結論: 人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」は、厚生労働省のパンフレット(令和8年8月3日版)に「令和8年度末までの時限措置」と明記された、2027年3月31日で期限が切れる制度です。2026年8月末に公表された令和9年度概算要求では、人材開発支援助成金の要求額は602億円(前年度当初539億円)へ増える一方、コース表から「事業展開等リスキリング支援コース」の行が消え、「訓練実施コース」と「休暇制度導入コース」の2系統へ組み替える案が示されました。「助成金そのものがなくなる」のではなく、「正社員のDX・AI訓練に経費の75%が出る枠が、今の形では今年度で終わる」が2026年9月時点の正確な読み方です。
この記事の要点:
- 終わるのは「コース」であって「人材開発支援助成金」ではない。令和9年度概算要求の助成金予算はむしろ増額(539億円から602億円)
- 概算要求のコース表では、正社員の一般的な訓練は「一般訓練」(経費助成45%・賃金要件達成で60%)に乗る形になっていて、現行コースの75%は非正規雇用労働者向けの特定訓練と団体訓練にしか残っていない
- 令和9年度の姿が確定するのは、政府予算案(例年12月)と年度明けの省令・支給要領。概算要求は「要求」であり、まだ決定ではない
- 今年度の枠を使うなら、計画届は訓練開始日の1か月前まで。3月31日開始の訓練なら提出期限は2027年2月28日で、8月3日改正後の「職務直結」基準が適用される
対象読者: 人材開発支援助成金でAI研修・DX研修を検討している中小企業の経営者・人事担当者・研修担当者。「来年度も同じ条件で使えるか」を社内で聞かれている人
読了後にできること: 「今年度中に申請するか、令和9年度の新体系を待つか」を、期限と助成率の差を根拠に自社で判断できるようになります。
「リスキリングの助成金、来年なくなるんですよね?」
9月に入ってから、研修の見積もりと一緒にこの質問が届くようになりました。正直に言うと、私自身もこの週に自社で1名分の申請準備を始めたところです。正社員1名に外部機関の10時間以上の訓練を受けさせ、当社が申請事業主になる想定で、社労士の先生に計画届から支給申請までの費用感と必要な情報を聞いています。「なくなる前に使っておこう」という動きは、支援する側の当社にも起きているわけです。
ただ、「なくなる」という言葉の中身を確かめずに動くと、2つの失敗が起きます。1つは「どうせ終わるから」と諦めて、今年度中なら通った訓練を見送ること。もう1つは「概算要求で再編と書いてあった」を「来年度の条件が決まった」と読み替えて、社内に誤った説明をすることです。
この記事では、厚生労働省のパンフレットと支給要領、そして令和9年度概算要求の資料を突き合わせて、「何が終わり、何が残り、何がまだ決まっていないか」を切り分けます。そのうえで、今年度の期限から逆算した日程と、令和9年度以降の現実的な選択肢を、社内確認に使えるプロンプトつきで整理します。制度の全体像や申請手順そのものは、事業展開等リスキリング支援コースの実務ガイドと申請ガイド(必要書類とスケジュール逆算)にまとめてあるので、本記事は「期限と再編」に絞ります。
「なくなる」の正体|令和4年12月に始まった時限措置が令和8年度末で切れる
まず、いま言われている「なくなる」の根拠を公式資料で確認します。厚生労働省の「令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コースのご案内(令和8年8月3日版)」のコース一覧には、このコースの行に「令和4年12月〜※7」と書かれ、注記の※7に「令和8年度末までの時限措置」とあります。つまり、制度が始まった時点から、2027年3月31日で切れる設計だったということです。

このコースの現行条件を、パンフレットの記載どおりに並べると次のとおりです。
| 項目 | 現行(令和8年度・8月3日版パンフレット) |
|---|---|
| 実施期間 | 令和4年12月から令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置 |
| 経費助成率 | 中小企業75%、大企業60% |
| 賃金助成 | 1人1時間あたり中小企業1,000円、大企業500円 |
| 1事業所の年度上限 | 1億円 |
| eラーニング・通信制の上限 | 1人1訓練あたり中小企業15万円、大企業10万円 |
| 設備投資加算(中小企業のみ) | 導入費用の50%。1人につき15万円、10人以上は150万円が限度 |
| 訓練の要件 | OFF-JTで実訓練時間10時間以上。①事業展開、②DX化・GX化、③人事・人材育成計画(中小企業のみ・認定経営革新等支援機関の確認が必要)のいずれか |
時限措置であることは新設時から織り込まれていました。2022年11月30日の労働政策審議会人材開発分科会の議事録では、事務局がこのコースを「新設する内容」として説明し、委員からは「効果が見られない場合には、廃止も含めて不断の見直しが不可欠」という意見が出ています。つまり「延長されるのが当然」という前提の制度ではなく、令和8年度末に一度リセットされる前提で運用されてきた制度です。
もう1点、見落とされがちなのが2026年8月3日の改正です。8月3日以降に提出する職業訓練実施計画届からは、「職業や職務に間接的に必要となる知識」「職業人として共通して必要なもの」を目的とする訓練が対象外になりました。汎用的なプロンプトの作り方や、DXの概念理解にとどまる研修は通りません。年度内の駆け込みで申請する訓練も、この新しい基準で審査されます。改正の線引きは8月改正で対象外になったAI研修の整理で具体例つきで解説しています。
令和9年度概算要求で見えた再編|予算は602億円に増えるが、コースの名前が消えた
次に、「なくなった後どうなるか」の手がかりです。厚生労働省人材開発統括官が2026年8月に公表した「令和9年度概算要求の概要」(資料2)を読むと、人材開発支援助成金の令和9年度概算要求額は602億円で、前年度当初予算の539億円から増えています。ページの見出しには「拡充」のマークが付いています。助成金の財布は小さくなるどころか大きくなる、というのが1つ目の事実です。
2つ目の事実は、同じページのコース表です。現行の6コース(人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなど)という並びではなく、次の2系統に組み替えた表になっています。

| 令和9年度概算要求のコース表 | 訓練の区分 | 経費助成率(カッコ内は賃金要件等を達成した場合) | 賃金助成(中小企業) |
|---|---|---|---|
| 訓練実施コース | 一般訓練【1事業所1年度 1,000万円】 | 45%(60%) | 800円(1,000円) |
| 特定訓練・非正規雇用労働者【1,500万円】 | 75%(60%)※正規雇用へ転換しない場合は60% | 1,000円 | |
| 特定訓練・中核人材(高度デジタル人材の訓練、大学・大学院の訓練) | 60%(45%) | 1,000円 | |
| 団体訓練【全体1億円】 | プログラム開発・スキル標準化は75%、訓練実施は45% | 800円(1,000円) | |
| 休暇制度導入コース | 教育訓練休暇制度 | 30万円(36万円)の定額 | なし |
| 長期教育訓練休暇制度 | 20万円(24万円)の定額 | 1,000円 | |
| 教育訓練短時間勤務等制度 | 20万円(24万円)の定額 | なし |
この表で注目すべき点は3つあります。
- 「事業展開等リスキリング支援コース」という名前の行がない。中小企業の正社員にAI・DXの訓練をする場合、表の上では「一般訓練」(経費助成45%、賃金要件を達成すれば60%)に乗る形になっている
- 75%が残っているのは、非正規雇用労働者を対象にした特定訓練と、業界団体などが行う団体訓練のプログラム開発部分だけ
- 「事業展開」という考え方は消えていない。注記※2の設備投資加算は「事業展開に資する訓練の場合」に中小企業だけが使える加算として残り、一般訓練の欄に「導入費用の50%」と書かれている
さらに、概算要求の全体を見ると、人材開発支援助成金は「17の戦略分野等におけるリ・スキリング人材育成加速化プラン」という厚生労働省・経済産業省・文部科学省の共同要求(1,909億円)の中に位置づけられています。同じ枠には、成長分野等におけるリ・スキリングプログラム開発(22億円から337億円)や、教育訓練給付金等による労働者の主体的な能力開発への支援(558億円から582億円)が並びます。国の力点が「企業が社員に受けさせる汎用的なDX訓練」から「戦略分野のスキル標準に沿った訓練」と「個人が自分で学ぶ教育訓練給付」へ寄っている、という読み方ができます。
ここで注意してほしいのは、この表は「厚生労働省が財務省に要求した案」だということです。要求どおりに通るとは限らず、査定の過程で率や上限が変わることも珍しくありません。「令和9年度は一般訓練で45%になる」と社内に断定して伝えるのは、2026年9月時点では早すぎます。
確定するのはいつか|概算要求から支給要領までの4つの節目
「では、いつになれば来年度の条件が分かるのか」を、予算と制度改正の通常の流れで示します。年によって日付は前後しますが、節目の順番は変わりません。

- 8月末:概算要求。各省庁が翌年度の予算を財務省に要求する。今回の「602億円」「2系統への再編」はこの段階の資料
- 12月下旬:政府予算案の閣議決定。財務省の査定を経て、金額と主な事業の形がここでほぼ固まる。コースの統廃合の方向性は、この時期に厚生労働省の予算案資料で確認できるのが通例
- 1月から3月:通常国会での予算審議・成立。年度内成立が原則。ここで大きく形が変わることは少ない
- 4月1日前後:省令改正・支給要領の公表。助成率・上限・要件・様式が確定するのはこの段階。2026年も4月8日と8月3日の改正がそれぞれ支給要領とパンフレットの改訂という形で出ている
実務上の判断材料になるのは2と4です。12月の予算案資料で「一般訓練45%」の形が維持されていれば、令和9年度の正社員向けDX訓練は現行の75%から下がる可能性が高いと判断できます。逆に、12月時点で「事業展開等リスキリング支援コースを延長」といった記述が出れば、この記事の前提は変わります。当社でも12月の予算案が出た時点で本記事に追記します。
令和9年度の計画届の受付が始まるのは、例年どおりなら4月以降です。つまり、2027年4月に新体系で申請したい訓練の計画届は、訓練開始日の1か月前までという規則から逆算すると、早くても5月開始の訓練からになります。「4月から新体系で切れ目なく使う」ことは制度上難しいと考えておいた方が安全です。
年度内に使うなら|計画届の締切から逆算するスケジュール
今年度の枠で申請する場合の期限を、パンフレットの記載から逆算します。ポイントは「訓練開始日の1か月前まで」に計画届を労働局へ提出することです。

| 手続き | 期限(パンフレット記載) | 3月31日開始の訓練の場合 |
|---|---|---|
| 職業訓練実施計画届の提出 | 訓練開始日の6か月前から1か月前までの間 | 2026年9月30日から2027年2月28日まで |
| 訓練の実施 | 計画届のとおりに実施。変更があれば変更届 | 令和8年度内に開始 |
| 支給申請 | 訓練終了日の翌日から起算して2か月以内 | 訓練終了日に応じて2027年5月から6月ごろ |
パンフレットには「訓練開始日が3月31日なら提出期間は9月30日から2月28日まで」という具体例が載っています。3月に入ってから計画届を出しても、開始日を3月中に置くことはできません。逆算すると、年度内に訓練を始めたい企業の実質的な締切は2027年2月末です。研修会社の見積もり、社内の稟議、計画届の作成に各1〜2週間かかるとすれば、1月中に訓練内容を固めておく必要があります。
年度をまたぐ訓練(3月に始めて4月以降に終わる訓練)の扱いは、パンフレットと支給要領の本文に明文の記載が見当たりませんでした。時限措置の終了に伴う経過措置がどう置かれるかは、年度末に向けて厚生労働省から案内が出る可能性があります。年度をまたぐ計画を立てる場合は、計画届の提出前に管轄の労働局へ「令和8年度内に開始し令和9年度に終了する訓練の支給申請が可能か」を確認してください。当社が自社申請の準備で社労士に投げた確認事項も、この点と、訓練の対象範囲、職業能力開発推進者の選任の3つです。
駆け込みで申請する訓練にも、8月3日改正後の基準がそのまま適用されます。具体的には次の3点を満たしているかを計画届の前に確認してください。
- 訓練の内容が、受講者の特定の職務に直接必要な知識・技能になっているか(「営業担当者が商品提案書の構成案作成に生成AIを使う」は対象、「汎用的なプロンプトの作り方」は対象外というのが厚生労働省の示した例)
- eラーニングによる訓練は、同一の労働者につき年度内1回まで(8月3日以降の計画届から適用)
- ③人事・人材育成計画の類型で申請する中小企業は、認定経営革新等支援機関による計画の確認を事前に受けているか
1名だけ受講させる場合の条件や落とし穴はマンツーマンAI研修の助成金対象条件に、必要書類の一覧は申請ガイドにまとめています。
令和9年度以降のAI研修はどう組むか|3つの現実的な選択肢
ここまでを踏まえて、企業側が取れる道は大きく3つです。どれか1つに決める必要はなく、訓練の内容ごとに使い分けるのが現実的です。

選択肢1:今年度中に、職務直結の訓練を前倒しで実施する
すでに来年度の研修計画に「営業部門の提案書作成にAIを使う」「経理部門の仕訳チェックにAIを使う」のような職務直結の訓練が入っているなら、2月末までの計画届に間に合わせて前倒しする価値があります。現行の経費助成75%(中小企業)は、概算要求の一般訓練45%から60%と比べて明らかに高い水準です。ただし、対象になるかどうかは要件審査があり、支給を保証するものではありません。前倒しする判断は「助成金が出なくても実施する訓練か」を基準にしてください。
選択肢2:令和9年度の新体系を待って、加算を組み合わせる
概算要求の一般訓練には、賃金要件(訓練後の賃上げ5%以上、または資格等手当の支給で3%以上)を達成した場合の60%への引き上げと、事業展開に資する訓練で機器・設備を購入した場合の設備投資加算(導入費用の50%)が残っています。訓練とセットで機器導入や賃上げを計画している企業は、新体系の方が総額で有利になる可能性があります。ただし、率も加算も確定は4月以降です。
選択肢3:自治体の制度や教育訓練給付と組み合わせる
国の制度が動く年は、自治体の制度と個人向け給付が受け皿になります。東京都のDXリスキリング助成金は国の制度と別枠で、国との併用可否を整理した記事があります。また、概算要求では教育訓練給付金等が558億円から582億円へ増額要求されており、社員個人が受講費用の支援を受けて学ぶ道は広がる方向です。企業が受講料を負担する形にこだわらず、「会社が時間を出し、個人が給付で学ぶ」設計も選択肢に入れてください。
なお、社労士への申請代行費用は、当社の研修をご利用の場合でも、お客様から社労士事務所へ直接お支払いいただく建付けです(受講者1名あたり5,500円税込の水準)。研修費用と助成金申請の費用を混ぜない方が、疎明書(受講料の価格設定が助成金の有無と無関係であることの説明)でも説明しやすくなります。2つの制度の使い分け全体はAI研修助成金の2制度比較に早見表があります。
AI研修、貴社に合う進め方を30分で整理
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コピペで使える確認プロンプト5つ
社内の判断を早めるために、そのまま生成AIに貼れるプロンプトを5つ用意しました。数字や制度の説明は必ず厚生労働省の最新資料と突き合わせてください。
プロンプト1:自社の研修が「職務直結」かを仕分ける
あなたは人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)に詳しい社労士です。
以下の研修カリキュラムを、2026年8月3日改正後の基準で「対象になりやすい」「対象外になりやすい」「判断できない」に仕分けてください。
判断基準:
- 受講者の特定の職務に直接必要な知識・技能か
- 概念理解・リテラシー・汎用的なプロンプト作成にとどまっていないか
- 訓練内容に沿って受講者を選んでいるか
各項目について、対象外になりやすい場合は「どう書き換えれば職務直結になるか」も提案してください。
【研修カリキュラム】
(ここに各回のテーマ・時間・対象部署を貼る)プロンプト2:3月31日から逆算した日程表を作る
人材開発支援助成金の計画届は「訓練開始日の6か月前から1か月前までの間」に提出する必要があります。
訓練開始日を【2027年○月○日】、訓練期間を【○日間】として、次の項目を含む逆算スケジュールを表で作ってください。
- 研修会社への見積もり依頼
- 社内稟議
- 職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の周知
- 計画届の作成と労働局への提出(提出期限を明記)
- 訓練の実施
- 支給申請(訓練終了日の翌日から2か月以内)
各項目に「担当」「所要日数」「遅れた場合の影響」を付けてください。プロンプト3:計画届に書く「事業展開の内容」の下書き
当社は【業種】で、【新しく始める事業や業務の内容】を計画しています。
この事業展開に必要となる専門的な知識・技能として、【研修名】を受講させます。
計画届の「事業展開の内容」と「訓練の必要性」の欄に書く文章を、次の条件で下書きしてください。
- 事業展開の時期(訓練開始日から3年以内に実施予定)を明記する
- 受講者の現在の職務と、訓練後に担当する業務を具体的に書く
- 「AI」「DX」という言葉だけで済ませず、業務のどの工程で何をするかを書く
- 300字以内プロンプト4:令和9年度の新体系で自社の訓練がどこに乗るかを仮判定する
厚生労働省の令和9年度概算要求では、人材開発支援助成金を「訓練実施コース(一般訓練・特定訓練・団体訓練)」と「休暇制度導入コース」に再編する案が示されています。
一般訓練は経費助成45%(賃金要件達成で60%)、特定訓練は非正規雇用労働者向けが75%、中核人材向け(高度デジタル人材・大学院)が60%です。
以下の訓練が、この案のどの区分に該当しそうか、根拠とともに仮判定してください。
ただし概算要求は要求段階であり、確定は4月以降の支給要領によることを、出力の冒頭で必ず明記してください。
【訓練の内容と受講者】
(受講者の雇用形態・職種・訓練内容・時間数を貼る)プロンプト5:経営会議向けの説明メモ
次の事実をもとに、経営会議で使う「AI研修を今年度中に前倒しするかどうか」の判断メモをA4の1枚分で作ってください。
事実:
- 事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置
- 現行の経費助成率は中小企業75%
- 令和9年度概算要求では同コースの名前がなく、正社員の一般的な訓練は経費助成45%(賃金要件達成で60%)の区分に乗る案
- 概算要求は要求段階で、確定は12月の政府予算案と4月以降の支給要領
- 計画届は訓練開始日の1か月前まで。3月31日開始なら提出期限は2027年2月28日
構成:結論/前倒しする場合の日程/前倒ししない場合のリスク/未確定事項と再判断の時期【要注意】年度末の駆け込みでよくある失敗パターン
期限が見えている制度には、期限のせいで起きる失敗があります。相談の場で繰り返し見かける4つです。
❌ 3月に入ってから計画届を出そうとする
⭕ 計画届は訓練開始日の1か月前まで。3月31日開始でも提出期限は2月28日です。1月中に訓練内容を固め、2月上旬には労働局へ出す日程を組んでください。
❌ 「AI研修」という名前だけで通ると考える
⭕ 8月3日以降の計画届からは、概念理解やリテラシーにとどまる訓練は対象外です。カリキュラムを「どの部署が、どの業務工程で、何をできるようになるか」で書き直してください。
❌ 概算要求の内容を「来年度の決定事項」として社内に説明する
⭕ 概算要求は厚生労働省の要求案です。社内資料には「2026年8月の概算要求段階の案で、確定は12月の予算案と4月以降の支給要領」と必ず書き添えてください。
❌ 助成金が出る前提で、受講料の割引や返金を約束する
⭕ 受講料は助成金の有無と無関係に設定されている必要があり、疎明書で説明を求められます。「助成金で実質いくら」の試算を約束の根拠にせず、要件審査があり支給を保証するものではないことを共有してください。
よくある質問
Q. 人材開発支援助成金は2027年4月からなくなるのですか?
いいえ。時限措置として令和8年度末で期限が切れるのは「事業展開等リスキリング支援コース」です。人材開発支援助成金そのものは令和9年度概算要求で602億円(前年度当初539億円)と増額要求されており、「訓練実施コース」「休暇制度導入コース」の2系統に組み替えて続く案が示されています。
Q. 事業展開等リスキリング支援コースは延長される可能性がありますか?
2026年9月時点で、延長を示す公式の発表は確認できていません。概算要求のコース表にこのコースの行がないことから、現在の名前と条件のまま延長される可能性は低いと見ています。ただし概算要求は要求段階で、確定は12月の政府予算案と4月以降の支給要領です。
Q. 今から準備して、今年度の枠に間に合いますか?
間に合います。計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に提出するので、2027年2月28日までに提出できれば3月31日開始の訓練まで対象になります。ただし、訓練内容の設計、職業能力開発推進者の選任、事業内職業能力開発計画の周知、必要書類の準備に時間がかかるため、1月中に訓練内容を固めることをおすすめします。
Q. 3月に始めて4月に終わる訓練は対象になりますか?
パンフレットと支給要領の本文には、年度をまたぐ訓練の扱いについて明文の記載が見当たりませんでした。計画届の提出前に、管轄の労働局へ「令和8年度内に開始し令和9年度に終了する訓練の支給申請が可能か」を確認してください。
Q. 令和9年度の新体系でも75%の助成は受けられますか?
概算要求のコース表では、経費助成75%が残っているのは非正規雇用労働者を対象にした特定訓練と、団体訓練のプログラム開発部分だけです。中小企業の正社員向けの訓練は一般訓練の45%(賃金要件を達成すれば60%)に乗る形になっています。これは要求段階の案で、確定は4月以降です。
Q. eラーニングのAI研修でも今年度の枠は使えますか?
使えますが、8月3日以降に提出する計画届からは、同一の労働者につき年度内1回までに制限されています。また、eラーニング・通信制の経費助成上限は1人1訓練あたり中小企業15万円、大企業10万円です。定額制サービスによる訓練は、③人事・人材育成計画の類型では対象外です。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: プロンプト1で、来年度に予定している研修のカリキュラムを「職務直結かどうか」で仕分ける。対象になりやすい訓練があれば、その訓練だけ今年度に前倒しできるかを検討する
- 今週中: プロンプト2で、2027年2月28日を計画届の最終期限とした逆算日程を作り、研修会社への見積もり依頼と社内稟議の日程を確定する。年度をまたぐ訓練を考えている場合は労働局に確認する
- 今月中: プロンプト5で経営会議向けの判断メモを作り、「前倒しする訓練」「令和9年度の新体系を待つ訓練」「自治体制度や教育訓練給付に振る訓練」の3つに分ける。12月の政府予算案が出たら再判断する日程を入れておく
研修計画の職務直結性の設計や、自社の訓練が対象になりそうかの整理は、当社の法人向け生成AI研修ガイドと無料相談で対応しています。要件の確認はお手伝いしますが、助成金の支給を保証するものではない点はあらかじめご了承ください。
著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』『Claude仕事術』(SBクリエイティブ・シリーズ累計約6万部)。
SBクリエイティブ「ビジネス+IT」ほかで生成AI連載を執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
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参考・出典
- 令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コースのご案内(令和8年8月3日版) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-23。コース一覧の「令和4年12月〜※7」「※7 令和8年度末までの時限措置」、助成率・上限額、計画届の提出期間の具体例を確認)
- 事業展開等リスキリング支援コース 支給要領(令和8年8月3日版) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-23。附則の適用期日と経過措置を確認)
- 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:令和8年8月3日からの変更点について — 厚生労働省(参照日: 2026-09-23)
- 令和9年度概算要求の概要(令和8年8月・人材開発統括官・資料2) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-23。人材開発支援助成金602億円(539億円)、訓練実施コース・休暇制度導入コースの表、17の戦略分野等におけるリ・スキリング人材育成加速化プラン1,909億円を確認)
- 人材開発支援助成金 — 厚生労働省(参照日: 2026-09-23。令和8年8月3日改正のお知らせと各コースのパンフレット一覧)
- 第39回労働政策審議会人材開発分科会 議事録(2022年11月30日) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-23。コース新設時の説明と「廃止も含めて不断の見直し」の意見を確認)
- 政府、AI・半導体など「戦略17分野」の人材確保へ向けたリスキリング支援 — ビジネス+IT(参照日: 2026-09-23)
- リスキリング助成金|令和8年度最終|駆け込み申請の全要件 — 補助金ナビ(参照日: 2026-09-23)
この記事の内容を社内展開する方へ: AI研修導入40項目チェックリスト(無料・PDF 33ページ) をダウンロードできます。
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