結論: Claude Code Artifactsは、セッションの作業内容をターミナルのテキストではなく、claude.ai上の非公開URLで見られる「生きたWebページ」として公開できる機能です。PRの差分レビューやダッシュボード共有に向いており、Team/Enterpriseでは組織内共有、Pro/Maxでは公開リンク共有という形で利用範囲が分かれています。
この記事の要点
- 要点1: ArtifactsはPro・Max・Team・Enterpriseの4プランで利用可能。ただしTeam/Enterpriseは組織内共有、Pro/Maxは公開リンク共有のみと仕様が異なる
- 要点2: バックエンドを持たない静的な1枚のページで、外部への通信は原則すべてCSPでブロックされる。フォーム入力は保存できず、唯一の例外はMCPコネクタ経由のデータ取得
- 要点3: Enterpriseでは管理画面でOwnerが有効化するまでオフ。CMEK・HIPAA・Zero Data Retentionを有効化している組織では現時点で利用できない
対象読者: Claude Codeを開発チームやPR運用に導入している情報システム部門・エンジニアリングマネージャー、Team/Enterpriseプランの管理者
読了後にできること: 自社でArtifactsを有効化してよいか、共有範囲をどう設計すべきかを、公式ドキュメントの要件に沿って判断できるようになります
「PRのレビュー依頼をSlackに貼っても、diffの意図が伝わらない」——Uravationの研修先でClaude Codeの導入が進んだチームから、よく聞く悩みです。ターミナルの出力をそのままコピペしても、どこが重要な変更で、なぜその設計にしたのかまでは伝わりません。結局、口頭やビデオ通話で改めて説明する二度手間が発生します。
この悩みに直接効くのが、2026年6月にAnthropicが公開した「Artifacts」機能です。Claude Codeのセッションが生成した成果物を、そのままURL付きのWebページとして公開できます。PRの差分に注釈を付けたウォークスルーページや、セッション中に集めたデータをそのまま可視化したダッシュボードなど、「テキストで説明するより見せた方が早い」成果物を、チームメイトにリンク1本で渡せます。
ただし、この機能は公開範囲・セキュリティ設計がプランによって細かく分かれているのが実務上のポイントです。「うちの会社は使っていいのか」「社外の人に見せても大丈夫か」を判断するには、Team/Enterprise限定の共有範囲や、管理者側で必要な設定を正しく理解しておく必要があります。
この記事では、Anthropic公式ドキュメント(code.claude.com/docs)の記載にもとづいて、Artifactsが何をできる機能なのか、どのプランでどこまで共有できるのか、企業として導入する際に確認すべきポイントを整理します。
Claude Code Artifactsとは何か
公式ドキュメントでは、アーティファクトは次のように定義されています。
「アーティファクトは、Claude Codeがセッションからclaude.ai上の非公開URLへ公開する、ライブでインタラクティブなWebページです。ブラウザで開くと、セッションが進むにつれてページもその場で更新されます。」
使いどころとして公式が挙げているのは、レビュー担当者に注釈付きdiffでPRを説明する、セッションが集めたデータからダッシュボードを組み立てる、複数のデザイン案・実装案を並べて比較する、長時間タスクの進捗を追えるタイムラインを保つ、Slackにテキストを貼る代わりにチームメイトへリンクを送る、といったケースです。
重要なのは「これはアプリではなく、作業のキャプチャである」という位置づけです。公式ドキュメントは「An artifact is a capture of work, not an application」と明記しており、バックエンドを持たない自己完結型の1ページのため、フォーム入力の保存や複数ルートの提供はできません。閲覧時に外部データを取得できる唯一の経路はMCPコネクタ呼び出しのみで、サーバーを立てて使う社内ツールが必要な場合は、Artifactsではなく自社インフラへのデプロイが必要になります。
何ができるのか — PRウォークスルーからダッシュボードまで
アーティファクトは1枚のHTMLページなので、HTML・CSS・インラインJavaScriptで表現できるものは基本的に何でも対象になります。公式ドキュメントが紹介している代表的なパターンは次の通りです。
- 変更点のウォークスルー: diffや設計変更に、該当行の横へ注釈を付けたページを作らせる。レビュー担当者が説明文を読み解く手間を減らせる
- 複数案の比較: レイアウト・コピー・API設計・実装プランなど、複数のバリエーションを1ページに並べて評価する
- インタラクティブな調整: スライダーやトグルを値に紐づけ、パラメータを直接動かしながら結果を確認する
- セッションへの結果の持ち帰り: ページ上での操作結果を「プロンプトとしてコピー」できるボタンを用意し、意思決定の結果をターミナル側に戻す
- 進行中タスクの追跡: 長時間のタスクが進むあいだ、ページを最新状態に保ち続け、リンクを持つ人はターミナルを見なくても状況を追える
依頼のしかたはシンプルで、「見た方が早いもの」を言葉で説明するだけです。公式が挙げている例では、次のようなプロンプトが紹介されています。
Make an artifact that walks through this PR with the diff annotated inline.Build a dashboard artifact of last week's deploy failures by service and keep it updated as you investigate.Claudeが出力に適したタイミングで自動的にアーティファクトを提案することもありますが、明示的に依頼することもできます。
使い方 — 作成・更新・共有の3ステップ
公式ドキュメントに沿って、実際の操作の流れを整理します。
1. 作成
Claudeはページに適した内容をHTMLまたはMarkdownファイルとしてプロジェクト内に書き出したうえで、公開します。新規のアーティファクトを公開する前には必ず許可を求められ、「Claude wants to publish “Deploy failures by service” (deploy-failures.html) to a private page on claude.ai」のような確認メッセージが表示されます。承認するとURLが表示され、ブラウザが自動的に開きます(この自動オープンは環境変数CLAUDE_CODE_ARTIFACT_AUTO_OPEN=0で無効化可能)。一度承認したアーティファクトを再公開する際は、再確認は行われません。ターミナルからCtrl+]を押すと、直近のアーティファクトをいつでも再度開けます。
2. 更新
ページの修正を依頼するか、長時間タスクが進むにつれてClaudeが自動的に再公開するのを待つことで、同じURLのまま内容を更新できます。公開のたびにバージョンが記録され、ページヘッダーの共有コントロールから、閲覧者にどのバージョンを見せるかを選べます。別セッションから既存のアーティファクトを更新したい場合は、そのURLをClaudeに渡して修正を依頼します。URLを渡さない場合、新しいセッションは既存ページを更新せず、常に新しいアーティファクトを作成します。
3. 共有
新規作成時点では、アーティファクトは作成者本人にしか見えません。共有する場合はページヘッダーの「Share」コントロールを使います。共有範囲はプランによって異なります(詳細は次の項目)。Team/Enterpriseでは、閲覧者を「ビューア」だけでなく「エディター」に指定することもでき、エディターは自分のセッションからアーティファクトのURLを渡して新しいバージョンを公開できます。
提供プランと利用条件
Artifactsは2026年6月15日週(v2.1.178〜v2.1.183)にTeam/Enterpriseプランでベータ提供が始まった機能です。その後の公式ドキュメントでは、Pro・Max・Team・Enterpriseの4プランで利用できると説明されており、共有できる範囲がプランごとに分かれています。
| プラン | アーティファクト自体の利用 | 共有できる範囲 | 管理者による設定 |
|---|---|---|---|
| Pro / Max | 利用可能 | 公開リンク(誰でも閲覧可)のみ。管理者による制御はなし | なし |
| Team | デフォルトでオン | 組織内の特定メンバー・全員に共有可。公開リンクはOwnerが有効化するまでオフ | Owner管理画面で有効/無効・公開共有を切り替え |
| Enterprise | Ownerが有効化するまでオフ | 組織内共有が基本。公開リンクはOwnerが有効化するまでオフ。RBACでロール別に権限を絞ることも可能 | Owner管理画面 + ロール別権限設定 |
このほか、公式ドキュメントは以下の利用条件を明記しています。
- 認証: セッションがclaude.aiアカウントで
/login認証されている必要がある。APIキー・ゲートウェイトークン・クラウドプロバイダー認証情報を使うセッションは公開不可 - モデルプロバイダー: Anthropic API経由のみ対応。Amazon Bedrock・Google CloudのAgent Platform・Microsoft Foundry経由では利用できない
- 組織ポリシー: 顧客管理暗号鍵(CMEK)・HIPAA・Zero Data Retentionを有効化している組織では利用できない
- クライアントのバージョン: Claude Code CLI v2.1.183以降、またはClaude Desktopアプリ v1.13576.0以降が必要。Agent SDK・GitHub Action・MCPサーバー経由の実行ではデフォルトでオフで、
CLAUDE_CODE_DISABLE_NONESSENTIAL_TRAFFICを設定している場合もオフになる
これらの条件を満たさない場合、Claudeはローカルに通常のHTMLファイルを書き出すか、「公開できない」と回答します。
共有範囲とセキュリティ設計
法人利用でもっとも確認しておきたいのが、公開範囲の既定値とセキュリティの仕組みです。公式ドキュメントの記載を整理すると、次のようになります。
- 組織内共有(Team/Enterprise): 特定の人、または組織の全員にアクセス権を付与できる。閲覧者は自組織のメンバーとしてclaude.aiにサインインして初めて閲覧できる
- 公開共有: サインイン不要で誰でも開けるリンク。Pro/Maxではこれが唯一の共有方法。Team/Enterpriseでは既定でオフになっており、Ownerが管理画面の「External sharing」トグルを有効化するまで使えない。無効化に戻すと、既存の公開リンクからのアクセスもブロックされる(トグルを再度オンにすれば復活する)
- ページ制約(CSP): 他ホストからのスクリプト・スタイルシート・フォント・画像の読み込みと、fetch/XHR/WebSocket通信をすべてブロックする厳格なContent Security Policyが適用される。CSSとJavaScriptはインライン化され、画像はデータURIとして埋め込まれるため、外部通信なしにページが表示される。唯一の例外がMCPコネクタ呼び出しで、この場合はページではなくclaude.ai側がネットワーク通信を代行する
- サイズ上限: レンダリング後のページサイズは16MiB以下という制約がある。大きな画像を埋め込みすぎると公開に失敗する原因になる
- 保持期間: 「非公開のまま」のアーティファクトと「共有済み」のアーティファクトで、別々の自動削除期間を管理画面から設定できる
- 監査ログ: 公開・共有・削除の操作はそれぞれ
claude_artifact_*というイベント種別で組織の監査ログに記録される
Enterprise管理者向けには、Compliance APIで組織のアーティファクト一覧取得・特定バージョンの内容取得・削除ができるエンドポイント(GET /v1/compliance/code/artifactsなど)も用意されています。
MCPコネクタで「生きたデータ」を表示する仕組み
アーティファクトはMCPコネクタを経由して、閲覧されるたびに最新データを取得できます(Pro・Max・Team・Enterpriseで利用可能、Claude Code v2.1.209以降が必要)。ここで重要な仕様があります。
データ取得は「公開した本人」ではなく「そのページを閲覧している人」自身のアカウント権限で実行される点です。つまり、同じダッシュボードを2人が開いても、それぞれのアカウントが接続しているツールの権限によって、見える情報が異なる場合があります。ページ自体は誰の認証情報にも触れず、claude.aiがページの代わりに通信を実行します。閲覧者はページが最初にコネクタを呼び出す前に許可を求められ、必要なコネクタに未接続の場合や許可を拒否した場合は、その部分だけ空のまま表示されます。
この仕組み上、コネクタ連携があるアーティファクトは、どのプランであっても公開リンクとして共有できません。Team/Enterpriseでは組織内共有にとどめるか非公開のまま、Pro/Maxでは非公開のまま(公開リンクが唯一の共有手段のため、実質共有不可)という扱いになります。
企業導入で気をつけたいポイント
情報システム部門・エンジニアリングマネージャーがArtifactsの導入可否を検討する際に、確認しておきたいポイントをまとめます。
- 既定の共有範囲を確認する: Team/Enterpriseは組織内共有がデフォルトで、公開リンクはOwnerが明示的に有効化するまで使えない。「うっかり社外に公開される」設計にはなっていないが、External sharingを有効化した場合の運用ルールは事前に決めておく
- CMEK/HIPAA/Zero Data Retentionを使っている組織は対象外:これらのポリシーを有効化している場合、現時点でArtifacts自体が利用できない。医療・金融など厳格なデータ保持要件がある業種は要確認
- Bedrock/Vertex/Foundry経由では使えない: クラウドプロバイダー経由でClaude Codeを社内配布している組織は、Anthropic API直結でないと機能が使えない点を事前に周知する
- MCPコネクタ連携ページは閲覧者ごとに見える情報が変わる: ダッシュボードを共有する際は、閲覧者に必要なコネクタ接続を案内しておかないと、空のセクションだけが見える状態になる
- 保持期間・監査ログを最初に設計する: 非公開/共有済みそれぞれの保持期間、Compliance APIでの棚卸しフローを、機能を有効化する前に決めておくと運用が楽になる
- トークン消費への影響: アーティファクトの生成は通常の応答と同じく出力トークンを消費し、装飾的なページはテキスト出力より消費量が大きくなりやすい。ラスター画像を埋め込むより、SVGやHTML/CSSで図を描かせる、不要なインタラクティブ要素を省くといった工夫でコストを抑えられる
研修現場でClaude Codeの導入を支援していても感じることですが、こうした「新機能をどこまで開放するか」の判断は、現場のエンジニアだけでなく情報システム部門を巻き込んで決めた方がスムーズです。Claude Code全体の導入・運用体制の整え方はClaude Code完全ガイドでも解説しています。
よくある質問
Q. Artifactsは追加料金がかかりますか?
A. 公式ドキュメントに追加料金の記載はなく、対象プランに含まれる機能として提供されています。ただし、ページ生成は通常の応答と同じく出力トークンを消費するため、利用量に応じたコストは発生します。
Q. Enterpriseプランで使うには何が必要ですか?
A. Enterpriseでは既定でオフになっており、Ownerがclaude.aiの管理画面(Settings > Claude Code > Capabilities)でArtifactsトグルを有効化する必要があります。RBACを使っている場合は、ロールごとにArtifacts権限を個別に設定することもできます。
Q. 社外のパートナーにも見せられますか?
A. Team/Enterpriseでは既定で組織内のメンバーにしか共有できません。社外の人にも見せたい場合は、Ownerが「External sharing」を有効化して公開リンクを発行する必要があります。Pro/Maxでは最初から公開リンクのみが共有手段です。
Q. 過去のバージョンを見返すことはできますか?
A. 公開のたびにバージョンが記録され、ページヘッダーの共有コントロールにあるバージョンピッカーから、閲覧者に見せるバージョンを選べます。
Q. 社内システムに直接つないだツールとして使えますか?
A. アーティファクトはバックエンドを持たない静的な1ページのため、フォーム入力の保存や独自APIの提供はできません。閲覧時に外部データを取得できるのはMCPコネクタ経由のみで、恒常的な社内ツールとして運用したい場合は自社インフラへのデプロイが必要です。
参考・出典
- Anthropic公式ドキュメント「Share session output as artifacts」https://code.claude.com/docs/en/artifacts(2026年7月16日参照)
- Anthropic公式「What’s new」Week 25ダイジェストhttps://code.claude.com/docs/en/whats-new/2026-w25(2026年7月16日参照)
- Anthropic公式「What’s new」インデックスページhttps://code.claude.com/docs/en/whats-new(2026年7月16日参照)
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 自社のプラン(Pro/Max/Team/Enterprise)を確認し、Artifactsの共有範囲がどちらの方式(公開リンクのみ/組織内共有)になるかを把握する
- Team/Enterpriseの管理者は、claude.ai管理画面でArtifactsのオン/オフと「External sharing」の設定を確認し、社内ルールを決めてから有効化する
- まずは社内向けのPRウォークスルーやダッシュボードなど、リスクの低い用途から試し、MCPコネクタ連携は閲覧者側の権限設計を確認したうえで導入する
次回予告: 次回は、Claude Codeの/configコマンドで設定変更が非対話モードからも行えるようになった件など、同じ週にリリースされたその他のアップデートを、法人運用の観点から深掘りします。
著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
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