結論: Codexで使うGPT-5.6は「1つのモデル」ではなく、Sol・Terra・Lunaという3段階のモデル群です。CLIなら対話中の/modelコマンドかcodex --model gpt-5.6-terraのような指定、IDE拡張なら「モデルスイッチャー」、ChatGPTアプリなら作成欄下の「モデルと推論の制御」から切り替えます。ただしCodex Cloudだけは、2026年7月時点でデフォルトモデルを変更できないと公式に明記されています。
この記事の要点:
- Sol=複雑・曖昧な高難度タスク向け、Terra=日常業務の実用的デフォルト、Luna=定型・反復タスク向けの最速最安モデル(料金は1Mトークンあたり入力/出力でSol $5/$30、Terra $2.50/$15、Luna $1/$6)
- Codex CLIは
/modelコマンド・--modelオプション・config.tomlの3通りで切り替え可能。reasoning effortはLight〜Ultraまで選べる - Ultra modeは「モデルの動かし方」、Goal modeは「タスクの渡し方」という別軸の設定。どちらもSol/Terra/Lunaの選択と組み合わせて使う
対象読者: Codexを業務で使っている、または導入を検討している情シス・DX担当者、非エンジニアの経営者
読了後にできること: 自社の業務ごとにSol・Terra・Lunaのどれを割り当てればよいか、実際のコマンドや設定画面のレベルで判断できるようになります。
「Codexのモデル、結局どれを使えばいいんですか?」
生成AI研修や導入コンサルの現場で、Codexをすでに導入している企業やこれから検討している企業から、本当によく聞かれる質問です。これまでは「一番新しいモデルに乗り換えておけば間違いない」という単純な話で済んでいましたが、GPT-5.6からは事情が変わりました。
2026年7月9日、OpenAIはGPT-5.6を正式に一般提供(GA)しました。今回のポイントは、新しいモデルが1つ増えたのではなく、Sol・Terra・Lunaという3段階の階層モデルが同時に登場したことです。これまでのように「新モデルに乗り換える」だけでは済まず、タスクの性質に応じてどの階層を選ぶかという新しい判断が必要になりました。
この記事では、CodexでGPT-5.6(Sol/Terra/Luna)を実際に使うための切り替え方法、料金の考え方、そしてすでに使っている方も多いUltra mode・Goal modeとの関係を、OpenAI公式ドキュメントに基づいて整理します。
Codexの基本的な使い方・コマンド一覧についてはCodex CLIとは?使い方・全19コマンド一覧で解説済みです。AIエージェント活用の全体像はAIエージェント導入完全ガイドにまとめています。
Sol・Terra・Lunaとは何か — 3段階モデルの位置づけ
GPT-5.6は、これまでの「1つの数字=1つのモデル」という命名から、「世代番号(5.6)+durable(継続的)な能力階層(Sol/Terra/Luna)」という新しい命名方式に変わりました。世代番号は今後も上がっていきますが、Sol・Terra・Lunaという階層の役割分担自体は、世代をまたいで続いていく設計だと説明されています。
| モデル | 公式の位置づけ | 入力(1Mトークン) | 出力(1Mトークン) |
|---|---|---|---|
| Sol | 複雑で曖昧な高難度タスク。深い分析や判断が必要な作業向け | $5 | $30 |
| Terra | 日常業務の実用的なオールラウンダー。GPT-5.5の後継としての既定モデル | $2.50 | $15 |
| Luna | 明確で反復可能な定型タスク向け。抽出・分類・構造化要約など | $1 | $6 |
覚え方としては「迷ったらTerra、難しい判断が要る仕事だけSol、量をこなす定型作業はLuna」という整理が公式ドキュメントでも繰り返し使われています。1Mトークンあたりの単価を見ると、Sol はTerraの2倍、Lunaの5倍というコスト差があるため、「とりあえず一番上のSolにしておく」という運用は、料金面では最も高くつく選択になります。
Codex CLIでモデルを切り替える3つの方法
公式ドキュメントによると、Codex CLIでのモデル切り替えには主に3つの方法があります。
1つ目は、対話セッション中に/modelコマンドを使う方法です。実行するとモデル一覧が表示され、選んだ後に続けて「Select Reasoning Level」というメニューが出てきます。ここでLow〜Ultraまでの段階から、そのモデルにどれだけ深く考えさせるかを選びます。
/model2つ目は、非対話実行(1回だけコマンドを投げて終わらせるスクリプト的な使い方)で、--modelオプション(エイリアス-m)を直接指定する方法です。
codex --model gpt-5.6-terra
codex exec -m gpt-5.6-sol "このリポジトリの認証まわりの処理をレビューして"3つ目は、config.tomlにデフォルトモデルを書いておく方法です。毎回オプションを指定する手間を省けます。
model = "gpt-5.6-terra"普段の作業はTerraをデフォルトにしつつ、レビューやリリース判断など重要度の高い工程だけ別モデルを割り当てる、という設定例も紹介されています。
model = "gpt-5.6-terra"
review_model = "gpt-5.6-sol"IDE拡張・ChatGPTアプリ・Codex Cloudでの切り替え
CLI以外の使い方でも、基本的な考え方は同じです。ただし操作場所と、1つだけ注意が必要な例外があります。
| 利用場所 | 切り替え方法 |
|---|---|
| IDE拡張(VS Code/JetBrains) | 「モデルスイッチャー」から選択。Max reasoning effortを使うには拡張のApp settingsで有効化が必要な場合がある |
| ChatGPT Web(Work) | 作成欄下部の「モデルと推論の制御」からモデルと推論レベルを調整 |
| ChatGPTデスクトップアプリ | 作成欄下部の同様の操作パネルで、「5.6 Sol Ultra」のように矢印キーで段階を選べる |
| Codex Cloud | 2026年7月時点で、Codex cloudタスクのデフォルトモデルは変更できないと公式に明記 |
実務でつまずきやすいのがCodex Cloudです。ローカルのCLIやIDE拡張と同じ感覚で「クラウド実行のタスクにもSolを指定したい」と設定画面を探しても、その項目自体が用意されていません。特定のモデルを指定してタスクを動かしたい場合は、現時点ではローカルのCLIかIDE拡張で実行する必要があります。
料金・プランへの影響 — 何が変わって何が変わらないか
Sol・Terra・Lunaの1Mトークンあたりの単価自体は、プレビュー期間から据え置かれています。変わったのは「選べる階層が増えたこと」と「reasoning effortの刻みが増えたこと」の2点です。
プラン面では、Codexの有料プラン(Plus以上)、Business/Enterprise、そしてAPI経由の利用者が、Sol・Terra・Lunaを選択しreasoning effortを設定できるとされています。ChatGPTの契約(Plus/Pro/Business/Enterprise)経由で使う場合はプランに含まれるクレジットの消費という扱いになり、API経由で使う場合は上記の表のとおりトークン従量課金になります。
コスト面で最も差が出るのは、モデルの選択そのものよりも「reasoning effortの設定」です。同じSolでも、reasoning effortを上げるほど消費トークンが増えます。公式ドキュメントも「最小限の設定から始めて、必要に応じて上げる」ことを推奨戦略として挙げています。日常的な定型タスクにSol×Maxを常用すると、単価の差(Sol は Lunaの5倍)とreasoning effortの差が掛け合わさり、想定より大きな請求になりやすい組み合わせです。
Ultra mode・Goal modeとの関係
GPT-5.6と同時によく話題になる「Ultra mode」と「Goal mode」は、どちらも今回のSol/Terra/Lunaという「モデルの選択」とは別軸の設定です。混同しやすいので整理しておきます。
- Ultra mode: Solを選んだときに使える、モデルの動かし方のオプションです。1つの指示をSol自身が複数のサブエージェントに分解し、並列で走らせてから統合します。Terra・Lunaには無い、Sol専用の仕組みです。詳しい仕組みとコストの実態はGPT-5.6 Ultra mode徹底解説で解説しています。
- Goal mode: 2026年5月にCodexの標準機能になった、タスクの渡し方のオプションです。1つのゴールを渡すと、数時間から数日かけてCodexが自律的に作業を進めます。公式ドキュメントでは、大規模なリファクタやマイグレーションのように深い判断が必要な長時間ゴールはSol、日常的なゴールはTerra、抽出・分類のような定型ゴールはLunaを割り当てるのが目安とされています。Goal modeの具体的な使い方はCodexが非エンジニアの仕事道具に|Goal mode実践ガイドで解説しています。
つまり「Sol/Terra/Luna」は誰(どのモデル)が作業するか、「Ultra mode」はそのモデルを1人で動かすか複数のサブエージェントに分解して動かすか、「Goal mode」はタスクを1回の指示として渡すか長時間のゴールとして渡すか、という3つの独立した軸です。この3つを組み合わせて、業務ごとに最適な設定を選ぶ、という考え方になります。
【要注意】よくある勘違いと失敗パターン
誤解1: 「GPT-5.6」という1つのモデルに切り替えれば終わり
❌ config.tomlにmodel = "gpt-5.6"とだけ書いて満足する
⭕ Sol・Terra・Lunaのどの階層を使うかまで指定する(gpt-5.6-terraのように)
なぜ重要か: 階層を指定しないと、意図した性能・料金にならない可能性があります。「GPT-5.6にした」で終わらせず、業務ごとにどの階層を割り当てるかまで設計するのが実務上のポイントです。
誤解2: Codex Cloudでも自由にモデルを切り替えられると思い込む
❌ ローカルCLIと同じ感覚でCodex Cloudのタスク設定画面を探し、見つからず混乱する
⭕ 現時点でCodex cloudタスクはデフォルトモデルを変更できないと公式が明言している。特定モデルを指定したい作業はローカルCLI・IDE拡張で行う
なぜ重要か: クラウド実行の便利さだけを見てモデル指定まで同じ感覚で扱うと、「なぜかSolが選べない」という混乱の原因になります。
誤解3: reasoning effortは常にMax/Ultraにしておけば安心
❌ 定型タスクも含めて全てreasoning effortを最大にし、請求額が跳ね上がってから気づく
⭕ 公式も「最小限の設定から始めて必要に応じて上げる」ことを推奨。定型タスクはLuna×低めのreasoning effortで十分なことが多い
なぜ重要か: reasoning effortはモデル単価とは別に消費トークンを増やす要因です。タスクの難易度に応じて刻むだけで、コストは大きく変わります。
誤解4: Ultra modeとGoal modeを混同する
❌ 「Goal modeを使えば、Ultra modeの並列処理も自動的に使われる」と思い込む
⭕ Ultra modeはSol専用のモデル側の機能、Goal modeはタスクの渡し方というモード側の機能。両方の恩恵を受けるには、Goal modeで動かすタスクにSolを選び、かつUltra設定を別途有効にする必要がある
なぜ重要か: 名前が似ている機能を混同すると、「設定したつもりが実は効いていなかった」という食い違いが起きやすくなります。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 手元のCodex CLIで
/modelコマンドを実行し、Sol・Terra・Lunaが選択肢に表示されるか確認する(表示されない場合はCLIのアップデートが必要です) - 今週中: 自社で日常的にCodexへ渡しているタスクを洗い出し、それぞれSol・Terra・Lunaのどれに割り当てるべきかを仕分けする
- 今月中: 高頻度の定型タスクはLuna、日常業務はTerra、判断の重い工程だけSolに寄せる設定に変更し、1か月分の利用料の変化を実際の請求データで確認する
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- Codexが非エンジニアの仕事道具に|Goal mode実践ガイド — Goal modeの具体的な使い方
- GPT-5.6 Ultra mode徹底解説|コスト増に要注意 — Ultra modeの仕組みとコスト実態
参考・出典
- Codex changelog — OpenAI公式(参照日: 2026-07-10)
- Models | Codex Docs — OpenAI公式(参照日: 2026-07-10)
- GPT-5.6: Frontier intelligence that scales with your ambition — OpenAI公式(参照日: 2026-07-10)
- OpenAI launches GPT-5.6 Sol, Terra, and Luna on apps and API — TestingCatalog(参照日: 2026-07-10)
- The new GPT-5.6 family: Luna, Terra, Sol — Simon Willison(参照日: 2026-07-10)
著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
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