2026年10月29日時点で、Gemini 4 Carbon は Google が10月28日(米国時間)に発表した次のフロンティアモデル(各社がその時点で最も高い性能を目指して作る大型のモデル)で、一般の会社や個人が使える窓口はまだありません。Google は今週から一部のサイバー防御の組織に提供を始め、Fairwind Program(防御側の組織に新しいモデルを先に提供する Google DeepMind の仕組み)を通じて段階的に広げるとしていて、開発者・企業・一般の利用者向けの日付は示していません。API(自社のシステムから AI を呼び出す口)で提供される時の料金は、10月13日に一般提供された Gemini 4 Argon と同じ導入価格(提供を始めてから一定の期間に限った価格)で、100万トークン(トークンは AI が文章を処理するときの単位)あたり入力2ドル・出力10ドルとされています。導入期間の後は入力4ドル・出力20ドルと、発表の脚注に書かれています(Google の発表)。
結論:Gemini 4 Carbon は発表されましたが、2026年10月29日時点の提供先は一部のサイバー防御の組織だけです。会社としては出るのを待つより、今使える Argon で試す作業と、導入期間の後の価格での予算を先に決めておくのが現実的です。
- 要点1:Carbon は Argon を土台にした Gemini 4 の次のモデルです。Google は「これまでで最も強いモデル」と呼び、サイバー防御(ソフトウェアの弱点=脆弱性の発見・検証・修正)と長時間の作業で最先端の性能だと説明しています
- 要点2:提供は今週から一部のサイバー防御の組織、その後 Fairwind Program で段階的に広げます。開発者・企業・一般向けの日付と、日本での時期は書かれていません
- 要点3:API の導入価格は Argon と同じ入力2ドル・出力10ドル(100万トークンあたり)。導入期間の後は4ドル・20ドルですが、Carbon の導入期間がいつまでかは書かれていません
- 要点4:ベンチマーク(AI の能力を同じ問題で比べる試験)の数字は Google が選んで公開した表の値で、サイバーの3つはガードレール(危険な依頼を断るなどの安全のための制限)なしで測った値です
対象読者:Gemini(アプリ・Google Workspace・API)を使っている会社の情報システム部門と開発の責任者、新しいモデルへの切り替えを判断する担当者
読了後にできること:Carbon が「いつ・誰に・いくらで」出るのかを社内で説明でき、待つ間に決める4つのこと(試す作業・API の予算の上限・Fairwind の対象か・AI に任せる範囲)を書き出せます
Google が10月13日に Gemini 4 Argon を一般提供したのに続いて、10月28日(米国時間)に次のモデルが発表されました。10月29日の朝に報道で知って、「うちの Gemini でもすぐ使えるのか」「料金は上がるのか」「Argon と何が違うのか」と気になった方もいると思います。
先に答えると、Carbon は今のところ一般の窓口では使えません。Google 自身が、まず一部のサイバー防御の組織に出し、意見を集めてガードレールを直しながら、開発者・企業・一般の利用者へ広げると書いているからです。この記事では、Google の発表文とその脚注、Google DeepMind の評価方法の文書と Fairwind Program のページ、Gemini API の料金表を2026年10月29日時点で取得して確認した範囲で、提供の範囲・料金・Argon との違いを整理します。Carbon は一般の窓口で使えないため、使ってみた感想は入れていません。
Argon そのものの解説は Gemini 4 Argonとは|料金・提供時期・できること、アプリでの使い方と日本の月額は Gemini 4 Argonの使い方|対応プラン・API料金 にまとめています。この記事は Carbon で新しく分かったことに絞ります。最終更新:2026年10月29日。
Gemini 4 Carbonとは|Argonとの関係と違い
Gemini 4 Carbon は、Google DeepMind が作る Gemini 4 シリーズの新しいモデルです。発表文を書いたのは Google DeepMind の SVP で Google の Chief AI Architect を務める Koray Kavukcuoglu 氏で、Carbon を「これまでで最も強いモデル」と位置づけ、サイバーセキュリティと長時間の作業(long horizon)で最先端の性能を出したと説明しています(Google の発表)。

Argon との関係は「土台と次のモデル」です。Google は Carbon を、先に公開した Argon を土台に作ったモデルと書いています。10月13日の日本語の発表でも、Google は「Gemini 4 Argon は、始まりです」と書き、Gemini 4 の続くモデルを予告していました(Google Japan Blog)。たとえるなら、Argon は店頭に並んだ最新の工具で、Carbon は性能を上げた次の工具を、まず安全の決まりを守れる専門の業者にだけ渡し、使われ方を見てから店頭に出す段階、というイメージです。
| 項目 | Gemini 4 Argon | Gemini 4 Carbon |
|---|---|---|
| 発表・提供の日 | 9月30日に発表(米国時間・まず Fairwind Program を通じて一部のサイバー防御の組織へ)、10月13日に一般提供(米国時間・世界で順次) | 10月28日に発表(米国時間) |
| 今使える場所 | Gemini アプリと Google 検索の AI モード(Google AI Pro・Ultra の契約者)、Gemini API の有料枠と Google AI Studio、Gemini for business、Google Antigravity(Ultra の契約者と企業向け) | 今週から一部のサイバー防御の組織。Fairwind Program で段階的に広げる。開発者・企業・一般向けは日付なし |
| API の料金(100万トークンあたり) | 入力2ドル・出力10ドル(11月30日まで)、12月1日から入力4ドル・出力20ドル | 導入価格は入力2ドル・出力10ドル(Argon と同じ)、導入期間の後は入力4ドル・出力20ドル。期間の長さは書かれていない |
| Google が挙げる強み | コーディング・金融・法務・サイバーセキュリティ・科学などの、複数の手順を踏む深い作業 | サイバー防御(脆弱性の発見・検証・修正)と、数日続くこともある長い開発の作業 |
出典:Argon は Google の Argon の発表(9月30日)、Google Japan Blog(10月13日)、Gemini API の料金表、Carbon は Google の発表。表の Google AI Pro・Ultra は Google の個人向けの有料プラン、Google AI Studio は開発者が Gemini を試す Google の画面、Gemini for business は企業向けの Gemini、Google Antigravity は AI のエージェントが中心になって開発を進める Google の開発環境です。
ひとことで言えば、Argon は今アプリとAPIで使えるモデル、Carbon は今は一部のサイバー防御の組織に限って出るモデルで、API の導入価格は同じです。
10月28日の発表の要点|Googleが書いたこと
発表文と脚注、発表に載った比較の表とグラフから、要点を並べます。日本時間では10月29日の午前2時ごろの公開でした。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 発表 | 2026年10月28日(米国時間)。Google DeepMind の Koray Kavukcuoglu 氏の名前で公開 | Google の発表 |
| 位置づけ | 「これまでで最も強いモデル」。サイバーセキュリティと長時間の作業で最先端の性能 | Google の発表 |
| 総合の指標 | Artificial Analysis(AI モデルを独自に比べて点数を出している会社)の Intelligence Index v5.0 で59、1位。同じ表の Argon は50 | Google の発表、評価方法の文書 |
| サイバー防御 | SEC-bench Pro 88.2%(脆弱性の発見)、ExploitGym 54.8%(悪用できるかの検証)、CWE-bench 71.0%(修正)。3つともガードレールなしで測った値 | Google の発表 |
| Web 開発 | WebDev Arena(Web 開発の出来を比べる順位表)で Elo(対戦形式の比較から計算する点数)が89上がり、4位(1768) | Google の発表 |
| 提供 | 今週から一部のサイバー防御の組織。Fairwind Program を通じて、信頼できるパートナーへ段階的に広げる | Google の発表 |
| 公開前の確認 | 米国政府の自主的な「公開前のモデルのテスト」の仕組みに積極的に参加 | Google の発表 |
| 料金 | 導入価格は Argon と同じ入力2ドル・出力10ドル(100万トークンあたり)、キャッシュした入力(同じ内容を繰り返し送った時に安く扱われる入力)は入力の料金から95%引き。導入期間の後は入力4ドル・出力20ドル | Google の発表(脚注1) |
| 一般向け | 開発者・企業・一般の利用者へは、ガードレールを直したうえで「できるだけ早く」。日付の記載はない | Google の発表 |
このほか発表文には、Google の社内のベンチマークで安全なコードを書く成功率が Argon の2倍以上になったこと、Chrome のチームが「質の高いパッチ(不具合を直す修正)を作る作業で、他社の大型フロンティアモデルの10倍以上よかった」と報告したこと、Google のクラウドセキュリティ製品の Wiz が、Web の侵入テスト(許可を得て攻撃者の立場で弱点を調べる試験)のベンチマークで Carbon が首位だと見ていること、も書かれています。どれも Google 側の報告で、比べた「他社のモデル」の名前は書かれていません(Google の発表)。
いつ使えるか|今は一部のサイバー防御の組織だけ
2026年10月29日時点で、Carbon の提供先は一部のサイバー防御の組織だけです。Google は「今週から、一部のサイバー防御の担い手(cyber defenders)に Carbon を提供し、Fairwind Program を通じて、ほかの信頼できるパートナーへも段階的に広げる」と書いています。そのあいだに意見を集めてガードレールを直し、開発者・企業・一般の利用者へは製品を通じて「できるだけ早く」出すとしています(Google の発表)。

| 段階 | 対象 | 発表に書かれた時期 |
|---|---|---|
| 今週から | 一部のサイバー防御の組織 | 今週(10月28日の発表の週) |
| 段階的に | Fairwind Program の信頼できるパートナー | 日付なし(順に広げる) |
| 日付は未発表 | 開発者・企業・一般の利用者 | 「できるだけ早く」 |
Fairwind Programとは|対象と条件
Fairwind Program は、Google DeepMind が政府・医療・通信などの「優先度の高い防御側」に新しいモデルを先に提供し、攻撃より先に守りを固めてもらうための仕組みです。ページには、世界で650以上のパートナーと組んでいると書かれています。新しいモデルの能力は悪い手に渡れば同じくらい強い脅威になる、というのが先に防御側へ出す理由です(Fairwind Program のページ)。
気をつけたいのは、10月29日10時台に取得した Fairwind のページが、まだ Gemini 4 Argon(サイバー防御の能力つき)と CodeMender(コードの弱点を直す作業を手伝う Google DeepMind のエージェント)の提供を説明していて、Carbon の記載が無いことです。10月13日の日本語の発表では、Fairwind は「サイバー ガードレールなしで Argon を利用できるアクセス権」を順に渡す仕組みとして紹介されていました(Google Japan Blog)。下の条件は Argon の時点のもので、Carbon で変わるかどうかは書かれていません。
- 優先される組織:政府と国のサイバー当局、重要インフラの運営者(医療・通信・エネルギー・金融)、多くの利用者が頼るソフトウェアの土台を持つ中核の技術基盤
- 使える作業:防御と学術研究のための、許可を得た脅威の模擬・リバースエンジニアリング(製品を分解して仕組みを調べること)・マルウェア(不正なプログラム)の分析。マルウェアを作るなどの悪意ある作業は認められない
- 守る条件:利用者ごとの認証、フィッシングに強い多要素認証(MFA)、アクセス制御。モデルを使わせてよいのは社内のサイバーセキュリティ・事故対応・侵入テストの担当だけで、社員の利用を記録する
- 禁止:モデルへのアクセスを他社に共有・再提供・販売すること
- 審査:申し込んだ組織のセキュリティの経歴と、倫理的な運営の記録を確かめる
Fairwind Programに申し込む流れ
- 自社が優先される組織(政府・重要インフラ・中核の技術基盤)に当たるかを確かめる
- 守る条件(利用者ごとの認証・フィッシングに強い多要素認証・社内のセキュリティの担当だけに使わせる・利用の記録)を社内で用意できるかを確かめる
- Fairwind Program のページの申し込みフォーム(Apply for access)から申し込む(10月29日時点のページで案内されている利用は Gemini 4 Argon で、Carbon は Fairwind を通じて段階的に広げるとされている)
- Google の審査(組織の背景の確認)を待つ。条件に合う組織には「できるだけ早く」返事をするとあり、かかる日数は示されていない
Fairwind の対象に当たらない場合について、ページのよくある質問は「公開されているモデルで CodeMender を使い、ほかの Google AI Threat Defense の製品とあわせてコードを守れる」と案内しています。防御の評価を研究する大学などの研究室からの申し込みは歓迎し、学生には Google Cloud 上の CodeMender をすすめる、とも書かれています(Fairwind Program のページ)。
開発者・企業・一般向けは日付が出ていない
Gemini アプリ、Gemini API、企業向けの製品のどれも、Carbon の提供日は発表に書かれていません。Google は発表の最後を「最初の防御の組織がこのモデルをどう使うかを見るのが楽しみで、開発者・企業・一般の利用者にも近く届けたい」と結んでいます(Google の発表)。ITmedia NEWS も、一般提供の具体的な日程は明らかにされていないと報じています(ITmedia NEWS)。
10月29日10時台に取得した Gemini API の料金表 にも Carbon の行は無く、Gemini 4 のモデルは Argon だけでした。Google DeepMind の モデルカードの一覧(モデルの作り方と評価をまとめた公式の文書の一覧)も、Gemini 4 は Argon(10月13日更新)だけで、Carbon のモデルカードは見当たりませんでした。Argon の一般提供は Gemini API の変更履歴 に10月13日付けで載っていて、Carbon は10月29日の取得ではまだ載っていません。開発者向けに Carbon が出たかを確かめる時は、この変更履歴と料金表に Carbon が載ったかを見るのが早道です。
日本での提供時期と日本語
Carbon の発表文には、日本での提供時期も、対応する言語も書かれていません。Google の日本語の発表は10月29日10時半の時点で Argon の記事(10月13日・Google Japan Blog)までで、Carbon の日本語の記事は確認できませんでした。Argon は「世界中で順次」提供すると日本語でも案内されましたが、Carbon が同じ広がり方をするかは、今は分かりません。
料金|導入価格はArgonと同じ、その後は4ドルと20ドル
Carbon の API の料金は、発表文の本文と脚注に次のように書かれています。円に直すと為替で変わるので、ここではドルのまま載せます(Google の発表)。

| 項目(100万トークンあたり) | 導入価格 | 導入期間の後(脚注1) |
|---|---|---|
| 入力 | 2ドル | 4ドル |
| 出力 | 10ドル | 20ドル |
| キャッシュした入力 | 入力の料金から95%引き | 記載なし |
キャッシュした入力は、同じ内容を繰り返し送った時に、前に処理した分として安く扱われる入力のことです。押さえる点は次の3つです。
- 導入価格はArgonと同じ(キャッシュは95%引き):Argon の料金表では、導入価格の期間のキャッシュは100万トークンあたり0.10ドルです
- 導入期間の後の価格は脚注に記載:入力4ドル・出力20ドルで、Argon の12月1日からの価格と同じ数字です
- 導入期間の長さは未記載:Carbon の脚注には終わる日がありません。Argon の「2026年11月30日まで」は、10月13日の一般提供の発表の脚注に書かれた期限です
導入期間の長さは発表に書かれていない
Argon の導入価格には「2026年11月30日まで、12月1日から入力4ドル・出力20ドル」と期限が書かれています(Gemini API の料金表、Google Japan Blog の脚注)。一方、Carbon の脚注は「導入期間が終わったら入力4ドル・出力20ドル」とだけ書いていて、いつ終わるかはありません。ただ Argon も、9月30日の最初の発表の脚注には終わる日が無く、11月30日の期限は10月13日の一般提供の発表の脚注に書かれています(Google の Argon の発表(9月30日))。報道でも導入期間の後の価格は伝えられていますが、終わる日には触れていません(ITmedia NEWS)。Carbon も11月30日までと読むのは早いので、予算は最初から導入期間の後の価格で見積もっておくのが安全です。
API の料金表にはまだ載っていない
10月29日10時台に取得した Gemini API の料金表(日本語版・ページの最終更新は2026年10月29日 UTC)には、Carbon の行がまだありません。参考までに同じ料金表の Argon は、無料枠では使えず、思考トークン(答えを出す前に考える過程で使うトークン)も出力として課金され、キャッシュは自動で効く暗黙的なキャッシュだけ(明示的なキャッシュは非対応)と書かれています(Gemini API の料金表)。Carbon が同じ扱いになるかは、料金表に載るまで分かりません。他社も含めた主要モデルの API 料金は 主要AIモデルAPI料金 横断比較 で比べています。
何が強くなったか|サイバー防御の3つの指標と長い作業
Google は Carbon の強みを、サイバー防御の一連の流れ(脆弱性を見つける・悪用できるか確かめる・根本から直す)と、長い時間のかかる開発の作業に置いています。数字は Google の発表と、Google DeepMind の評価方法の文書(Gemini 4 Carbon Model evaluation)から取りました。

見つける・確かめる・直すの3段階
脆弱性は、ソフトウェアの弱点で、悪用されると不正な操作を許してしまうものです。防御する側は、見つけた弱点のうちどれが本当に悪用できるかを確かめて、直す順番を決めます。Google は、この3段階のどれでも最先端の性能を出したと書いています(Google の発表)。
| 段階 | 指標 | Carbon | Argon | 測り方(評価方法の文書より) |
|---|---|---|---|---|
| 見つける | SEC-bench Pro | 88.2% | 83.4% | Google が自分で測った値。JavaScript エンジンの183問で、1問3回の平均 |
| 確かめる | ExploitGym | 54.8% | 42.0% | Google が自分で測った値。インターネットなし・緩和策(悪用を難しくする仕組み)を切った既定の設定で、1問の制限時間を既定の6時間から10時間に延ばした値。既定の6時間では Carbon が53.5%、Argon が39.5% |
| 直す | CWE-bench | 71.0% | 68.0% | CWE-bench を運営する Collinear AI が全モデルを評価した、公開の順位表の値 |
出典:数値は Google の発表 の表とグラフ、測り方は 評価方法の文書。
3つとも、発表文は「ガードレールなしで測った値」と書いています。Google は一般向けに出す前にガードレールを直すとしていて、Argon でもサイバーのガードレールを外した利用は Fairwind で別に渡していました。つまり表の数字は、一般の窓口で同じ値が出るという意味ではありません。
長い作業とWeb開発
Carbon は「はるかに難しい、長い時間のかかる開発の課題」に向けて作られたモデルで、Google の社内では、Carbon が行き詰まりを越えながら数日動き続け、大きなコードや、OS に近い低いレベルのシステムに潜む見つけにくい不具合の原因の特定と修正のような、複数の手順が要る作業に取り組んだ、と書かれています(Google の発表)。Google 社内の例で、条件や件数は書かれていません。
| 指標(何を見るか) | Carbon | Argon | 出どころ |
|---|---|---|---|
| Artificial Analysis Intelligence Index v5.0(総合) | 59 | 50 | Artificial Analysis の値(ツールあり) |
| Terminal-Bench 4.0(コマンドを打ち込む画面=ターミナルでのコーディングの作業) | 65.2% | 57.1% | Artificial Analysis の値 |
| GraphWalks(25万6千〜100万トークンの長い文脈でつながりをたどる) | 96.2% | 84.2% | Google が自分で測った値 |
| WebDev Arena(Web 開発) | 4位(Elo 1768) | 記載なし | 発表文(Elo が89上がった) |
出典:Google の発表 の表、評価方法の文書。Google が挙げた改善の分野は、コーディング・エージェントの作業・科学の課題・フルスタックの Web 開発(画面からサーバーの処理までまとめて作ること)・マルチモーダル(文字・画像・動画などをまとめて扱うこと)の理解です。
数字を読むときの3つの前提
- 比べた相手と指標は Google が選んだもの:他社のモデルの値は、別の記載がない限り、各社が自分で公表した値を Google が載せたものです(評価方法の文書)
- 測った人がばらばら:SEC-bench Pro と ExploitGym は Google が自分で測った値、CWE-bench は Collinear AI の順位表、総合の指標と Terminal-Bench 4.0 は Artificial Analysis の値です
- 条件つきの値:サイバーの3つはガードレールなし、ExploitGym の54.8%は1問の制限時間を既定の6時間から10時間に延ばした時の値です
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安全性の取り組み|発表に書かれた範囲
Google は、能力を速く上げながら安全の仕組みも同時に強めていると書き、Carbon を慎重に段階を踏んで出すとしています。ここでは発表文に書かれた範囲だけを並べます(Google の発表)。
公開前のテストへの参加
Google は、米国政府の自主的な「公開前のモデルのテスト」の仕組みに積極的に参加していると書いています。ITmedia NEWS は、これを米国立標準技術研究所(NIST)の AI 評価機関 CAISI による公開前の安全性評価への協力と報じています(ITmedia NEWS)。
Argonから引き継いだ4つの仕組み
Carbon は Argon と同じ、何重にも重ねた安全の仕組みの上に作られています。発表文が挙げるのは、モデルの学習、リアルタイムの悪用の防御、プロンプトインジェクション(Web ページやメールに隠した指示で AI を乗っ取る攻撃)への耐性、思考の過程(chain-of-thought)の監視、の4つです。発表文がリンクしている「Safety and Security report」は Argon の報告として紹介されていて、Carbon 単独の安全性の報告やモデルカードは10月29日10時台に確認できませんでした。
Carbonで改善したと書かれている5つの点
| 点 | 発表に書かれた内容 | どこで測ったか |
|---|---|---|
| 近道や抜け道を減らした | Terminal-Bench 4.0 で不正による成功が0.0%、不正の試みが0.4%(正答率は上げたまま)。重大度の高いミスアライメント(AI が指示や決まりから外れた動き)の警告が約80%減った | Terminal-Bench 4.0 と、Google の社内のチームとのコーディング環境 |
| 透明性と正直さ | 根拠のない主張が Argon の約半分。足りない根拠をごまかさず、成果物に方法上の注意書きを入れるか、実行できない操作は行わずに残りに必要なことを一覧で示す | Google の社内のテスト |
| あいまいな時の協力 | 推測で進めず、関係する資料を取りに行き、食い違いを利用者に見せてから動く | 数値の記載なし |
| 範囲を守ってやりきる | 頼まれた範囲を超える動きが26%減り、頼まれたことのやり残しが29%減った | 測った条件の記載なし |
| プロンプトインジェクションへの耐性 | Gray Swan の間接プロンプトインジェクションのベンチマークで攻撃成功率0.0%(Argon は0.7%)。評価した攻撃をすべて防いだ | Gray Swan のベンチマーク(15回まで攻撃を試した時の値) |
0.0%は、このベンチマークで評価した攻撃に対する値です。業務で AI に Web ページやメールを読ませる時に、プロンプトインジェクションが起きないという意味ではないので、AI に渡す権限を絞るなどの備えは残ります。
Carbonを待つ間に会社で決めること
Carbon がいつ一般向けに出るかは分かりません。出てから慌てないために、今のうちに決めておけることを4つにまとめました。どれも Carbon が出る前から、Argon や今の Gemini で進められます。

| 決めること | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| Argonで試す作業 | 大きな資料の読み込みやコードの点検など、自社の長い作業を1つ決め、同じ課題で比べるための記録(指示・資料・人が確かめた時間)を残す | Argon は Gemini アプリ(Google AI Pro・Ultra)、Gemini API の有料枠、Gemini for business などで使える(Google Japan Blog) |
| APIの予算の上限 | 導入価格ではなく後の価格で試算する(入力4ドル・出力20ドル)。長く動かすほど、処理するトークンも増える | Carbon の発表の脚注、Gemini API の料金表 |
| Fairwindの対象か | 政府・重要インフラ・中核の技術基盤に当たるか。当たるなら条件と審査を確かめ、当たらないなら CodeMender など別の道を見る | Fairwind Program のページ |
| AIに任せる範囲 | 脆弱性の調査や修正を AI に任せる作業と、人が確かめる所を分け、直した変更を戻せるかを決める | Fairwind の条件(使う担当の限定・利用の記録)を社内の決まりの参考にする |
会社の Gemini で今できることは、Geminiの中小企業向け新機能|日本対応と料金 にもまとめています。
AIが直した変更を戻せるか
Carbon のように、脆弱性を見つけて直すところまで進めるモデルを使う時に、先に決めておきたいのが「戻せるか」です。AI が作った修正を本番に入れた後で別の不具合が見つかった時に、元の版へ戻す手順と担当が決まっていれば、試す時の不安はかなり減ります。Google も Argon について、後戻りできない操作の前には人の確認を求めるよう学習させたと書いています(Google Japan Blog)。
- AI が出した修正を、誰が読んで承認するか
- 修正を本番に入れる前に、どこで試すか
- 問題が出た時に、元の版へ戻す手順と担当
- AI が見つけた弱点に、すでに悪用された跡がないかを誰が調べるか
【要注意】読み違いやすい4つの点
読み違い1:Gemini アプリで今日から Carbon が使える
❌ 「Gemini アプリや Google AI Pro で、今日から Carbon が使える」
⭕ 2026年10月29日時点の提供先は、今週から始まる一部のサイバー防御の組織だけです。Fairwind Program を通じて段階的に広げ、開発者・企業・一般の利用者へは日付を示さずに「できるだけ早く」とされています。Gemini アプリで Google AI Pro と Ultra の契約者が今使えるのは Argon です(10月13日から世界で順次・Google Japan Blog)。日本での Carbon の時期と日本語の対応も、発表に記載がありません(Google の発表)。
なぜ重要か:「もう使える」と社内に広まる前に、今の Gemini で使える最新は Argon だと共有しておくのが安全です。
読み違い2:料金は Argon の倍
❌ 「Carbon の料金は Argon の倍になる」
⭕ 導入価格は Argon と同じ入力2ドル・出力10ドル(100万トークンあたり。キャッシュした入力は入力の料金から95%引き)です。導入期間の後は入力4ドル・出力20ドルで、これは Argon の12月1日からの価格と同じ数字です。Carbon の導入期間がいつ終わるかは、発表に書かれていません(Google の発表、Gemini API の料金表)。
なぜ重要か:予算に効くのはモデルの差より、導入期間の後の価格への切り替わりです。
読み違い3:ベンチマークで全部のモデルに勝った
❌ 「Carbon はどのベンチマークでも全部のモデルに勝った」
⭕ 数字は Google が選んだ指標と比べる相手で作った表の値です。同じ表でも、FrontierSWE 2(エージェントによるコーディングの指標)は GPT-6 Astra(65.5%)と Claude Opus 5.5(62.3%)が Carbon(61.2%)より上、OSWorld-2.1(パソコンの操作の指標)は Claude Opus 5.5(87.2%)が Carbon(81.5%)より上で、値が空欄のモデルもあります。他社の値は、別の記載がない限り各社が公表した値です(評価方法の文書)。サイバーの3つはガードレールなしで測った値です(Google の発表)。
なぜ重要か:自社の業務に向くかは表の順位では決まらず、自社の課題で比べて初めて分かります。
読み違い4:Fairwind Program に申し込めばすぐ使える
❌ 「Fairwind Program に申し込めば、どの会社でもすぐ Carbon を使える」
⭕ Fairwind は政府・重要インフラ(医療・通信・エネルギー・金融)・中核の技術基盤を優先し、申し込んだ組織の背景を審査します。条件に合う組織への返事は「できるだけ早く」とされ、日数は示されず、使えるのは社内のセキュリティの担当だけで、多要素認証や利用の記録などの条件も付きます。しかも10月29日10時台のページはまだ Argon の説明で、Carbon がいつ Fairwind で使えるようになるかは書かれていません。対象外の組織には、公開されているモデルで CodeMender を使うなどの別の道が案内されています(Fairwind Program のページ)。
なぜ重要か:申し込みの準備より先に、自社が優先される組織に当たるかを確かめるのが確実です。
Uravation ならこう判断する
新しいモデルの発表のたびに、社内では「すぐ乗り換えるべきか」「出るまで待つべきか」という話になりがちです。Carbon について、当社は次のように考えます。
一般の会社は「Carbon待ち」で計画を止めない
Carbon がいつ一般向けに出るかは分かりません。待つあいだに止まるのはもったいないので、今使える Argon で、自社の長い作業(たとえば大きな資料の読み込みや、コードの点検)を1つ決めて試し、同じ課題・同じ指示・人が確かめた時間の3つを記録しておきます。Carbon が API やアプリに来たら、同じ課題で比べるだけで切り替えを判断できます。
予算は導入期間の後の価格で置く
Carbon の導入価格は Argon と同じでも、いつ終わるかが書かれていません。しかも Carbon は数日動き続けることもある長い作業を想定したモデルなので、長く動かせばその分だけ処理するトークンも増えます。月の上限は入力4ドル・出力20ドルで試算し、上限に近づいた時に誰が止めるかを先に決めておきます。
サイバー防御の用途は、まず社内の決まりから
Fairwind の対象に当たる組織は限られます。それでも、Fairwind が参加する組織に求める条件(利用者ごとの認証・フィッシングに強い多要素認証・使えるのは社内のセキュリティの担当だけ・利用の記録)は、一般の会社が AI に脆弱性の調査や修正を任せる時の社内の決まりの参考になります。AI に任せる範囲、人が確かめる所、直した変更を戻す手順を決めてから試すのが安全です。社内で数字を説明する時は「Google の発表では」と主語を付け、最後は自社の課題での比較で決めます。
よくある質問
Gemini 4 Carbonはいつから使えますか?
2026年10月29日時点で、一般の会社や個人が使える日付は発表されていません。Google は今週から一部のサイバー防御の組織に提供を始め、Fairwind Program を通じて段階的に広げ、意見を集めてガードレールを直したうえで、開発者・企業・一般の利用者へ「できるだけ早く」出すとしています。日本での時期の記載もありません(Google の発表)。
Gemini 4 Carbonの料金はいくらですか?
API で提供される時の導入価格は100万トークンあたり入力2ドル・出力10ドルで、Argon と同じです。キャッシュした入力は入力の料金から95%引きです。導入期間の後は入力4ドル・出力20ドルと発表の脚注にありますが、導入期間がいつ終わるかは書かれていません。10月29日10時台の Gemini API の料金表には、まだ Carbon の行がありません(Google の発表、Gemini API の料金表)。
Google AI ProやGeminiアプリでCarbonは使えますか?
2026年10月29日時点では使えません。Gemini アプリで Google AI Pro と Ultra の契約者が使えるのは Gemini 4 Argon で、10月13日から世界で順次提供されています。Argon は Google 検索の AI モードでも、同じく Pro と Ultra の契約者が使えます(Google Japan Blog)。AI モードそのものの使い方は Google AIモードとは?使い方・回数制限 にまとめています。Carbon を無料で試せる窓口も、発表には書かれていません。
日本や日本語ではいつ使えますか?
Carbon の発表文には、日本での提供時期も、対応する言語も書かれていません(Google の発表)。10月29日10時半の時点で、Carbon の日本語の公式の記事も確認できませんでした。Argon は10月13日から世界で順次提供が始まりましたが(Google Japan Blog)、Carbon が同じように広がるかどうかは、今は分かりません。
Fairwind Programにはどんな組織が申し込めますか?
Fairwind Program のページは、政府と国のサイバー当局、重要インフラの運営者(医療・通信・エネルギー・金融)、中核の技術基盤を優先すると書いています。申し込んだ組織は審査を受け、使えるのは社内のセキュリティ・事故対応・侵入テストの担当だけで、多要素認証や利用の記録などの条件があります。防御の評価を研究する大学などの研究室も申し込めます。対象外の組織には、公開されているモデルで CodeMender を使うなどの別の道が案内されています。10月29日10時台のページは Argon の説明で、Carbon の記載はまだありません(Fairwind Program のページ)。
今はArgonとCarbonのどちらを使えばいいですか?
2つのうち一般の会社が今使えるのは Argon だけなので、試すなら Argon です。Carbon はサイバー防御と長い開発の作業を強みにしたモデルで、Google の表では総合の指標が59(Argon は50)と上ですが、これは Google が選んだ表の値です(Google の発表)。Argon で自社の課題を試して記録を残し、Carbon が使えるようになったら同じ課題で比べる、という順番がむだのない進め方です。
まとめ
Gemini 4 Carbon は、Google が10月28日(米国時間)に発表した Gemini 4 シリーズの次のモデルで、サイバー防御と長い作業を強みにしています。ただ2026年10月29日時点の提供先は一部のサイバー防御の組織だけで、開発者・企業・一般向けの日付も、日本での時期も書かれていません。
- 提供:今週から一部のサイバー防御の組織、その後 Fairwind Program で段階的に広げる
- 料金:導入価格は Argon と同じ入力2ドル・出力10ドル、導入期間の後は4ドル・20ドル(期間の長さは未記載)
- 性能:数字は Google が選んだ表の値で、サイバーの3つはガードレールなしで測った値
- 会社でやること:Argon で試す作業、API の予算の上限、Fairwind の対象か、AI に任せる範囲の4つを先に決める
Carbon が出てから慌てるより、今の Gemini で比べる準備をしておくほうが、切り替えの判断はずっと楽になります。
著者:佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』『Claude仕事術』(SBクリエイティブ・書籍シリーズ累計66,000部)、『AI推進担当になったら読む本』(大和書房)。
SBクリエイティブ「ビジネス+IT」ほかで生成AI連載を執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
今日から始める3つのアクション
- 今日やること:社内で Gemini をどの窓口(アプリ・API・企業向け)で使っているかと、Argon を使える契約かを確かめる
- 今週中:Argon で試す自社の課題を1つ決め、同じ指示・同じ資料で結果と確認にかかった時間を記録する
- 11月中:API の予算の上限を導入期間の後の価格で試算し、AI に任せてよい作業と、直した変更を戻す手順を決める
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参考・出典
- Gemini 4 Carbon: our next frontier model(Google・2026年10月28日・脚注1と比較の表・グラフを含む)(参照日: 2026-10-29)
- Gemini 4 Carbon Model evaluation: Approach, methodology & results(Google DeepMind・評価方法の文書)(参照日: 2026-10-29)
- Fairwind Program(Google DeepMind)(参照日: 2026-10-29)
- Gemini 4 Argon: our next era of frontier intelligence(Google・2026年9月30日・脚注1を含む)(参照日: 2026-10-29)
- Gemini 4 Argon:最も困難な課題を解決するために(Google Japan Blog・2026年10月13日)(参照日: 2026-10-29)
- Gemini Developer API の料金(Google AI for Developers)(参照日: 2026-10-29)
- Release notes(Gemini API の変更履歴・Google AI for Developers)(参照日: 2026-10-29)
- Model cards(Google DeepMind)(参照日: 2026-10-29)
- Google、「Gemini 4 Carbon」発表(ITmedia NEWS・2026年10月29日)(参照日: 2026-10-29)
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