結論: Google スライドにGemini本体が「複数スライドをまとめて生成する」機能を提供開始しましたが、2026年6月29日時点の公式情報では英語限定・管理者による利用制御なしという制約があり、日本語の社内資料をこれだけで完結させるのはまだ難しいのが実態です。
この記事の要点:
- 要点1: Gemini in Google Slidesは、slides.newの「プレゼンテーションを生成」または空スライドのサイドパネルから、1つのプロンプトでネイティブ編集可能な複数スライドを一括生成できる新機能(2026年6月29日にロールアウト開始)
- 要点2: 最大の差別化ポイントは、Google Drive内の既存ドキュメント・スプレッドシート・PDF・過去のデッキを文脈として使える「グラウンディング」機能
- 要点3: ただし公式ヘルプは「現状デスクトップかつ英語限定」と明記しており、日本語の社内資料をそのまま任せる用途にはまだ向かない
対象読者: 社内の資料作成をAIで効率化したい経営者・部門責任者・情報システム担当者
読了後にできること: 自社がGemini in Google Slides、Claude Code製PPTX、専用AIツールのどれを使うべきか、今日の会議で判断できるようになります
「結局、資料作成AIって何を使えばいいんですか」——AI研修やAI導入支援の相談を受けていると、この質問に行き当たる頻度が年々増えています。ChatGPT、Claude、Gemini、そして専用の資料作成AIツール。選択肢が増えるほど、どれか1つに絞り込む判断は難しくなります。
そこに2026年6月29日、新しい選択肢が公式に加わりました。Google スライドの中でGeminiが、1つのプロンプトから複数スライドのプレゼンテーションをまるごと生成する機能です。Google Workspace Updatesの公式発表によれば、生成されるスライドは画像の貼り付けではなく、テキストや図形を個別に編集できる「完全にネイティブ」な要素で構成されているといいます。
ただし、100社以上の企業でAI研修・導入支援に携わってきた立場から見ると、「新機能が出た」というニュースと「今日から実務で使えるか」の間には、いつも埋めるべき距離があります。今回も公式情報を丹念に確認していくと、日本語対応やアクセス条件など、導入判断に直結する制約がいくつも見えてきました。
この記事では、Gemini in Google Slidesの新機能を公式ソースに基づいて整理したうえで、すでにuravation.comで紹介している「Claude Codeで作る編集可能PPTX」「Skywork AI」との使い分けまで、実務目線でまとめます。
何が新しくなったのか — Gemini in Google Slidesの提供内容
Google スライドとGeminiの組み合わせ自体は新しいものではありません。従来から、画面右上のGeminiアイコンからサイドパネルを開き、個別のスライドを1枚ずつ作成したり、画像を生成したり、構成案のブレストを手伝ってもらったりする使い方は日本語でも利用できていました(日本語対応は2025年春ごろに追加)。
今回のニュースはその先の話です。Google Workspace Updatesの公式ブログによると、2026年3月31日から「Generate beautiful and editable slides with ease in Google Slides」という機能が段階的に展開され、続けて2026年6月29日から「Create fully native and editable presentations with Gemini in Google Slides」という拡張ロールアウトが始まりました。後者が今回の中心機能で、1つのプロンプトから複数スライドで構成されたプレゼンテーション全体を、下書きではなく編集可能な完成形として生成します。
| 比較軸 | 従来のGeminiサイドパネル | 新機能(2026年6月29日〜) |
|---|---|---|
| 生成単位 | スライド1枚ずつ/画像/文章のブラッシュアップ | 複数スライドのプレゼン全体を一括生成 |
| 入口 | 編集中のスライド右上のGeminiアイコン | slides.newの「プレゼンテーションを生成」、または白紙スライドのサイドパネル |
| 参照できる情報 | チャット内で伝えた指示が中心 | Google Drive内の文書・スプレッドシート・PDF・過去のデッキを横断的に参照 |
| 日本語対応 | 対応(2025年春ごろ追加) | 「currently available on desktop and in English only」(2026年6月時点) |
AI導入の全体設計や優先順位づけの考え方は、AI導入戦略の完全ガイドでも整理しています。今回のような個別機能をどこに位置づけるかは、まず自社の導入戦略と照らし合わせて考えるのが近道です。
使い方 — slides.newからプレゼンを生成する手順
Google公式ヘルプ(support.google.com/docs/answer/17111393)に基づく操作手順は次のとおりです。
- slides.new にアクセスし、「Presentation(プレゼンテーション)」を生成するメニューを選ぶ。または既存の空白プレゼンテーションでサイドパネルのGeminiを開く
- サイドパネルに、作りたい資料のトピックと目的を記述する
- 必要であれば「Add sources(参照ファイルを追加)」からGoogle Drive内のファイルを添付する
- Geminiからのフォローアップ質問に回答する(回答をスキップすることも可能)
- 「Next」をクリックし、提示されたアウトライン(構成案)を確認する
- アウトラインに問題がなければ「Approve」で承認する
- 生成が完了するまでタブとGeminiパネルを閉じずに待つ(生成には数分かかる場合がある)
実際にサイドパネルへ入力するプロンプトのイメージは、たとえば次のような形です。
【トピック】
新規取引先向けの自社サービス紹介プレゼンを作成してください。
【目的】
初回商談で使う、10枚程度の導入プレゼン。
【トーン】
落ち着いた印象を優先し、誇張表現は避けてください。
最大の差別化ポイント — Google Drive内資料をグラウンディングできる価値
今回の機能で実務的に一番効いてくるのは、生成AIによる「それらしいスライド」ではなく、自社のDrive資産を根拠にしたスライドを作れる点です。公式ヘルプは、参照ファイルとして「Google Docs, Sheets, PDFs, or previous decks(Googleドキュメント、スプレッドシート、PDF、過去のデッキ)」を挙げており、指定したファイルを添付するイメージは次のようになります。
【参照ファイルとして追加】
・今期の営業実績スプレッドシート(Google Sheets)
・先月の月次報告書(Google Docs)
・過去に使った提案資料(Slides)
これらの内容を根拠にして、
新規取引先向けの提案スライドの叩き台を作ってください。
さらにGoogle Workspace公式ブログは「automatically suggest other relevant files from Google Drive(Drive内の関連ファイルを自動的に提案する)」機能にも触れています。加えて「Gemini will also suggest relevant files, emails, and chats that you can choose to add(関連するファイル・メール・チャットも提案し、選んで追加できる)」ともあり、社内に散らばった過去資料を都度探し直す手間を減らす方向に設計されているのが分かります。
ブランドやトンマナを揃えたい場合は、既存デッキをスタイル参照として指定する機能も使えます。
【スタイル参照として追加】
・2026年度版 会社紹介資料(Slides)
上記のデザイン・配色・フォントの雰囲気に
できるだけ合わせて生成してください。
公式ヘルプの表現は「select an existing deck for Gemini to automatically match your brand’s style(既存デッキを選ぶとブランドスタイルに自動的に合わせる)」というもので、完全に同一のテンプレートを複製するというより、既存デッキの雰囲気に近づける機能として理解しておくのが実務上は安全です。
向いている場面・向いていない場面(実務目線の判断基準)
向いている場面
- 英語資料が中心の海外向け商談・海外拠点との共有資料の叩き台作り
- すでにGoogle Drive上に社内資料が蓄積されている組織で、その資料を土台に「たたき台」を素早く作りたい場面
- Business Standard/Plus、Enterprise Standard/Plus、Google AI Pro/Ultraなど、対象プランをすでに契約している組織での試験導入
向いていない場面
- 社内資料・提案書が日本語中心で、生成物をそのまま日本語の完成形として使いたい場面(現状は英語限定のため、日本語資料の主軸には据えにくい)
- デザインの隅々まで自社ブランドガイドラインどおりに固定したい場面(スタイル参照は「近づける」機能であり、ピクセル単位の再現を保証するものではない)
- 機密性の高い資料をAIの参照元にする場合。公式情報には「There is no admin control for this feature(この機能に対する管理者側の制御機能はない)」との記載があり、情報システム部門が利用範囲を個別に制限できない点は、社内ルール整備の前提として押さえておく必要がある
【要注意】現時点の制約と失敗パターン
失敗1:日本語の完成資料をそのまま出そうとする
❌ よくある間違い: 日本語の社内プレゼンをGemini in Google Slidesにフルで任せようとする
⭕ 正しいアプローチ: 現状(2026年6月時点)は英語限定の機能と理解したうえで、英語資料の下書き用途に限定するか、日本語対応の他ツールと役割分担する
なぜ重要か: 「AI機能=多言語対応」という思い込みで導入判断すると、実際に触った現場から「日本語で使えない」という声が上がり、社内の期待値だけが先行してしまうケースをよく見かけます。
失敗2:機密資料をそのまま参照ファイルに追加する
❌ よくある間違い: 顧客の個人情報や未公開の契約条件が入った資料を、確認なしに参照ファイルとして追加する
⭕ 正しいアプローチ: 管理者による利用制御が現状ないことを前提に、参照してよい資料の範囲を社内ルールとして先に決めてから使い始める
なぜ重要か: AI研修の現場でも、生成AIの「使い勝手」だけが先行して情報の取り扱いルールが後回しになるケースが最も多い失敗パターンです。
失敗3:スタイル参照=完全複製だと期待する
❌ よくある間違い: 既存デッキをスタイル参照に指定すれば、ロゴや配色まで完全に同一のテンプレートが出力されると期待する
⭕ 正しいアプローチ: スタイル参照は「近い雰囲気に合わせる」機能として理解し、最終的な微調整は人の手で行う前提でスケジュールを組む
失敗4:生成中にタブやパネルを閉じてしまう
❌ よくある間違い: 生成に数分かかるのを見て、他の作業に移るためタブを閉じてしまう
⭕ 正しいアプローチ: 公式ヘルプが明記するとおり、生成完了までタブとGeminiパネルは閉じずに待つ
比較表 — Gemini in Slides・Claude Code製PPTX・専用AIツールの使い分け
uravation.comではすでに、Claude Codeで編集可能なPPTXを作る方法と、専用資料作成AI「Skywork AI」の実力について記事を公開しています。今回のGemini in Google Slidesを加えた3つの選択肢を、実務での使い分けの観点で整理します。
| 項目 | Gemini in Google Slides | Claude Code製PPTX | 専用AIツール(Skywork等) |
|---|---|---|---|
| 得意な場面 | Drive内の既存資料を土台にした叩き台作り | 社内トンマナを厳密に再現した自由編集 | ゼロから複数案を高速に見比べる |
| 日本語対応 | 2026年6月時点で英語限定 | 日本語完全対応 | ツールにより異なる(要確認) |
| 編集の自由度 | Slidesのネイティブ要素として編集可能 | PPTXとして完全にネイティブ編集可能 | ツールの編集画面内に限定される場合がある |
| 既存資産の活用 | Drive内ファイルを横断的に参照(グラウンディング) | 既存デッキを直接クローンして差し替え可能 | ツールへのアップロードが前提 |
| 対象プラン | Business/Enterprise Standard・Plus、Google AI Pro/Ultra等 | Claude Codeのサブスクリプション | ツールごとの料金プラン |
Claude Codeで編集可能なPPTXを作る場合、実際の指示はこのようなイメージになります。
既存の会社紹介PPTXのデザイン・配色・フォントを踏襲したまま、
新しいサービス紹介スライド(10枚構成)をPPTX形式で作成してください。
テキストは全て日本語、編集可能なネイティブPPTXとして出力してください。
詳しい手順はClaude Codeでパワポ自動作成|編集可能PPTX無料公開で解説しています。日本語の社内トンマナを厳密に再現したい場合や、無料で使えるテンプレート資産を活用したい場合はこちらが向いています。
専用の資料作成AIツールで複数案を高速に比較したい場合のプロンプト例は次のとおりです。
営業提案用のプレゼンテーションを作成してください。
対象:中小企業の経営者
構成:課題提起→解決策→導入事例→料金→次のアクション
枚数:12枚程度
Skywork AIの実用度を検証した内容はSkywork AIレビュー|スライド・資料の自動生成はどこまで実用かにまとめています。ゼロから短時間で複数のドラフトを見比べたい場面ではこうした専用ツールが選択肢になります。他のツールとの比較は資料作成AIの選び方|Gamma・Canva・Copilot比較も参考にしてください。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 自社の資料作成が「日本語中心」か「英語資料も日常的に扱う」かを棚卸しする
- 今週中: Business/Enterprise Standard以上、またはGoogle AI Pro/Ultraなど、Gemini in Google Slidesの対象プランを自社が契約しているか情報システム部門に確認する
- 今月中: Gemini in Google Slides・Claude Code製PPTX・専用AIツールのどれをどの場面で使うか、部門ごとの運用ルールを簡単でよいので言語化する
次回予告: 次回は、今回のような新機能ニュースを追いかける際に、公式ロールアウトのタイムラインと実際の利用開始時期がどれくらいズレるのか、過去の事例をもとに整理する記事をお届けします。
参考・出典
- Create fully native and editable presentations with Gemini in Google Slides — Google Workspace Updates(参照日: 2026-07-25)
- Generate beautiful and editable slides with ease in Google Slides — Google Workspace Updates(参照日: 2026-07-25)
- Generate presentations with Gemini in Google Slides — Google ドキュメント エディタ ヘルプ(参照日: 2026-07-25)
- Create on-brand presentations in minutes with Gemini in Google Slides — Google Workspace Blog(参照日: 2026-07-25)
- Gemini comes to Google Slides to generate fully native and editable presentations — Chrome Unboxed(参照日: 2026-07-25)
あわせて読みたい:
- Claude Codeでパワポ自動作成|編集可能PPTX無料公開 — 日本語の社内トンマナを厳密に再現したいときの選択肢
- Skywork AIレビュー|スライド・資料の自動生成はどこまで実用か — ゼロから複数案を高速に比較したいときの選択肢
著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
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