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Manus AIの安全性と危険性|企業利用で確認すべき点【2026】

Manus AIの安全性と危険性|企業利用で確認すべき点【2026】

最終更新:2026年8月25日。本記事はBloomberg・CNBCの報道、Manus独立発表、セキュリティ分析各社(aurascape.ai・opendatascience.com・complexdiscovery.com)の記事を一次情報として、企業がManus AIを利用する際に確認すべき安全性・危険性の論点を整理します。断定できない部分は「〜と報じられている」「〜と指摘されている」の形で明示します。

結論:Manus AIの危険性は「AIが暴走する」といった話ではなく、①中国発の技術・データ処理体制に対する各国規制当局の管轄権リスク、②自律実行型エージェント特有の権限リスク、③運営体制そのものが2026年に入って2度変わっている不安定さ、の3点に集約されます。2026年8月にMetaとの買収が破談し独立企業に戻ったばかりで、対象ユーザーのデータ削除も同月に実施されたばかりです。機密情報や顧客データを扱う業務利用は、現時点では時期尚早と判断するのが妥当です。

この記事の要点

  • 要点1:中国の国家発展改革委員会(NDRC)がMetaによる約20億ドルの買収を「技術・データの越境移転」を理由に事実上ブロックし、2026年8月11日にManusは独立企業として運営を再開したと報じられている
  • 要点2:2025年12月29日(Meta買収完了日)以降に生成された対象ユーザーのデータは、バックアップ期限(日本時間8月23日午前1時29分)を経て8月23〜24日に削除され、復元確認は8月25日から始まっている
  • 要点3:セキュリティ分析各社は、Manusのようなクラウド型自律実行エージェントに履歴書・財務データ・社内文書を読み込ませる際の「委任された権限が想定外の行動につながるリスク」と、運営主体の法域に関わらず中国当局がデータ処理能力に管轄権を主張しうる可能性を指摘している

対象読者:Manus AIの企業導入を検討している情報システム部門・法務部門の担当者、経営者

読了後にできること:Manus AIを「今すぐ使ってよい業務」と「避けるべき業務」に仕分け、導入前チェックリストで自社の可否を判断できるようになる


「Manusって、リサーチから資料作成まで自動でやってくれるらしいけど、社内の顧客データを読み込ませても大丈夫なんですか?」

先日、ある企業のAI活用勉強会で、情報システム担当の方からこう聞かれました。返答に詰まったのは、機能の説明ではなく「運営会社が今どこなのか」という一番基本的な質問に、その場で自信を持って答えられなかったからです。実際、Manusは2025年12月にMetaに買収され、2026年8月に買収が破談して独立企業に戻るという、半年強のあいだに運営体制が2度変わっています。加えてMeta傘下だった期間のユーザーデータは、同じ8月にまとめて削除対象になりました。

「便利そうだから使ってみる」で済ませてよいツールと、運営体制の変遷や規制当局の動きまで確認してから判断すべきツールは、明確に違います。Manus AIは後者です。

この記事では、Manus AIの安全性・危険性について、憶測やイメージではなく、Bloomberg・CNBCの報道やセキュリティ分析記事といった一次情報に基づいて整理します。「中国発だから危険」という単純化はせず、具体的に何が指摘されていて、何がまだ確認できていないのかを分けてお伝えします。

Manus AIとは(前提の整理)

Manus AIは、指示を与えるとウェブ調査・資料作成・コード実行などを自律的にこなすAIエージェントサービスです。基本的な使い方や料金プラン、ChatGPT・Gensparkとの違いについては、Manus AIとは?使い方・料金・中国発の懸念まで解説【2026年最新】で詳しく解説しています。本記事はその続編として、安全性・危険性の論点だけを掘り下げます。

【2026年8月時点】Manus AIとMetaの関係はどうなっているか

まず現在地を整理します。Manus AIをめぐる運営体制は、この半年で大きく動きました。

時期できごと
2025年12月29日MetaがManusの買収を完了(報道ベースで約20億ドル規模)
2026年4月頃中国の国家発展改革委員会(NDRC)が、対外投資・技術輸出管理のルール違反を理由に買収の巻き戻しを指示したと報じられる
2026年8月11日Manusが独立企業としての運営再開を発表(Bloomberg・CNBC等が報道)
2026年8月23日午前1時29分(日本時間)対象ユーザーのデータバックアップ期限
2026年8月23〜24日2025年12月29日以降に生成された対象ユーザーのデータが削除される(対象は一部法域のユーザーに限定と説明されている)
2026年8月25日〜バックアップデータの復元可否をユーザーが確認できる期間に入る(本記事執筆時点の最新状況)

つまり本記事執筆時点(2026年8月25日)では、データ削除はすでに実行済みで、復元確認フェーズに入ったばかりです。今からManus AIの利用を検討する場合、「買収前のMeta傘下データがどう扱われたか」ではなく、「独立企業としてこれからどういうデータガバナンス体制を敷くのか」を確認する段階に入っています。詳しい経緯はManusがMetaから独立|買収破談の理由と8月23日までの対応で時系列を整理しています。

Manus AIの危険性・懸念点は具体的に何か

「危険性」とひとくくりにされがちですが、指摘されている論点は性質の異なる3つに分けられます。

論点内容企業にとっての意味
①データの越境処理・管轄権リスクセキュリティ分析各社は、運営法人がシンガポール・米国デラウェア・アイルランドなど中国国外にあっても、中国国内で訓練された人材やデータ処理能力に対して中国当局が管轄権を主張しうる、との見方を示している「運営会社が海外法人だから安心」と単純に判断できない
②エージェント実行リスク信頼していないコンテンツの読み込み、接続済みアカウントへのアクセス、コード実行、委任された権限が組み合わさることで、ユーザーが明示的に承認していない行動につながりうるという指摘がある(いわゆるagentic execution risk)履歴書・財務データ・社内文書を読み込ませる際は、権限範囲とログの可視性を事前に確認する必要がある
③運営体制の不安定さ買収→破談→独立という半年強での2度の体制変更に加え、独立後のデータガバナンス方針(監査体制・情報開示)がどこまで整備されているかは本記事執筆時点で公式な包括発表は確認できていない長期利用を前提にした業務組み込みは、ガバナンス方針の公表を待ってから判断するのが安全

セキュリティ分析サイトのaurascape.aiは、企業がManus AIに顧客データを扱わせる際のリスクとして、ログ・保持期間・越境データフロー・第三者アクセスが「重大な懸念事項になる」と指摘しています。また同サイトは、Metaが監査可能なデータガバナンスフレームワークを公表するまでは顧客データを扱う企業利用を推奨しない、金融・法務・医療などの規制業界は明確に非推奨、との見解を示しています。この見解はMeta買収破談前のものですが、独立後も運営会社側から包括的なガバナンス方針の公表が確認できていない以上、慎重姿勢を維持する根拠として参考になります。

実際に指摘されている安全性・プライバシーの懸念(一次情報ベース)

ニュースサイトopendatascience.comは、Manusのクラウドベースでの運用について「センシティブなデータが扱われる性質上、プライバシー・セキュリティ上の含意への懸念が観測者から示されている」と報じています。またcomplexdiscovery.comは、中国のNDRCがMeta・Manus間の取引をブロックした一件について、「クロスボーダーAIデューデリジェンスに新たなリスクレイヤーを加えるものだ」と分析しています。

ここで正直にお伝えしておきたいのは、「Manus AIから実際に企業の機密データが漏洩した」という具体的な被害報告は、本記事執筆時点(2026年8月25日)で確認できていない、という点です。指摘されているのは主に「構造的なリスク」であり、「実際に起きた事故」ではありません。この違いを混同せず、リスク評価の材料として正確に受け取ることが重要です。

企業が導入前に確認すべき5つのチェックポイント

100社以上の企業向けAI研修・導入支援を通じて見てきた経験から、Manus AIに限らず海外発の自律型AIエージェントを検討する際に確認すべき項目を整理しました。

チェック項目確認する内容
①データ処理・保管の所在地入力データがどの国のサーバーで処理・保管されるか、公式ドキュメントや利用規約で明記されているか
②越境移転の法的根拠個人情報保護法・GDPR等の観点で、越境データ移転の同意取得や契約上の手当てが取れているか
③権限とログの可視性エージェントに何の操作権限(外部サービス連携・コード実行等)を与えるか設定でき、実行ログを監査できるか
④規制業界での利用可否金融・法務・医療など規制の強い業界では、顧客の機密情報を扱う業務への組み込みを避ける
⑤退避計画(ベンダーロックイン回避)運営体制の変更・サービス終了時にデータをエクスポートできる仕組みがあるか、定期的にバックアップを取れているか

特に⑤は今回のMeta破談・データ削除騒動で改めて重要性が浮き彫りになった論点です。運営体制が変わりうるサービスでは、「エクスポート機能があるか」「定期バックアップの運用ルールを自社で持っているか」を、契約前に確認しておく価値があります。

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今Manus AIを使っているなら、すぐ確認すべきこと

すでにManus AIを利用している場合、2026年8月25日時点で確認すべきことは以下の通りです。

  • 対象ユーザーかどうかの確認:2025年12月29日以降に作成したデータがある場合、アプリ内通知またはメールで個別に案内が来ているはずです。Apple ID・Facebookログインでメールアドレスを登録していないユーザーは、メールが届かない場合があるためアプリ内通知を直接確認してください
  • バックアップの復元確認:8月25日以降、事前にエクスポートしたデータが正しく復元できるかを検証する期間に入っています。重要な成果物は、Manus外部(自社のストレージ等)に独立したコピーを保管してください
  • 2日間程度のアクセス制限への備え:削除・移行作業の前後でアカウントにアクセスできない時間帯が発生したと報告されています。業務フローにManusを組み込んでいる場合は、この種の一時的な停止が今後も起こりうる前提でバックアッププランを用意しておくと安心です
  • 今後のガバナンス方針の公表を待つ:独立後の運営体制でデータ処理・監査体制がどう整備されるかは、公式な包括発表を継続してウォッチする必要があります

Manus AIとの付き合い方 — 使ってよい場面・避けるべき場面

ここまでの内容を踏まえ、実務的な線引きの目安をまとめます。

  • 使ってよい場面の目安:公開情報のリサーチ、社外秘でない資料のたたき台作成、個人の学習・検証目的での利用
  • 慎重に判断すべき場面:社内文書の要約・分析、取引先とのやり取りに関わる業務利用(契約前にデータ処理の所在地・権限設計を必ず確認)
  • 避けるべき場面:顧客の個人情報・財務データ・医療情報など機密性の高いデータを読み込ませる業務、規制業界(金融・法務・医療)でのコア業務への組み込み

正直にお伝えすると、この線引きはManus AI固有の問題というより、「運営体制が流動的な海外発クラウドAIサービス」全般に当てはまる考え方です。だからこそ、機能の魅力だけで即決せず、上記のチェックリストを使って自社の判断基準を先に固めておくことが大切です。

よくある質問

Manus AIは今も使えるのか?

はい、独立企業として運営が継続されています。ただし2026年8月のデータ削除・移行の影響で、対象ユーザーは一時的にアクセスできない期間があったと報告されています。最新の稼働状況は公式サイトで確認してください。

データは本当に削除されたのか?

報道および公式案内によれば、2025年12月29日以降に対象ユーザーが生成したデータは、2026年8月23〜24日に削除が実行されたとされています。バックアップを取得していたユーザーは、8月25日以降に復元の可否を確認できる案内になっています。

中国政府が企業データを見られるのか?

「必ず見られる」と断定できる一次情報は本記事執筆時点で確認できていません。ただしセキュリティ分析各社は、運営法人の所在地に関わらず中国当局が技術・データ処理能力に管轄権を主張しうる可能性を構造的リスクとして指摘しています。断定と推測を混同せず、リスクとして織り込んだ上で利用可否を判断することを推奨します。

企業で使うこと自体が違法になるのか?

一律に違法とする法令が日本国内に存在するわけではありません。ただし、個人情報や機密情報を扱う場合は、越境データ移転に関する自社の同意取得・契約整備が前提になります。法務部門との事前確認を推奨します。

まとめ:導入前チェックリスト

  1. 今日やること:自社でManus AIを利用中・検討中の業務を洗い出し、機密情報を読み込ませていないか確認する
  2. 今週中:本記事のチェックリスト5項目を使い、データ処理所在地・権限設計・退避計画を確認する
  3. 今月中:規制業界に該当する部門では利用可否を法務部門と正式に協議し、社内ルールとして明文化する

次回予告:次回は、Manus AI以外の海外発クラウドAIエージェントを含めた「越境データリスクの企業チェックリスト」を、より広い視点でお届けします。

参考・出典


著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

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