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Salesforce in Claudeとは|できること・設定・注意点【2026年9月】

Salesforce in Claudeとは|できること・設定・注意点【2026年9月】

結論(2026年9月20日時点):Salesforce in Claudeは、Salesforceが作った営業担当者向けのClaude用プラグインです。2026年9月15日にベータとして公開され、有料のClaudeプランであれば対象になります。ただし「申し込めばすぐ使える」ものではなく、Salesforce側の審査を通った組織だけが対象で、最新のSales Cloud Enterprise Editionが前提条件として案内されています。

  • 中身は、Salesforceが作った37のセールススキルと、SalesforceコネクタおよびSlackコネクタ、そして初回に走るセットアップスキルの束です。
  • Claudeは利用者本人のSalesforceアカウントでサインインし、その人のSalesforce権限で見える範囲しか見ません。書き込みは既定で1件ずつ承認を求めます。
  • 動く場所はチャットとClaude Cowork(WebとDesktop)です。2026年9月時点で公式に確認できている範囲はここまでです。

この記事の対象:CRMを使っている営業組織の責任者、情報システム部門、Claudeの組織管理を担当する方。
今日やること:自社のSales Cloudのエディションを確認し、ベータ申請を出すかどうかを決める。出すなら、誰に配るかと承認の既定をこの記事の手順で先に決めておく。

CRMのデータをAIに読ませる話は前からありました。今回それが一段進んだのは、Salesforce自身がClaude向けのプラグインを作り、営業の日常業務をそのまま持ち込めるようにしたからです。Anthropicは2026年9月15日の公式ブログで、このプラグインをベータとして公開したと発表しています。

法人で入れるときに最初に詰まるのは、機能そのものではありません。「誰のSalesforce権限で動くのか」「勝手に商談が書き換わらないか」「どのプランなら使えるのか」の3点です。営業現場が求めるのは時短ですが、稟議を通すのは管理部門なので、この3点に答えられないと止まります。

この記事では、Anthropicの公式ブログと公式ヘルプ(管理者向けと利用者向けの2本)を実際に読んだうえで、できること、対象プラン、設定の順番、管理者が先に決めることを整理します。公式に書かれていないことは「2026年9月時点で公式に確認できていない」とそのまま書きます。推測で埋めません。

最終更新:2026年9月(参照日 2026-09-20)

Salesforce in Claudeとは|Salesforceが作った営業向けプラグイン

Salesforce in Claudeは、Salesforceが作ったClaude用のプラグインです。Anthropicの公式ヘルプは「Salesforce in Claude is a plugin built by Salesforce」と明記しています。Claudeの中に、担当している取引先・商談・パイプラインを持ち込み、そこで調べ物と下書きと更新まで済ませるための道具立てです。

Salesforce in Claudeの中身を、37のセールススキル(商談準備や更新の定型作業・Salesforceが作成)、2つのコネクタ(SalesforceとSlack)、セットアップスキル(初回に自動で走る・役割と担当顧客を学ぶ)の3段で示した図

単独の機能ではなく、3つの部品を1つにまとめた「束」だと考えると分かりやすくなります。

37のセールススキル

公式は「37 sales skills built by Salesforce」と数を明記しています。カバーする業務として挙げられているのは、更新(リニューアル)の準備、QBR(四半期business review)資料のたたき台、パイプラインのカバレッジ確認、商談後のフォローアップです。営業担当者が毎日やっている定型作業の側から作られています。

2つのコネクタ

SalesforceコネクタとSlackコネクタが同梱されます。公式ヘルプは「so the plugin works without connecting each service separately」と書いており、サービスごとに個別接続する手間を省く設計です。Salesforceコネクタは取引先の履歴の要約、商談の更新、通話の記録、フォローアップのタスク作成まで担います。Slackコネクタは商談チャンネルの要約と、取引先チームのスレッドの読み書きを担当します。

初回に走るセットアップスキル

プラグインを最初に開いたときだけ、セットアップスキルが自動で走ります。公式ヘルプによると、利用者の役割と担当顧客(book of business)を学び、スキルをその人向けに調整します。利用者側で設定作業は不要だと明記されています。公式ブログでは、このとき役割に合わせたClaude Artifactが作られるとも説明されています。

提供状況と対象プラン|2026年9月20日時点で分かっていること

ここが稟議で最初に聞かれる部分です。公式2本に書かれている内容だけを表にします。

項目2026年9月20日時点の公式記載出典
提供形態ベータ(beta)Anthropic公式ブログ・公式ヘルプ
公開日2026年9月15日Anthropic公式ブログ
対象のClaudeプラン有料プランすべて(all paid plans)公式ヘルプ
対象組織の条件Salesforceがベータ申請を承認した組織公式ヘルプ(管理者向け)
Salesforce側の前提最新のSales Cloud Enterprise Editionへのアクセス公式ヘルプ(管理者向け)
動作する場所チャットとClaude Cowork(WebとDesktop)公式ヘルプ
同梱スキル数37Anthropic公式ブログ・公式ヘルプ
プラグイン自体の追加料金2026年9月時点で公式に確認できていない
日本語UIでの提供状況2026年9月時点で公式に確認できていない
ベータ終了時期・一般提供の予定2026年9月時点で公式に確認できていない

読み違えやすいのは「有料プランすべて」の部分です。これはClaude側の条件であって、これだけで使えるという意味ではありません。公式ヘルプは「available in beta on all paid plans for organizations Salesforce approves through its beta sign-up」と、2つの条件を1文で並べています。Claudeが有料プランであること、かつSalesforceのベータ申請が承認されていること。両方必要です。

導入実績としてAnthropicが公式ブログで名前を挙げているのは、GitLab、Siemens、Legoraの3社で、あわせて7,000名のSalesforceのセラーが業務で使っているとされています。これは公式ブログの記載であり、当社が測定した数字ではありません。

何ができるのか|公式が挙げる営業の1日の流れ

公式ブログは機能を並べるのではなく、営業担当者の1日に沿って説明しています。この並べ方自体が、導入を考えるときの検討単位になるので、そのまま追います。

朝のブリーフ、商談前の準備、商談の採点と計画、商談後の更新、パイプライン点検という営業の1日の流れと、書き込みは承認してから・Salesforceが記録の正という注記を示した図

朝のブリーフから始める

毎朝、その日の会議、近くクローズする商談、リスクのある商談、返信が必要な未読スレッドをまとめたブリーフが届きます。一度スケジュールすれば背景で動き、Claudeアプリからも見られます。ブリーフの画面から「クローズ日を後ろにずらす」「ステージを変える」「フォローアップのタスクを足す」と指示すれば、ClaudeがSalesforce側を更新します。金曜には週のまとめと、上長向けの報告の下書きまで作ると説明されています。

商談前の準備

次の会議の準備を頼むと、Salesforce・Slack・メールから材料を集めます。進行中の商談とその状況、取引先チームが今週話していたこと、返事が止まっているスレッド、前回の打ち合わせで持ち越した質問。スレッドの中にSalesforceへ未登録の関係者がいれば、Claudeがその取引先の取引先責任者として追加します。

商談の採点とクローズ計画

商談を指定すると、チームの営業メソドロジーに沿って採点します。見ているのは、クオリフィケーションの抜け、まだ会えていない関係者、クローズ日を危うくしている要因です。続けて指示すると、ビジネスケースと日付入りの相互クローズ計画を書き、クオリフィケーション項目を埋め、足りない関係者を取引先責任者のロールとして追加します。これらは承認された後に商談へ保存されます。

商談後にSalesforceを更新する

通話が終わったら、文字起こしか担当者のメモをもとに、フォローアップメール、Slackの商談チャンネル向け要約、商談の更新案(次のステップ・ステージ・クローズ日)を作ります。更新案は担当者がレビューする前提です。

パイプラインの点検と予測の共有

パイプラインを見たいと頼むと、ステージ別のカバレッジ、ずれ込みそうな商談とその理由、取引先ごとのドリルダウンができる対話型のダッシュボードを組み立てます。ダッシュボードからクローズ日やステージを変更するよう指示すれば、Salesforceのレコードが更新されます。ダッシュボードは上層部やチームへ共有でき、予測のナラティブを上層部が求める形式で下書きすることもできます。営業リーダーは同じビューをチーム全体に対して回せるとされています。

営業部門全体での生成AIの使いどころを先に整理したい場合は、営業部門の生成AI活用ガイドもあわせて読むと、CRM連携がどの工程に効くのかが立体的になります。

AgentforceやSalesforce MCPとの違い|公式の記載だけで並べる

「AgentforceがあるのになぜClaude側にも入れるのか」は必ず出る質問です。ここは各社の公式ページに書かれている説明だけを並べます。比較の解釈は最後に足します。

Salesforce in ClaudeAgentforceSalesforce MCP
公式の位置づけSalesforceが作った、Claude用のプラグイン(公式ヘルプ)「always-on digital labor augmenting every employee, department, and business process」(Salesforce公式)Salesforce MCPサーバー。Claudeのマーケットプレイスから直接インストールできる(Anthropic公式ブログ)
使う場所ClaudeのチャットとClaude CoworkSalesforce側のプラットフォームコネクタとしてClaudeへ接続
同梱物37のセールススキルと2つのコネクタ2026年9月時点でこの記事の範囲では確認していない2026年9月時点で公式ドキュメントを参照できていない(開発者向けドキュメントは参照日に403を返した)
入手経路AgentExchangeでのベータ申請Salesforceの製品として提供Claudeのマーケットプレイス

表の空欄を推測で埋めていないのは意図的です。Salesforceの開発者向けMCPドキュメントは参照日(2026-09-20)に403を返したため、仕様の細部はこの記事では断定しません。判断に必要な粒度でいえば、違いは「どこに座って仕事をするか」です。Agentforceの側に座るならSalesforceの画面が中心になり、Salesforce in Claudeの側に座るならClaudeの画面が中心になります。どちらかが上位互換というより、担当者が1日の大半を過ごす画面がどちらかで選ぶ話です。

Agentforce自体の設計や導入の進め方は、Agentforce完全ガイドAgentforce Operationsの解説で個別に扱っています。

営業組織のどこに効くか|商談要約・次アクション・パイプライン点検

公式の機能一覧を、稟議で説明できる業務単位に置き直します。ここは公式の記載から導ける範囲の整理であり、効果の数字は書きません。

商談要約:材料集めの往復が減る

いまの多くの現場では、商談の要約を作るのに、Salesforceの履歴、メール、通話録音、Slackを人が順番に開いています。公式ブログはまさにこの「散らばった情報を手で組み立てる」作業を出発点に置いています。効くのは要約の文章がうまくなることではなく、材料集めの往復が1回の指示に変わる点です。

次アクション:決めた後の入力が残らない

次アクションは、決めること自体より「決めた後にCRMへ入れる」工程で落ちます。商談後にフォローアップメール、Slack要約、商談の更新案が同時に出てくると、入力が後回しになる理由が減ります。ただし書き込みは承認前提なので、承認の手数をどう設計するかが実務の分かれ目になります。

パイプライン点検:会議の前に済ませる

パイプラインレビューは、会議の時間の大半が現状把握に消えがちです。ダッシュボードが先にできていれば、会議は判断から始められます。営業リーダーがチーム横断で同じビューを回せる点も、ここに効きます。

SFAやセールスイネーブルメント系のツールとどう切り分けるかは、AI×SFA営業自動化ツールの比較AI営業支援SaaSの選び方で整理しています。

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管理者が先に決めること|権限・承認・データの扱い

ここが導入の可否を決める節です。公式に書かれている仕様を、そのまま社内規程の言葉に直します。

Claudeが変更案を見せ、Allow onceなら今回だけ書き込む、Always allowなら以後は確認しない、Denyなら書き込まない、という3つの分岐を示した図

権限:Salesforceが記録の正

公式ブログは「Salesforce remains as the system of record」と明記しています。Claudeは記録の置き場所を変えません。利用者は自分のSalesforceアカウントでサインインし、Claudeはその人の既存のSalesforce権限が許す範囲しか読みません。つまり、Salesforce側の権限設計がそのまま効きます。逆にいえば、Salesforce側で広すぎる権限が配られている組織は、そこを先に直す必要があります。

承認:既定は1件ずつ

公式ヘルプは「By default, Claude asks you to approve each proposed change before it’s written」と書いています。変更案が出たら、内容を確認して「Allow once」「Always allow」「Deny」から選ぶ形です。「Always allow」を誰がどの操作に対して使ってよいかは、製品の設定ではなく社内の運用で決める部分になります。ここを決めずに配ると、結局その場の判断に委ねられます。

データの扱い:学習の既定

公式ブログは「On Team and Enterprise plans, we don’t train our models on your data by default」と書いています。既定でモデル学習に使わないという記載であり、プランによって前提が変わります。自社のプランがどれかを確認したうえで、契約・規程の文言と突き合わせてください。

配布範囲:グループ単位で決める

管理者は組織として一度Salesforceを接続し、どのグループにプラグインを配るかを選びます。公式ヘルプでは、Organization settings の Plugins から「installed by default」「available for install」「required」の3つから選ぶと説明されています。全員に required で配る必要はありません。

監査ログ・保持期間

Salesforce in Claude固有の監査ログや、やり取りの保持期間に関する専用の記載は、2026年9月時点で今回参照した公式2本の中には確認できていません。組織全体の監査ログや保持の設定については、Claudeの管理者向けヘルプの該当項目を自社の条件で確認してください。この記事では断定しません。

始め方の手順|管理者の3ステップと利用者の登録

公式ヘルプ(管理者向け)の手順を、担当者が分かれる形で書き直します。実際に動かす前に、誰が何を持っているかを確認してください。

AgentExchangeで申請、配布方法を決める、MCPコネクタを設定、各自がサインインという4段階を、担当者つきの階段で示した図

ステップ1:AgentExchangeで申請する(Salesforceの管理者)

Salesforceアカウントの管理者がAgentExchangeへ行き、Salesforce in Claudeプラグインのアクセス申請フォームを出します。承認されると、設定手順へのリンクが載った受諾メールが届きます。その手順を完了させるところまでがステップ1です。前提条件として、最新のSales Cloud Enterprise Editionへのアクセスが必要だと明記されています。

ステップ2:配布方法とコネクタを設定する(Claudeの管理者)

Claude組織のPrimary OwnerまたはOwner権限が必要です。作業は2つに分かれます。

ひとつは配布方法の設定です。Organization settings の Plugins から Salesforce Marketplace を探し、使わせたいグループごとに「installed by default」「available for install」「required」のどれかを選びます。

もうひとつはMCPコネクタの設定です。Salesforceの管理者がSalesforce側の手順でSalesforce MCPサーバーを有効にし、External Client App の consumer key と consumer secret をClaudeの管理者へ渡します。Claude側では Organization settings の Connectors から「Salesforce (Beta)」を選び、consumer key を OAuth client ID 欄に、consumer secret を OAuth client secret 欄に入れて保存します。

ステップ3:利用者が自分のアカウントを紐づける

ステップ1と2が終われば、メンバーがプラグインを有効にして使えます。利用者側は Settings の Plugins から Salesforce in Claude を開き、「Add」を押し、管理者が有効化していなければトグルで有効にし、「Add to Claude」を押します。その後、自分のSalesforceアカウントでサインインします。初回だけセットアップスキルが自動で走り、役割と担当顧客を学んでスキルを調整します。

組織へスキルを展開していく進め方そのものは、Claude Skills法人導入ガイドが近い内容を扱っています。

コピペで使える指示文と設定の控え

公式ヘルプが挙げている例(更新準備、QBR資料、パイプラインのカバレッジ、商談後のフォローアップ)に沿った指示文です。自然文で指示する製品なので、コマンドではありません。角括弧の部分を自社の言葉に置き換えて使ってください。

【更新の準備】
[取引先名] の更新面談に向けた準備をお願いします。
Salesforceの商談履歴、直近のメール、Slackの商談チャンネルから材料を集めて、
(1) 現在の契約内容と更新時期
(2) 前回から変わった点
(3) こちらから確認すべき未解決の論点
の3つに分けて、A4一枚に収まる分量でまとめてください。
Salesforceへの書き込みはまだ行わないでください。
【商談の採点とクローズ計画】
商談 [商談名] を、当社の営業メソドロジーに沿って採点してください。
クオリフィケーションの抜け、まだ接触できていない関係者、
クローズ日を危うくしている要因の3点を挙げてください。
そのうえで、日付入りの相互クローズ計画の案を作ってください。
商談レコードへの保存は、こちらが内容を確認してから指示します。
【パイプラインのカバレッジ点検】
今四半期のパイプラインを、ステージ別のカバレッジが分かる形で見せてください。
ずれ込みそうな商談は、理由とあわせて並べてください。
取引先ごとに掘り下げられる形にしてください。
クローズ日やステージの変更は、こちらが指示するまで行わないでください。
【商談後のフォローアップ】
添付の通話メモをもとに、次の3つを作ってください。
(1) 先方へ送るフォローアップメールの下書き(署名は入れない)
(2) Slackの商談チャンネルへ流す要約(5行以内)
(3) 商談の更新案(次のステップ・ステージ・クローズ日)
更新案は、変更前と変更後が並んで見える形にしてください。
【放置されている取引先の洗い出し】
自分が担当する取引先のうち、最終接触から30日以上動きがないものを一覧にしてください。
最終接触日、商談の有無、次にやるべきことの案を列にしてください。
Salesforceへの書き込みは行わないでください。
【朝のブリーフの定期実行】
毎営業日の朝に、次の内容をまとめたブリーフを出すようにしてください。
・その日の会議
・近くクローズする商談
・リスクのある商談
・返信が止まっている未読スレッド
金曜は、週のまとめと上長向けの報告の下書きも足してください。

管理者側の設定は画面での入力なので、コマンドではなく記入欄の控えとして残しておくと引き継ぎが楽になります。

【Claude側コネクタ設定の控え】
場所: Organization settings > Connectors
選ぶもの: Salesforce (Beta)
OAuth client ID       : Salesforce側 External Client App の consumer key
OAuth client secret   : Salesforce側 External Client App の consumer secret
受け取り元 : Salesforceの管理者
保存後の確認: メンバーが初回利用時に各自でSalesforceへサインインできるか
【配布方法の控え】
場所: Organization settings > Plugins > Salesforce Marketplace
選択肢: installed by default / available for install / required
決めること:
  - 最初に配るグループ(部署・チーム単位)
  - 「Always allow」を使ってよい操作の範囲(社内ルール)
  - 対象外にするグループと、その理由

失敗パターン4つ|導入の前に潰しておきたいこと

Salesforce側の権限設計を見直さないまま配る

❌ Claude側で権限を絞ればいいと考える。
⭕ Claudeは利用者のSalesforce権限が許す範囲しか読みません。裏返すと、Salesforce側で広く見えている人は、Claude経由でも広く見えます。配布の前に、Salesforce側のプロファイルと共有設定を確認してください。

「Always allow」を最初から許す

❌ 承認のたびに止まると面倒なので、最初から常時許可を案内する。
⭕ 既定が1件ずつの承認なのは、CRMが記録の正だからです。まずは承認ありで回し、どの操作なら常時許可にしてよいかを実際の操作ログを見てから決めてください。少なくともクローズ日とステージの変更は、最初から常時許可にしない判断が妥当です。

ベータであることを稟議に書かない

❌ 正式機能として起案する。
⭕ 2026年9月20日時点でベータです。ベータの終了時期や一般提供の予定は公式に確認できていません。仕様が変わる前提で、契約や業務フローの依存を浅くしておくほうが安全です。

全社一斉に配って評価しようとする

❌ 効果を測るために全員へ required で配る。
⭕ 配布方法はグループ単位で選べます。まず1チームに入れて、商談準備にかかる時間と、CRM更新の抜け漏れの2つだけを見るほうが、判断材料になります。全社配布は、その2つが動いてからで間に合います。

Uravationならこう判断する|先に決める・次に測る・やらない

AI導入の相談を受ける立場から見ると、この製品の評価軸は「営業がうまくなるか」ではありません。「CRMが埋まるか」です。SFAが機能しない最大の理由は入力が残らないことで、そこに直接効く設計になっているかどうかで見ます。

先に決める(使うグループを絞る・承認の既定を決める)、次に測る(商談準備にかかる時間・更新の抜け漏れ)、やらない(全社一斉の配布・自動承認の常用)を3列で並べた図

先に決めること

使うグループを絞ることと、承認の既定を決めること。この2つは製品を触る前に決められます。特に承認は、決めずに配ると各自の裁量になり、後から統一するほうが手間がかかります。

次に測ること

商談準備にかかる時間と、更新の抜け漏れ。この2つに絞ります。売上や受注率は、季節性と案件構成に引っ張られるので、導入の可否を判断する指標としては粗すぎます。測り方は、導入前の数週間と導入後の同じ期間を、同じチームで比べる形で十分です。

やらないこと

全社一斉の配布と、自動承認の常用。この2つは、うまくいかなかったときに原因の切り分けができなくなります。特に自動承認を常用すると、CRMの記録が「誰が判断したか」を失います。監査の観点でも、ここは慎重でよい部分です。

あわせて、Salesforce側のベータ承認が下りるかどうかは自社では決められません。申請と並行して、Salesforce MCPをコネクタとして先に試す道もあります。こちらはClaudeのマーケットプレイスから直接インストールできるとAnthropicの公式ブログに書かれています。ただし仕様の詳細は今回参照できていないので、試すなら検証環境からにしてください。

よくある質問

Salesforce in Claudeは無料で使えますか

有料のClaudeプランであれば対象になりますが、プラグイン自体に追加料金があるかどうかは2026年9月時点で公式に確認できていません。加えて、Salesforce側のベータ申請が承認された組織であることと、最新のSales Cloud Enterprise Editionへのアクセスが前提として案内されています。

Claudeが勝手にSalesforceを書き換えることはありますか

既定では、変更案を提示して承認を求めます。公式ヘルプには、変更案が出たら内容を確認して「Allow once」「Always allow」「Deny」から選ぶと書かれています。「Always allow」を選んだ操作については以後の確認が省かれるため、どの操作に許可を出すかは社内で決めてください。

自分の権限より広いデータが見えてしまいませんか

利用者は自分のSalesforceアカウントでサインインし、Claudeはその人の既存のSalesforce権限が許す範囲しか見ないと公式に明記されています。したがって、見える範囲を狭めたい場合はSalesforce側の権限設計で行います。

入力したデータはモデルの学習に使われますか

Anthropicの公式ブログには、TeamプランとEnterpriseプランでは既定で顧客データをモデルの学習に使わないと書かれています。それ以外のプランの扱いについては、自社の契約とClaudeのプライバシー関連の公式情報を確認してください。

Claude Codeからも使えますか

公式ヘルプが動作する場所として挙げているのは、チャットとClaude Cowork(WebとDesktop)です。Claude Codeでの利用可否は、2026年9月時点でこの2本の公式情報の中には確認できていません。

まとめ

Salesforce in Claudeは、Salesforceが作った営業担当者向けのClaudeプラグインで、2026年9月15日にベータとして公開されました。中身は37のセールススキルと、SalesforceおよびSlackのコネクタ、そして初回に走るセットアップスキルです。

導入判断で押さえる点は3つに絞れます。第一に、Claudeが有料プランであることとSalesforceのベータ承認の両方が必要で、Sales Cloud Enterprise Editionが前提として案内されていること。第二に、Claudeは利用者本人のSalesforce権限の範囲しか見ず、書き込みは既定で1件ずつ承認を求めること。第三に、配布はグループ単位で選べるので、全社一斉にする必要がないこと。

ベータである以上、仕様は変わります。公式に書かれていない部分(追加料金、日本語での提供状況、ベータの終了時期、専用の監査ログ)は、2026年9月時点では埋まっていません。稟議には、埋まっていないことを埋まっていないまま書いたほうが通ります。

著者プロフィール

佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』『Claude仕事術』(SBクリエイティブ・シリーズ累計約6万部)。
SBクリエイティブ「ビジネス+IT」ほかで生成AI連載を執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

次にできること

  • 自社のSales Cloudのエディションと、Claudeのプラン種別を確認する。この2つが揃っていなければ、ベータ申請の前に整理が必要です。
  • 承認の既定と、最初に配るグループを1枚にまとめる。製品を触る前に決められる部分です。
  • CRM連携を含めた生成AIの社内展開について相談したい場合は、お問い合わせから状況をお知らせください。

参考・出典

PDF 14ページ

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佐藤傑
この記事を書いた人 佐藤傑

株式会社Uravation 代表取締役CEO/生成AIエバンジェリスト。法人向けAI研修・コンサルティングを手がけ、日経・SBクリエイティブ・GMO等のメディアで生成AIについて執筆。

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