結論: Copilot Studioは「無料で始められる軽量ツール」ではなく、Copilot Creditsという従量制の企業向けプラットフォームです。2025年9月に課金単位が「メッセージ」から「Copilot Credits」に切り替わり、無料に見える「Copilot Studio lite」は2025年11月に「Agent Builder」へ名称が戻っています。この記事では公式情報だけをもとに、料金・ライセンス・導入判断を整理します。
この記事の要点:
- 要点1: Copilot Studio標準プランは月額200米ドル(25,000 Copilot Credits)から。M365 Copilotライセンス(年間契約で1ユーザー月額30米ドル)だけでも一部機能は使えるが、全社公開や高度な自動化には別ライセンスが必要
- 要点2: 「Copilot Studio lite」は名称が変わり続けており、2026年8月時点の正式名称は「Agent Builder in Microsoft 365 Copilot」。無料なのはWeb知識のみで動くエージェントに限定される
- 要点3: Copilot Studioは低コード・業務担当者向けの「業務エージェント基盤」。Claude Code等のコード系AIエージェントとは目的が違うため、社内で両方を使い分ける前提で導入判断をするのが安全
対象読者: 社内エージェント導入を検討している情報システム部門・DX推進担当・経営層
読了後にできること: 自社がCopilot Studio・Agent Builder・M365 Copilotのどれから始めるべきか、料金試算の土台を作れるようになります
「Copilot Studioって結局いくらかかるんですか?」
研修先の情報システム部門から、この質問を本当によく受けます。特に多いのが「M365 Copilotを契約しているから、Copilot Studioも追加費用なしで使えると思っていた」というケースです。実際に管理画面を開いてもらうと、Copilot Creditsの残量が想定より早く減っていて、担当者が青ざめる場面に何度も立ち会ってきました。
この混乱の背景には、Microsoft側の名称変更の多さがあります。「メッセージ」が「Copilot Credits」に変わり、「Copilot Studio lite」が「Agent Builder」に戻り、さらに2026年6月にはCopilot Studio自体がハーネス(実行エンジン)を刷新するという大きな構造変更もありました。ネット上の解説記事は、この変更前の情報のまま止まっているものが少なくありません。
顧問先での導入相談でも、この「情報の鮮度」が最大の壁になっています。料金体系を古い情報のまま社内稟議に上げてしまい、稟議差し戻しになった相談を受けたこともあります。
この記事では、Microsoft公式ドキュメント(2026年8月時点の最新版)だけを根拠に、Copilot Studioの正体・料金・ライセンスの落とし穴・そしてClaude Code等のコード系AIエージェントとの使い分けを整理します。読み終える頃には、自社の稟議書に書ける具体的な判断材料が揃っているはずです。
Copilot Studioとは|MicrosoftのローコードAIエージェント構築基盤
Copilot Studioは、Microsoftが提供する「グラフィカルなローコードスタジオ」です。AIエージェントとワークフローを作成・管理し、組織のデータやシステムに接続したうえで、社員がすでに使っているチャネル(Teams、Web、モバイルアプリなど)に公開できます。
ポイントは「ローコード」という位置づけです。専門的な開発知識がなくても業務担当者が自然言語で指示するだけでエージェントを作れる一方、プロのメーカー(開発者)向けには詳細な制御も用意されています。AIエージェント導入の全体像や進め方はAIエージェント導入完全ガイドで体系的にまとめているので、初めて検討する方はあわせて確認してください。
Copilot Studioで作れるものは大きく3種類です。
- エージェント:会話を処理しタスクを完了するAIアシスタント。指示に従い、接続した知識源を参照し、ツールを使って行動を選択する
- ワークフロー:ドラッグ&ドロップで組む自動化。各ステップがAIで推論・実行でき、人間の承認を挟む「human-in-the-loop」制御も可能
- エージェントフロー:Power Automateに近い操作感の自動化。単体で動かすことも、エージェントの「ツール」として組み込むこともできる
Copilot Studioで何ができるか|2026年6月刷新の3つのハーネス
2026年6月、Copilot Studioはエージェントの「実行エンジン(ハーネス)」を再編しました。作るものによって課金方法も動作の仕組みも変わるため、ここを理解しないと料金試算を間違えます。
| ハーネス | 向いている用途 | 課金方式 |
|---|---|---|
| GitHub Copilot harness | 推論の重い多段階タスク、複雑な業務プロセスの自律実行 | Copilot Creditsの従量課金(専用の課金体系) |
| Standard harness(標準) | ルールベースのエージェント、構造化された定型会話 | Copilot Studioのライセンス・Copilot Creditsで按分 |
| Copilot chat harness | M365 Copilot Chatを自社ナレッジで拡張する用途 | M365 Copilotライセンスに含まれる範囲が多い |
実務でまず選ぶのはstandard harnessであることがほとんどです。自然言語で要件を伝えると、Copilot Studioが適切な組み合わせ(エージェント/ワークフロー)を提案してくれる「自然言語ビルド」機能(プレビュー)も用意されています。
料金とライセンス|Copilot Creditsの仕組みと3つの入口
ここが最も誤解が多い部分です。まず大前提として、2025年9月1日にCopilot Studioの課金の共通単位が「メッセージ」から「Copilot Credits」へ切り替わりました(プリペイドパックあたりの数量やpay-as-you-goの単価自体は変更なし、と公式に明記されています)。
Copilot Studioを使い始める入口は主に4つあります。
- Copilot Studioユーザーライセンス(無償):テナントにCopilot Creditsのプリペイドパック契約がある前提で、管理者が個々のメーカーに付与するライセンス
- Microsoft 365 Copilotライセンス:$30.00/ユーザー/月(年間契約)。Copilot Chatと標準ハーネスのCopilot Studioへのアクセスが含まれるが、社内向け(Business to Employee)用途の範囲に限定される
- Copilot Studioスタンドアロン・サブスクリプション:プリペイド25,000 Copilot Creditsで月額$200.00(前払いで最大20%割引)。外部チャネルへの公開・プレミアムコネクタなど、フル機能が使える
- Pay-as-you-go(従量課金):Azureサブスクリプションに紐づけて、契約なしで使った分だけ月末に請求される方式
参考までに、2026年8月4日時点の為替(1米ドル=約157.6円)で単純換算すると、月額$200のスタンドアロンプランはおおよそ月3万1,000円相当です。ただし為替は変動するため、稟議書には必ずMicrosoft公式の米ドル価格を一次情報として記載し、円換算は参考値と明記することをおすすめします。
何にCopilot Creditsを使うのか(課金レート表)
| 機能 | 課金レート | M365 Copilotライセンスユーザーの扱い |
|---|---|---|
| Classic answer(定型回答) | 1クレジット | 課金なし |
| Generative answer(生成回答) | 2クレジット | 課金なし |
| Agent action(エージェントの行動) | 5クレジット | 課金なし |
| テナントグラフのグラウンディング | 10クレジット | 課金なし |
| エージェントフローのアクション(100件あたり) | 13クレジット | トリガー条件付きで課金なし |
| AIツール(premium・1,000トークンあたり) | 10クレジット | 課金なし |
| 音声(Premium GenAI Voice・1分あたり) | 75クレジット | コアアクティビティは含まれる |
ここで重要なのは「M365 Copilotライセンスを持つ社員が、M365 Copilot・Teams・SharePoint経由でエージェントを使う場合はゼロレーティング(課金対象外)になる」という点です。逆に言えば、ライセンスを持たない社員や、Webサイト等の外部チャネル経由の利用は容赦なくCopilot Creditsを消費します。「全社員がCopilotライセンスを持っていないから、無許可のアクセスがCreditsを食い潰していた」というのは、実際の相談でもよく出るパターンです。
使いすぎたらどうなるか
プリペイド容量を消費し尽くしても即停止するわけではありません。公式には「テナントの消費量が契約容量の125%に達した時点でエンフォースメント(利用制限)が発動する」と定義されています。発動するとカスタムエージェントは無効化され、進行中の会話は終了まで継続しますが、以降の呼び出しはすべて拒否されます。容量の再割り当て、追加購入、pay-as-you-goメーターの紐付けのいずれかで解除できます。
「無料版」「Copilot Studio lite」の正体|Agent Builderとの違い
ラッコキーワードのデータでも「copilot studio lite」(月間検索ボリューム390)や「copilot studio 無料版」(同260)が一定の検索需要を持っています。ここは名称変更の経緯を知らないと確実に混乱するポイントです。
公式ドキュメントを時系列で追うと、次のような変遷があります。
- 元々の名称は「Agent Builder」(Microsoft 365 Copilot内の簡易エージェント作成機能)
- 2025年9月、これを「Copilot Studio lite」として一時的にブランド変更
- 2025年11月、Microsoftはこの決定を撤回し、「Agent Builder in Microsoft 365 Copilot」という呼称に戻した
つまり2026年8月時点で「Copilot Studio lite」という正式名称の製品は存在しません。この用語で検索している場合、実際に知りたいのは「Agent Builder」であるケースがほとんどです。
Agent BuilderとCopilot Studio、どちらを選ぶか
Microsoft公式は、両者の使い分けを「対象者」「公開範囲」「機能」「ガバナンス要件」の4軸で判断するよう案内しています。
| 比較軸 | Agent Builder(Microsoft 365 Copilot内) | Copilot Studio(フル版) |
|---|---|---|
| 想定ユーザー | 情報ワーカー(自分やチーム用) | メーカー・開発者 |
| 公開対象 | 個人または小チーム | 部門・全社・社外顧客 |
| 得意なエージェント | 組織の知識に基づく軽量なQ&A | 多段階ワークフロー、業務システム連携、企業統制が必要な複雑シナリオ |
| 管理・統制 | Microsoft 365管理センター中心 | Power Platform管理センターで詳細な統制 |
| ライセンス | M365 Copilotアドオンに含まれる/Web知識のみなら無料 | M365 Copilotに含まれる範囲+Copilot Credits/pay-as-you-go |
整理すると「無料」と言えるのは、Agent Builderで、かつWeb上の公開知識だけを根拠にするエージェントに限定されます。社内SharePointやTeamsのデータを根拠にする時点で、実質的にはM365 Copilotライセンスの範囲内か、Copilot Creditsの消費対象になると考えておくのが安全です。Agent Builderで作ったエージェントは、あとからCopilot Studioへコピーして本格的な統制下に移すこともできます。
エージェント作成の使い方|自然言語で伝える最短ステップ
Copilot Studioの標準ハーネスでは、自然言語理解(NLU)でリクエストを「トピック」にマッチさせる仕組みが基本です。GUIでゼロから組む方法もありますが、実務で圧倒的に速いのは「作りたいエージェントを日本語の指示文で伝える」方法です。以下は実際に研修で使っている、Copilot Studioの「エージェントを作成」画面にそのまま貼り付けられる指示文の型です。事故防止のため、末尾に確認を促す一文を必ず添えています。
プロンプト1:社内FAQエージェント
あなたは社内向けFAQエージェントです。
対象:全社員
役割:就業規則・経費精算ルール・IT申請手順に関する質問に、接続されたSharePointの規程文書のみを根拠に回答する
禁止事項:規程文書に記載のない内容は推測で答えず、「人事部に確認してください」と案内する
トーン:丁寧だが簡潔に
不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
プロンプト2:IT問い合わせ一次対応エージェント
あなたはIT部門の一次対応エージェントです。
役割:社員からのPC・アカウント・アプリ不具合の問い合わせを受け付け、よくある問題は既知のFAQで解決を試み、解決しない場合はチケットを起票してIT部門に引き継ぐ
必須確認事項:社員番号、発生した端末・アプリ名、発生日時
エスカレーション条件:セキュリティに関わる可能性がある内容は即座に人間の担当者へエスカレーションする
仮定した点は必ず"仮定"と明記してください。
プロンプト3:新入社員オンボーディング案内エージェント
あなたは新入社員オンボーディング案内エージェントです。
対象:入社1〜3ヶ月の社員
役割:入社手続きの進捗確認、社内システムのアカウント設定手順の案内、よくある質問への回答
知識源:人事部が管理するオンボーディングマニュアル
振る舞い:わからないことは正直に「わかりません」と伝え、担当者への連絡先を案内する
数字と固有名詞は、根拠(出典/計算式)を添えてください。
プロンプト4:経費精算ルール案内エージェント
あなたは経費精算ルール案内エージェントです。
役割:交通費・出張費・接待費の精算ルールについて、経理規程文書を根拠に回答する
特に注意:金額の上限・領収書の要否・申請期限は必ず規程の該当箇所を引用して回答する
対応外の場合:個別の判断が必要なケースは経理部への相談を案内し、エージェントが独自に承認・否認の判断をしない
不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
プロンプト5:営業提案書ドラフト支援エージェント(SharePoint連携)
あなたは営業提案書のドラフト作成支援エージェントです。
対象:営業部門のメンバー
役割:SharePoint上の過去提案書テンプレートと製品資料を根拠に、指定された顧客の業種・課題に合わせた提案書の骨子を作成する
禁止事項:過去実績の数字を創作しない。テンプレートに存在しない実績数値は「[要確認]」と明記する
出力形式:見出し構成(課題・提案・効果・体制・費用)に沿って箇条書きで出力する
仮定した点は必ず"仮定"と明記してください。
これらはいずれも「知識源を明示し、越権行為を禁じ、不明点は正直に申告させる」という共通構造になっています。研修現場で最も事故が起きやすいのは、この制約を書かずに「なんでも答えるエージェント」を作ってしまうケースです。
【要注意】よくある失敗パターンと回避策
失敗1:M365 Copilotがあれば「Copilot Studioも無料」だと思い込む
❌ M365 Copilotライセンスを契約したので、Copilot Studioも追加コストなしで使い放題だと社内説明してしまう
⭕ ゼロレーティングされるのは「M365 Copilotライセンスを持つ社員が、M365 Copilot/Teams/SharePoint経由で使う」範囲に限定されると正確に伝える。外部公開や無ライセンス社員の利用は課金対象になる
なぜ重要か:この誤解を前提に予算を立てると、Copilot Creditsの追加購入が「想定外の支出」として後から発覚し、稟議のやり直しになります。
失敗2:「Copilot Studio lite」を今も探して混乱する
❌ 検索した情報が古く、存在しない「Copilot Studio lite」という製品名で社内に説明してしまう
⭕ 2026年8月時点の正式名称は「Agent Builder in Microsoft 365 Copilot」。名称変更が繰り返されている製品であることを前提に、必ず公式ドキュメントの更新日を確認する
なぜ重要か:Microsoft製品は名称・課金単位の変更が頻繁です。1年前の解説記事をそのまま信じると、稟議書の内容自体が最初から古くなります。
失敗3:ナレッジ接続の権限設計を後回しにする
❌ エージェントを先に作り、あとからSharePointの権限設計を考える
⭕ Agent Builderは「ユーザーが元々アクセス権を持たないSharePoint・Teams・Outlookのコンテンツは表示しない」という設計だが、Copilot Studioで独自のコネクタを組む場合はこの保証がない。接続前に「誰が・どこまで見られるエージェントか」を先に設計する
なぜ重要か:顧問先での相談でも、「エージェントが本来アクセス権のない部門の資料まで参照してしまった」という懸念から導入が止まったケースがあります。
失敗4:軽量エージェントを検証なしで全社展開する
❌ Agent Builderで作った個人・小チーム向けエージェントを、そのまま全社に共有してしまう
⭕ 公式の判断基準どおり、対象が「部門・全社・社外顧客」に広がる時点でCopilot Studioへ移行し、ライフサイクル管理(開発・テスト・本番環境の分離、ロールベースのアクセス制御)を整える
なぜ重要か:Agent Builderは統制よりも速さを優先した設計です。対象範囲がチームを超えた瞬間に、ガバナンス不足のリスクが跳ね上がります。
Claude Code等コード系AIエージェントとの使い分け
研修・コンサルティングの現場で最も多い質問が「Copilot StudioとClaude Codeは何が違うのか、両方必要なのか」です。結論から言うと、両者は競合というより役割が違います。
| 観点 | Copilot Studio | Claude Code等コード系エージェント |
|---|---|---|
| 主な担い手 | 業務部門の担当者(ローコード) | ソフトウェアエンジニア(コードベース) |
| 得意領域 | 社内FAQ・問い合わせ対応・業務システム連携・承認ワークフロー | ソフトウェア開発の自動化、リポジトリ操作、複雑なコーディングタスクの自律実行 |
| 実行環境 | Power Platform上のマネージド環境 | ローカル端末・CI/CD・開発者のターミナル |
| ガバナンスの単位 | Power Platform管理センターで環境・コネクタ単位 | リポジトリ権限・API利用ポリシー単位 |
| 向いている問い | 「この業務プロセスをエージェントに任せたい」 | 「このコードベースの実装・デバッグ・自動化を任せたい」 |
実務的な判断基準はシンプルです。対象業務が「非エンジニアが日常的に触る業務プロセス」ならCopilot Studio、「コードとリポジトリを扱う開発プロセス」ならコード系エージェントという切り分けがまず出発点になります。両方を導入している企業では、Copilot Studioで作った業務エージェントの裏側で、コード系エージェントが開発した社内API・コネクタを呼び出す構成も珍しくありません。なお、Claude系モデルをM365 Copilot環境で利用する際の管理者設定はM365 CopilotのClaude設定|管理者が見る5項目で解説しています。
導入判断|自社はどのプランから始めるべきか
ここまでの内容を、意思決定に使える形に整理します。
- まず個人・小チームで試したい→ Agent Builder(M365 Copilotライセンス内、またはWeb知識限定なら無料)から着手
- 部門やチーム全体に公開したい、承認ワークフローが必要→ Copilot Studioスタンドアロン(プリペイド25,000クレジット/月$200、または pay-as-you-go)を検討
- 社外顧客向けチャネル(Webチャット等)に公開したい→ Copilot Studioスタンドアロン一択(Agent Builderは外部公開に非対応)
- すでにM365 Copilot 3,000万席規模の統合が進む環境にいる→ 自社のM365 Copilot契約状況を先に棚卸しし、ゼロレーティングの範囲を正確に把握してからCopilot Credits予算を組む
M365 Copilot自体の最新動向(統合アプリ化・世界的な導入規模)はM365 Copilot、3,000万席突破|統合アプリ化で変わる導入判断で詳しく解説しています。あわせて、Microsoftのエージェント統制基盤全体を俯瞰したい場合はMicrosoft Scout完全ガイド|エージェント統制も参考になります。
セキュリティとガバナンス運用ルール
Copilot Studioは環境レベルでのガバナンス機能が用意されています。導入時に必ず確認すべき項目は次の3つです。
- コネクタ統制:管理者がエージェントの接続先システムを制御できる。無許可の外部システム接続を防ぐ
- 環境レベルのポリシー:DLP(データ損失防止)、ロールベースアクセス制御、監査ログが環境単位で強制される
- 公開の承認フロー:組織のアプリカタログへの公開には管理者承認が必要。野良エージェントの全社拡散を防ぐ設計になっている
正直にお伝えすると、これらのガバナンス機能は「設定すれば自動的に安全になる」ものではありません。環境設計・コネクタの許可リスト・公開承認フローの運用ルールを、導入初日に決めておく必要があります。後回しにすると、Agent Builderで作った野良エージェントが部門をまたいで拡散し、あとから統制をかけ直すコストの方が高くつきます。
よくある質問
Q. Copilot Studioは無料で試用できますか?
個人向けの無料トライアルがあります。エージェントの作成・テストチャットでの動作確認は可能ですが、トライアルライセンスでは公開(パブリッシュ)ができません。トライアル期限が切れても、作成したエージェント自体は期限切れ後90日間は動作し続けます。
Q. Copilot Studioは廃止されるのですか?
2026年8月時点でそのような公式アナウンスはありません。むしろ2026年6月に新オーケストレーター・新エージェント体験・新ワークフローデザイナーを含む大規模な機能刷新が行われており、Microsoftは投資を継続している状況です。
Q. 有償版と無償版の違いは何ですか?
「無償」と呼べるのはAgent Builderで、かつWeb上の公開情報のみを根拠にするエージェントに限られます。社内データ(SharePoint・Teams等)を根拠にする場合は、M365 Copilotライセンスの範囲内利用か、Copilot Creditsの消費対象になります。
Q. CopilotとCopilot Studioの違いは何ですか?
「Copilot」(M365 Copilot)は完成済みのAIアシスタントを使う立場、「Copilot Studio」は自社専用のエージェントを作る立場という違いです。M365 CopilotライセンスにはCopilot Studioの標準ハーネスへのアクセスも含まれますが、社内向け用途に限定されます。
Q. Copilot Studioのライセンス料はいくらですか?
フル機能のスタンドアロン契約はプリペイド25,000 Copilot Creditsで月額$200.00(前払いで最大20%割引)。M365 Copilotライセンスは年間契約で1ユーザーあたり月額$30.00です。いずれも米ドル建てが公式価格で、円換算額は為替レートにより変動します。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日:自社のM365 Copilotライセンス保有状況を確認し、Copilot Chat・Teams・SharePoint経由の利用がゼロレーティング範囲に入っているか棚卸しする
- 今週中:Agent Builderで、対象を自チームに限定した軽量エージェントを1つ試作し、権限設計(誰が・どこまで見られるか)を確認する
- 今月中:部門・全社展開の要否を判断し、必要であればCopilot Studioスタンドアロンのプリペイド/pay-as-you-goのどちらで予算化するか、Copilot Credits消費見込みとあわせて稟議書に落とし込む
次のアクション(3つのうちどれか1つでOK)
- 今日:本記事の課金レート表を自社のCopilot Credits見積もりのたたき台として使う
- 今週:Agent Builderで軽量エージェントを1つ試作し、権限設計を確認する
- 相談したい方:UravationではCopilot Studio導入前の要件整理・社内向けAIエージェント研修も行っています
次回予告:次の記事では「Copilot Studioで作ったエージェントの評価・監視(Evaluations/Analytics)をどう運用に組み込むか」をテーマに、さらに実践的な内容をお届けします。
著者プロフィール
佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
ご質問・ご相談はお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
参考・出典
- Microsoft Learn「Get access to Copilot Studio Standard harness」 https://learn.microsoft.com/en-us/microsoft-copilot-studio/requirements-licensing-subscriptions(参照日:2026年8月4日)
- Microsoft Learn「Standard harness licensing」 https://learn.microsoft.com/en-us/microsoft-copilot-studio/billing-licensing(参照日:2026年8月4日)
- Microsoft Learn「Billing rates and management」 https://learn.microsoft.com/en-us/microsoft-copilot-studio/requirements-messages-management(参照日:2026年8月4日)
- Microsoft Learn「Overview – Microsoft Copilot Studio」 https://learn.microsoft.com/en-us/microsoft-copilot-studio/fundamentals-what-is-copilot-studio(参照日:2026年8月4日)
- Microsoft Learn「Choose between Agent Builder in Microsoft 365 Copilot and Copilot Studio」 https://learn.microsoft.com/en-us/microsoft-365/copilot/extensibility/copilot-studio-experience(更新日:2026年7月29日、参照日:2026年8月4日)
- Microsoft公式「Microsoft 365 Copilot Pricing – AI Agents | Copilot Studio」 https://www.microsoft.com/en-us/microsoft-365-copilot/pricing/copilot-studio(参照日:2026年8月4日)
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