結論: 2026年7月14日、OpenAIはChatGPTに「チャット・プロジェクト・画像・ドキュメントを横断検索できる新機能」を追加し、無料プランからEnterpriseまで全プランで同時提供を開始しました。
この記事の要点:
- 要点1: サイドバーの検索窓から、過去のやり取り・アップロード画像・ドキュメント・プロジェクトを1つのキーワードで横断的に検索できる(Web/iOS/Android対応)
- 要点2: Free・Go・Plus・Pro・Business・Enterpriseの全プランで同時提供。追加料金なし
- 要点3: Business/Enterprise管理者は、この機能追加を機に「データ保持ポリシー(最低90日)」と「ロール別の検索・コネクタ権限」を再確認しておく必要がある
対象読者: ChatGPTを業務で使っている担当者、ChatGPT Business/Enterprise導入・運用を担う情報システム部門・管理者
読了後にできること: 自社のChatGPTアカウントで横断検索を試し、Business/Enterprise管理者であればデータ保持設定の確認ポイントをチェックできる
「あのやり取り、たしかどこかのチャットでAIに聞いた気がするんだけど、どのスレッドだったか思い出せない」
Uravationの生成AI研修では、こうした相談を本当によく受けます。ChatGPTを日常的に使い込んでいる方ほど、チャット履歴が数百件を超え、「議事録の要約を作った回」や「見積書のたたき台を作った回」がどこにあるか分からなくなっていくのです。プロジェクト機能でフォルダ分けをしていても、フォルダをまたいだ検索ができず、結局は自分の記憶を頼りに延々とスクロールする、という声を何度も聞いてきました。
この課題感は、企業でChatGPTを本格導入している現場ほど強く出ます。個人利用なら「まあいいか」で済みますが、Business/Enterpriseプランで複数人がプロジェクトを回している組織では、「あの案件のやり取りをどこかで誰かがChatGPTに聞いていたはずなのに、探せない」という状態は、そのままAI活用の再現性の低さに直結します。
2026年7月14日、OpenAIはこの課題にほぼそのまま応える形で、ChatGPTのサイドバーに新しい横断検索機能を追加しました。この記事では、何が変わったのかというファクトの整理と、業務で今日から使える検索・活用テンプレ、そしてBusiness/Enterprise管理者が確認しておくべき設定ポイントを、コピペで使えるプロンプト付きで解説します。
ChatGPT横断検索とは何が変わったのか
まず、今回のアップデートで実際に何が起きたのかを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年7月14日(米国時間) |
| 機能概要 | 過去のチャット・画像・ドキュメント・プロジェクトを、サイドバーの検索窓から1つのキーワードで横断検索 |
| 対応プラン | Free / Go / Plus / Pro / Business / Enterprise(全プラン同時提供・追加料金なし) |
| 対応環境 | Web(chatgpt.com)、iOS、Androidアプリ |
| 検索結果の絞り込み | コンテンツの種類(チャット/画像/ドキュメント/プロジェクト)でフィルタ可能 |
| 結果の開き方 | 検索結果を選択すると該当のチャットやファイルをChatGPT上で直接開ける |
これまでもChatGPTには左サイドバーの履歴一覧やプロジェクト機能はありましたが、あくまで「フォルダを自分でたどる」形式でした。今回の変更のポイントは、フォルダやプロジェクトの垣根を越えて、コンテンツ種別を横断した検索ができるようになったことです。「あの資料、どのプロジェクトに入れたっけ」という探し方から、「あのキーワードで検索する」という探し方に変わった、と捉えるとイメージしやすいと思います。
ChatGPTの基本的な業務活用の全体像については、ChatGPTビジネス活用完全ガイドで部門別の使い方や料金プランを体系的にまとめています。あわせてご覧ください。
使い方:業務で今日から試せる検索テンプレ5選
横断検索は「検索窓にキーワードを打つだけ」で使えますが、業務での再現性を高めるには、検索キーワードの型を決めておくと探しやすくなります。実際に研修でおすすめしている検索テンプレと、検索後にヒットしたチャットへ投げる追加プロンプトを5つ紹介します。
テンプレ1:案件名+アウトプット種別で絞り込む
[案件名/クライアント名] 議事録
[案件名/クライアント名] 見積もり
[案件名/クライアント名] 提案書効果: 「案件名」と「アウトプット種別」の2語だけで検索すると、同じ案件について複数回に分けてやり取りしたチャットが一覧で並びます。フォルダ分けを忘れていた過去チャットも拾えるのが横断検索の強みです。
テンプレ2:見つけたチャットの要点を横断的に要約させる
このチャットで最終的に決まった結論・数値・次のアクションだけを、
箇条書き3行で要約してください。曖昧な表現は使わず、
決定事項と未決事項を分けて書いてください。効果: 検索でヒットした古いチャットを開いた直後にこのプロンプトを投げると、長いやり取りを読み返さずに「結局何が決まっていたか」だけを即座に取り出せます。数ヶ月前の議論を再開するときに特に有効です。
テンプレ3:アップロードした画像・スクリーンショットを探す
[月/日]頃にアップロードした[請求書/契約書/グラフ]の画像を探して効果: 画像もフィルタ対象に含まれるため、「あの時アップロードしたスクリーンショット」を過去チャットをたどらずに直接引き当てられます。経費精算や契約書の再確認など、探す手間が一番かかっていた作業です。
テンプレ4:複数プロジェクトをまたいだタスクの棚卸し
[プロジェクト名]に関連する全チャットから、
「まだ実行していない」「決定待ち」の状態にあるタスクだけを
抽出して一覧にしてください。担当者や期限の記載があれば含めてください。効果: プロジェクトが複数に分かれてしまっている場合でも、検索でヒットしたチャット群を横断してタスクの棚卸しができます。週次のプロジェクト振り返りに使うと、抜け漏れの発見につながります。
テンプレ5:チーム共有前の要点整理(Business/Enterprise向け)
このチャットの内容を、社内の[部署名]チームに共有するための
サマリーに整形してください。専門用語は避け、
「背景」「結論」「次のアクション」の3段構成でお願いします。効果: 横断検索で見つけた有用なやり取りをチーム展開する際、そのまま共有するのではなく、この型で整形してから共有すると、社内での再利用性が上がります。
部門別に見る横断検索の使い道
事例区分: 想定シナリオ
以下は100社以上のAI研修経験をもとに構成した、典型的な活用シーンです。特定の企業の実データではありません。
営業部門:商談履歴の横断参照
商談前に「過去に同じ業界のクライアントとどんなやり取りをChatGPTにさせたか」を横断検索で振り返るという使い方が考えられます。過去に作った提案骨子やQ&A想定を、案件名や業界名で検索して引っ張り出し、そのまま今回の商談準備の土台にするイメージです。プロジェクトを商談ごとに分けていても、「業界名」で串刺し検索できるため、似た業種の過去ノウハウを取りこぼしにくくなります。
管理部門:問い合わせ対応の再利用
経理・総務・人事のような管理部門では、同じような質問に繰り返し対応する場面が多くあります。「経費精算 上限」「有給 申請方法」のように、過去にChatGPTへ確認した際のやり取りを検索し、回答テンプレとして再利用する運用が考えられます。属人化しがちな「あの時どう答えたか」を、担当者の記憶ではなく検索で再現できるようになる点が、管理部門にとっての実務的なメリットです。
情報システム部門:導入初期のナレッジ集約
ChatGPT導入初期は、各部署から「これはどう使えばいいか」という質問がIT部門に集中しがちです。過去に似た質問に回答したチャットを横断検索で見つけて再利用すれば、同じ説明を毎回ゼロから書く手間を減らせます。社内FAQを別途整備する前段階として、横断検索を暫定的なナレッジベースのように使う、という考え方もできます。
よくある質問
Q. 無料(Free)プランでも横断検索は使えますか
使えます。OpenAIの発表によれば、今回の横断検索はFree・Go・Plus・Pro・Business・Enterpriseの全プランで同時に提供されており、無料プランだからといって機能が制限されているわけではありません。
Q. どのくらい昔のやり取りまで検索対象になりますか
検索対象となる期間は、基本的にはアカウント内に保存されているチャット履歴の範囲に準じます。ただしBusiness/Enterpriseのワークスペースでは、管理者が設定したデータ保持ポリシー(最低90日〜カスタム設定)によって、そもそも保存されている履歴の期間自体が変わります。「検索できる」ことと「保存されている」ことは別軸の設定なので、両方を確認しておくと安全です。
Q. 横断検索の利用によって、追加の費用は発生しますか
発表内容を確認する限り、横断検索は既存プランの機能拡張として提供されており、追加料金の記載はありません。
Q. 検索でヒットした内容を他のプロジェクトに移動できますか
検索結果からは該当のチャットやファイルを直接開くところまでが基本機能です。プロジェクト間でのやり取りの移動・整理については、通常のプロジェクト管理の操作に準じます。運用ルールとしては、検索で見つけた有用なやり取りは、テンプレ2・5のように要約してから該当プロジェクトに転記する形が扱いやすいでしょう。
企業管理者が確認すべき3つの設定ポイント
ここからはBusiness/Enterprise管理者向けの内容です。今回の横断検索は便利さが際立つ一方で、「検索できる」ということは裏を返せば「社内に蓄積されたやり取りが、検索によって見つけやすくなった」ということでもあります。導入企業の情報システム担当の方には、この機会に以下の3点を確認しておくことをおすすめしています。
1. データ保持ポリシーの設定期間
ChatGPT Business/Enterpriseのワークスペース管理者は、データ保持期間を最低90日からカスタム設定できます。横断検索によって古いやり取りへのアクセス性が上がるため、「どこまで遡って検索・参照できる状態にしておくか」を、社内の情報管理ルールと照らし合わせて再確認しておくとよいでしょう。特に、退職者のアカウント整理や、機密度の高いプロジェクトのチャットの扱いは、検索性が上がったこのタイミングで棚卸ししておく価値があります。
2. ロール別の検索・コネクタ権限
Enterprise/Edu管理者は、コネクタ・プロジェクト・GPTs・検索などの機能についてカスタムロールとグループ単位の権限を設定できます。横断検索が全社員にとって「見える範囲」を広げる機能である以上、部署ごとに閲覧してよい情報の範囲が異なる場合は、権限設計を見直すタイミングとして活用できます。
3. 社内展開時の周知
横断検索は便利な反面、「過去に何気なく入力した内容が、後から誰かに簡単に見つけられる状態になる」という感覚を従業員に持ってもらうことも重要です。機密情報や個人情報をチャットに直接貼り付けない運用ルールは、以前から必要でしたが、検索性が上がった今こそ、改めて社内周知するタイミングとして適しています。ChatGPT Enterpriseの導入・セキュリティ設計全般については、ChatGPT Enterprise導入|セキュリティと社内展開ガイドで詳しく解説しています。
検索精度を上げる3つのコツ
横断検索の使い勝手は、検索キーワードの組み立て方次第で大きく変わります。研修の現場で実際に効果が出やすかったコツを3つ紹介します。
コツ1:固有名詞から入れる
「見積もり」「議事録」のような一般名詞だけで検索すると、日常的にChatGPTを使い込んでいる人ほどヒット件数が膨大になります。まず案件名・企業名・製品名などの固有名詞を先頭に置き、そのあとにアウトプット種別を続けると、ヒット件数が現実的な範囲まで絞れます。
コツ2:コンテンツ種別フィルタを先に使う
「探しているのは画像なのか、テキストのやり取りなのか」があらかじめ分かっている場合は、キーワードを入力する前にフィルタでコンテンツ種別(チャット/画像/ドキュメント/プロジェクト)を絞ってから検索すると、余計なノイズを減らせます。特に画像を探すときは、フィルタなしだと関連するテキストのやり取りに埋もれがちです。
コツ3:日付の手がかりを覚えておく
横断検索自体に日付フィルタの詳細な指定機能があるかはケースによりますが、「だいたい先月」「四半期の頭あたり」のようなおおまかな時期の記憶があると、キーワード検索と組み合わせたときにヒット結果の中から目的のチャットを見つけやすくなります。案件の節目ごとに簡単なメモを残しておくと、後から探すときの手がかりになります。
【要注意】横断検索でよくある使い方の失敗パターン
失敗1:検索キーワードが曖昧すぎる
❌ よくある間違い: 「あの資料」「先週のやつ」のような曖昧な単語だけで検索してしまう
⭕ 正しいアプローチ: 案件名・固有名詞・アウトプット種別(議事録・見積もり等)を組み合わせて検索する
なぜ重要か: 検索精度はキーワードの具体性に依存します。研修でも、最初は「資料」だけで検索して結果が多すぎると戸惑う方が多いのですが、固有名詞を1つ足すだけでヒット数が大きく絞り込めることを体験してもらうと、すぐにコツをつかんでもらえます。
失敗2:見つけたチャットをそのまま社内共有してしまう
❌ よくある間違い: 検索でヒットした生のやり取りをスクリーンショットでそのままチームに共有する
⭕ 正しいアプローチ: テンプレ2・5のように、要約・整形させてから共有する
なぜ重要か: AIとの生のやり取りは試行錯誤の過程を含むため、そのまま共有すると誤解を招くことがあります。研修先でも、途中の間違ったAIの回答まで一緒にスクリーンショットで送ってしまい、混乱を招いたというケースを見たことがあります。
失敗3:全社検索性が上がったことを従業員に周知しないまま運用する
❌ よくある間違い: 機能追加をIT部門だけが把握し、現場には特に案内しない
⭕ 正しいアプローチ: 「過去のやり取りが検索しやすくなった」ことと、「機密情報の扱い方は変わらず注意が必要」であることをセットで周知する
なぜ重要か: 便利になった分だけ、情報の扱い方への意識も同時にアップデートする必要があります。ここを怠ると、便利な機能が思わぬ情報管理リスクに変わってしまいます。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 自分のChatGPTのサイドバー検索窓で、直近扱った案件名を打ち込み、横断検索を試す
- 今週中: テンプレ2・4を使って、進行中プロジェクトのタスク棚卸しを1件やってみる
- 今月中: Business/Enterprise管理者であれば、データ保持期間とロール別権限の設定を一度見直す
ChatGPT Business/Enterpriseの料金体系や導入手順を体系的に知りたい方は、ChatGPT Enterprise料金|Team比較・導入手順もあわせてご覧ください。Teamプランからの移行やデータ移行で気をつけるべき点は、ChatGPT Team解約とデータ移行の注意点で解説しています。
次回予告: 次回は、企業が生成AIツールを複数併用する際の「情報の一元化」をテーマに、横断検索を含めた実務的な運用設計をお届けする予定です。
参考・出典
- OpenAI、「ChatGPT」に新しい検索機能 ~チャットやプロジェクト、ファイルを横断検索/Web、モバイルで。無償ユーザーにも — Impress Watch(参照日: 2026-07-16)
- ChatGPT Turns Into a Searchable Knowledge Base: Every Conversation Now Findable — Tech Times(参照日: 2026-07-16)
- ChatGPT Enterprise & Edu – Release Notes — OpenAI Help Center(参照日: 2026-07-16)
著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
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