結論: インドのスタートアップRocketが発表した「Rocket 1.0」は、McKinsey級の戦略レポートを月$250で自動生成するAIプラットフォームです。1,000以上のデータソースを統合し、競合追跡からGTM戦略まで一気通貫で提供します。
この記事の要点:
- 料金: $25〜$350/月の3段階プラン。従来コンサルの90%以下のコストで戦略レポートを入手可能
- 機能: 1,000以上のデータソース統合、競合追跡、GTM・価格・ユニットエコノミクス自動生成
- 日本への示唆: 中小企業が初めてデータ駆動の経営判断を低コストで実践できる時代が来た
対象読者: 経営判断にデータを使いたい中小企業経営者・経営企画担当者
読了後にできること: Rocket 1.0の無料トライアルにサインアップして、自社の競合分析レポートを生成する
「市場調査やったほうがいいのはわかってる。でも外注すると何百万もかかるし、自分でやると膨大な時間がかかる、、、」
企業向けのAI研修をやっていると、経営者の方からこういう声をよく聞きます。先日も、従業員30名ほどの製造業の社長から「新事業を立ち上げたいけど、市場規模の把握ができていない」という相談をいただきました。そのとき試しに競合調査のプロンプトをいくつか使って半日かけて情報を集めましたが、「これを月25万払えばプロがやってくれるのか、でも今の規模では難しい」とおっしゃっていたのを覚えています。
その悩みに真正面から答えるサービスが、2026年4月6日に登場しました。インドのスタートアップRocketが発表した「Rocket 1.0」です。McKinsey級の戦略レポートを月$250(約3.75万円)で自動生成するというのは、正直びっくりしました。
この記事では、Rocket 1.0の機能・料金・使い方と、日本の中小企業・コンサル業界への影響を徹底解説します。コンサルを外注する前に、ぜひ最後まで読んでみてください。
Rocket 1.0とは何か — McKinseyの仕事をAIで代替する
Rocket 1.0は、インドのグジャラート州スーラト拠点のスタートアップ「Rocket」が開発した、AIによる経営戦略自動生成プラットフォームです。2026年4月6日に正式ローンチされました。
一言でいうと「戦略コンサルタントの仕事をAIが代行するSaaS」です。具体的には以下を自動生成します。
- 市場調査・競合分析レポート
- 価格設定(ユニットエコノミクス)の提案
- Go-to-Market(GTM)戦略
- 競合他社のウェブサイト変化・トラフィックトレンドのリアルタイム追跡
- 製品戦略ドキュメント
従来、McKinseyやBCGに同様の戦略レポートを依頼すると、1プロジェクトで数百万〜数千万円かかります。それが月$250で「2〜3本のMcKinsey級レポート」が生成できるというのが、Rocketの価値提案です。
「コンサルティングの民主化」というビジョンを掲げ、これまで大企業しかアクセスできなかった高品質な経営分析を、世界中のスタートアップ・中小企業に届けることを目指している。
— Rocket CEO、Vishal Virani
Rocket 1.0の料金プラン — $25〜$350の3段階
Rocketの料金体系は以下の通りです(2026年4月時点)。
| プラン | 月額 | 主な機能 |
|---|---|---|
| スターター | $25/月 | アプリ・プロダクトのビルディング支援 |
| ストラテジー | $250/月 | 戦略・リサーチ特化(McKinsey級レポート2〜3本) |
| フルプラットフォーム | $350/月 | 競合インテリジェンス含む全機能 |
日本円に換算すると(1ドル=150円として)、$250プランで月3.75万円、$350プランで月5.25万円です。
従来型コンサルと比較すると、同レベルの分析が「コスト90%以下」というのがRocketの主張です。
AIエージェントや中小企業向けAI支援を100社以上で展開してきた私の感覚では、この価格帯は「月に1回でも経営判断に使えれば十分元が取れる」水準です。
AIを使った経営判断の高度化については、AI導入戦略完全ガイドでも詳しく解説しています。
1,000以上のデータソースが支える競合インテリジェンス
Rocketが競合サービスと一線を画すのは、データソースの規模と多様性です。
プラットフォームは1,000以上のデータソースを統合しています。具体的には以下が含まれます。
- Meta広告ライブラリ: 競合がどんな広告を出しているかリアルタイムで把握
- Similarweb API: 競合サイトのトラフィック・流入源の分析
- プロプライエタリWebクローラー: 競合Webサイトの変更を自動検知
- 公開APIや政府統計データなど多数
研修先でよく「どうやってAIに競合調査をさせるの?」という質問をいただきます。従来は各データソースに別々にアクセスして手動で統合するしかなかった。Rocketはそのプロセスを一元化している点が大きな違いです。
具体的にどんなレポートが出るのか
Rocket 1.0が生成するレポートの主な構成要素は以下の通りです。
- 市場分析: 対象市場の規模・成長率・セグメント別トレンド
- 競合マッピング: 主要プレイヤーの強み・弱み・ポジショニング
- 価格戦略: 競合の価格帯とユニットエコノミクスの試算
- GTM戦略: 参入チャネル・顧客獲得コスト・優先施策
- 競合アラート: 競合のウェブサイト変化・新サービス展開の自動通知
コンサルが数週間かけて作るドキュメントが、数時間〜数十分で生成されると報じられています。
Rocket 1.0の資金調達と成長 — Accel・Salesforce Venturesが支持
Rocketは2025年9月、シードラウンドで$15M(約22.5億円)を調達しました。投資家には以下が含まれます。
- Accel: Facebook、Slack、Dropboxなどを支援してきたトップVCファーム
- Salesforce Ventures: CRMの世界最大手Salesforceの投資部門
- Together Fund
Salesforce Venturesが投資した点は特に注目です。エンタープライズSaaSの雄が「このサービスは企業に本当に価値がある」と判断したことを意味するからです。
ユーザー数は2025年9月時点の40万人から、2026年4月時点では150万人以上・180カ国に拡大しています。わずか半年で3.75倍という成長速度です。
日本の中小企業・コンサル業界への影響
Rocket 1.0の登場は、日本市場にどんな影響を与えるでしょうか。私が100社以上のAI研修・コンサル経験から見た実務的な視点で分析します。
中小企業にとっての意味
日本の中小企業(従業員300名以下)の多くは、戦略コンサルを使う予算がありません。McKinseyへの依頼は最低でも数百万〜数千万円が相場です。
Rocket 1.0の登場で変わること:
- 新事業の市場調査: 参入前の市場規模・競合状況を低コストで把握
- 競合対策: 競合の動向をリアルタイム追跡し、先手を打てる
- 価格設定の科学化: データに基づく価格戦略の立案
- 投資家向け資料作成: GTM戦略をデータ付きで説明できる
事例区分: 想定シナリオ
以下は100社以上の研修経験をもとに構成した典型的なシナリオです。地方の食品メーカー(従業員50名)が新商品カテゴリーへの参入を検討。従来なら市場調査に外部委託で200〜300万円かかるところ、Rocketで競合マッピングと市場規模の概算を3.75万円(月額)で入手し、その結果を社内検討の素材として活用。意思決定のスピードが上がるというシナリオが現実的になってきた。
コンサル業界への示唆
一方、既存のコンサルタント・経営支援業者にとっては脅威でもあります。「資料を作る」「調査をする」という部分はAIに代替されていく可能性が高い。
ただし、正直に言うとRocketの出力がそのまま全てを代替するわけではないと思っています。理由は以下です。
- AIが生成したレポートの解釈・意思決定には人間の判断が必要
- 業界・企業固有の文脈や暗黙知はAIが把握できない
- クライアントとの関係構築・コミュニケーション設計はまだ人の仕事
コンサルタントとしての価値は、「データを集めて整理する」から「データを解釈して行動に変える」へとシフトしていくでしょう。
Rocket 1.0を実際に活用するためのプロンプト例
Rocket 1.0はプラットフォーム内でAIに指示を出す形式で使います。以下は実際に活用できるプロンプトの考え方です。
プロンプト1: 競合分析レポートの生成
以下の情報をもとに競合分析レポートを作成してください。
【自社情報】
- 事業: [自社の事業内容を具体的に]
- ターゲット顧客: [ターゲット顧客セグメント]
- 主要プロダクト/サービス: [製品・サービス名]
【分析してほしい競合】
- [競合企業名1]
- [競合企業名2]
- [競合企業名3]
【知りたいこと】
1. 各競合の強み・弱み・価格帯
2. 差別化できるポジショニング
3. 自社が優位に立てる切り口
不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。プロンプト2: 新市場参入の可能性調査
以下の新市場への参入可能性を調査・分析してください。
【参入を検討している市場】
[市場名・業種を具体的に]
【調査してほしい内容】
1. 市場規模(現在・3年後の予測)
2. 主要プレイヤーの市場シェア
3. 参入障壁(規制・資本要件・技術要件)
4. 成功している参入事例のパターン
5. 失敗した参入事例とその理由
【自社の強み(参考情報)】
[自社が持っているリソース・強みを記載]
仮定した点は必ず"仮定"と明記してください。プロンプト3: GTM戦略の生成
新製品/サービスのGo-to-Market戦略を策定してください。
【製品/サービスの概要】
- 名称: [製品名]
- 解決する課題: [どんな問題を解決するか]
- 主な機能: [主要機能3〜5つ]
- 想定価格帯: [価格レンジ]
【ターゲット市場】
- 業種: [対象業種]
- 企業規模: [中小企業/大企業/個人など]
- 地域: [国内/海外]
【期待する成果物】
1. ターゲット顧客セグメントの優先順位
2. 顧客獲得チャネルの推奨
3. 最初の90日アクションプラン
数字と固有名詞は、根拠(出典/計算式)を添えてください。プロンプト4: 価格戦略の検討
自社製品の価格設定を最適化するための分析をしてください。
【現状】
- 現在の価格: [現在の価格]
- 主な競合の価格帯: [競合A: ○円、競合B: ○円]
- 現在の顧客数: [おおよその数]
- 月間収益: [おおよその数値]
【検討したい方向性】
- 値上げの可能性と市場への影響
- フリーミアム/サブスクリプション移行の是非
- 価格ティア(段階設定)の設計
業界標準のユニットエコノミクスの観点から分析してください。プロンプト5: 競合モニタリング設定の確認
以下の競合企業について、継続的なモニタリング設定を確認してください。
【モニタリング対象】
- 競合企業名: [企業名1、企業名2、企業名3]
【追跡してほしい変化】
1. 製品・サービスの新機能発表
2. 価格変更
3. ウェブサイトの主要ページ変更
4. 広告出稿の変化(Meta広告ライブラリ)
5. トラフィックの増減トレンド
アラートを受け取りたいタイミング: [週次/月次/変化があり次第]【要注意】Rocket 1.0を使う際の失敗パターン
失敗1: AIの出力をそのまま意思決定に使う
❌ 「Rocketが出したGTM戦略をそのまま実行した」
⭕ 「Rocketの出力を叩き台にして、業界知見を持つ社内外の専門家と議論し精度を上げた」
なぜ重要か: AIは公開データを統合するのが得意ですが、業界固有の暗黙知・未公開の業界動向・自社の文化的制約を知りません。出力は「仮説の起点」として使うのが正解です。
失敗2: データの鮮度を確認せずに使う
❌ 「競合分析レポートに出てきた数字をそのまま引用した」
⭕ 「数字の参照元・参照日を確認し、重要な数値は一次ソースで検証した」
なぜ重要か: AI業界・ビジネス環境は変化が速い。2ヶ月前のデータが既に陳腐化している可能性があります。Rocketが参照しているデータのソースと日付は必ず確認してください。
失敗3: 全プランをいきなり契約する
❌ 「まず$350プランに申し込んだ」
⭕ 「$25プランで使い勝手を確認し、段階的にアップグレードした」
なぜ重要か: Rocketを実際にどう業務フローに組み込むかは、試してみないとわかりません。まず安価なプランで活用イメージを掴んでからステップアップが賢明です。
失敗4: 競合に自社の競合インテリジェンスが筒抜けになることを忘れる
❌ 「競合をRocketで追跡しているが、競合も自社をRocketで追跡できることに気づいていない」
⭕ 「自社サイトの変更やプレスリリースが競合に即座に把握されることを前提に情報戦略を設計する」
なぜ重要か: Rocketのようなツールが普及すると、競合追跡は双方向になります。「公開している情報が競合に筒抜け」という前提で、情報開示のタイミングや内容を設計することが重要になります。
Rocket 1.0 vs 従来コンサル vs ChatGPT — 何が違うのか
| 比較軸 | 従来コンサル | ChatGPT単体 | Rocket 1.0 |
|---|---|---|---|
| コスト | 数百万〜数千万円/プロジェクト | 月$20〜$200 | 月$25〜$350 |
| リアルタイムデータ | 人が調査(時間がかかる) | 限定的 | 1,000以上のソース統合 |
| 競合追跡 | 定期的な調査(月1回程度) | なし | リアルタイム自動追跡 |
| 成果物の質 | 最高品質(業界知見含む) | 汎用的 | コンサル級(業界知見は外部) |
| スピード | 数週間〜数ヶ月 | 即時 | 数時間〜即時 |
| カスタマイズ性 | 最高(要件定義から) | プロンプト次第 | 中程度 |
正直に言うと、Rocketは従来コンサルの全てを代替できるわけではありません。でも「市場参入前の仮説検証」「競合の動向モニタリング」「GTM戦略の叩き台作成」といった用途では、コストパフォーマンスが圧倒的に高い。
今後の展望 — AIコンサルプラットフォームの競争が激化
Rocket 1.0の登場は、「AIによる経営判断支援」という市場の火蓋を切った出来事と言えます。
今後予想される展開:
- 競合サービスの台頭: 同様のコンセプトのスタートアップが続々登場する可能性
- 既存コンサルファームのAI化: McKinseyやDeloitteも同様のツールを内製化・提供化するかもしれない
- 日本市場対応: 現時点では英語主体のため、日本語対応の充実度が課題
- 精度向上: より深い業界特化モデルの登場
重要なのは、このような「AIによる戦略自動化」のトレンドは止まらないという点です。今すぐRocketを使うかどうかに関わらず、自社の意思決定プロセスにAIをどう組み込むかを検討し始めることが重要だと思っています。
AI導入の具体的なステップについては、ChatGPTビジネス活用完全ガイドもあわせてご覧ください。
参考・出典
- AI startup Rocket offers vibe McKinsey-style reports at a fraction of the cost — TechCrunch(参照日: 2026-04-14)
- Rocket.new snags $15M from Accel, Salesforce Ventures — TechCrunch(参照日: 2026-04-14)
- Welcome, Rocket! — Salesforce Ventures(参照日: 2026-04-14)
- Rocket Raises $15M Seed Funding for Vibe Solutioning — Rocket公式ブログ(参照日: 2026-04-14)
- AI Startup Rocket Disrupts Consulting: McKinsey-Style Strategy Reports for 90% Less — Bitcoin World(参照日: 2026-04-14)
まとめ:今日から始める3つのアクション
Rocket 1.0は、経営戦略のAI化という波の中で登場した注目サービスです。月$250という価格で「McKinsey級レポート」が手に入る時代が来たことは、中小企業の意思決定を根本から変える可能性を持っています。
- 今日やること: rocket.new にアクセスして、無料トライアルの内容を確認する
- 今週中: 自社が最も知りたい競合情報(競合の価格帯・市場ポジション)をリストアップし、Rocketで試してみる
- 今月中: Rocketの出力と社内の経営判断プロセスを照らし合わせ、「AIを使うべき場面・人間が判断すべき場面」のルールを設計する
次回予告: 次の記事では「Microsoft Agent Framework 1.0」をテーマに、企業のAIエージェント開発が本格化する時代の実践ガイドをお届けします。
著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
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