【2026年最新】AIデザインが「AIっぽい」と言われる理由と直し方
結論: AIデザインが安っぽく見える最大の原因は、AIの性能不足ではなく「人間のチェックが入っていない」ことです。海外で話題になった不格好なAIメニュー・デザインの実例に共通するのは、過剰な装飾・実在しない要素・ブランドとの不整合という3つのパターンで、これは公開前に5つの品質チェックを挟むだけでかなり防げます。
この記事の要点:
- 要点1: Hacker Newsで327ポイント・252件のコメントを集めた「AIで作った不格好なメニュー」実例集から、AIデザインが失敗する典型パターンを整理
- 要点2: AIデザインが「AIっぽく」見える理由は、過剰装飾・均質フォント・実在しない要素という技術的に説明できる3パターンに集約される
- 要点3: 発注者・担当者がその場でできる品質チェック5項目と、「AIで作る→人が削る」という運用フローをコピペ可能なプロンプト付きで紹介
対象読者: 店舗の販促物・Webサイト・広報物の制作にAIデザインツールを使い始めた、または使うか検討中の中小企業の経営者・広報担当・店舗オーナー
読了後にできること: 自社のAI生成デザインを公開前にチェックする5項目のチェックリストを、そのまま自社の運用に組み込めるようになる
「AIで作ったバナー、そのまま店頭に出していいですかね」
AI研修やコンサルの現場で、この1年ほどこの手の相談をよく受けるようになりました。ChatGPTやGeminiで画像がサッと作れる時代になった一方で、「作った後どうチェックすればいいか」を教わる機会がほとんどないまま、現場の担当者が1人で生成から公開までを回しているケースが目立ちます。100社以上の企業でAI研修・導入支援をしてきましたが、失敗の大半は「AIの性能」ではなく「チェック工程の不在」が原因でした。
そんな折、海外の掲示板Hacker Newsで「Businesses with ugly AI menu redesigns(AIで不格好にリニューアルされた企業のメニュー実例集)」というスレッドが327ポイント・252件のコメントを集めて話題になりました。飲食店がAIでリニューアルしたメニューや看板が軒並み「不気味」「安っぽい」と評され、実際に炎上して落書きされた店まで出てきています。
この話題が面白いのは、単なる「AIデザイン叩き」で終わっていない点です。コメント欄では「なぜAIデザインは技術的に完璧なのに気持ち悪く見えるのか」を、かなり具体的に分析する議論が展開されていました。この記事では、その実例と分析を出発点に、ビジネスでAIデザインを使う時に何をチェックすればいいのかを、コピペで使えるプロンプトつきで整理します。AIデザインを否定する記事ではありません。品質管理さえ挟めば、AIデザインは中小企業にとって強力な武器になる、というのがこの記事の立場です。
海外で話題になった「不格好なAIメニュー」— 何が起きたのか
発端は、あるフィリピン・ハワイ料理店のメニューをAIで作り直した実例をブログ「fiddery」が取り上げたことでした。名物料理「スパムシシグ」(スパムの塩辛い肉と目玉焼き、ガーリックライスを組み合わせた料理)をAIで画像生成したところ、実物とはかけ離れた「不気味(uncanny)」な仕上がりになり、著者は率直に「such slop(出来の悪い作品)」と評しています[1]。この記事がHacker Newsに投稿され、327ポイント・252件のコメントを集めるバイラルスレッドになりました[2]。
同時期、サンフランシスコのカフェ「Grind & Unwind」でも似た騒動が起きています。2026年5月にオープンしたばかりの同店は、内装が整うまでの「つなぎ」としてChatGPTで生成したサンドイッチやペストリーの画像をショーウィンドウに掲示しました。ところがパンには奇妙な鱗のような質感、クロワッサンにはプラスチックのような光沢、コールスローは色つきの小枝のように見えるなど、地元Redditで嘲笑の的になり、7月2日には店の日よけに落書きまでされる事態に発展しました。清掃費用は700ドル超と報じられています。同店は7月6日にAI画像を撤去し、実物のペストリーとLED照明に差し替えたところ評判は好転したそうです[3][4]。
これは新しい問題ではありません。フードデリバリー大手のZomatoは2024年8月、顧客からの「実物と違いすぎる」というクレームが返金・低評価につながったことを理由に、加盟店にAI生成の料理画像の使用を禁止する方針を打ち出しています[5]。また別のデリバリー系サービスがAIで写真を補正した際、サンドイッチがただのバゲットのような形になったり、エビフライがちょうちょのような形で出力されたりした事例もRolling Stone誌が報じています[6]。
AIデザインツールの活用そのものは、店舗経営やマーケティングの現場でどんどん広がっています。この流れ自体は止まりませんし、止める必要もありません。詳しい導入判断の考え方はAI導入戦略ガイドでも整理していますが、ポイントは「使うか使わないか」ではなく「公開前に誰がどうチェックするか」です。
なぜ”AIっぽく”見えるのか — 3つの技術的なパターン
Hacker Newsのコメント欄では、単に「気持ち悪い」で終わらせず、なぜそう感じるのかを分析するコメントが多数集まりました。ユーザーdev0pは、AIが作った保育園のポスターについて「技術的には完璧に描けているのに、不気味で、どこか間違っている感じがする」とコメント。ユーザーjoeguilmetteは「メディアを消費するとき、人間の努力のわずかな痕跡が、そのものをより価値あるものとして感じさせる」と指摘し、ユーザーsimonwは「誰もビジュアルの細部について”考えていない”ことが問題の本質だ」とまとめています[2]。まとめると、AIデザインの違和感は「技術の粗さ」ではなく「意図の不在」から生まれている、というのが議論の結論でした。
これを実務レベルまで分解すると、共通するパターンは3つに整理できます。
1. 過剰な装飾・グラデーションの多用
AIは指示が曖昧なほど「無難で豪華に見える」方向に寄せる癖があります。紫〜青のグラデーション、光沢のあるボタン、影の多用、意味のない装飾フレーム——これらはAI生成物の”デフォルト”として繰り返し指摘されている典型パターンです[7]。既存のブランドに紫グラデーションの使用実績がないのに、AIが勝手に足してくる装飾は、そのまま「素人が作った感」に直結します。
2. 均質なフォント・レイアウトのテンプレ化
AIが選ぶフォントは学習データで最も頻出するもの(汎用的なゴシック体・見慣れたセリフ体など)に偏りがちで、ブランドの個性を反映しません。レイアウトも「中央にタイトル→3カラムで要素を並べる」という”どこかで見た構成”に収束しやすく、複数の店舗・企業のAI生成物が似たような見た目になる原因になっています[7]。
3. 実在しない・不自然な要素(意図の不在)
これが最も実害の大きいパターンです。実際には存在しない料理の見た目、指の本数がおかしいイラスト、ロゴの再現失敗など、「そのブランド・その店にしかない事実」をAIは知らないため、もっともらしいが間違った要素を平然と生成します。Grind & Unwindの例で言えば、AIは「一般的なサンドイッチ」は描けても「その店で実際に出しているサンドイッチ」は知らない、という単純な構造がすべての原因でした。
実際、研修の場でこの3パターンを図で見せると「あ、うちのバナーもこれだ」と苦笑いされることがよくあります。AIが悪いのではなく、AIに「何を残して何を削るべきか」を伝えずに使っている、という構図がほとんどのケースに共通しています。
発注者・担当者のための品質チェック5項目
ここからが実務の本題です。AIデザインを公開する前に、発注者・担当者が最低限確認すべき5項目をまとめました。デザインの専門知識がなくてもチェックできる項目にしてあります。
| チェック項目 | 誰が見るか | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 誤字・表記ゆれ | 担当者本人 | 3〜5分 |
| 2. 事実確認(実物と一致するか) | 現場を知る人 | 5〜10分 |
| 3. ブランド整合性 | 担当者本人+承認者 | 5分 |
| 4. 過剰装飾を削る | 担当者本人 | 5〜10分 |
| 5. 実物との突き合わせ(最終確認) | 承認者 | 5分 |
合計しても30分程度です。この30分を惜しんで公開してしまうと、Grind & Unwindのように落書き対応で数百ドル単位の実費と、ブランドイメージの毀損という何倍もの代償を払うことになりかねません。
チェック1: 誤字・表記ゆれ
❌ 生成された文字をそのまま流用する(AIは日本語の文字生成でまだ誤字・崩れが起きやすい)
⭕ メニュー名・価格・営業時間など、テキスト要素は必ず元データとの突き合わせで1文字ずつ確認する
チェック2: 事実確認(実物と一致するか)
❌ 「それっぽい料理の画像」を実際のメニューとして使う
⭕ 実際に提供している商品・サービスの写真、またはそれに忠実な構図・盛り付けかを確認する(Grind & Unwind・Zomatoの事例が示す通り、ここを省くと信頼を最も失いやすい)
チェック3: ブランド整合性
❌ AIが提案した色・フォント・トーンをそのまま採用する
⭕ 既存のロゴカラー・フォント・世界観と照らし合わせ、ズレている装飾要素は削る
チェック4: 過剰装飾を削る(引き算のチェック)
❌ AIが盛り込んだグラデーション・光沢・装飾フレームをそのまま残す
⭕ 「本当にこの要素は必要か」を1つずつ疑い、迷ったら削る。装飾を減らすほど”手作り感”に近づく
チェック5: 実物との突き合わせ(最終確認)
❌ 画面上のプレビューだけで公開判断する
⭕ 印刷して店頭に置いてみる、実際のスマホ画面で表示確認する等、生成物が使われる”実際の場所”で最終チェックする
「AIで作る→人が削る」の運用フロー — コピペで使えるプロンプト6つ
チェックリストと合わせて、AIデザインツール(ChatGPT・Gemini・Claude・Krea・Lovartなど)に投げる段階で「AIっぽさ」を減らす指示を仕込んでおくと、後工程のチェック負担がぐっと減ります。以下は実際に指示として使えるプロンプト例です。
プロンプト1: 生成前にブランド制約を渡す
[店名/ブランド名]のデザインを作ってください。
使用してよい色は[カラーコード最大3色]のみ。
フォントは[既存フォント名、または「太いゴシック体1種類のみ」等]に統一してください。
グラデーション・光沢・装飾フレームは使わないでください。
プロンプト2: 過剰装飾を削らせる
このデザインから、装飾要素(影・グラデーション・枠線・アイコン)を
半分以下に減らしてください。
テキストと余白だけで情報が伝わる構成に作り直してください。
プロンプト3: 「AIっぽさ」を自己診断させる
このデザインを見て、「いかにもAIが作った」と感じさせる要素を
3つ挙げてください。それぞれについて、人間が手を加えるとしたら
どう直すべきか具体的に提案してください。
プロンプト4: 実物との整合性チェック
添付した実物の写真と、生成したデザイン内の画像を比較してください。
形状・色・質感で実物と異なる点があれば、すべてリストアップしてください。
プロンプト5: テキスト要素の誤字チェック
このデザイン内のすべての日本語テキストを書き出してください。
誤字・脱字・不自然な言い回し・実際の商品名や価格との相違が
あれば指摘してください。
プロンプト6: ブランドトーンの逸脱チェック
[ブランド名]の既存の販促物3点の特徴(色・フォント・雰囲気)を
踏まえたうえで、今回生成したデザインがそのトーンから
逸脱している点を指摘してください。
ポイントは、これらのプロンプトを「AIに1回投げて終わり」にしないことです。AIの自己診断はあくまで一次チェックで、最終判断は必ず人間が行う——これが「AIで作る→人が削る」という運用の核心です。
【要注意】AIデザイン導入でよくある失敗パターン
失敗1: チェック工程を挟まず即公開する
❌ 生成されたデザインをそのまま印刷・アップロードする
⭕ 公開前に必ず「チェック1〜5」を通す工程をルール化する
研修先でよく見るのは、担当者が忙しさのあまり生成物を見た瞬間に「良さそう」と判断してそのまま使ってしまうケースです。AIが作った画像は一見完成度が高く見えるため、逆にチェックが省略されやすいという皮肉な現象が起きています。
失敗2: 生成から公開まで1人で完結させる
❌ 制作担当者本人だけが最終確認する
⭕ 公開前に必ずもう1人(できれば現場を知る人)の目を通す
自分で作ったものは間違いに気づきにくいのは、AIデザインでも同じです。特に「実物と違う」チェックは、現場で商品を毎日見ている人でないと気づけません。
失敗3: ブランドガイドラインをAIに渡さずに生成する
❌ 「かっこよく作って」など抽象的な指示だけを出す
⭕ 色・フォント・使ってよい要素/だめな要素を先に言語化してから指示する
プロンプト1のように制約を先に渡すだけで、後から装飾を削る手間が大きく減ります。
失敗4: 「安く早く」だけを目的化し、実物確認を省略する
❌ コスト削減・時短だけを理由にAI生成物を採用する
⭕ コスト削減効果と、ブランド毀損リスクを同じ土俵で比較検討する
Grind & Unwindの落書き対応費用(700ドル超)は、写真撮影を1回発注する費用と大差ありません。「安いから」だけでAI生成物を選ぶと、結果的に高くつくケースがあることは念頭に置くべきです。
Before/After — チェックを挟むとどう変わるか
事例区分: 想定シナリオ
以下は、100社以上のAI研修経験をもとに構成した典型的なシナリオです。特定の企業・店舗の実データではありません。
小規模な飲食店が、新メニューの告知バナーをAIで作った場合を想定します。
Before(チェック前): 「新メニュー登場!」という文字が紫〜青のグラデーション背景に光沢つきで配置され、料理写真はAIが生成した”それらしい”一皿。実際のメニューにはない付け合わせが写り込み、価格表記の数字が実際の値段と1桁違っている。
チェック適用:
- チェック1(誤字・表記ゆれ)→ 価格の桁違いを発見、修正
- チェック2(事実確認)→ 実際にはない付け合わせが写っていることに気づき、実物写真に差し替え、または該当パーツを削除する指示をAIに再投入
- チェック4(過剰装飾を削る)→ グラデーション・光沢を単色背景に変更
After(チェック後): 背景は店舗ロゴと同じ色1色、料理は実物写真、価格は正しい表記。派手さは減るが、「この店が本当に出している情報」として信頼できる仕上がりになる。
装飾を削るほど地味になるのでは、と心配されることがありますが、Grind & Unwindの事例が示す通り、実際には「実物の写真+シンプルな構成」に差し替えた方が来店客の反応は好転しています。派手さより正確さが信頼につながる、というのがこの記事の一貫した主張です。
それでも品質管理すればAIデザインは強力な武器になる
ここまで失敗事例を中心に紹介してきましたが、この記事は「AIデザインを使うな」という主張ではありません。むしろ逆で、チェック工程さえ組み込めば、AIデザインは特にデザイン専任者を置けない中小企業にとって、圧倒的にコストパフォーマンスの高い選択肢です。実際、AIデザインエージェントと呼ばれるツールは、ロゴ・SNS画像・バナーを短時間で複数案生成できる実力を持っています。当メディアではLovart(AIデザインエージェント)の実力と料金、Krea AI(リアルタイム画像生成)の使い方、Claude Designの機能と使い方をそれぞれ独立レビューでまとめています。ツール選定と合わせて、この記事のチェックリストを運用に組み込むことをおすすめします。
よくある質問
Q. AIで写真を生成すること自体がダメなのでしょうか?
A. いいえ。写真がない・撮影コストが出せない場面での「つなぎ」利用や、装飾用のイメージ画像としての利用は問題になりにくいです。問題になるのは「実際に提供している商品」をAIが代替してしまい、実物との差が来店客の期待を裏切る場合です。研修先で相談を受けたときも、まず聞くのは「その画像は”実物の代わり”として使うのか、”雰囲気を伝えるだけ”のイメージなのか」という区別でした。
Q. 小規模な店舗・会社でも同じチェックが必要ですか?
A. むしろ小規模なほど重要です。デザイン専任者がいない現場ほど、生成から公開までを担当者1人で完結させがちで、チェック工程が抜け落ちやすいからです。チェック5項目は合計30分程度でできる想定にしているので、専任者がいなくても運用に組み込めます。
Q. どのAIデザインツールを使っても同じ問題が起きますか?
A. はい。ChatGPT・Gemini・Krea・Lovartなど、ツールの種類にかかわらず「ブランド固有の事実をAIは知らない」という構造は変わりません。ツールの性能差より、指示の出し方と公開前チェックの有無が結果を左右します。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 直近1ヶ月以内に公開したAI生成デザインを1つ選び、今回の「チェック1〜5」で見直す
- 今週中: チームでチェックリストを共有し、公開前レビューを必ず1人以上通すルールにする
- 今月中: ブランドガイドライン(色・フォント・トーン)を文書化し、AIツールへの指示テンプレートとして固定化する
次回予告: 次回は、AIデザインツールを実際にチームで使う際の「誰が最終承認するか」という運用体制の作り方をテーマにお届けします。
著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
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参考・出典
- [1] Businesses with ugly AI menu redesigns — fiddery blog(参照日: 2026-07-23)
- [2] Businesses with ugly AI menu redesigns(HN discussion, 327pt/252 comments) — Hacker News(参照日: 2026-07-23)
- [3] New Haight Street Restaurant Becomes Target of Ridicule, Graffiti Over AI Images on Storefront Menu — SFist(参照日: 2026-07-23)
- [4] San Francisco Restaurant Defaced Over AI-Generated Food Photos — PetaPixel(参照日: 2026-07-23)
- [5] Zomato To Ban AI Food Images in Menus by August End — MediaNama(2024年8月、参照日: 2026-07-23)
- [6] AI-Generated Food Pictures Are Taking Over the Culinary Internet — Rolling Stone(2024年10月17日、参照日: 2026-07-23)
- [7] AI Slop Design: Why AI-Generated UI Looks Generic — vibecodekit.dev(参照日: 2026-07-23)
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