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【2026年7月最新】Grok 4.5徹底解説|「Opus級」モデルの正体

【2026年7月最新】Grok 4.5徹底解説|「Opus級」モデルの正体

結論: 2026年7月8日、xAI(2026年7月6日に社名を「SpaceXAI」へ統一。以下xAIと表記)は新モデル「Grok 4.5」を発表した。イーロン・マスクは自身のポストで「Opus-classモデルだが、より高速・低コスト・高トークン効率」と位置づけ、AIコーディングエディタCursorと共同トレーニングされた点が最大の特徴だ。

この記事の要点:

  • 要点1: 料金は入力$2・出力$6(100万トークンあたり)で、Claude Opus 4.8($5/$25)やGPT-5.6 Sol($5/$30)より大幅に安い
  • 要点2: xAI公表のベンチマーク4指標中、Terminal-Bench 2.1とDeepSWE 1.0でOpus 4.8を上回るが、DeepSWE 1.1とSWE-Bench Proでは下回る「価格対性能」型モデル
  • 要点3: 巷で噂の「Grok 5」(6兆パラメータ級)とは別物。Grok 4.5は1.5兆パラメータ級の基盤(V9系)を使った”今すぐ現場に投入できる”実務モデルという位置づけ

対象読者: AIモデル選定を担当する開発リーダー・情報システム部門・生成AI活用を検討する経営層

読了後にできること: 公式一次情報に基づく料金・仕様・ベンチマークを踏まえ、自社のコーディング/エージェントタスクにGrok 4.5を試すべきか判断できる


「また新しいAIモデルが出たけど、今度は何が変わったの?」

AI導入支援や研修の現場では、新モデルが出るたびに似たような質問を受けます。今回のGrok 4.5は、その中でもやや毛色が違いました。イーロン・マスク本人が「Opus-classモデル」と名指しで競合(Anthropic Claude Opus)を引き合いに出したうえで、「より速く、よりトークン効率が高く、より安い」と断言したからです。しかも今回は、2026年6月にxAIの親会社であるSpaceXが600億ドルで買収に合意したばかりのAIコーディングエディタ「Cursor」と共同でトレーニングされたという、これまでのGrokにはなかった特徴を伴っています。

2026年に入ってからのxAIは、2月のSpaceXとの合併、6月のIPO、そして7月上旬のCursor買収合意と7月6日の「SpaceXAI」への社名統一と、立て続けに大きな動きがありました。Grok 4.5はその流れの中で送り出された、上場後初のモデルリリースです。

この記事では、公式発表・公式ドキュメント・複数の一次情報を突き合わせたうえで、Grok 4.5の料金・仕様・ベンチマーク・前世代からの進化・他社フラッグシップとの違い・実務での使いどころまでを一通り整理します。数字は極力公式ソースに基づき、報道ベースで未確定な項目は「未確定」と明記しています。

結論を先に言うと、Grok 4.5は「全部門で最強」のモデルではありません。ただし価格とトークン効率の面では、2026年7月時点のフラッグシップ級の中でも際立った位置にいます。以下、順番に見ていきましょう。

最終更新:2026年7月

Grok 4.5とは — 定義と発表の要点

Grok 4.5とは、xAI(SpaceXAI)が2026年7月8日に発表した、コーディング・エージェントタスク・知識作業に特化したAIモデルです。モデルID(API)はgrok-4.5で、コーディングエディタ「Cursor」と共同でトレーニングされている点が最大の特徴です。xAIはこれを「最も賢く高速なモデル」と位置づけ、Grok Build(xAIのコーディングツール)のデフォルトモデルとして採用しているほか、Cursorの全プランおよびxAI APIから利用できます。

イーロン・マスクは自身の投稿で次のように述べています。

“It is an Opus-class model, but faster, more token-efficient and lower cost”
(日本語訳:Opus-classのモデルだが、より高速で、よりトークン効率が高く、より低コストだ)

ここでの「Opus」はAnthropicのフラッグシップモデル「Claude Opus」シリーズを指します。マスクは別の文脈で「Grok 4.5はOpus 4.7とおおむね同等の実力だが、はるかに高速」とも発言したと報じられています。一方で、xAIが公式に公表したベンチマーク比較表の対戦相手は「Opus 4.8」であり、両者は混同しないよう注意が必要です(詳細は後述)。

なお「Opus-class」という表現自体は、xAI側のポジショニング(マーケティング上の主張)であり、第三者機関による独立検証済みの格付けではありません。この点は複数の分析記事でも指摘されています。読者としては、キャッチコピーをそのまま鵜呑みにせず、次章以降で紹介する公式スペック・ベンチマーク・料金を自分の目で確認したうえで判断することをおすすめします。

何が起きたのか — 発表の全体像をファクトで整理

項目内容
発表日2026年7月8日(水)
発表元xAI(2026年2月にSpaceXと合併、2026年7月6日に社名を「SpaceXAI」に統一。開発者向けドキュメントは引き続きx.aiドメインで提供)
モデルIDgrok-4.5(Chat API)
位置づけコーディング・エージェントタスク・知識作業向け。Grok Buildのデフォルトモデル
提供経路Grok Build/Cursor(全プラン)/xAI API/SpaceXAIコンソール
料金入力$2.00・出力$6.00(100万トークンあたり)
コンテキスト500,000トークン(xAI公式ドキュメント記載)
出力速度xAI公式発表で約80トークン/秒、Artificial Analysis実測で87.6トークン/秒
推論レベル低・中・高から設定可能(既定は「高」)
学習基盤数万基のNVIDIA GB300 GPUで学習。一部報道では1.5兆パラメータ級の「V9」系基盤(コード名Grok V9-Medium)がベースと伝えられるが、xAI公式ブログはパラメータ数を明記していない
EU提供2026年7月中旬を予定(xAI発表)

AI導入戦略全体の考え方についてはAI導入戦略完全ガイドもあわせてご確認ください。

料金・仕様まとめ表 — Grok 4.5単体スペック

xAI公式ドキュメント(docs.x.ai/developers/models)で確認できる、Grok 4.5単体の料金・仕様は以下の通りです。

項目Grok 4.5
入力料金$2.00 / 100万トークン
出力料金$6.00 / 100万トークン
キャッシュヒット時の入力料金$0.50(▲75%、Artificial Analysis記載)
コンテキストウィンドウ500,000トークン
出力速度約80〜87.6トークン/秒(情報源により差異あり)
対応モダリティテキスト・画像入力 → テキスト出力
推論バージョンあり(reasoning対応版が存在)
Artificial Analysis Intelligence Index54(全170モデル中4位、2026年7月確認)
知識カットオフ2024年11月(xAI公式・Grok 3〜4系共通)
Grok 4.5のスペック早見表。料金は入力$2・出力$6(100万トークンあたり)、コンテキストは500,000トークン、速度は約80トークン/秒、提供経路はGrok Build・Cursor全プラン・API
Grok 4.5の料金・仕様の要点(xAI公式ドキュメントに基づく)

特筆すべきは料金の安さです。同じく2026年7月時点のフラッグシップ級と比較すると、入力・出力ともに最安値クラスに位置します(詳細は後述の他社比較セクション)。

Grok世代進化タイムライン — 4.1→4.20→4.3→4.5、そしてGrok 5

Grokシリーズは2026年に入ってから短いスパンでアップデートを重ねてきました。ここで全体の流れを整理しておきます。

モデル時期主な変更点
Grok 4.12026年前半(公式リリース日は本稿執筆時点で一次情報上確認できず)ハルシネーション率を12.09%→4.22%に改善(65%減)
Grok 4.202026年2月17日ベータ→3月正式・API提供マルチエージェント協調機能を追加
Grok 4.32026年4月17日ベータ(同日、xAIがSpaceXに買収されると発表)→5月中旬に正式ロールアウトネイティブ動画入力、PDF/表計算/スライドの文書生成、1Mトークンの文脈長、tool-calling強化
Grok 4.52026年7月8日Cursorとの共同トレーニング、トークン効率の大幅向上、コーディング・エージェントタスクに特化
Grok 5未リリース(2026年7月時点)6兆パラメータ級(Mixture-of-Expertsアーキテクチャ)と噂されるが、2025年後半→2026年Q1→Q2と複数回延期。予測市場Polymarketでは「2026年6月末までの出荷確率は約3分の1」と評価されていた
xAI Grokモデル世代タイムライン。Grok 4.1からGrok 4.20、Grok 4.3、Grok 4.5へと進化し、Grok 5はまだ未リリースであることを示す図
Grokモデルの世代進化タイムライン(2026年7月時点)

ここで重要なのは、Grok 4.5とGrok 5は全くの別物だという点です。Grok 5は6兆パラメータ級を目指す次世代の本命モデルとして開発が続いていますが、2026年7月時点で正式リリースには至っていません。一方のGrok 4.5は、報道によれば1.5兆パラメータ級の「V9」系基盤(開発コード「Grok V9-Medium」)をベースにした、コーディング特化の実務投入モデルという位置づけです。「Grok 5が出るまでのつなぎ」というより、「今すぐ現場で使うための現行フラッグシップ」と捉えるのが実態に近いでしょう。

ベンチマークで見る実力 — Claude Opus 4.8・4.7との比較

xAIは発表時に4つのコーディング系ベンチマークを公表しました。第三者メディア(roo.beehiiv、Artificial Analysis関連の報道など)が、これをClaude Opus 4.8・Opus 4.7のスコアと突き合わせて整理しています。

ベンチマークGrok 4.5Claude Opus 4.8(max)Claude Opus 4.7(max)
DeepSWE 1.062.0%55.75%40.12%
DeepSWE 1.153%59%未公表
Terminal-Bench 2.183.3%78.9%78.9%
SWE-Bench Pro64.7%69.2%64.3%

結果は「圧勝」ではなく「一長一短」です。Grok 4.5はDeepSWE 1.0とTerminal-Bench 2.1でOpus 4.8を上回る一方、DeepSWE 1.1とSWE-Bench ProではOpus 4.8に及びません。ただし特筆すべきはトークン効率です。SWE-Bench Proのタスクを解く際、Grok 4.5は平均15,954出力トークンで済むのに対し、Opus 4.8(max)は67,020トークンを要します。約4.2倍のギャップです。xAIはこれを「主要モデルの2倍のトークン効率」とアピールしています。つまり、多少ベンチマークスコアで劣る場面があっても、同じ精度をより少ないトークン=より低いコストと短い応答時間で出せる可能性がある、というのがGrok 4.5の売りです。

なお、GPT-5.6 SolやGemini 3.5 Flashについては、上記と同一のDeepSWE/Terminal-Bench 2.1のスコアが本稿執筆時点(2026年7月9日)で公式に確認できなかったため、この比較表には含めていません。無理に横並びにして数字を作るより、確認できた範囲だけを正確に示す方針としました。

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他社フラッグシップとの横断比較 — Grok 4.5 vs Opus 4.8 vs GPT-5.6 Sol vs Gemini

ベンチマークだけでなく、価格・仕様の面でも2026年7月時点の主要フラッグシップと比較してみます。

モデル提供元入力料金出力料金コンテキスト状況
Grok 4.5xAI(SpaceXAI)$2.00$6.00500Kトークン2026年7月8日・一般提供
Claude Opus 4.8Anthropic$5.00$25.001Mトークン(標準。Fastモードは$10/$50)2026年5月28日・一般提供
GPT-5.6 SolOpenAI$5.00$30.00公式未確定(報道ベースで1.5M、GPT-5.5が1Mだったための予想値)2026年6月26日・限定プレビュー(一般提供前)
Gemini 3.5 FlashGoogle$1.50$9.001Mトークン2026年5月19日・一般提供

※参考: Google の次期フラッグシップ「Gemini 3.5 Pro」は2026年7月時点で一般提供への移行段階にあり、コンテキストは2Mトークンと大きいものの、正式な料金はまだ公式発表されていません(観測筋の推定は入力$2〜15/出力$12〜45と幅があり不確実です)。そのため本表では、料金が公式に確定しているGemini 3.5 Flashを比較対象としています。

2026年7月 主要フラッグシップAIモデルの価格・仕様比較。Grok 4.5・Claude Opus 4.8・GPT-5.6 Sol・Gemini 3.5 Flashの入力/出力料金とコンテキスト長を並べた表
Grok 4.5・Claude Opus 4.8・GPT-5.6 Sol・Gemini 3.5 Flashの価格・仕様比較

こうして並べると、Grok 4.5は「Opus 4.8の1/4以下の出力単価」「GPT-5.6 Solより安く」「Gemini 3.5 Flashよりは高いが、コーディング・エージェント用途に寄せた設計」という立ち位置が見えてきます。フラッグシップ級としては破格の安さです。他モデルの詳細な仕様や用途別の使い分けは、フラッグシップAI完全比較記事や、毎月更新している主要AIモデルAPI料金 横断比較主要AIモデル コンテキスト長 横断比較でも継続的にトラッキングしています。

Cursor共同トレーニングの意味 — 「現場データで鍛えたコーディングAI」

Grok 4.5の技術的な特徴として最も注目されているのが、AIコーディングエディタ「Cursor」との共同トレーニングです。SpaceXは2026年6月16日、Cursorの開発元Anysphereを600億ドルの全株式交換で買収することに合意したと発表しました(クロージングは2026年第3四半期を予定)。この提携の一環として、xAIはCursorの実開発セッションデータ——デバッグの過程、複数ファイルにまたがる差分、ユーザーによる修正履歴など——を補助的な学習データに取り込んだと報じられています。

これは「公開コードだけで学習したモデル」と「実際の開発現場のやり取りで鍛えたモデル」の違いに相当します。競合の研究所が入手できない類のデータであるため、xAIはこれを差別化要因として強調しています。実際の提供形態としても、Grok 4.5はCursorの全プランに統合されており、Cursorユーザーはエディタ上でそのまま利用できます。

この構図は、AIコーディングツール市場の力学そのものを変える可能性があります。これまでCursor・GitHub Copilot・Claude Codeといったコーディングエージェントは、複数のモデルプロバイダー(Anthropic・OpenAI・Google等)のAPIを横断的に選べる「中立的なツール」として発展してきました。しかしCursorがSpaceX(xAI)の傘下に入るとなると、少なくとも将来的には「Cursor=Grok系モデル最適化」という囲い込みが進む可能性があります。実際、一部の分析記事は「外部の研究所が複製できないデータで学習された専有モデルを、Cursorが低価格で提供する構図」を指摘しています。AnthropicやOpenAIが自社のコーディングツール強化やパートナーシップ再編で対抗するかどうかも、今後の見どころです。

Uravationの立場から言うと、この「現場データで鍛えた」という触れ込み自体は評価が定まっていません。マーケティング上の訴求である以上、実際のコーディング品質は自社のワークロードで検証するのが確実です。Claude CodeやCodex CLIなど既存のコーディングエージェントとの比較についてはGrok Build徹底比較記事で継続的に追っています。

料金シミュレーション — 具体的な月間コスト試算例

「安い」と言われても、実際の月額でどれくらい違うのかがイメージしづらい方も多いはずです。ここでは公式料金表の数字だけを使い、3段階のボリューム想定でGrok 4.5とClaude Opus 4.8(標準モード)の月額を単純計算してみます。あくまで単価ベースの試算であり、特定の企業の実績数値ではありません。

想定シナリオ月間トークン量(入力/出力)Grok 4.5 月額Claude Opus 4.8 月額
小規模(個人〜小チームでの試験導入)100万/300万トークン$20$80
中規模(開発チームでの本格運用)1,000万/3,000万トークン$200$800
大規模(全社導入・大量バッチ処理)1億/3億トークン$2,000$8,000

単価だけで比較すると、どの規模でもGrok 4.5はOpus 4.8の4分の1のコストという結果になります。ただし、これはあくまで「同じトークン数を消費した場合」の試算です。実際にはタスクの複雑さやモデルの応答スタイルによって、同じ課題を解くのに必要な出力トークン数はモデルごとに異なります。前述のSWE-Bench Proのデータでは、同一タスクに対するGrok 4.5の出力トークン数はOpus 4.8(max)の約4.2分の1(15,954トークン対67,020トークン)でした。単価差に加えてこのトークン効率差が重なる場合、実際の体感コスト差は表の試算よりもさらに拡大する可能性があります。逆に言えば、単価だけを見てモデルを選ぶと、実運用でのコスト差を過小評価するリスクがあるということです。自社のタスクで実測し、単価×実消費トークン数の両方で比較することをお勧めします。

使い方最短手順 — Grok 4.5を試す3つの経路

Grok 4.5は主に3つの経路から利用できます。

  1. Grok Build: xAIのコーディングツールで、Grok 4.5がデフォルトモデルとして設定されています。基本的な使い方はGrok 使い方完全ガイドを参照してください。
  2. Cursor: 全プランでモデル選択メニューからgrok-4.5を選択して利用可能です。既存のCursorワークフローに組み込みやすいのが利点です。
  3. xAI API(開発者向け): モデルIDgrok-4.5を指定してChat Completions形式のAPIを呼び出します。推論レベル(低・中・高)をリクエストパラメータで指定でき、既定値は「高」です。料金は入力$2/出力$6(100万トークンあたり)で、リクエスト200件程度の軽い検証であれば数十円〜数百円程度に収まる規模感です。

APIコストの精緻な試算や既存コーディングエージェントからの乗り換え判断については、まず自社の代表的なタスク(PRレビュー、バグ修正、リファクタリングなど)を10〜20件抽出し、既存モデルとGrok 4.5の両方で出力させて品質と実コストを比較するのが確実です。ベンチマークの数字は目安であり、自社コードベースでの実測に勝る判断材料はありません。

実務での使いどころ — 企業がAI選定で押さえるべきポイント

AI研修・導入支援の現場で企業から相談を受ける際、新モデルが出るたびに「とりあえず一番強いモデルに全部乗り換える」という判断をされる企業が少なくありません。しかし今回のGrok 4.5のような「価格対性能」型モデルの登場は、その判断の見直しを促すものです。

整理すると、Grok 4.5が向いている場面は次のようなケースです。

  • コーディング・エージェントタスクが中心の業務: Terminal-Bench 2.1のスコアや、Cursorとの統合の深さを踏まえると、開発支援用途での投入は理にかなっています。
  • API呼び出し回数が多く、コスト効率を重視する場面: 出力$6/100万トークンという価格と、SWE-Bench Proでの4.2倍のトークン効率を踏まえると、大量のリクエストを継続的に投げる用途でコストメリットが出やすいと考えられます。
  • すでにCursorを開発環境として使っている組織: 追加のツール導入なしにモデルを切り替えられる点は、導入コストの面で有利です。

一方で、SWE-Bench Proのような複雑なエージェントタスクの精度を最優先する場面では、現時点の公表データを見る限りClaude Opus 4.8の方が優位という結果も出ています。「最新モデル=常に最良」ではなく、用途ごとにベンチマークと価格を突き合わせて選ぶという基本方針は、Grok 4.5についても変わりません。

実際に導入を検討する際は、次の4点を最低限チェックすることをお勧めします。

  • 用途の切り分け: 自社の生成AI利用を「コーディング」「エージェント/自動化」「文書処理」「対顧客対応」等に分解し、Grok 4.5が得意とする領域(コーディング・エージェントタスク)にどれだけ該当するかを確認する
  • 既存契約・体制との整合: すでにCursorを開発標準として採用している場合、追加のツール導入コストなしにGrok 4.5を試せるかを確認する
  • データ・セキュリティポリシー: xAI Enterpriseの契約形態、データ取り扱いポリシー(学習利用の有無等)を必ず公式情報で確認する。各社のポリシーは頻繁に更新されるため、都度最新版を参照する
  • PoCの設計: 前述の料金シミュレーションのように、単価だけでなく実タスクでの出力トークン数・応答品質・レイテンシを併せて測定する期間を設ける

評価が分かれるポイント — 期待と留保

Grok 4.5の報道・分析を見ていくと、評価は大きく2つの方向に分かれています。

期待の声: 「Opus級の性能を謳うモデルが、Opus 4.8の出力単価の4分の1以下で使える」という価格破壊的なポジショニングは、フロンティアモデルのコモディティ化(低価格化)を象徴する動きだと評価されています。特にCursorとの共同学習という切り口は、公開データだけで学習する既存の大手研究所にはない差別化要因として注目されています。

留保の声: 一方で、「Opus-class」という表現はxAI・マスク自身のポジショニングであり、独立した第三者ベンチマークによる裏付けとは性質が異なる、という指摘があります。実際、xAIが選んで公表した4つのベンチマークのうち、Grok 4.5が明確にOpus 4.8を上回っているのは2つにとどまり、残る2つでは下回っています。「都合の良い指標だけを選んで公表している可能性」を念頭に置き、自社のユースケースで実測してから判断するのが健全な向き合い方だと考えます。

また、SpaceXによるCursor買収発表後、SpaceX株が4営業日で約6,000億ドルの時価総額を失ったとも報じられています。600億ドルの買収額の10倍に相当する市場評価の下落であり、投資家がこの提携をどう見ているかについても、今後の展開を注視する必要があります。

単独のベンチマークだけでなく、複数モデルを横断的に評価する第三者指標も参考になります。Artificial Analysis Intelligence Index(複数のベンチマークを合成した総合指数)では、Grok 4.5は54点を記録し、集計対象の170モデル中4位につけています(参照: artificialanalysis.ai、2026年7月9日確認)。単一のベンチマークで一喜一憂するより、こうした複合指標と自社タスクでの実測を組み合わせて判断するのが現実的です。

よくある質問(FAQ)

Q. Grok 4.5とGrok 5は何が違いますか?

A. 別モデルです。Grok 4.5は2026年7月8日に一般提供が始まった、コーディング・エージェントタスク特化の実務投入モデルです。Grok 5は6兆パラメータ級を目指す次世代モデルで、2025年後半→2026年Q1→Q2と複数回延期されており、2026年7月時点で正式リリースには至っていません。

Q. Grok 4.5の料金はどのくらいですか?

A. xAI公式ドキュメントによれば、入力$2.00・出力$6.00(いずれも100万トークンあたり)です。キャッシュヒット時の入力は$0.50(▲75%)とされています。

Q. Grok 4.5は本当にClaude Opus 4.8より優れているのですか?

A. 一概には言えません。xAI公表のベンチマーク4指標のうち、Grok 4.5がOpus 4.8を上回るのはTerminal-Bench 2.1とDeepSWE 1.0の2つで、DeepSWE 1.1とSWE-Bench Proでは下回ります。ただしトークン効率(同じ精度をより少ないトークンで達成する度合い)ではGrok 4.5が優位という結果が出ています。

Q. Cursorとの関係はどうなっていますか?

A. SpaceX(xAIの親会社)は2026年6月16日、Cursorの開発元Anysphereを600億ドルの全株式交換で買収することに合意したと発表しました(クロージングは2026年第3四半期予定)。Grok 4.5はこの提携の一環としてCursorと共同トレーニングされ、Cursorの全プランに統合されています。

Q. 個人でも試せますか?

A. Grok Build、Cursor、xAI APIのいずれかから利用できます。API利用には別途アカウント登録と支払い設定が必要です。最新の料金・利用条件は必ず公式ドキュメント(docs.x.ai)でご確認ください。

Q. なぜxAIとSpaceXAIの2つの名称が出てくるのですか?

A. xAIは2026年2月2日にSpaceXと合併し(合併後の評価額は1.25兆ドルと報じられる過去最大規模の企業結合)、2026年6月にSpaceX本体がIPOを実施、その後2026年7月6日に社名を「SpaceXAI」へ統一すると発表しました。ただし開発者向けドキュメント(docs.x.ai)や一部のニュースリリースは引き続き従来のx.aiドメイン・xAIの表記で提供されているため、本記事では読者にとって馴染みのある「xAI」表記を基本にしつつ、初出時に社名統一の経緯を明記しています。

参考・出典

まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること: 自社でコーディング・エージェントタスクに使っているモデル(Claude Opus 4.8、GPT系など)の月間トークン消費量を確認し、Grok 4.5の料金(入力$2/出力$6)に置き換えた場合のコスト差を試算する
  2. 今週中: 代表的な開発タスク10〜20件をピックアップし、既存モデルとGrok 4.5(Grok Build・Cursor・APIいずれか)で出力を比較する簡易POCを実施する
  3. 今月中: コスト・品質・応答速度の実測結果を1枚の比較資料にまとめ、モデル使い分け(用途別のマルチモデル戦略)の方針を社内で確定する

次回予告: 次の記事では「Gemini 3.5 Proの正式リリース状況と2Mトークン文脈が変える業務」をテーマに、続報をお届けします。


著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

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佐藤傑
この記事を書いた人 佐藤傑

株式会社Uravation 代表取締役CEO/生成AIエバンジェリスト。法人向けAI研修・コンサルティングを手がけ、日経・SBクリエイティブ・GMO等のメディアで生成AIについて執筆。

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