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生成AI研修

【2026年最新】AI合宿とは|経営合宿×AIで成果を出す設計法

【2026年最新】AI合宿とは|経営合宿×AIで成果を出す設計法

結論: AI合宿は「1日で意思決定者と現場を揃え、その場で業務実装まで進める」設計にすれば、通常の研修より数倍のスピードでAI活用が定着します。

この記事の要点:

  • 要点1: 通常研修と合宿の違いは「没入環境」「意思決定者の同席」「その場での実装」の3つ
  • 要点2: 合宿には「経営合宿型」「実装ブートキャンプ型」「幹部研修型」の3類型があり、目的で使い分ける
  • 要点3: 1泊2日でも「棚卸し→優先順位付け→試作→発表」の4フェーズで組めば具体的な成果物まで到達できる

対象読者: 経営合宿・開発合宿にAI活用を組み込みたい経営者・経営企画・人事担当者

読了後にできること: 自社の合宿プログラムを1泊2日のタイムテーブルに落とし込み、社内提案できる状態になります

「今度の経営合宿、AIも絡めてやりたいんですが、何をどう組めばいいんでしょうか」

研修のご相談を受けていると、こういう質問を年に何度も受けます。多くの場合、背景にあるのは「通常の1日研修だと現場に持ち帰った瞬間に忘れられる」という悩みです。座学中心の研修は、参加者が日常業務に戻った瞬間に優先順位が下がり、学んだプロンプトも使われないまま終わってしまう。これは研修設計の側からするとよくある失敗パターンで、原因は単純です。研修とその後の実務の間に「断絶」があるからです。

合宿形式が効くのは、この断絶を物理的に消せるからです。宿泊を伴う1泊2日〜2泊3日の非日常空間に、意思決定者と実務担当者を同じ部屋に集め、その場でツールを触り、その場で自社の業務データやワークフローに当てはめ、その場で「これはうちで使える」という判断まで下す。持ち帰るのは資料ではなく、動くプロトタイプと意思決定です。

この記事では、経営合宿・開発合宿にAIを組み込むための設計方法を、プログラム構成・モデルタイムテーブル・成功条件・失敗パターン・コピペ可能な設計テンプレまで、実務でそのまま使える形でまとめます。「うちの合宿、何から手をつければいいか分からない」という経営企画・人事担当の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

通常研修と「AI合宿」は何が違うのか

まず整理しておきたいのは、AI合宿は「研修を宿泊施設でやるだけ」のものではないということです。通常のオンサイト研修やオンライン研修と比べて、合宿形式には決定的に違う3つの条件があります。

条件通常研修AI合宿
環境日常業務の合間に受講(Slack・メールが並行して届く)非日常空間に没入(業務から物理的に切り離される)
参加者構成現場担当者中心。経営層は同席しないことが多い経営層・意思決定者と実務担当者が同じ場に揃う
ゴールツールの使い方を学ぶ(インプット)自社業務への適用可否をその場で判断する(アウトプット・意思決定)

この3つの条件がそろうと何が起きるか。研修現場でよく見られる傾向として、「使い方は分かったが、うちでどう使うかは持ち帰って検討します」という研修終了時のコメントが、合宿形式では「これはうちのこの業務に来週から使う」という具体的な合意に変わりやすくなります。理由は単純で、その場に予算と業務プロセスの決定権を持つ人がいるからです。現場だけで研修を受けても、最終的な導入判断は上長に持ち帰る必要があり、そこで熱量が下がってしまう。合宿はこの持ち帰りのステップそのものをなくす設計です。

AI活用の全体的な進め方や導入フェーズの考え方については、AI導入戦略ガイド|6フェーズ・ROI・助成金で失敗しないで体系的にまとめています。合宿はこの導入フェーズを圧縮して1〜2日で走らせる手法だと捉えると設計しやすくなります。

AI合宿の3類型 — 目的で使い分ける

「AI合宿」とひとくくりにされがちですが、実際には目的によって設計がまったく変わります。混同すると、経営層は退屈し、実務担当者は物足りなさを感じるという事故が起きます。大きく分けて3つの型があります。

1. 経営合宿型(意思決定・全社方針の合意形成が目的)

経営陣・部門長クラスが対象。ゴールは「全社としてAIにどこまで投資するか」「どの業務領域から着手するか」の合意形成です。ハンズオン(実際にツールを触る時間)は控えめにし、ディスカッションとワークショップの比重を高くします。成果物は「AI活用ロードマップ」や「投資判断の合意事項」といった意思決定文書です。

2. 実装ブートキャンプ型(その場で業務プロセスに実装するのが目的)

実務担当者中心。ゴールは「特定の業務プロセスを、合宿中にAIで自動化・効率化した状態まで持っていく」ことです。座学は最小限にし、ほぼ全時間をハンズオンに充てます。成果物は「動くプロンプト集」「業務フロー図」「試作したワークフロー」など、持ち帰ってすぐ使える具体物です。

3. 幹部研修型(次世代リーダーのAIリテラシー底上げが目的)

次世代リーダー候補・管理職層が対象。ゴールは個々の業務効率化ではなく、「AIを前提としたマネジメント・意思決定ができる人材」を育てることです。ケーススタディやディスカッション、他社の動向理解に時間を割き、自部門への応用は各自の持ち帰り課題として設計することが多くなります。

この3類型は排他的ではなく、2泊3日であれば「初日:経営合宿型で方針合意→2日目:実装ブートキャンプ型で実装→3日目:発表と幹部研修型の振り返り」のように組み合わせることも可能です。ただし1泊2日で全部を詰め込もうとすると、どれも中途半端になるので注意が必要です。

1泊2日のモデルプログラム — タイムテーブルと成果物

ここでは最も依頼が多い「実装ブートキャンプ型」をベースにした1泊2日のモデルプログラムを紹介します。ポイントは、各セッションに必ず「成果物」を設定すること。成果物がないセッションは、参加者にとって「聞いただけ」で終わってしまいます。

時間セッション目的成果物
1日目 13:00-14:00オープニング+業務棚卸しワーク自部門の業務を洗い出し、AI化候補を可視化する業務棚卸しシート
1日目 14:00-16:00ツール実践(基本操作)使用ツールの基本操作を全員が体験する操作チェックリスト完了
1日目 16:00-17:30ユースケース優先順位付け棚卸しした業務のうち、着手する1〜2個を選定する優先順位マトリクス
1日目 19:00-21:00懇親・部門横断ディスカッション(任意)普段話さない部門間の交流、非公式な情報交換—(意図的に成果物を求めない時間)
2日目 9:00-11:30試作タイム(チーム別)選定したユースケースをその場で試作する動くプロトタイプ or プロンプト一式
2日目 11:30-12:30チーム内リハーサル発表に向けて内容を整理する発表資料ドラフト
2日目 13:30-15:00成果発表+経営層フィードバックその場で導入可否・予算の意思決定を得る導入合意事項・次のアクション
2日目 15:00-15:30クロージング+30日後フォロー計画合宿の熱量を持ち帰った後も維持する仕組みを作る30日フォローアップ計画書

実際に合宿設計に伴走していると、多くの企業が「試作タイム」を軽視して座学に時間を使いすぎる傾向があります。座学は事前の動画配信やオンライン事前学習に回し、対面の時間はできる限り「手を動かす」「決める」ことに使うのが、合宿という高コストな場を活かすコツです。

2泊3日にする場合は、初日を経営合宿型(方針合意)、2日目を実装ブートキャンプ型(試作)、3日目午前を発表・幹部研修型の振り返りに充てる構成が、複数部門が参加する大規模合宿では機能しやすい組み方です。

【要注意】合宿でよくある失敗パターンと回避策

失敗1:座学の時間が長すぎる

❌ よくある間違い: 1日目をほぼ座学に費やし、ハンズオンは2日目の午前だけになってしまう

⭕ 正しいアプローチ: 座学は合宿前にオンデマンド動画や資料配布で済ませ、対面時間の7割以上をハンズオン・試作・議論に充てる

なぜ重要か: 合宿という特別な場を「聞くだけ」に使うのは機会損失です。座学は場所を選ばずできますが、部門横断のチームで一緒に手を動かす体験は、合宿でしか作れません。

失敗2:経営層が最初から最後まで同席し、現場が本音を言えなくなる

❌ よくある間違い: 全セッションに経営層が張り付き、現場担当者が「上司の前で言いにくいこと」を飲み込んでしまう

⭕ 正しいアプローチ: ハンズオン・試作の時間は現場だけにし、経営層は方針提示のオープニングと、成果発表・意思決定のクロージングにだけ参加する設計にする

なぜ重要か: 「業務のここが非効率」という本音は、上司がいない場でこそ出てきます。研修現場でも、経営層が退席した瞬間に議論が活発になるという場面はよく見られます。

失敗3:成果発表がゴールになり、その後のフォローがない

❌ よくある間違い: 合宿最終日の発表で終わり、参加者は日常業務に戻った瞬間に元通りになる

⭕ 正しいアプローチ: 発表の場で「30日後に何を確認するか」まで合意し、フォローアップの日程を合宿中に確定させる

なぜ重要か: 合宿の効果は「その場の盛り上がり」ではなく「日常業務への定着」で測るべきです。フォローの予定が入っていない合宿は、1ヶ月後には何も残らないことが多いというのが実感です。

失敗4:全部門・全階層を一度に詰め込みすぎる

❌ よくある間違い: 経営層のディスカッション、新人のツール研修、中堅の業務実装を、同じ2日間の同じセッションで同時にやろうとする

⭕ 正しいアプローチ: 前述の3類型を意識し、対象者とゴールを絞る。混在させる場合は、共通セッションと分科会セッションを明確に分ける

なぜ重要か: 対象者のレベルとゴールが混在すると、初心者にはついていけないハンズオンになり、上級者には物足りない座学になる、という両方に不満が残る設計になりがちです。

費用感の考え方

AI合宿の費用は、宿泊の有無・参加人数・日数・カリキュラム設計をどこまで外部に依頼するかによって大きく変わります。目安として押さえておきたいのは次の3つの変動要素です。

  • 宿泊・会場費: 施設の宿泊費・会議室費は規模と立地で大きく変動する。社内の保養所や会議室を使えばこの部分は圧縮できます
  • プログラム設計・当日運営費: 外部の研修会社・コンサルティング会社に設計とファシリテーションを依頼する場合の費用。日数・人数・カスタマイズ度合いにより変動します
  • ツール利用料: 合宿で使うAIツールのライセンス費用。既に契約済みのツールを使うか、合宿用に新規契約するかで変わります

具体的な金額は案件ごとに大きく異なるため、この記事では断定的な数字は避けますが、社内の会議室と既存ツールだけで完結させれば低コストで実施できますし、外部の宿泊施設・専門ファシリテーターを入れれば相応のコストがかかります。まずは「どこまで内製し、どこから外部に依頼するか」を切り分けて見積もりを取るのが実務的な進め方です。生成AI研修全体の費用相場の考え方は生成AI研修の費用相場|見積もり比較チェックリストにまとめているので、合宿以外の研修形態と比較検討する際の参考にしてください。

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コピペ可能な設計テンプレ・チェックリスト

ここからは、実際に合宿を設計・運営する際にそのまま使えるテンプレとチェックリストをまとめます。自社の状況に合わせて数字や部門名を書き換えて使ってください。

テンプレ1:事前アンケート(参加者の期待値をそろえる)

【AI合宿 事前アンケート】

1. あなたの部署で、最も時間がかかっている定型業務を3つ挙げてください
   例:週次レポート作成、議事録の要約、問い合わせメールへの返信

2. すでに試したことのあるAIツールがあれば教えてください(なければ「未経験」でOK)

3. この合宿が終わったとき、「これができるようになっていたら成功」と思うことは何ですか?

4. 経営層への提案の際、あなたが不安に感じていることはありますか?
   (例:セキュリティ、コスト、周囲の理解が得られるか等)

※ 回答は合宿1週間前までに事務局へ提出してください

テンプレ2:業務棚卸しワークシート(1日目午後に使用)

【業務棚卸しシート】

業務名:____________

現状の所要時間(週あたり):__時間

この業務のどの部分が「判断」で、どの部分が「作業」か:
- 判断部分:____________
- 作業部分:____________

AI化した場合に想定される効果(時間削減/品質向上/属人化解消 等):
____________

AI化の障壁になりそうなこと(データ機密性、業務フロー変更の必要性 等):
____________

テンプレ3:AIプロンプト(業務棚卸しの壁打ち用)

あなたは業務改善コンサルタントです。
以下の業務内容を読み、AIで自動化・効率化できそうな部分を
「判断が必要な部分」と「単純作業の部分」に分けて整理してください。

業務内容:
[ここに具体的な業務プロセスを箇条書きで貼り付ける]

出力形式:
1. 判断が必要な部分(人が残すべき部分)
2. 単純作業の部分(AIに任せられる可能性が高い部分)
3. AI化する場合の具体的な進め方の提案(3ステップ以内)

テンプレ4:AIプロンプト(ユースケース優先順位付け用)

以下は合宿で洗い出した業務改善候補のリストです。
「インパクトの大きさ」「実装の容易さ」の2軸で評価し、
優先順位をつけて表形式で出力してください。

業務改善候補:
[ここに棚卸しシートで出た候補を箇条書きで貼り付ける]

評価基準:
- インパクト:削減できる時間や、品質・属人化への影響度(大・中・小)
- 実装の容易さ:既存ツール・データで対応できるか(易・中・難)

出力:表形式で「候補名/インパクト/実装容易さ/総合優先度」

テンプレ5:30日後フォローアップチェックリスト

【AI合宿 30日後フォローアップ】

□ 合宿で決めたユースケースは実際に業務で使われているか
□ 使われていない場合、その理由は何か(ツール/業務フロー/周囲の理解 不足)
□ 当初想定した効果(時間削減・品質向上)は実感できているか
□ 次に着手すべき業務は決まっているか
□ 合宿参加者以外への横展開は始まっているか
□ 次回合宿・フォロー研修の要否を判断する

実施日:__年__月__日 実施者:______

テンプレ6:成果発表シート(2日目午後に使用)

【成果発表シート】

チーム名/部門:____________

着手した業務:____________

試作した内容(プロンプト・ワークフロー等):
____________

合宿中に確認できた効果:
____________

来週から実行する具体的な次のアクション:
____________

経営層への確認事項(予算・権限・他部門との調整等):
____________

2泊3日にする場合の拡張タイムテーブル

1泊2日は「1つの業務に絞って試作まで持っていく」には十分な長さですが、複数部門が参加する全社規模の合宿や、経営方針の合意形成から実装まで一気通貫でやりたい場合は、2泊3日で組んだほうが無理がありません。1泊2日を2倍に引き伸ばすのではなく、初日・2日目・3日目でそれぞれ役割を変えるのがコツです。

日程主なセッション目的成果物
1日目午後〜夜経営層による方針提示+部門横断ディスカッション「どの業務領域に投資するか」の全社合意を取る投資領域の優先順位合意
2日目終日チーム別の業務棚卸し・優先順位付け・試作合意した領域の中で、各チームが具体的な試作物を作る動くプロトタイプ、業務フロー図
3日目午前成果発表+経営層フィードバック+幹部研修セッション導入可否の意思決定と、リーダー層のAIリテラシー底上げ導入合意事項、次世代リーダー育成計画

2泊3日にすると宿泊費・会場費・参加者の時間コストがそれぞれ増えるため、「1泊2日で足りるのか、2泊3日が必要なのか」は、参加人数と扱うテーマの数で判断するのが実務的です。目安としては、参加部門が3つ以内・扱うユースケースが1〜2個であれば1泊2日、参加部門が4つ以上・複数ユースケースを並行で試作したい場合は2泊3日を検討する、という切り分けをおすすめしています。

参加人数別に変えるべき設計のポイント

合宿の設計は、参加人数によっても大きく変えるべきです。人数を無視して同じプログラムを使い回すと、少人数では持て余し、大人数では収拾がつかなくなります。

10名以下(経営陣+主要部門長クラス)

全員が同じ議論に参加できる規模です。チーム分けをせず、全員参加のワークショップ形式にした方が、意思決定のスピードが上がります。ファシリテーターは1名で十分回せることが多いです。

20〜30名(複数部門からの選抜メンバー)

4〜6名のチームに分けて、業務棚卸し・試作をチーム単位で進める設計が機能しやすい規模です。各チームに1名、ファシリテーション経験のある社内担当者か外部講師をつけると、議論が停滞しにくくなります。最後の成果発表は全チーム合同で行い、他チームの試作から刺激を受けられるようにします。

50名超(全社規模・複数拠点合同)

この規模になると、1人のファシリテーターだけでは目が届きません。チームごとに担当ファシリテーターを配置するか、外部の研修会社に運営そのものを依頼するケースが増えます。また、会場のキャパシティ・Wi-Fi環境・宿泊施設の部屋数といった物理的な制約が設計のボトルネックになりやすいため、会場選定を通常より早い段階(3ヶ月以上前が目安)で確定させる必要があります。

外部ファシリテーター・研修会社を入れるかどうかの判断基準

「合宿の運営を全部自社でやるか、外部に依頼するか」は、多くの経営企画担当者が最初に悩むポイントです。判断基準として、次の3つの問いを自分に投げかけてみてください。

  • 社内にAI活用の実務知見があるか: 社内にAIツールを実務で使い込んでいる人材がいれば、その人がファシリテーターを担うことで、コストを抑えつつ自社の業務文脈に即した進行ができます。逆にゼロからの立ち上げであれば、外部の知見を借りたほうが立ち上がりが早くなります
  • 中立的な進行役が必要か: 部門間の利害調整が絡む議論(どの部門から優先的に投資するか等)が想定される場合、社内の人間がファシリテーターだと角が立ちやすい場面があります。外部の第三者が進行することで、参加者が本音を言いやすくなることがあります
  • 合宿後も継続的に伴走してほしいか: 単発のイベントで終わらせず、合宿後30日・90日のフォローまで含めて伴走してほしい場合は、最初から外部パートナーを入れて設計段階から関わってもらうほうが一貫性が保てます

実際に合宿設計の相談を受けていると、「最初の1回は外部に設計してもらい、2回目以降は社内でその型を踏襲する」という進め方を選ぶ企業が一定数あります。型さえ一度作ってしまえば、2回目以降の企画コストは大きく下がります。

よくある質問

Q. 合宿の効果はどうやって測定すればいいですか?

A. 合宿直後の満足度アンケートだけでなく、前述の「30日後フォローアップチェックリスト」のように、合宿で決めたユースケースが実際に業務で継続利用されているかを一定期間後に確認する仕組みを、合宿の設計段階から組み込んでおくことをおすすめします。合宿当日の盛り上がりと、実務への定着は別の指標として扱う必要があります。

Q. AI初心者ばかりの部署でも合宿形式は成立しますか?

A. 成立しますが、ハンズオンの前に基本操作を丁寧に扱う時間を確保する必要があります。初心者が多い場合は、事前のオンデマンド学習で基本操作を済ませておき、対面の時間は「自社業務への当てはめ」に集中させる設計が有効です。当日いきなり基本操作から始めると、試作まで到達できずに時間切れになりやすくなります。

Q. 合宿と通常研修、どちらを先にやるべきですか?

A. 全社的にAI活用の土台がまだない状態であれば、まず通常研修で基礎リテラシーを底上げしてから、合宿で「意思決定と実装」に集中する2段構成が無理のない進め方です。逆に、すでに一部の部門でAI活用が進んでいて、全社展開の合意形成が課題になっている場合は、合宿を先に組んで経営層の意思決定を先に取りにいく方が早く動きます。

会場選びで確認すべき5つのポイント

プログラム設計と同じくらい成否を分けるのが会場選びです。研修専用の設備が整った施設もあれば、通常の宿泊施設を貸し切って持ち込み機材で対応するケースもあります。以下の5点は、見学や問い合わせの段階で必ず確認しておきたいポイントです。

  • Wi-Fi環境: 参加人数分の端末が同時接続しても速度が落ちないか。特に試作タイムでクラウドサービスに接続する場合、回線が細いと作業が止まってしまいます
  • グループワーク用のスペース: 大部屋1つだけでなく、チームごとに分かれて議論できる小部屋やブレイクアウトスペースがあるか
  • スクリーン・投影機材: 成果発表で各チームがすぐに画面共有できる環境か。持ち込み機材との相性(HDMI/USB-C等)も事前確認が必要です
  • 宿泊と会議室の動線: 宿泊棟と会議室が離れている場合、移動時間がプログラムの時間を圧迫することがあります
  • 夜間・懇親時間の使い方: 夜の交流時間を設計に含める場合、懇親会場や食事のスタイル(着席か立食か)によって部門横断の会話が生まれやすいかどうかが変わります

合宿準備の逆算スケジュール

合宿は当日の設計だけでなく、準備期間の使い方で完成度が大きく変わります。特に会場の確保とアンケート回収は前倒しで動かないと、直前になって「会場が押さえられない」「参加者の期待値がバラバラなまま当日を迎える」という事態になりがちです。目安として、以下のような逆算スケジュールで準備を進めると無理がありません。

タイミングやること
3ヶ月前合宿の目的・対象者・類型(経営合宿型/実装ブートキャンプ型/幹部研修型)を確定し、会場候補を絞り込む。50名超の規模なら、この段階で会場を仮押さえする
2ヶ月前プログラムの大枠(タイムテーブル)を確定。外部ファシリテーター・研修会社に依頼する場合はこの時点で発注する
1ヶ月前参加者への事前アンケートを配布し、期待値と現状業務を集める。使用するAIツールのアカウント準備・権限設定を進める
2週間前回収したアンケートをもとに、業務棚卸しワークで扱う業務領域の当たりをつけておく。当日のチーム分けを確定する
1週間前当日の進行台本・タイムテーブルの最終確認。会場側との機材・食事・宿泊の最終調整
前日会場入り・機材テスト・Wi-Fi接続確認。可能であれば運営メンバーで簡単なリハーサルを行う

準備期間を通じて意識したいのは、「当日いきなり本番」にしないことです。事前アンケートで期待値をそろえ、業務棚卸しの当たりを事前につけておくだけで、当日の議論の立ち上がりが大きく変わります。合宿は準備の8割が事前に決まる、と捉えて逆算するのが実務的な進め方です。

合宿ならではの情報管理・セキュリティ配慮

合宿形式ならではの注意点として、社外の宿泊施設・貸会議室でAIツールを利用する際の情報管理があります。社内ネットワークから離れた環境でWi-Fiを利用する、私物端末を持ち込む参加者がいる、といった状況が発生しやすいため、事前に次の点を確認しておくと安全です。

  • 使用するAIツールが会社契約のアカウントか、個人アカウントかを事前に統一する
  • 会場のWi-Fiがセキュリティ上問題ないか、VPN利用が必要かを事前に確認する
  • 試作段階で実データを使う場合、機密性の高い顧客情報・個人情報は匿名化・ダミーデータに置き換えてから使う
  • 合宿後、試作物や議事録をどこに保存し、誰がアクセスできるかのルールを決めておく

AI活用を組織に定着させる際のガバナンス・体制設計の考え方は、AI推進担当 育成ガイド|中小企業の選び方・KPI・体制設計で詳しく解説しています。合宿で盛り上がった熱量を継続させるには、合宿後に旗振り役となる推進担当を置けるかどうかが分かれ目になります。

まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること: 自社の合宿目的が「経営合宿型」「実装ブートキャンプ型」「幹部研修型」のどれに当たるかを整理する
  2. 今週中: 上記テンプレ1(事前アンケート)を使って、参加予定者の期待値と現状業務を集める
  3. 今月中: モデルタイムテーブルを自社の日程・参加人数に合わせて調整し、社内で提案する

参考・出典


次回予告: 次の記事では「AI推進担当者が合宿後30日で何をすべきか」をテーマに、フォローアップ設計をさらに深掘りします。


著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

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佐藤傑
この記事を書いた人 佐藤傑

株式会社Uravation 代表取締役CEO/生成AIエバンジェリスト。法人向けAI研修・コンサルティングを手がけ、日経・SBクリエイティブ・GMO等のメディアで生成AIについて執筆。

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