力をSSEでストリーミング"""

    async def event_generator():
        team = RoundRobinGroupChat(
            participants=[analyst, reviewer],
            termination_condition=MaxMessageTermination(10),
        )

        async for message in team.run_stream(task=task):
            # 各メッセージをSSEイベントとして送信
            yield f"data: {json.dumps({'agent': message.source, 'content': str(message.content)[:200]})}\n\n"

        yield f"data: {json.dumps({'type': 'done'})}\n\n"

    return StreamingResponse(
        event_generator(),
        media_type="text/event-stream"
    )

# コード実行エージェントの設定
from autogen_ext.code_executors.local import LocalCommandLineCodeExecutor
from autogen_agentchat.agents import CodeExecutorAgent

# コードを実行するエージェント(セキュリティ注意: 本番は Dockerサンドボックスを使う)
code_executor = LocalCommandLineCodeExecutor(work_dir="/tmp/autogen-exec")
code_executor_agent = CodeExecutorAgent(
    name="Code_Executor",
    code_executor=code_executor,
)

# Docker サンドボックス(本番推奨)
from autogen_ext.code_executors.docker import DockerCommandLineCodeExecutor
docker_executor = DockerCommandLineCodeExecutor(
    image="python:3.11-slim",
    timeout=60,
    work_dir="/tmp/docker-exec",
)

マルチモーダル対応(画像入力)

from autogen_agentchat.messages import MultiModalMessage
from autogen_core import Image as AGImage
from PIL import Image as PILImage

# 画像を含むメッセージを送る
image = AGImage(PILImage.open("chart.png"))

multimodal_msg = MultiModalMessage(
    content=["この売上グラフを分析して、トレンドと異常値を指摘してください。", image],
    source="user",
)

# GPT-4oやClaude 3.5 Sonnet等のビジョンモデルを使う場合
vision_agent = AssistantAgent(
    name="Vision_Analyst",
    model_client=OpenAIChatCompletionClient(model="gpt-4o"),  # ビジョン対応モデル
    system_message="画像を解析して、数値的な洞察を提供する専門家です。",
)

result = await vision_agent.run(task=multimodal_msg)

4大エージェントフレームワーク比較:AutoGen vs LangGraph vs OpenAI Agents SDK vs Claude Agent SDK

OSSフレームワーク軸の2本目として、LangGraph完全ガイドと合わせて読むことで選定基準が明確になります。OpenAI Agents SDKとの比較も参考にしてください。

比較軸AutoGen 0.7.5LangGraph 1.1.10OpenAI Agents SDKClaude Agent SDK
設計思想会話型マルチエージェント状態機械型グラフループ型・ハンドオフ型ループ型・ツール呼び出し型
コア概念Agent ↔ Agent の会話Node → Edge → StateAgent ↔ Tool ↔ AgentAgent ↔ Tool
GroupChatネイティブ対応(RoundRobin/Selector)要自前実装(Conditional Edges)Swarm APIで対応手動実装
状態の永続化基本的になし(会話履歴のみ)Checkpointer(Postgres/SQLite)Thread(OpenAI管理)手動実装
Human-in-the-loopUserProxyAgent(HumanInputMode)interrupt()(ネイティブ)手動実装手動実装
ノーコードGUIAutoGen Studio(研究用)LangGraph Studio v2OpenAI Playgroundなし
LLMの柔軟性マルチプロバイダー(全主要LLM)マルチプロバイダーOpenAI特化Claude特化(他も可)
コード実行Docker/Local executor内蔵要別途実装Code Interpreter(有料)手動実装
メンテナンス状態Maintenance mode(新機能なし)Active developmentActive developmentActive development
GitHub Stars56,800+45,000+22,000+8,000+
最適な用途ブレインストーミング・議論型タスク・研究本番ワークフロー・承認フロー・長時間実行OpenAIツール活用・シンプルエージェントClaude特化・推論・コード生成

Microsoftエコシステム内での位置付け(Copilot Studioとの違い)

Microsoft Copilot Studioとの比較がよく聞かれるので整理します。

"""
AutoGen vs Copilot Studio の使い分け(Microsoft製品同士)

AutoGen(OSSフレームワーク):
- 対象: エンジニア・研究者
- 環境: 自前のPython環境・サーバー
- LLM: 任意(OpenAI / Claude / Gemini / ローカルLLM)
- インフラ: 自前で管理
- 向き: 実験・研究・カスタム実装

Copilot Studio(ノーコードSaaS):
- 対象: 業務担当者・IT管理者
- 環境: Microsoft 365 / Power Platform
- LLM: Azure OpenAI(Microsoft管理)
- インフラ: Microsoft管理
- 向き: M365環境の業務自動化・非エンジニア向け

→ 結論: M365を使っている組織のITでない部門 = Copilot Studio
         カスタムLLMやオンプレミス要件あり = AutoGen or LangGraph
"""

【要注意】AutoGen本番運用の落とし穴4選

落とし穴1:Maintenance modeを知らずに採用してしまう

## ❌ よくある誤解
# 「AutoGenはMicrosoftが作ってるから安心」と思って本番に採用する

## ✅ 2026年時点の実態を理解する
# AutoGen 0.x は Maintenance mode(バグ修正のみ、新機能なし)
# Microsoft の公式次世代製品は「Microsoft Agent Framework(MAF)」
#   → 2026年時点でまだプレビュー段階
# AG2(ag2ai/ag2)はコミュニティforkとして活発に開発中
#
# 【判断フロー】
# 実験・研究・プロトタイプ → AutoGen 0.7.x で十分
# 本番・長期運用 → LangGraph or Microsoft Agent Framework(MAF)を検討
# Azure環境でフルマネージド → Copilot Studio or MAF
#
# 「AutoGenが終わった」わけではない。56,800+ Stars の巨大コミュニティがあり
# 既存の資産(コード・知見)は今でも価値がある。ただし新機能を期待しない。

なぜ重要か: 顧問先の1社が「Microsoftが作ってるから安心」でAutoGenを本番基盤に採用し、半年後に「新機能が追加されない」と気づいてLangGraphへの移行コストが発生したケースを見ました。ツールの「現在のメンテナンス状態」を確認することは、技術選定の基本中の基本です。

落とし穴2:無限会話ループに陥る

## ❌ 終了条件を設定しない
team = RoundRobinGroupChat(
    participants=[agent1, agent2, agent3],
    # termination_condition を指定しないと永遠に会話が続く
)

## ✅ 必ず終了条件を設定する
from autogen_agentchat.conditions import (
    MaxMessageTermination,      # メッセージ数上限
    TextMentionTermination,     # 特定のキーワードが出たら終了
    TimeoutTermination,         # 時間制限
)

# 複数の終了条件をORで組み合わせ
termination = (
    TextMentionTermination("TASK_COMPLETE") |  # 完了キーワード
    MaxMessageTermination(20)                   # 最大20メッセージ
)

team = RoundRobinGroupChat(
    participants=[agent1, agent2, agent3],
    termination_condition=termination,
    max_turns=20,  # 念のためmax_turnsも設定
)

落とし穴3:UserProxyAgentのコード実行を本番に使う

## ❌ LocalExecutorをそのまま本番に使う(セキュリティリスク)
from autogen_ext.code_executors.local import LocalCommandLineCodeExecutor
executor = LocalCommandLineCodeExecutor(work_dir="/tmp")
# → エージェントが任意のコマンドを実行できてしまう

## ✅ 本番ではDockerサンドボックスを必ず使う
from autogen_ext.code_executors.docker import DockerCommandLineCodeExecutor
docker_executor = DockerCommandLineCodeExecutor(
    image="python:3.11-slim",   # 最小限のイメージ
    timeout=30,                  # 実行時間を制限
    work_dir="/tmp/sandbox",
    # 必要なPythonパッケージのみインストール済みのカスタムイメージを推奨
)

# さらに本番では:
# - Dockerコンテナのネットワークを制限(外部アクセス不可)
# - ファイルシステムのマウントを制限
# - リソース制限(メモリ・CPU)

落とし穴4:SelectorGroupChatのコストを過小評価する

## ❌ Selectorのコストを考慮せずに大量実行する
selector_team = SelectorGroupChat(
    participants=[agent1, agent2, agent3, agent4],
    model_client=gpt4o_client,  # GPT-4oを発言者選択に使う
    ...
)
# → 10ターンの会話で、エージェントの応答10回 + 発言者選択10回 = 20回分のAPI呼び出し

## ✅ コストを意識した設計
# 方法1: RoundRobinで代替できないか先に検討
# 方法2: 発言者選択には軽量モデルを使う
from autogen_ext.models.openai import OpenAIChatCompletionClient

selector_team = SelectorGroupChat(
    participants=[agent1, agent2, agent3],
    model_client=OpenAIChatCompletionClient(model="gpt-4o-mini"),  # 軽量モデルで選択
    ...
)
# 発言するエージェント自体は別の高精度モデルを使いつつ、
# 「誰が次に話すか」の選択だけgpt-4o-miniにすることでコストを大幅削減

実際の経験談: ある顧問先でSelectorGroupChatを4エージェント・50ターンで動かしたテストで、想定の2倍のAPIコストが発生したことがありました。計算してみると、選択コールが50回追加されていました。発言者選択には gpt-4o-mini や claude-haiku など軽量モデルを使う設計が、本番ではほぼ必須です。


まとめ:今日から始める3つのアクション

AutoGenは、複数のAIエージェントが「自然言語で議論・協力してタスクを解決する」パターンに最も適したOSSフレームワークです。LangGraphが状態機械型の明示的制御に優れるのに対し、AutoGenは「エージェント同士に任せる」という委任型の設計が得意です。

  1. 今日やること: pip install autogen-agentchat autogen-ext[openai] → 本記事の「最小構成AssistantAgent + UserProxyAgent」コードをそのまま実行。まず2エージェントの会話を動かす。
  2. 今週中: RoundRobinGroupChatで3エージェントチームを組む。「企画→調査→レビュー」のパイプライン型チームを作り、実際の業務タスク(市場調査レポート、コードレビュー等)を試す。AutoGen Studioも起動してビジュアルで動作確認。
  3. 今月中: 本番要件を精査して「AutoGen vs LangGraph」の選定を確定させる。承認フロー・状態永続化・長時間実行が必要ならLangGraph、会話型マルチエージェント・コード実行・GUIプロトタイピングが主なら AutoGen で続ける。

📅 5月開催|Uravation主催 Zoomウェビナー

講師: 株式会社Uravation代表 佐藤傑(X @SuguruKun_ai) / Yusei Tataka


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参考・出典


著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。早稲田大学法学部在学中に生成AIの可能性に魅了され、X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援を展開。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

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佐藤傑
この記事を書いた人 佐藤傑

株式会社Uravation代表取締役。早稲田大学法学部在学中に生成AIの可能性に魅了され、X(旧Twitter)で活用法を発信(@SuguruKun_ai、フォロワー10万人超)。100社以上の企業向けAI研修・導入支援を展開。著書累計3万部突破。SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

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