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Mistral Large 4とは|1兆パラメータの公開と料金・使いどころ

Mistral Large 4とは|1兆パラメータの公開と料金・使いどころ

2026年10月7日時点で、Mistral AIの最大モデル「Mistral Large 4」はパブリックプレビューとしてAPIで使えます。Mistral AIは10月6日(現地時間)、1兆パラメータ(うち推論時に動くアクティブパラメータは490億)のネイティブマルチモーダルモデルを発表し、開発者向けの「Mistral Studio」でプレビューAPIを即日公開しました。モデルの重みは10月末までにオープンウェイトとして公開する予定です。非公式には「ML4」、公式には「Le Chonk(ル・チョンク)」と呼んでいます。

この記事では、Mistral AIの発表文(モデルカードを含む)と公式ドキュメントのモデル一覧、公式の料金ページ、ITmediaの報道を根拠に、何が出たか、公表された性能、サイバーセキュリティでの立ち位置、料金と提供条件、ライセンスの現状、企業がどう見ればよいかを整理します。対象は、オープンウェイトのモデルを自社環境で動かすことを検討している情報システム部門と、Claude・GPT・Geminiの最上位モデルに加えて「自社で運用できる選択肢」を押さえておきたい経営企画の担当者です。

  • 結論: Mistral Large 4は1兆パラメータ(アクティブ490億)のMoEで、重みは10月末に公開予定。いまはMistral StudioのプレビューAPIで試せる
  • 公表値はコーディング(DeepSWE 61.7%)・エージェント(AutomationBench 59.9%)・サイバー(脆弱性の再現と修正 82%)で、米欧のオープンウェイトでは最上位
  • API料金は発表ページのモデルカードで100万トークンあたり入力1.36ドル・出力4.18ドル(ITmediaも同じ値)。公式の料金ページ(mistral.ai/pricing)には10月7日時点で未掲載
  • ライセンスは公式ドキュメントの一覧で「Open」とだけ書かれ、中身は未発表。重みの公開時に確認が要る

何が出たか|1兆パラメータのMoE、重みは10月末

発表文の要点は3つです。1つ目は規模で、総パラメータ1兆、アクティブパラメータ490億のMoE(Mixture of Experts)構成です。ITmediaの報道では、総パラメータは1兆500億、画像を扱うビジョンエンコーダは16億パラメータで、指示応答と推論を1つのモデルで切り替えるハイブリッド型、コンテキスト長は100万トークンとされています。2つ目は提供で、プレビューAPIはMistral Studioで即日、重みは10月末までに公開です。3つ目は学習環境で、欧州にあるMistral自身のデータセンターの3,800基のGPU(NVIDIA Grace Blackwell)でゼロから学習し、プレビューも同じ設備で提供しています。

図: 1兆パラメータ(アクティブ490億・ネイティブマルチモーダル)→ プレビューAPI(Mistral Studio)→ 重みは10月末。3,800基のGPU で学習

Mistralは「重みの公開までは、サイバーセキュリティのリーダー層・審査済みのパートナー・国の当局と実環境でレッドチーミングを行う」と書いています。その期間、これらの相手は「緩い moderation と拡張されたサイバー能力」を持つ同じモデルにアクセスします。重みの公開時には、モデルのアーキテクチャ・追加のベンチマーク・事後学習の方法を詳しく出すとしています。学習データの多くは多言語で、EUの全公用語を含む160以上の言語に対応します。

Mistralは、このモデルが「新しい世代の特化・最適化モデルの土台になる」とも書いています。どのモデルがその世代に入るかは発表文に書かれていません。

公表された性能|コーディング・エージェント・マルチモーダル

発表文に載っている数字を、比較対象とともに表にします。いずれもMistral AI自身の公表値です。

図: DeepSWE v1.1 61.7%、Terminal-Bench 4 28.3%、AutomationBench 59.9%、Cybench 93%

領域ベンチマークMistral Large 4発表文の比較対象
コーディングDeepSWE v1.161.7%Coding Agent Indexは49.8%で、DeepSeek V4 Pro 0813とQwen3.8 Maxを上回る
コーディングSWE-Atlas-QnA59.4%
コーディングTerminal-Bench 428.3%
コーディングの人手評価Surge AIによるブラインド評価(5段階)3.74(5モデル中2位)Kimi K3 3.59・GLM-5.3 3.60・GLM-5.2 3.40を上回り、Claude Opus 5の4.22に次ぐ
エージェントAutomationBench(657の業務ワークフロー)59.9%Kimi K3・MiMo-V2.6-Pro・DeepSeek V4 Proを上回る
知識労働AA-Briefcase1,393 EloDeepSeek V4 Proを上回る
マルチモーダルDense 200(視覚的なグラウンディング)42%GPT-6 Astraの41%を上回る

読み方として押さえたいのは、比較対象の多くが中国のオープンウェイトモデル(DeepSeek・Qwen・Kimi・GLM)である点です。Mistralは「米国と欧州で開発されたオープンウェイトモデルを大きく上回り、世界で最も強いオープンソースモデルと競合する性能」と書いており、クローズドの最上位モデルに全面で勝つとは主張していません。人手評価でもClaude Opus 5には及びません。一方で、視覚的なグラウンディングのように「クローズドの最上位を超える」と明記した領域もあります。

知識労働の領域では、第三者(vals.ai)による法務と金融の代表的なタスクでGPT-6 Astraを上回ったとし、HarveyのLegal Agentベンチマークではすべてのオープンソースモデルを上回ったとしています。科学の領域ではSciCode-Verifiedでオープンウェイトの中で最高とし、Hartree–Fock法のシミュレーションを一度の指示で生成した例を挙げています。GLM-5.3との人手評価ではCADと理系の課題で好まれ、金融とコーディングでは同等か近い結果でした。

サイバーセキュリティでの立ち位置|拒否しないオープンウェイト

発表文が最も強調しているのがサイバーセキュリティです。Artificial Analysisの「Cyber Index」(AIモデルが実際のソフトウェアの欠陥を見つけて直す力の独立評価)で世界の上位5モデルに入り、中国以外で開発されたオープンウェイトの中では大差で首位としています。同じ指標の中の「オープンソースソフトウェアの実在する脆弱性を再現し、修正する」テストでは82%で、全モデル中の最高値です。セキュリティ競技から取った40問の「Cybench」では93%を解いたとしています。

Mistralはここで、クローズドの最上位モデル(Claude Opus 5.5やGPT-6 Astra)が同じテストで「タスクを拒否するためほぼゼロになる」と説明し、防御側には脆弱性が実在することを確かめる作業が必要なので、自社のポリシーの下で動かせるオープンウェイトに利点がある、と主張しています。この主張は発表文の立場であって、クローズドモデルの提供元が同じ評価を認めているわけではありません。

一方で安全面の数字も出しています。Mistral自身の評価では間接的なプロンプトインジェクションへの頑健性でオープンソースの中で最前線とし、Lakeraの公開「B3 AI Security Benchmark」では攻撃の93.3%に耐えたとしています。利用者への対応の適切さを測る「KORA Benchmark」は1.691(最大2)で、同社のオープンソースモデルとして最高値です。サイバー分野の悪意ある依頼への拒否率は、JailbreakBench・StrongREJECT・AgentHarmの平均で、他のオープンソースモデルより高いとしています。つまり「正当な脆弱性の検証はこなし、悪用の依頼は断る」という作り方を目指した、という説明です。

料金と提供|プレビューAPIの料金、100万トークン、160以上の言語

料金は、発表ページに載っているモデルカードで「100万トークンあたり入力1.36ドル・出力4.18ドル」とされ、ITmediaも同じ値を報じています。公式の料金ページ(mistral.ai/pricing)には2026年10月7日時点でMistral Large 4の行がまだ無いので、料金の根拠はいまのところ発表ページのモデルカードです。公式ドキュメントのモデル一覧には「Mistral Large 4(v26.10)・Open・最先端のオープンウェイトの汎用マルチモーダルモデル」として載っています。

図: 入力1.36ドル・出力4.18ドル(100万トークンあたり・報道値)、160以上の言語、EU公用語、欧州のリージョン

項目内容出典
提供形態Mistral StudioのプレビューAPI(10月6日から)。重みは10月末までに公開予定Mistral AI 発表文
API料金入力1.36ドル・出力4.18ドル(100万トークンあたり)Mistral AI 発表ページのモデルカード・ITmedia(2026年10月7日)。公式の料金ページは未掲載
コンテキスト長100万トークンITmedia
言語160以上の言語。EU公用語をすべて含むMistral AI 発表文
提供地域複数のリージョン。欧州法の下でMistralが一気通貫で運用する欧州のリージョンを含むMistral AI 発表文
カスタマイズ顧客向けの学習・カスタマイズ・RL環境「Mistral Forge」と同じ環境で学習Mistral AI 発表文

自社環境に置いて動かす場合は、API料金とは別に推論用のGPUの費用がかかるので、1兆パラメータ(アクティブ490億)のモデルを自前で動かす設備があるかどうかが先に決まります。

ライセンスと自社運用|「Open」の中身は未発表

自社運用を考える会社にとって一番大事なのはライセンスですが、10月7日時点で確定していません。公式ドキュメントのモデル一覧では、Mistral Small 4とMistral Large 3が「Apache 2.0」と明記されている(2つは同じ条件)のに対し、Mistral Large 4は「Open」とだけ書かれています。発表文も「重みを10月末までに公開する」と書くだけで、ライセンスの名前は出していません。

図: Mistral Small 4 は Apache 2.0、Mistral Large 3 も同じ条件、Mistral Large 4 は Open とだけ。重みの公開時に確認

Mistralは「オープンウェイトと自社デプロイによって、組織が自分のポリシーの下で高度なセキュリティ作業を行う能力と自律性の両方を持てる」と書き、ソブリンで監査可能なAIをプライベートクラウドかオンプレミスで動かせるとしています。したがって自社運用の判断は、10月末に重みと一緒に出るライセンス(商用利用・再頒布・改変の条件)を読んでからです。Apache 2.0なら前の世代と同じ扱いにできますが、独自ライセンスなら法務の確認が入ります。

当社の勧めは、いまはプレビューAPIで自社の業務データに近い課題を評価しておき、重みの公開とライセンスの発表を待って自社運用の可否を決める順番です。先に設備を手配する必要はありません。

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企業はどう見るか|クローズドの最上位との使い分け

当社の見立てでは、Mistral Large 4は、ChatGPT・Claude・Geminiの置き換えを狙うモデルというより、自社で運用できる最上位のオープンウェイト、という選択肢です。機密データを外に出せない業務、欧州法の下での運用が要件になる取引、セキュリティ運用のようにクローズドモデルの拒否が作業を止める領域で、候補に入ります。

図: プレビューAPIで試す→社内データで評価→重みの公開を待つ→ライセンスを確認→自社環境に置く。クローズドの最上位との使い分け

逆に、コーディングのような業務では、クローズドの最上位モデルの方が人手評価で上回る結果が発表文自身に載っています(Surge AIによるコーディングの人手評価でClaude Opus 5が4.22、Mistral Large 4が3.74)。当社の見立てでは、普段の業務はクローズドモデル、自社運用が要る業務はオープンウェイト、と分けるのが現実的です。

手順としては、プレビューAPIで試す、社内データで評価、重みの公開を待つ、ライセンスを確認、自社環境に置く、の順です。Mistralの前の世代については Mistral Medium 3.5で変わる開発AI と Gemma 4 vs Llama 4完全比較|無料で使う方法 に、クローズドの3モデルの企業向け比較は ChatGPT vs Claude vs Gemini|企業向け比較 にまとめています。

よくある質問

いま無料で試せますか?

プレビューAPIはMistral Studioで提供されています。無料枠の有無と条件は公式の料金ページとMistral Studioで確認してください。料金は発表ページのモデルカード(入力1.36ドル・出力4.18ドル)にあり、料金ページ(mistral.ai/pricing)には10月7日時点で未掲載です。

重みはいつ公開されますか?

発表文は「今月末までに(by the end of the month)」としています。2026年10月末です。

ライセンスはApache 2.0ですか?

未発表です。公式ドキュメントの一覧では「Open」とだけ書かれ、Mistral Small 4やLarge 3のように「Apache 2.0」とは書かれていません。重みの公開時に確認してください。

日本語は使えますか?

発表文は「160以上の言語」に対応するとしています。日本語の性能を示す個別の数字は発表文にありません。

Claude Opus 5.5やGPT-6 Astraより強いのですか?

発表文は、オープンウェイトの中での順位と、視覚的なグラウンディングなど一部の領域でクローズドの最上位を上回ることを主張しています。コーディングの人手評価ではClaude Opus 5に及んでいません。全面的に上回るという主張はしていません。

自社のサーバーで動かせますか?

重みの公開後に、ライセンスの条件の範囲で動かせます。1兆パラメータ(アクティブ490億)のモデルなので、推論用のGPUの用意が前提です。

参考・出典

いずれも2026年10月7日時点で公式ページを確認しました。

最終更新:2026年10月7日

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佐藤傑
この記事を書いた人 佐藤傑

株式会社Uravation 代表取締役CEO/生成AIエバンジェリスト。法人向けAI研修・コンサルティングを手がけ、日経・SBクリエイティブ・GMO等のメディアで生成AIについて執筆。

執筆・監修:佐藤傑/下書き・図版・機械検査:当社のAI社員(人が確認してから公開しています)。記事の作り方と検査の方針

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