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生成AI研修

【2026年最新】AI研修ダミーデータの作り方|プロンプト例と無料入手先

【2026年最新】AI研修ダミーデータの作り方|プロンプト例と無料入手先

結論:AI研修の演習には実際の顧客データや売上データを使うべきではなく、「業務の構造だけを残し、個人情報・機密情報をゼロにしたダミーデータ」を用意するのが正解です。

  • なぜ実データがNGか:個人情報保護法上のリスクに加え、取引先や社員に見せられない機密情報が混ざっているため。
  • ダミーデータ設計の軸:リアルさ(業務構造の再現)と安全性(再識別不可能性)を両立させること。
  • 今日やること:本記事のプロンプトをそのまま使い、自社の演習テーマに合わせて1つダミーデータを作ってみる。

対象読者:生成AI研修の演習設計を担当する人事・研修担当者、社内AI推進担当者。

読了後にできること:個人情報・機密情報を一切含まない、研修当日にそのまま使える演習用データを自分で作れるようになります。

「このExcel、研修で使っていいんでしたっけ…?」

先日、ある企業の研修担当者の方からこう聞かれました。見せてもらうと、実際の顧客名簿をそのままコピーして、演習用のサンプルにしようとしていたんです。氏名も、電話番号も、購入履歴も、全部本物のまま。

悪気があったわけではありません。「社内のデータだから大丈夫だろう」という感覚は、実はかなり多くの研修担当者に共通しています。でも、これは個人情報保護の観点でも、取引先との信頼関係の観点でも、かなり危険な判断です。

この記事では、生成AI研修で「実データを使わずに、実務に近い演習ができる」ダミーデータの作り方を、コピペ可能なプロンプトつきで全公開します。あわせて、無料で使える公開サンプルデータの入手先と、研修担当者がそのまま使える演習用ワークシートも紹介するので、今日から研修設計に取り入れてみてください。

なぜAI研修で「本物のデータ」を使ってはいけないのか

生成AI研修の演習では、「実務に近いリアルなデータで練習したい」というニーズが必ず出てきます。営業研修なら実際の顧客リスト、経理研修なら実際の請求データ、人事研修なら実際の評価コメント。気持ちはよくわかりますが、これをそのまま演習に使うのは避けるべきです。理由は大きく2つあります。

理由1:個人情報保護法上のリスク

顧客名簿や社員データには、氏名・連絡先・購買履歴・評価情報など、個人情報保護法が定める「個人情報」が含まれます。研修という社内利用であっても、目的外利用や、受講者のPC・クラウドストレージへの無秩序なコピーは、個人情報の取り扱いルールに抵触するおそれがあります。個人情報保護委員会は、特定の個人を識別できないよう加工し、かつ元の個人情報を復元できない状態にした情報を「匿名加工情報」として整理していますが、研修の演習用データはそもそもこの水準の加工作業自体を省略できる「最初から個人情報を含まないデータ」で用意するのが、最もシンプルで安全なアプローチです。

さらに厄介なのは、生成AIツールに実データを入力してしまうケースです。ChatGPTやClaudeなどの外部AIサービスに、氏名や電話番号が入ったCSVをそのままアップロードすると、利用しているプランやサービスの設定次第では、入力内容が学習データや外部のログとして扱われるリスクがあります。実務でAIを使う以上、外部送信していい情報かどうかを常に判断する必要がありますが、研修の演習段階でこの線引きを教えないまま「便利だから使ってみましょう」で終わると、現場に戻ってから同じ失敗を繰り返します。

理由2:取引先・社内の機密情報リスク

売上データには、取引先名、単価、値引き条件など、外部に出せない商取引情報が含まれます。人事評価コメントには、上司の率直な所感や、社員の弱点に関する記述が含まれることもあります。これらは受講者間で画面共有したり、演習後にAI出力をチームで見せ合ったりする研修の性質上、社内の人にも見せたくない情報が広まってしまうリスクを抱えています。

研修先で実際にあった話ですが、演習グループのシャッフルで、普段まったく接点のない他部署の社員が同じグループになったことがありました。もしそこで実際の人事評価コメントを演習素材にしていたら、評価対象者本人が同じ研修会場にいなくても、かなり気まずい状況が生まれていたはずです。ダミーデータであれば、こうしたリスクを最初から気にする必要がありません。

AI導入を進める際の全体的なリスク管理の考え方は、AI導入戦略ガイドで整理しています。本記事では、その中でも「研修の演習データをどう安全に用意するか」に絞って解説します。

ここで紹介する設計ルールとプロンプトを、そのまま印刷して研修当日に配れる形にまとめたものが、生成AI研修 演習データ・ワークシート集です。ダミーデータ作成ルールに加えて、職種別の演習テーマや事後課題、効果測定シートまで無料でダウンロードできます。

安全なダミーデータ設計の3原則

ダミーデータは「とにかく本物っぽくない適当な値」を並べれば良いわけではありません。リアルさが足りないと、受講者が「これは演習用の作り物だから」と斜に構えてしまい、実務への転用が進みません。逆にリアルさを追求しすぎると、今度は実在の人物・企業と混同されるリスクが出てきます。この2つのバランスを取るために、次の3原則で設計してください。

原則1:業務の「構造」だけを本物に近づける

ダミーデータで再現すべきは、氏名や数値そのものではなく、業務の構造です。たとえば営業の商談データなら、「初回接点→ヒアリング→提案→見積提示→クロージング」という商談フェーズの流れ、各フェーズでの典型的な質問や懸念点、受注・失注の分岐条件といった「型」を再現します。氏名や企業名、金額は完全に架空でも、この構造さえリアルなら、受講者は実務と同じ思考プロセスで演習に取り組めます。

原則2:件数とばらつきを持たせる

ダミーデータでよくある失敗が、全レコードが似たようなパターンになってしまうことです。顧客名簿を作るとき、全員が同じ業種・同じ規模・同じ購入パターンだと、AIに要約させても分析させても、毎回同じような結果しか出ません。実務データには必ず「例外」や「ばらつき」があります。優良顧客もいれば、クレームが多い顧客もいる。売上が伸びている月もあれば、落ち込んでいる月もある。件数は最低でも20〜30件程度、属性・傾向にばらつきを持たせることで、AIの出力結果を評価する演習として機能します。

原則3:再識別できない固有名詞にする

ダミーの氏名・企業名は、実在する取引先や、社内でよく使われる略称と紛らわしくないものにしてください。「〇〇商事」のような、実在しそうでよくある社名は避け、明らかに架空とわかる命名にするか、生成AIに「実在の企業・人物と誤認されない名称にしてください」と明示的に指示します。電話番号やメールアドレスも、実在する番号・ドメインと重複しないダミー形式(例:ハイフンや000番台を使う、@example.comドメインを使う)を徹底します。

顧問先の研修を設計する際、この3原則を最初に共有すると、受講者側からも「これなら安心して触れる」という反応が返ってくることが多いです。ダミーデータの安全性を最初に明示することは、演習の集中力を上げる意味でも効果があります。

生成AIでダミーデータを作るプロンプト実例5選

ここからは、実際にコピペしてそのまま使えるプロンプトを紹介します。ChatGPT・Claude・Geminiいずれでも動作します。全てのプロンプトの末尾には、AIの出力を鵜呑みにしないための一文を入れているので、そのまま使ってください。

プロンプト1:営業演習用の架空の顧客名簿

生成AI研修の演習で使う、架空の顧客名簿を作成してください。

【条件】
・件数:25件
・業種:小売、製造、飲食、士業、IT の5業種に分散させる
・企業規模:従業員5名〜300名までばらつきを持たせる
・含める項目:企業名(完全に架空・実在企業と誤認されない名称)、業種、従業員規模、担当者名(架空)、直近の取引状況(優良/停滞/新規/失注のいずれか)、簡単な課題メモ(1〜2文)
・個人情報保護の観点から、実在の人物・企業と紛らわしい名称は避けてください
・出力形式:CSVで出力(1行目はヘッダー)

不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
仮定した点は必ず"仮定"と明記してください。
数字と固有名詞は、根拠(出典/計算式)を添えてください。

活用例:営業部門向け研修で、「この顧客リストの中から、次にアプローチすべき優先順位をAIに提案させる」演習の題材として使えます。

プロンプト2:経理・経営企画演習用の売上CSV

生成AI研修の演習で使う、架空の月次売上データをCSV形式で作成してください。

【条件】
・期間:直近12ヶ月分
・部門:営業1課、営業2課、EC事業部の3部門
・含める項目:年月、部門名、売上高(万円)、前年同月比の売上高(万円)、粗利率(%)
・数値は現実的な範囲でばらつかせる(季節変動、部門ごとの成長差を含める)
・特定の企業・実在の会計データと混同されないよう、金額の桁や比率は一般的な中小企業の水準に留める
・出力形式:CSVで出力(1行目はヘッダー)

不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
仮定した点は必ず"仮定"と明記してください。
数字と固有名詞は、根拠(出典/計算式)を添えてください。

活用例:経営企画・経理部門向け研修で、「このCSVを読み込ませて、異常値や要注意部門をAIに指摘させる」データ分析演習に使えます。

プロンプト3:カスタマーサポート演習用の問い合わせメール

生成AI研修の演習で使う、架空の問い合わせメールを10通作成してください。

【条件】
・業種:ECサイトのカスタマーサポート想定
・内訳:クレーム3通、単純な質問4通、返品・返金依頼2通、感謝・好意的なフィードバック1通
・各メールには、差出人名(架空)、件名、本文(150〜250字程度)を含める
・文面のトーンは実際の顧客が書きそうな自然な口調にする(丁寧すぎない、多少感情的なものも含める)
・実在の企業名・商品名は使わない

不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
仮定した点は必ず"仮定"と明記してください。
数字と固有名詞は、根拠(出典/計算式)を添えてください。

活用例:カスタマーサポート・広報部門向け研修で、「クレームメールへの返信文をAIに下書きさせ、受講者がレビュー・修正する」演習に使えます。

プロンプト4:人事演習用の評価コメント・面談メモ

生成AI研修の演習で使う、架空の人事評価コメントと1on1面談メモを5人分作成してください。

【条件】
・対象:営業職3名、事務職2名(いずれも架空の人物)
・各人物について、上司の評価コメント(100字程度)、本人の自己評価コメント(100字程度)、直近1on1でのメモ(3行程度)を作成
・評価には強み・弱みの両方を含め、極端に良い評価/悪い評価に偏らせない
・実在の人物・過去の実際の評価内容を連想させる表現は避ける

不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
仮定した点は必ず"仮定"と明記してください。
数字と固有名詞は、根拠(出典/計算式)を添えてください。

活用例:人事部門向け研修で、「評価コメントの言語化を助ける」「面談メモから次回の対話テーマを抽出する」といった演習に使えます。人事データは特に機密性が高いため、実データ厳禁の代表例として研修冒頭で強調すると効果的です。

プロンプト5:会議演習用の議事録・会議メモ

生成AI研修の演習で使う、架空の会議の音声書き起こし風メモを作成してください。

【条件】
・会議テーマ:新商品の販促キャンペーン検討会議
・参加者:4名(役職・部署は架空で設定してください)
・分量:発言のやり取りを20〜30往復程度、口語調で
・内容には、意見の対立、決定事項、宿題(誰が・何を・いつまでに)を含める
・実在の企業・商品・人物を連想させる名称は使わない

不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
仮定した点は必ず"仮定"と明記してください。
数字と固有名詞は、根拠(出典/計算式)を添えてください。

活用例:全部門共通の研修で、「口語調のメモから構造化された議事録を自動生成させる」演習の題材として使えます。決定事項とタスクの抽出漏れをAIがどこまで拾えるかを検証する練習にもなります。

業種別にプロンプトを調整するポイント

上記5つのプロンプトは汎用的な業務を想定していますが、業種によって「特に気をつけるべき情報」が変わります。研修先の業種に合わせて、プロンプトの【条件】欄に以下の観点を追加すると、より実務に近く、かつ安全な演習データになります。

士業(税理士・社労士・行政書士など)

クライアントの決算内容や労務相談は、業界特有の守秘義務が強く求められる情報です。ダミーデータを作る際は「相談内容」「決算数値」に加えて、実在する制度名・法令名はそのまま使いつつ、クライアント固有の数値・企業名だけを架空にする、という切り分けが有効です。制度名まで架空にしてしまうと、演習のリアリティがかえって下がります。

医療・介護・保育

患者・利用者・園児の情報は、個人情報の中でも特に慎重な取り扱いが求められる領域を含みます。ダミーデータを作る際は、年齢や病歴・既往歴に類する情報を含めないか、含める場合は実在の症例と誤認されない一般的な記述に留めるよう、プロンプトの条件に明記してください。研修テーマが記録業務の効率化であれば、症状そのものより「記録のフォーマット」を再現する方向に寄せるのが安全です。

製造業

製造業の研修では、図面や仕様書、品質管理データを題材にしたい相談をよく受けます。これらは技術情報そのものが機密にあたるため、ダミーデータでは「工程」「検査項目」「歩留まり」といった構造だけを再現し、具体的な数値や図面情報は含めないのが基本です。品質管理のフォーマットを再現しつつ、数値は架空の範囲に留めるとよいでしょう。

飲食・小売

POSデータや来店履歴を使った演習は人気がありますが、実データには来店時間帯や購買傾向から個人が推測できる情報が含まれることがあります。店舗単位・時間帯単位で集計した粒度のダミーデータにすることで、個人の行動が特定されるリスクを避けながら、売上分析の演習として十分な題材になります。

IT・広告代理店

エンジニア向け研修では、実際のソースコードや設計書をそのまま演習に使いたいという要望が出ることがあります。しかし社内システムのソースコードには、APIキーや接続先情報、業務ロジックの中に取引先固有の条件が埋め込まれていることも多く、外部AIツールへの入力には注意が必要です。演習用には、公開されているオープンソースのサンプルコードや、架空の要件で書き起こした設計書を使うのが安全です。広告代理店であれば、クライアントの広告出稿実績・入札単価は典型的な機密情報にあたるため、業界平均や一般的な数値レンジをベースにした架空データに置き換えてください。

無料で使える公開サンプルデータの入手先

プロンプトで生成する以外に、既に公開されている無料のサンプルデータ・ダミーデータ生成サービスを使う方法もあります。研修の題材づくりで実際に使いやすいものを紹介します。

Mockaroo(ダミーデータ生成サービス)

Mockarooは、氏名・住所・メールアドレス・金額などの項目を指定するだけで、架空のデータを自動生成できる無料サービスです。CSV・JSON・SQL・Excel形式に対応しており、無料プランでは1回あたり最大1,000行までダウンロードできます。会員登録なしでもブラウザから直接データを生成できるため、研修直前に「顧客名簿っぽいCSVがもう少し欲しい」という時に手早く使えます。

e-Stat(政府統計の総合窓口)

e-Statは、総務省が運営する日本政府の統計ポータルサイトです。個人・企業を特定できる情報ではなく、業種別・地域別の集計統計を無料でCSV形式ダウンロードできます。研修で「実在しそうだが実データではない、リアルな相場観を持った数値」を使いたいとき、e-Statの統計値を参考に架空データの数値レンジを設定すると、より説得力のある演習データになります。API機能もあるため、プログラム経由でのデータ取得にも対応しています。

RESAS(地域経済分析システム)

RESASは、内閣府・経済産業省が提供する地域経済データの分析プラットフォームです。登録不要・無料で、地域別の産業構造、人口動態、消費動向などのデータを閲覧・活用できます。地方企業や店舗ビジネスの研修で、「自社が出店を検討しているエリアの市場規模をAIに分析させる」といった演習を組む際に、実在の統計データとして参照できます。

Kaggle(海外の公開データセット)

Kaggleは、機械学習・データ分析コミュニティが公開しているデータセットのプラットフォームです。「Superstore Sales」のような架空の小売企業を想定した売上データセットが複数公開されており、無料でダウンロードできます。英語データのため、そのまま日本語研修で使うには列名・値を和訳する一手間が必要ですが、「実務に近い列構成の売上データを1から作る時間を短縮したい」場合の下敷きとして便利です。

サービス名用途形式登録要否向いている演習
Mockarooダミーデータ生成(項目自由設計)CSV / JSON / SQL / Excel不要(無料範囲)顧客名簿、社員名簿など個人属性データ
e-Stat政府統計の閲覧・ダウンロードCSV / Excel不要業種別・地域別の相場感を持たせた数値設計
RESAS地域経済データの分析・可視化Web閲覧 / CSV不要出店計画、地域市場分析の演習
Kaggle公開データセットのダウンロードCSV中心要(無料アカウント)売上・在庫データの下敷き(要和訳)

これらの外部サービスを使う場合も、生成された値をそのまま鵜呑みにせず、原則2の「件数とばらつき」を満たしているか、原則3の「再識別できない固有名詞になっているか」を必ず確認してから演習に使ってください。無料ツールが作るデータも、機械的に生成されているだけで、研修目的への最適化まではしてくれません。

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研修当日の運用フロー:ダミーデータをどう配布するか

ダミーデータを用意しただけでは、演習は安全になりません。配布・利用・回収の運用ルールまで決めておくと、当日のトラブルを防げます。

配布前:ファイル名と保存場所を分ける

ダミーデータのファイル名には、必ず「dummy」「sample」「演習用」など、一目で架空データとわかる接頭辞をつけてください。実データと同じ命名規則にしてしまうと、研修後に受講者のPCへ残ったファイルが、後から実データと誤認されるリスクがあります。保存場所も、実データが入っている共有フォルダとは別の「研修用」フォルダに分離するのが基本です。

利用中:AIツールへの入力範囲を明示する

演習中は、「このダミーデータは外部のAIツールに入力してよい」という前提を、受講者に明確に伝えてください。逆に言えば、実データを扱う本番業務では、この前提が成り立たないケースがあるということも、演習を通じて体感してもらう良い機会になります。ダミーデータ演習は、単なる操作練習ではなく「何を入力してよいかの判断基準を養う場」でもあります。

回収後:演習ファイルの取り扱いを決めておく

研修後、受講者のPCに残ったダミーデータや、AIとのやり取りのスクリーンショットをどう扱うかも決めておきましょう。ダミーデータなので情報漏えいのリスクは低いものの、「研修で使ったプロンプトや出力を、そのまま自分の実務データに流用してよいか」を必ず案内してください。演習用のプロンプトはそのまま実務でも使えますが、演習用のデータそのものを実務の穴埋めに使うのは避けるべきです。

【要注意】ダミーデータ演習でよくある失敗パターン

失敗1:実データの「一部だけ」を書き換えて使う

❌ よくある間違い:実際の顧客名簿から、氏名だけを架空の名前に置き換えて、電話番号や購入履歴はそのまま使う。

⭕ 正しいアプローチ:氏名・連絡先・数値を含む全項目を、原則から作り直す。一部だけの置き換えは「マスキングした気になっているだけ」で、電話番号や購入パターンの組み合わせから本人が特定できてしまうことがあります。

なぜ重要か:個人情報は、氏名を消しても、他の項目の組み合わせだけで再識別可能になるケースがあります。「氏名だけ変えれば大丈夫」という感覚は、研修担当者の中でも意外と根強いので、最初にはっきり否定しておく必要があります。

失敗2:リアルさを追求しすぎて実在企業名を使ってしまう

❌ よくある間違い:「本物っぽくしたい」という理由で、実在する有名企業の名前をそのまま演習データに使う。

⭕ 正しいアプローチ:業種・規模感はリアルにしつつ、企業名は明らかに架空とわかる命名にする。どうしても実例を扱いたい場合は、公開されている決算情報など「既に一般公開済みの情報」に限定する。

なぜ重要か:実在企業名を使った演習データがAI出力とともに社外に流出すると、名誉毀損や信用毀損のリスクにつながります。研修資料は思った以上に長く社内に残るため、「今回だけだから」という判断は危険です。

失敗3:全レコードが同じパターンで、演習として機能しない

❌ よくある間違い:AIに「適当にデータを作って」とだけ指示し、似たようなレコードが並ぶデータになってしまう。

⭕ 正しいアプローチ:原則2の通り、ばらつき(優良顧客/停滞顧客、好調月/不調月など)を明示的に指示する。

なぜ重要か:ばらつきのないデータでAIに分析させると、毎回同じような無難な回答しか出ず、受講者が「AIって大したことないな」という誤解を持ってしまいます。演習データの質が、研修そのものの評価を左右します。

失敗4:ダミーデータをそのまま社外・SNSに公開してしまう

❌ よくある間違い:研修の様子をSNSで発信する際、演習で使ったスプレッドシートの画面をそのままスクリーンショットで載せる。

⭕ 正しいアプローチ:ダミーデータであっても、社外公開前に「実在の情報と誤認されないか」を確認する。特にロゴや実際の社内システムのUIと組み合わさっていないかをチェックする。

なぜ重要か:ダミーデータ自体に問題がなくても、実際の社内システムの画面と一緒に写り込むと、思わぬ情報漏えいにつながることがあります。研修の広報活動でも、演習データの取り扱いルールを一貫させておくことが大切です。

演習ワークシートに落とし込んで研修に組み込む

ここまで紹介したダミーデータ設計の原則とプロンプトは、研修担当者が毎回ゼロから考えるものではなく、テンプレート化して使い回すのが効率的です。

Uravationでは、この記事で紹介した内容を含めた生成AI研修 演習データ・ワークシート集を無料公開しています。全14ページで、営業・人事・管理・広報・開発・経営企画の6職種別の演習テーマと成果物、ダミーデータ作成ルール、受講者が埋められるプロンプト演習シート、AI回答のレビュー観点、研修後の事後課題と効果測定シート、90日定着ロードマップまでを1冊にまとめています。研修担当者がそのまま印刷して配布できる形式なので、自社で演習を設計する時間を減らしたい場合はあわせて活用してください。

演習データだけでなく研修全体のカリキュラム設計から見直したい場合は、生成AI研修の作り方完全ガイド生成AI研修カリキュラムの作り方もあわせて読むと、演習データの位置づけがカリキュラム全体の中でどこにあたるかが整理しやすくなります。研修当日の演習だけでなく、研修後に現場で使い続けてもらうための設計は、生成AI研修が社内に定着しない本当の理由と解決策で詳しく解説しています。

また、演習データをどれだけ丁寧に作っても、当日の講師がその演習を活かせる進行力を持っていなければ効果は半減します。演習設計と講師の見極めはセットで考えるのがおすすめです。講師選びの基準はAI研修講師の選び方|見極め質問20で整理しています。

よくある質問

Q. 実際の顧客データの一部だけ数値を変えて使うのはダメですか?

A. おすすめしません。氏名だけ、あるいは金額だけを書き換えても、他の項目(購入履歴のパターン、電話番号の一部、担当者名など)の組み合わせから本人・取引先が特定できてしまうことがあります。項目単位ではなく、レコード全体を原則から作り直してください。

Q. ダミーデータの件数はどれくらい用意すればいいですか?

A. 演習の目的にもよりますが、最低でも20〜30件程度は用意してください。件数が少なすぎると、AIに分析・要約をさせても「傾向」を見つける演習にならず、単なる操作練習で終わってしまいます。

Q. 生成AIに実データを匿名化させることはできますか?

A. AIに実データを読み込ませて匿名化・マスキングさせる方法自体、実データを外部AIサービスに入力する行為にあたるため、研修の演習としてはおすすめしません。匿名化が必要な業務がある場合は、研修とは切り離し、社内の情報システム部門やセキュリティ部門が定めたルールの範囲内で、別途検討してください。演習ではあくまで「最初から実データを使わない」設計にするのが安全です。

Q. ダミーデータ作成の演習には、どれくらい時間がかかりますか?

A. 本記事のプロンプトをそのまま使えば、1種類のダミーデータ生成自体は数分で終わります。時間がかかるのは、生成後に原則1〜3(構造・ばらつき・再識別不可能性)を満たしているかを確認する工程です。慣れないうちは、生成後のチェックに5〜10分程度見ておくと安心です。

参考・出典

まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること:本記事のプロンプト1つを実際にAIに投げて、自社の次回研修テーマに合うダミーデータを1つ作ってみる。
  2. 今週中:現在使っている演習データに、実在の氏名・企業名・数値が紛れ込んでいないか、原則1〜3に沿ってチェックする。
  3. 次回研修前:ダミーデータ作成ルールを研修冒頭で受講者に共有し、「なぜ実データを使わないのか」を最初に説明してから演習に入る。

次回予告:次の記事では「AI研修は内製と外注どっち?」をテーマに、演習データや教材を社内で作り続ける体制と、外部に任せる体制の使い分けを整理します。

著者:佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

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佐藤傑
この記事を書いた人 佐藤傑

株式会社Uravation 代表取締役CEO/生成AIエバンジェリスト。法人向けAI研修・コンサルティングを手がけ、日経・SBクリエイティブ・GMO等のメディアで生成AIについて執筆。

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