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AIで労働条件通知書を作る方法|2026年10月法改正対応

AIで労働条件通知書を作る方法|2026年10月法改正対応

結論: 労働条件通知書はAIで下書きできますが、絶対的明示事項の抜け漏れと、2024年4月・2026年10月の法改正で追加された記載事項の反映がないと、労働基準法違反になります。AIには「雇用形態」と「絶対的明示事項の項目名」を先に伝え、抜けている項目を質問させる使い方が安全です。

この記事の要点:

  • 要点1: 労働条件通知書の交付は労働基準法15条の義務で、違反すると30万円以下の罰金の対象になります
  • 要点2: 2024年4月・2026年10月の法改正で、就業場所の変更範囲や待遇差の説明請求権など新しい明示事項が追加されています
  • 要点3: AIに雇用形態と絶対的明示事項のチェックリストを渡してから作らせると、記載漏れのリスクを大きく減らせます

対象読者: 中小企業の総務・人事担当者、労働条件通知書の作成・見直しを担当する管理職

読了後にできること: 今日作成する労働条件通知書を、コピペ可能なプロンプトと最新の必須記載事項チェックリストで下書きできるようになります

「労働条件通知書って、雇用契約書と何が違うんですか」

先日担当した企業研修で、総務担当になったばかりという参加者からこんな質問をもらいました。新しく人を採用するたびに、前回作った通知書をコピーして日付と名前だけ書き換えている、と少し気まずそうに教えてくれました。その通知書を見せてもらうと、案の定、2024年4月の法改正で追加された「就業場所・業務の変更の範囲」の欄が抜けていました。

労働条件通知書は、正社員・契約社員・パート・アルバイトを問わず、人を雇うたびに必ず作成しなければならない書面です。しかも法改正のたびに記載事項が増えていくため、「去年のひな形を使い回す」というやり方は、知らないうちに法令違反になっているリスクがあります。

この記事では、労働条件通知書をAIで下書きする具体的な手順を、2024年4月・2026年10月の法改正に対応したチェックリストとコピペ可能なプロンプトつきで公開します。総務省・厚生労働省の一次情報にもとづいて整理しているので、社内の通知書ひな形を見直すきっかけにしてもらえればと思います。

まず結論:AIで労働条件通知書を作る5ステップ(即効テンプレ)

忙しい人向けに、まず結論から。労働条件通知書をAIで作るときの流れはこの5ステップです。

  1. 雇用形態を確定する(正社員/契約社員/パート・アルバイトで、明示すべき項目が変わります)
  2. 絶対的明示事項のチェックリストをAIに渡す(項目名だけを渡し、抜けを確認させる)
  3. 採用情報(給与・就業場所・契約期間等)を貼り付けて構成案を作らせる
  4. 2024年4月・2026年10月の改正項目が反映されているか、AIに再チェックさせる
  5. 社労士・専門家に最終確認してから交付する(AIの出力をそのまま使わない)

それぞれの具体的なプロンプトは、後半のセクションでそのままコピペできる形で紹介します。まず、労働条件通知書と雇用契約書の違いから整理しておきます。

AIで労働条件通知書を作る5ステップのフロー図

労働条件通知書とは|雇用契約書との違い

労働条件通知書とは、使用者が労働者を雇い入れる際に、労働基準法15条にもとづいて賃金・労働時間・就業場所などの労働条件を明示するために交付する書面です。原則として書面での交付が必要ですが、2019年4月1日施行の労働基準法施行規則改正により、労働者が希望した場合に限り、FAX・電子メール・SNSのメッセージ機能等での明示も可能になりました。ただしこの場合も、労働者が記録を出力して書面を作成できる方式であることが条件です。

労働条件通知書と混同されやすいのが雇用契約書です。両者の違いを整理すると、次のようになります。

項目労働条件通知書雇用契約書
法的性質使用者から労働者への一方的な明示義務(労基法15条)労使双方の合意にもとづく契約書
作成義務あり(交付しないと労基法違反)法律上の作成義務はない
署名・押印不要(交付のみで成立)労使双方の署名・押印が一般的
実務での扱い単独で交付するケースと、雇用契約書と1枚に統合するケースがある「労働条件通知書 兼 雇用契約書」として統合されることが多い

実務では、法的な交付義務がある労働条件通知書と、合意の証拠として残したい雇用契約書を1枚に統合した「労働条件通知書 兼 雇用契約書」という様式もよく使われています。どちらの形式を採用するかは会社の運用次第ですが、統合する場合でも、労働条件通知書として必要な明示事項がすべて盛り込まれているかを確認する必要があります。

社内文書全般をAIでどう効率化するかはChatGPT活用完全ガイドでも扱っているので、労働条件通知書以外の文書作成でも参考にしてください。

【2024年4月・2026年10月法改正】労働条件通知書の新しい記載事項

労働条件通知書は、法改正のたびに明示すべき事項が追加されています。ひな形を使い回している会社ほど、この改正への対応漏れが起きやすいので、まず時系列で整理します。

施行時期改正内容対象
2019年4月1日労働者が希望した場合、FAX・電子メール・SNS等での明示が可能に(書面出力できる方式に限る)すべての労働者
2024年4月1日就業場所・業務の「変更の範囲」の明示を新規追加。有期契約は「更新上限の有無と内容」「無期転換申込機会」「無期転換後の労働条件」も追加全労働者(一部は有期契約労働者)
2026年10月(予定)パート・有期雇用労働者向けに「通常の労働者との待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨」の明示を追加パートタイム・有期雇用労働者

2026年10月の改正は、パートタイム・有期雇用労働法6条にもとづく明示事項(昇給の有無・退職手当の有無・賞与の有無・相談窓口)に、新たに5つ目の項目として追加されるものです。厚生労働省のWebマガジンでは、この改正を「同一労働同一賃金ガイドラインの改正」「雇用管理上の措置の充実」とあわせた3つのポイントの1つとして紹介しています。同法6条の明示義務に違反すると、都道府県労働局長の助言・指導・勧告を経てもなお改善されない場合、同法31条にもとづき10万円以下の過料の対象になります。

一方、労働基準法15条にもとづく絶対的明示事項そのものを交付しなかった場合は、労働基準法120条1号により30万円以下の罰金の対象です。「パート・有期法の過料」と「労基法の罰金」は根拠法が異なる別々のペナルティであることを、担当者としては区別して理解しておく必要があります。

労働条件通知書と雇用契約書の違いを比較した図

労働条件通知書の必須記載事項一覧(絶対的明示事項・相対的明示事項)

労働基準法15条・同法施行規則5条にもとづく明示事項は、書面での交付が必須の「絶対的明示事項」と、就業規則等に制度があれば明示する「相対的明示事項」に分かれます。

区分明示事項備考
絶対的明示事項
(書面交付が必須)
労働契約の期間期間の定めの有無、有期の場合は更新基準も
有期契約の更新上限2024年4月追加。上限の有無と内容
無期転換申込機会・無期転換後の労働条件2024年4月追加。対象タイミングごとに明示
就業の場所・従事する業務の内容2024年4月から「変更の範囲」も明示が必要
始業・終業の時刻、所定時間外労働の有無、休憩・休日・休暇交替制がある場合は転換に関する事項も
賃金の決定・計算・支払方法、締切り・支払時期基本給・諸手当・割増賃金の計算方法など
退職に関する事項(解雇の事由を含む)定年制の有無、自己都合退職の手続き等
(パート・有期のみ)昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口2026年10月からは待遇差の説明請求権も追加
区分明示事項の例
相対的明示事項
(制度があれば明示)
退職手当、臨時に支払われる賃金・賞与等、労働者の負担する食費・作業用品等、安全衛生、職業訓練、災害補償、表彰・制裁、休職

厚生労働省は「主要様式ダウンロードコーナー」で、一般労働者用・短時間労働者用など雇用形態別のモデル労働条件通知書をWord・PDF形式で無料公開しています。AIに下書きさせる前に、まずこの公式モデル様式の項目立てを確認しておくと、抜け漏れのチェックがしやすくなります。

AIプロンプトで労働条件通知書を作る5ステップ(プロンプト完全版)

ここからは、実際に使えるプロンプトを5ステップに分けて紹介します。すべて<pre><code>のままコピーして、ChatGPTやClaude、Geminiなどに貼り付けて使えます。

ステップ1:雇用形態を確認し、必要な明示事項を洗い出すプロンプト

最初のステップは、雇用形態によって必要な明示事項が変わることをAIに理解させることです。

あなたは日本の労働基準法に詳しい人事アシスタントです。
以下の雇用形態について、労働条件通知書に記載が必須な「絶対的明示事項」を
漏れなくリストアップしてください。

雇用形態:[正社員/契約社員(有期)/パートタイム・アルバイト のいずれかを記入]

条件:
- 2024年4月の法改正(就業場所・業務の変更の範囲、更新上限、無期転換関連)を反映する
- パート・有期の場合は、パートタイム・有期雇用労働法6条の明示事項(昇給・退職手当・
  賞与の有無、相談窓口、待遇差の説明請求権)も含める
- 一般的な会社の制度としてよくある「相対的明示事項」も、参考として別枠で示す
- 断定できない法令解釈がある場合は、その旨を明記してください

ステップ2:採用情報から構成案を作らせるプロンプト

以下の採用情報をもとに、労働条件通知書の構成案(見出しと記載すべき内容の骨子)を
作成してください。

出力条件:
- 文章は書かず、各項目に「何を」「どの形式で」書くべきかを箇条書きで示す
- ステップ1でリストアップした絶対的明示事項の順番に沿って構成する
- 情報が不足している項目は空欄にせず「[要確認:◯◯]」と明記する
- 賃金・契約期間など数字が絡む項目は、根拠となる入力情報を併記する

採用情報:
[雇用形態/契約期間/就業場所/業務内容/始業終業時刻/休日休暇/賃金/
支払方法/退職に関する事項 などを箇条書きで貼り付ける]

ステップ3:通知書の本文を作成するプロンプト

以下の構成案をもとに、労働条件通知書の本文を作成してください。

文章の条件:
- 厚生労働省のモデル労働条件通知書に準拠した項目立てにする
- 断定できない箇所(制度の有無、金額の確定など)は「[要確認]」を残し、
  AIが推測で埋めない
- 専門用語(無期転換申込権、更新上限など)は、初出時に一文で補足を入れる
- 相対的明示事項は、制度がある場合のみ別セクションとして追加する

構成案:
[ステップ2の出力を貼り付ける]

ステップ4:2024年・2026年の改正項目チェックをさせるプロンプト

以下の労働条件通知書の下書きを確認し、次の改正対応チェックリストと
照らし合わせてください。

チェックリスト:
1. 就業場所・業務内容だけでなく「変更の範囲」まで明示されているか(2024年4月〜)
2. 有期契約の場合、更新上限の有無と内容が明示されているか(2024年4月〜)
3. 無期転換申込機会・無期転換後の労働条件への言及があるか(該当する場合)
4. パート・有期雇用者の場合、昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口が
   明示されているか、2026年10月以降は待遇差の説明請求権への言及もあるか

出力条件:
- 各項目について「明示あり/なし/該当しない」を判定する
- 「なし」の項目は、どこに追記すべきかを具体的に指摘する

下書き:
[ステップ3の出力を貼り付ける]

ステップ5:交付前の最終レビュー用プロンプト

以下の労働条件通知書を、交付前の最終チェックとして確認してください。

確認観点:
- 「[要確認]」が残っている箇所を一覧化する
- 数字(賃金額・契約期間・所定労働時間等)に矛盾がないか
- 断定的すぎる表現(法令解釈を会社が独自に断定している箇所)がないか
- この文書だけで法的に十分か、社労士等の専門家確認が推奨される箇所を指摘する

文書:
[ステップ4でチェック済みの下書きを貼り付ける]

研修先の総務担当者にこの5段階プロンプトを試してもらったところ、「毎回ゼロから作っていた通知書が、採用情報を貼り付けるだけで骨組みができるようになった」という感想をもらいました。ただし、AIが作るのはあくまで下書きです。最終的な交付前には、次のセクションのチェックリストと専門家確認を必ず挟んでください。

労働条件通知書の法改正タイムライン(2019年4月・2024年4月・2026年10月)

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雇用形態別プロンプト集(正社員・契約社員・パート/アルバイト・中途採用)

基本の5ステップに加えて、雇用形態別によく使う入力例を用意しました。[ ]の中を自分の状況に置き換えてください。

ケース1:正社員(無期雇用)

正社員(無期雇用)の労働条件通知書のたたき台を作成してください。

条件:
- 契約期間:期間の定めなし
- 就業場所:[本社/支社名]、変更の範囲:[会社の定める事業所 等]
- 業務内容:[職種]、変更の範囲:[会社の定める業務 等]
- 試用期間:[有/無、有の場合は期間]
- 賃金:[月給/年俸、金額、諸手当の内訳]
- 退職に関する事項:[定年制の有無、解雇事由の要約]

上記をもとに、絶対的明示事項を漏れなく含めた本文を作成してください。

ケース2:契約社員(有期雇用)

有期契約社員の労働条件通知書のたたき台を作成してください。

条件:
- 契約期間:[開始日]〜[終了日]
- 更新の有無:[有/無]、更新上限:[通算◯年 または 更新◯回まで/上限なし]
- 更新基準:[契約期間満了時の業務量、勤務成績、能力 等]
- 無期転換申込権が発生するタイミング:[該当する場合は年月を記載]

出力条件:
- 更新上限の有無と内容を必ず明記する
- 無期転換申込機会がある場合は、その旨と申込方法を記載する

ケース3:パートタイム・アルバイト

パートタイム・アルバイトの労働条件通知書のたたき台を作成してください。

条件:
- 所定労働時間:[時間]、勤務日:[曜日/シフト制の場合はその旨]
- 昇給の有無:[有/無]、退職手当の有無:[有/無]、賞与の有無:[有/無]
- 相談窓口:[部署名・担当者・連絡先]
- 通常の労働者との待遇差についての説明を求めることができる旨:記載する

出力条件:
- パートタイム・有期雇用労働法6条にもとづく5つの明示事項を
  すべて含める(2026年10月以降の様式を想定)
- シフト制の場合、休日の定め方についても補足する

ケース4:中途採用(前職からの空白期間・試用期間あり)

中途採用者向けの労働条件通知書のたたき台を作成してください。

条件:
- 入社日:[年月日]、試用期間:[期間、本採用との条件差の有無]
- 前職からの引き継ぎ事項:[有給休暇の取り扱い等、特記事項があれば]
- 賃金:[前職経験を考慮した金額、決定理由の要約]

出力条件:
- 試用期間中と本採用後で労働条件が異なる場合は、両方を明記する
- 「前職の条件を考慮して決定」等の説明が必要な箇所は[要確認]として残す

【要注意】AIで労働条件通知書を作るときの4つの落とし穴

落とし穴1:去年のひな形をコピーして使い回す

❌ 前回作成した通知書をコピーし、氏名と日付だけ書き換えて交付する

⭕ AIにステップ4のプロンプトで「2024年・2026年の改正項目チェック」を毎回実行させる

なぜ重要か: 労働条件通知書は法改正のたびに明示事項が増えます。使い回しのひな形は、知らないうちに絶対的明示事項の記載漏れという労基法違反になっているリスクがあります。

落とし穴2:AIに法令解釈まで断定させる

❌ 「この従業員は無期転換の対象になりますか」のような法令判断をAIの回答だけで確定させる

⭕ AIには「事実の整理」と「下書きの作成」までを任せ、無期転換の対象可否や更新上限の設計は社労士に確認する

なぜ重要か: 無期転換ルールの適用可否は、契約更新の履歴や個別事情によって判断が分かれることがあります。AIは入力された前提をもとにもっともらしい文章を生成しますが、法令適用の最終判断はできません。

落とし穴3:個人情報・給与情報をそのまま入力する

❌ 実在する従業員の氏名・住所・銀行口座情報などをそのままプロンプトに入力する

⭕ 作成段階では[氏名][金額]のように仮の記号にしておき、最後に手元で置き換える

なぜ重要か: 個人情報保護委員会は、生成AIサービスへの個人情報入力について、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認するよう求めています。無料版のAIサービスは入力内容が学習等に利用される設定になっている場合もあるため、法人契約のオプトアウト設定や匿名化の徹底が必要です。

落とし穴4:電子交付の条件を確認せずにチャットやメールで送る

❌ 労働者の希望を確認しないまま、社内チャットやLINEで通知書のPDFだけを送って完了とする

⭕ 電子交付は労働者本人が希望した場合に限られ、かつ本人が出力して書面を作成できる方式であることを事前に確認する

なぜ重要か: 2019年4月の改正で電子交付自体は可能になりましたが、条件を満たさない方法(本人の希望確認なし、出力できない形式など)で送ると、書面交付義務を果たしたことにならない可能性があります。

労働条件通知書の絶対的明示事項チェックリスト

交付前チェックリスト(法令違反にならない通知書・なるリスクがある通知書の違い)

項目法令違反リスクが低い通知書法令違反リスクがある通知書
就業場所・業務内容「変更の範囲」まで明記(2024年4月〜必須)雇入れ直後の場所・業務のみで、変更の範囲が空欄
有期契約の更新更新上限の有無と内容を明記「更新することがある」とだけ記載し上限が不明
パート・有期雇用者の明示事項昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口、待遇差の説明請求権(2026年10月〜)を明示正社員用のひな形を流用し、パート特有の項目が抜けている
交付方法書面、または本人が希望しかつ出力可能な電子方式本人の希望確認なしに社内チャットのみで送付
個人情報の扱い下書き段階では仮名・記号化してAIに入力実名・口座情報等をそのままAIに貼り付け

このチェックリストは、通知書に限らず社内の機密性が高い文書全般に共通する考え方です。始末書・顛末書をAIで書く方法でも、通る文書と通らない文書の違いを同じような形で整理しているので、あわせて確認してみてください。

社内文書へのAI活用、ルールは整っていますか

労働条件通知書のように法的な交付義務があり、かつ個人情報を含む文書をAIで作成する場合、個人の判断に任せるのではなく、会社としての利用ルールを整備しておくことが望ましい対応です。総務省・経済産業省が公表している「AI事業者ガイドライン(第1.1版)」は、企業が生成AIを活用する際の自主的な参考資料として位置付けられており、社内ガイドライン作成のたたき台として使われています。

正直にお伝えすると、多くの中小企業でこの手のルールは「総務担当者の個人の裁量」にとどまっているのが実情です。

  • 入力していい情報・してはいけない情報の線引きがない
  • 無料版と法人契約版の違いを従業員が理解していない
  • 法改正のたびに社内ひな形を更新する担当・タイミングが決まっていない

だからこそ、「AIに任せるかどうか」ではなく「どこまでAIに任せ、どこから専門家に確認するかを決めておく」ことが、労働条件通知書のような法定文書をAIで扱う前提になります。

社内ガイドラインをこれから整備するなら生成AI利用ガイドライン完全テンプレ、個人情報保護法との関係を確認したいなら生成AI×個情法対応ガイド、人事関連プロンプトをまとめて確認したいならChatGPT×人事プロンプト15選を参考にしてください。

交付前チェック:法令違反リスクが低い通知書と高い通知書の比較

よくある質問

労働条件通知書と雇用契約書はどちらか一方でよいですか?

労働条件通知書は労働基準法15条にもとづく交付義務があるため、雇用契約書を作らない場合でも省略できません。実務では「労働条件通知書 兼 雇用契約書」として1枚に統合し、通知書としての明示事項と契約書としての合意内容を両方満たす形にする会社が多くあります。

労働条件通知書はいつ交付する必要がありますか?

労働契約を締結するとき、つまり実際に働き始める前に交付するのが原則です。有期契約の更新時にも、更新のたびに明示が必要な事項(更新上限や無期転換関連など)があります。

AIが作成した労働条件通知書をそのまま交付してもいいですか?

推奨しません。この記事のステップ4・5のように、必ず法改正対応のチェックと専門家(社労士等)の最終確認を挟んでから交付してください。AIは記載事項の整理や文章化には強い一方で、無期転換の対象可否などの個別法令判断はできません。

労働条件通知書を交付しなかった場合、どうなりますか?

労働基準法15条の明示義務に違反した場合、同法120条1号にもとづき30万円以下の罰金の対象になります。パートタイム・有期雇用労働法6条の明示事項に違反した場合は、都道府県労働局長の指導等を経てもなお改善されないと、同法31条にもとづき10万円以下の過料の対象になります。

2026年10月の改正は、すべての会社が対象ですか?

対象になるのはパートタイム・有期雇用労働者を雇用している会社です。厚生労働省のWebマガジンでは、この改正を2026年10月からの「3つの改正ポイント」の1つとして案内しています。パート・アルバイトを1人でも雇用している会社は、対応が必要になります。

まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること: 直近で使っている労働条件通知書のひな形を1枚出し、この記事のチェックリストと照らし合わせる
  2. 今週中: パート・アルバイトを雇用している場合、2026年10月の改正項目(待遇差の説明請求権)への対応方針を確認する
  3. 今月中: 社内の通知書ひな形を、ステップ1〜5のプロンプトを使って最新の法改正対応版に更新する

次回予告: 次の記事では、社内の実務文書をAIで扱うシリーズとして、稟議書・報告書まわりの実践テクニックをお届けします。

関連記事: 辞令はAIで作れる?異動・昇格・降格の文例と作り方 — 入社時だけでなく、異動・昇格時の人事文書もAIで効率化できます


著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

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参考・出典

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関連記事: 内定通知書はAIで作れる?必須項目と文例テンプレ【2026年版】 — 労働条件通知書の前段にある内定通知書もAIで下書きできます。必須記載項目・大日本印刷事件の法的効力を含めたテンプレ付きガイドです。

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佐藤傑
この記事を書いた人 佐藤傑

株式会社Uravation 代表取締役CEO/生成AIエバンジェリスト。法人向けAI研修・コンサルティングを手がけ、日経・SBクリエイティブ・GMO等のメディアで生成AIについて執筆。

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