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【2026年最新】コールセンターの仕事はAIでなくなるのか|残る仕事・新しい仕事

【2026年最新】コールセンターの仕事はAIでなくなるのか|残る仕事・新しい仕事

【2026年最新】コールセンターの仕事はAIでなくなるのか|残る仕事・新しい仕事

コールセンターの仕事は、丸ごと消えるのではなく「解体・再配分」されます。定型の一次対応や記録業務はAIに置き換わっていきますが、エスカレーション対応・感情労働・複雑な交渉は人が担う比重がむしろ増えます。ゼロから人がいなくなるわけではなく、業務の中身と評価基準が変わる、というのが公式データを見た上での実態に近い答えです。

この記事の要点

  • 「なくなる仕事」「残る仕事」「新しく生まれる仕事」の3分類で整理すると、不安の正体が見える
  • 矢野経済研究所・Gartner・KDDI・東京海上日動などの公式データから、実際の導入スピードと限界がわかる
  • AI導入後に本当に効くのは「ツール操作研修」ではなく、業務再設計とエスカレーション設計を含む研修

対象読者:コールセンター・コンタクトセンターを運営する企業のCS部門責任者・運営マネージャー・人事担当者。

読了後にできること:自社のセンター業務を「AIに任せる範囲」「人が担う範囲」に仕分け、研修設計の優先順位を1つ決められる。


「AIを入れたら、うちのセンターは半分の人数で回るようになりますか?」

AI研修にうかがうと、コールセンターやコンタクトセンターを運営する企業のCS部門責任者から、ほぼ毎回この手の質問が出ます。裏には「AIでなくなる仕事なら、今からうちのオペレーターに何を教えればいいのか」という切実な悩みがあります。ネットで検索すると「コールセンターはAIで消える」という煽り気味の記事と、「AIなんて使い物にならない」という現場の反発の両方が出てきて、結局どっちを信じればいいのか分からない、という声もよく聞きます。

この記事で書きたいのは、そのどちらでもありません。矢野経済研究所の市場調査、Gartnerの予測、そしてKDDI・東京海上日動といった企業の公式発表という「事実」に基づいて、今のコールセンターで何が起きているのかを整理します。そのうえで、AI導入後にオペレーターの仕事がどう変わり、エスカレーション設計や品質管理をどう作り直せばよいか、100社以上の企業のAI研修・導入支援を行ってきた実務的な視点から解説します。

結論を先取りすると、「AIでなくなる仕事」と「AIがあっても人にしかできない仕事」を先に線引きできた企業から、離職率の高いコールセンターの構造そのものを変えられています。逆に、この線引きをせずに「とりあえずAIツールを入れてみた」企業ほど、現場が混乱して定着に失敗しています。

※本記事は2026年7月時点で確認できる公式発表・調査データに基づいています。市場規模や導入率は今後の調査で更新される可能性があるため、最新の一次情報もあわせてご確認ください。

まず整理する:なくなる仕事・残る仕事・生まれる仕事の3分類

「コールセンター ai なくなる」と検索する方の多くは、「自分の仕事(あるいは部下の仕事)がなくなるのか」を知りたいはずです。まず結論を3分類で整理します。

分類該当する業務理由
①AIに置き換わりやすい仕事定型的なFAQ対応、営業時間・在庫などの単純な問い合わせ、通話後の要約・記録作成、一次受付の振り分け答えが決まっている/パターン化できるため、AIの精度が実用レベルに達している
②人に残る仕事クレーム・苦情対応、複雑な条件が絡む相談、契約・解約など重要な意思決定、感情的になっている顧客への対応、AIでは判断できない例外処理感情労働と複合的な判断が必要で、AIの誤対応リスクが顧客体験を大きく損なう領域
③新しく生まれる仕事AI応対の品質モニタリング・チューニング、エスカレーション基準の設計・更新、AIが出した回答案のレビュー、AIでは拾えない“予兆”の分析AIを運用する前提で、人がAIを管理・改善する役割が新設される

ポイントは、①がそのまま「解雇」に直結するとは限らないという点です。多くの企業では、①で浮いた工数を②③に再配分し、離職率の高いコールセンター業務そのものを立て直す方向に使っています。次の章で、この動きを裏付ける公式データを見ていきます。

もう一つ押さえておきたいのは、①〜③の境界線は業界・業務内容によって変わるということです。例えば料金プランの案内は多くの業種で①(AIに置き換わりやすい)に分類できますが、保険や金融のように商品説明自体に説明義務・重要事項の伝達が絡む業種では、同じ案内業務でも②(人に残る仕事)寄りになります。自社の境界線がどこにあるかは、業界の規制や過去のクレーム傾向を踏まえて個別に見極める必要があります。

数字で見るコールセンターAI導入の実態(矢野経済研究所調査)

矢野経済研究所が2025年9月〜2026年3月にかけて実施し、2026年3月16日に発刊した調査レポート「2026 コールセンター/BPO業界におけるAIの活用実態と展望」によると、コールセンターサービス事業者が提供するAIサービスの国内市場規模は、2024年度が90億円(前年度比150.0%)、2029年度には313億円に達すると予測されています。2023年度から2029年度までの年平均成長率(CAGR)は31.7%というハイペースです。

導入率については、一般企業のコールセンター部門を対象にしたアンケートで、生成AI活用サービスを「導入している」が19%、「導入していないが、導入の予定はある」が30%という結果でした。業務別に見ると、受注センターでの導入率が35.3%と最も高く、ヘルプデスク・問い合わせ対応・営業アウトバウンドでは導入予定が33〜34%台となっています。

興味深いのは規模による差です。同調査では、席数100席以上の大規模センターほど導入率が高く、99席以下の中小規模センターでは半数以上がまだ導入していないという結果が出ています。つまり「AIでコールセンターの仕事がなくなる」というのは、少なくとも2026年時点では、まだ全体の一部で起きている現象にすぎません。

実際に何が起きているのか — 公式発表からわかる3つの現在地

調査データだけでは実感が湧きにくいと思うので、実際に企業が公式に発表している事例を3つ紹介します。いずれも各社の公式プレスリリース・ニュースルームで確認できる内容です。

事例区分: 公開事例
以下はいずれも各社が公式に発表している内容です。効果数値は各社の見込み値であり、業種・業務内容が異なる自社にそのまま当てはまるとは限りません。

① CTC×PKSHA×東京海上日動 — 通話のリアルタイム文字化と応対時間削減

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と株式会社PKSHA Technologyは2026年3月4日、東京海上日動火災保険のコンタクトセンター業務に「AIを活用した業務支援基盤」を導入したと発表しました。通話内容をリアルタイムでテキスト化し、問い合わせ内容を自動認識して回答案をオペレーターに提示する仕組みで、入電から通話中、終話後の管理業務まで一貫してAIが支援する態勢を構築しています。

東京海上日動コミュニケーションズでは、年間200万件超の入電に対して、顧客向けで最大約30%(約58,000時間)、代理店向けで最大約10%(約32,000時間)の応対時間削減を見込んでいます。ここで削減されているのは「通話時間」そのものより、通話後の記録・要約にかかっていた時間が中心です。

② KDDI — 自律型AIエージェントによる問い合わせ対応

KDDIは2026年3月10日、お客さまセンターの応対実績をもとに独自開発した自律型AIエージェントによる問い合わせ対応を開始したと発表しました。まずはau PAY、au PAYカード、Pontaポイントに関する問い合わせから対応を始め、2026年度中にau全サービスへ順次拡大する計画です。

提供チャネルは、音声とデジタルヒューマンを組み合わせた「auサポート AIアドバイザー」、My auアプリ・LINEのauサポートアカウント・Webチャットです。特徴的なのは、あらかじめ決められたテンプレート的な受け答えではなく、コミュニケーション履歴から顧客の困りごとを抽出し、聞き返しや確認を交えながら会話形式で対応できる点です。開発・実装はARISE analyticsが支援しています。

③ アフラック生命保険×OpenAI — 国内生保で初めての人員半減計画

日本経済新聞の報道によると、アフラック生命保険は米OpenAIと提携し、オペレーターのAIアバターが音声で応対するシステムを2025年8月に導入。約1,600人いるコールセンター担当者を2031年までに半減させる計画を進めています。投資額は170億円、コスト削減見込みは500億円と報じられています。

この事例が注目されているのは、単なる業務支援ではなく「人員そのものの置き換え」に踏み込んでいる点です。国内の生命保険会社でここまで明確な人員削減計画を打ち出したのは初めてとされています。ただし、削減完了は2031年という6年がかりの計画であり、「AIを入れたら翌月から半減」という話ではないことにも注意が必要です。

「オペレーターは要らなくなる」と決めつけてはいけない理由(Gartner予測)

ここまで読むと「やっぱりAIで人が減るんだ」と不安になるかもしれません。ただし、調査会社Gartnerの予測を見ると、話はそう単純ではありません。

Gartnerは2022年8月31日のプレスリリースで、「会話型AIは2026年までにコンタクトセンターのエージェント人件費を800億ドル削減する」と予測しました。同時に、2026年までにエージェントの対応のうち自動化されるのは10件に1件程度(当時の推計で約1.6%からの増加)にとどまるとも述べています。つまり、コスト削減効果は大きくても、対応の大部分は依然として人が担う前提の予測です。

さらにGartnerは2025年6月10日、新しいプレスリリースで「AIを理由にカスタマーサービス部門の人員削減を計画していた組織のうち50%が、2027年までにその計画を撤回する」という予測を発表しました。理由は、AIが失敗したからではなく、「人件費を削ることと、顧客に価値を届けることは同じではない」と気づく企業が増えているためだとされています。

この2つの予測を重ねると見えてくるのは、「AIで対応件数の一部は自動化されるが、人員をそのまま比例して減らそうとすると、多くの企業が後で計画を修正することになる」という現実です。研修先でも「AI導入=即座に大幅減員」と考えていた経営層に、この視点を共有すると、採用計画や研修投資の判断がかなり変わります。

実務的な言い方をすると、「AI導入後の人員計画を、削減ありきで固定してしまう」のがリスクの高い進め方です。まずは①に分類した業務からAIに任せ、実際にどれだけ工数が浮くのかを数か月単位で計測してから、中長期の人員計画に反映する。この順番を守るだけで、Gartnerが指摘する「計画の後戻り」を避けやすくなります。

AI導入後、オペレーターの仕事はどう変わるか — 業務再設計の実務

ある製造業のカスタマーサポート部門を統括する方から、こんな相談を受けたことがあります。「AIチャットボットを入れたら問い合わせ件数は減ったのに、オペレーターの残業は減らなかった」というものでした。原因を一緒に整理すると、AIが定型問い合わせを吸収した分、残った問い合わせは「AIでは解決できなかった複雑な案件」ばかりになっており、1件あたりの対応時間がむしろ増えていたことが分かりました。件数だけを見て「AIで楽になったはず」と考えると、この構造変化を見落とします。

業務AI導入前AI導入後
一次対応すべてオペレーターが受電定型問い合わせはAIが一次対応、複雑案件のみ有人へ
通話後処理オペレーターが手入力で要約・記録AIが自動要約、オペレーターは内容確認・修正のみ
対応の中身定型対応と例外対応が混在例外対応・感情労働・重要判断に業務が集約
評価基準対応件数・平均処理時間(AHT)中心解決率・顧客満足度・エスカレーション判断の精度も評価対象に
必要スキルマニュアル通りの応対力AI回答案のレビュー力、複雑案件の交渉力、AIの誤りに気づく力

この変化を前提にすると、AI導入プロジェクトで最初にやるべきは「ツールの選定」ではなく、「どの業務をAIに渡し、どの業務を人に残すかの線引き」と「評価基準の見直し」です。ここを曖昧にしたまま導入すると、前述の相談のように「AIを入れたのに現場が楽にならない」状態に陥ります。

あわせて重要なのが、浮いた工数の「配置転換」を具体的に示すことです。「AIで工数が浮いたら他部署に異動させられるのでは」という不安を持つオペレーターは少なくありません。実際には、①で紹介したように新しく生まれる仕事(AI回答案のレビュー、エスカレーション基準の更新、品質モニタリングの分析)が受け皿になるケースが大半です。この受け皿を先に社内で言語化しておくかどうかで、AI導入時の現場の空気は大きく変わります。次のようなプロンプトで、配置転換の選択肢を整理してから現場に説明すると、不安の解消につながります。

あなたは組織開発コンサルタントです。
コールセンターへのAI導入により、定型対応の一部がAIに移管される前提で、
既存オペレーターのキャリアパス・配置転換の選択肢案を作成してください。

【現在の主な業務】[例:電話一次対応、通話後の記録入力]
【AI導入後に増える業務】[例:AI回答案のレビュー、エスカレーション対応]
【組織の制約】[例:大規模な部署異動は想定していない、同一部署内での役割変更が前提]

出力してほしいもの:
1. 「AI運用担当」「エスカレーション対応専任」など新設しうる役割の案(3〜5個)
2. 各役割に必要なスキルと、既存業務からの習得しやすさ
3. 社内説明時に使える「不安に答えるQ&A」の骨子

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エスカレーション設計の考え方 — AIから人へのバトンタッチをどう作るか

AI導入プロジェクトで最も軽視されがちなのが、AIから人への「バトンタッチ」の設計です。エスカレーション設計が甘いと、AIが答えられない質問に無理やり答えようとして誤情報を出したり、逆に簡単な質問まで人に丸投げしたりします。設計の勘所は次の3つです。

  1. エスカレーション基準を先に文書化する:「AIの確信度が一定水準を下回ったら人へ」「特定キーワード(解約・苦情・法的トラブル等)が出たら即人へ」など、判断基準を先にドキュメント化する
  2. 引き継ぎ情報を欠落させない:AIが聞き取った内容を、顧客に同じことをもう一度説明させずにオペレーターへ引き継げる設計にする(顧客体験を損なう最大の原因はここ)
  3. 「AIの判断ミス」を検知する仕組みを持つ:AIが本来エスカレーションすべき案件を自己判断で処理してしまっていないか、定期的にサンプル検証する

この基準づくりは、AI自体にたたき台を作らせると早く進みます。以下は実際に研修で使っているプロンプトの一例です。

あなたはコンタクトセンターの業務設計コンサルタントです。
以下の情報をもとに、AI一次対応から有人オペレーターへのエスカレーション基準案を作成してください。

【業種】[業種を記入]
【AIが一次対応する想定業務】[例:料金案内、契約内容照会、簡単な手続き案内]
【絶対に人へつなぐべき事象】[例:解約、クレーム、法的トラブルの兆候]

出力してほしいもの:
1. エスカレーション基準表(判断軸・具体的トリガー・エスカレーション先)
2. AIが誤って自己完結しそうな「グレーゾーン」の具体例5つ
3. 引き継ぎ時に欠落させてはいけない情報項目リスト

このプロンプトで出てくるのはあくまで「たたき台」です。必ず現場のベテランオペレーター・SVを交えてレビューし、実際のクレーム事例と突き合わせて修正してから運用に落とし込んでください。

品質管理(QA)はどう変わるか — 全件モニタリング時代のオペレーター評価

研修先のQA(品質管理)担当者から、「今までは月に数件しか通話を抜き取りチェックできなかったが、AIが全件テキスト化してくれるようになった」という声をよく聞きます。これは大きな変化です。従来のサンプリング型QAでは、たまたま問題のある対応が抜き取り検査で見つからないケースがありましたが、AIによる全件モニタリングでは対応品質のばらつきが可視化されやすくなります。

一方で、これは「AIが評価する=機械的に減点される」という不安をオペレーターに与えがちです。実際にある企業のオペレーターから、「AIに全部見られていると思うと怖い」という率直な相談を受けたこともあります。ここで大事なのは、AIモニタリングを「監視」ではなく「育成」の道具として位置づけることです。個人を追及する材料ではなく、チーム全体の応対パターンから改善点を見つけるためのデータとして使う、という運用方針を最初に明文化しておく必要があります。

QA担当者がAIの分析結果を業務に落とし込む際に使えるプロンプト例です。

あなたはコンタクトセンターのQA(品質管理)担当です。
以下はAIが自動生成した通話要約とタグ(対応時間・感情スコア・エスカレーション有無)のサンプルです。

[通話要約・タグのデータを貼り付け]

以下を整理してください:
1. 個人の評価ではなく、チーム全体で共通して見られる改善パターン3つ
2. 上記の改善パターンに対する、オペレーター育成の観点での具体的な研修テーマ案
3. AIの要約・タグ付け自体に誤りがありそうな箇所(人によるダブルチェックが必要な箇所)

【要注意】AI導入で崩れるコールセンターの失敗パターン

複数の企業のAI導入を見てきた中で、繰り返し起きている失敗パターンを4つ紹介します。

失敗1:AIの回答をノーチェックでそのまま顧客に出す

❌ AIが生成した回答案を、オペレーターが確認なしにそのまま読み上げる/送信する運用にしてしまう。
⭕ 特に金額・契約条件・法的な内容に関わる回答は、AI案を「たたき台」として必ず人が最終確認する運用にする。
なぜ重要か:AIの誤回答がそのまま顧客に届くと、クレームや契約トラブルに直結し、AI導入自体への不信につながります。

失敗2:AI導入と同時に評価基準(AHT至上主義)を変えない

❌ AI導入後も「処理件数」「平均処理時間(AHT)」だけでオペレーターを評価し続ける。
⭕ AI導入で残った案件は難易度の高いものが中心になるため、解決率・顧客満足度・エスカレーション判断の適切さも評価に組み込む。
なぜ重要か:評価基準を変えないまま難易度の高い案件だけが残ると、オペレーターの評価が不当に下がり、離職につながります。

失敗3:現場を巻き込まずにトップダウンで導入する

❌ 経営層とベンダーだけでAI導入を決め、現場のオペレーター・SVには導入後に知らせる。
⭕ エスカレーション基準やFAQ精度は、実際に電話を受けているオペレーターの知見なしには作れない。設計段階から巻き込む。
なぜ重要か:現場の実感と乖離した基準を作ると、AIの回答精度が上がらず、結局オペレーターがAIの尻拭いをする羽目になります。

失敗4:「AIツールの操作説明会」を研修だと思ってしまう

❌ AIツールの画面操作を1回説明して終わり、という研修で導入完了とみなす。
⭕ 業務の線引き、エスカレーション判断、AIの誤りに気づく力までを含めた研修設計にする(詳しくは次章)。
なぜ重要か:操作研修だけでは、AIが誤答した時にオペレーターが気づけず、そのまま顧客対応に反映されてしまうリスクが残ります。

定着に必須なのは「AI操作研修」ではなく「業務再設計研修」

ここまで見てきたように、コールセンターへのAI導入で失敗する企業の多くは「ツールの使い方」だけを教えて終わっています。実際に定着している企業に共通するのは、研修の中身が次の3層になっている点です。

  1. AIリテラシー層:AIが何を得意とし、何を苦手とするかの正しい理解(過信も不信も避ける)
  2. 業務設計層:自社の業務のうちどこをAIに渡し、どこを人が担うかの線引きとエスカレーション基準の設計
  3. 実践・評価層:AI回答案のレビュー方法、新しい評価基準のもとでの実践、継続的な改善サイクル

Uravationでは、企業向けの生成AI研修プログラムをこの3層構造で設計しています。カリキュラム設計・効果測定・定着までの考え方は、生成AI研修プログラム設計完全ガイドで詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。

また、コールセンター業務は雇用保険適用事業所であれば、研修費用に人材開発支援助成金を活用できるケースがあります。助成金の対象要件や申請の流れは生成AI研修と助成金活用の完全ガイドにまとめています。研修コストを抑えながら業務再設計に踏み込みたい企業は、あわせてご確認ください。

研修カリキュラムのたたき台を作る際に使っているプロンプト例です。

あなたは企業向けAI研修の設計コンサルタントです。
以下の情報をもとに、コールセンター部門向けのAI研修カリキュラム案を作成してください。

【対象人数・役職】[例:オペレーター30名、SV5名]
【現在のAI活用状況】[例:通話要約AIを試験導入中、本格運用はこれから]
【研修のゴール】[例:AI回答案を適切にレビューできる、エスカレーション判断ができる]

出力してほしいもの:
1. 研修を「AIリテラシー」「業務設計」「実践・評価」の3層に分けたカリキュラム案(各回のテーマ・時間配分)
2. 各層で使うべき演習内容の具体例
3. 研修後の効果測定に使える指標案

より本格的にAI導入と組織体制を含めて設計したい場合は、生成AI企業研修サービスで、業務設計からエスカレーション基準づくり、研修実施まで一貫してご相談いただけます。

セキュリティと運用ルールの最低限

コールセンター業務は個人情報・契約情報を扱うため、AI導入時のセキュリティ設計も欠かせません。最低限おさえるべきは次の3点です。

  • 通話データ・顧客情報の取り扱い範囲を明文化する:AIベンダーが学習に利用するか、保存期間はどのくらいかを契約前に確認する
  • 個人情報保護法・業界固有の規制との整合を確認する:金融・保険・医療関連は特に、業界ガイドラインとの整合を法務部門と確認する
  • アクセス権限を業務範囲で分ける:AIの管理画面・分析結果に誰がアクセスできるかを、役職・業務範囲に応じて設定する

あわせて、AI導入直後は現場から「これは本当に安全なのか」「自分たちの通話はどう使われるのか」という質問が必ず出ます。導入初期の社内FAQを事前に整備しておくと、現場の不安と反発を大きく減らせます。

あなたは社内広報・労務の担当者です。
コンタクトセンターへのAI導入にあたり、現場のオペレーターから寄せられそうな
不安・疑問に答える社内向けFAQを作成してください。

【導入するAIの機能】[例:通話のリアルタイム文字化、要約、回答案の提示]
【データの取り扱い方針】[例:通話データは要約後○日で削除、第三者への提供なし]
【評価制度への影響】[例:AI利用状況を個人評価には使わない方針]

出力してほしいもの:
1. 想定される不安・疑問リスト(最低8項目)
2. それぞれへの誠実な回答案(曖昧な表現を避け、決まっていないことは「検討中」と明記)
3. 説明会で使えるQ&Aセッションの進行案

参考・出典

まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること:自社のコールセンター業務を「なくなる仕事・残る仕事・生まれる仕事」の3分類で1枚の紙に書き出してみる
  2. 今週中:現場のSV・ベテランオペレーターを交え、エスカレーション基準のたたき台を紹介したプロンプトで作成してみる
  3. 今月中:AI導入後を見据えた評価基準の見直しと、業務再設計を含む研修計画の検討を始める

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次回予告:次の記事では「AI導入後の評価制度をどう作り直すか」をテーマに、コールセンター部門の人事評価設計をさらに深掘りします。


著者:佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

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佐藤傑
この記事を書いた人 佐藤傑

株式会社Uravation 代表取締役CEO/生成AIエバンジェリスト。法人向けAI研修・コンサルティングを手がけ、日経・SBクリエイティブ・GMO等のメディアで生成AIについて執筆。

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