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Siri AIのアプリ連携|App Intentsの対応手順【2026年11月】

Siri AIのアプリ連携|App Intentsの対応手順【2026年11月】

2026年11月4日時点で、Apple は Siri AI からアプリの独自の操作を呼べる開発者向けのプレビュー(Siri AI Developer Preview)を、11月3日(現地時間)から iOS 27.3・iPadOS 27.3・macOS 27.3・visionOS 27.3 のベータ(開発者向けの試験版)で始めています。アプリが App Intents(アプリの操作と中身を OS に伝える Apple の仕組み)で出した操作を、Siri AI が話し言葉の頼みに合わせて呼び出す形です。利用者に届き始めるのは数か月後、App Store への提出の受け付けは春からと発表されています(Apple Developer News「Siri AI is now open to all developers」)。

結論:どのアプリも App Intents で独自の操作と中身を Siri AI に出せるようになりました。ただし2026年11月4日時点では、開発者のベータと社内のテスターで試す段階です。利用者に届き始めるのは数か月後、App Store への提出は春からで、規約と利用方針の詳細はこれから発表されます。

  • 要点1:これまでの中心は Apple が決めた型(schema)に合う操作でした。これからは配送の確認・予約・注文のような独自の操作も呼べます
  • 要点2:新しい entitlement(アプリに付ける特別な許可の設定)も、別の開発者プログラムも要りません。今ある App Intents のコードを直します
  • 要点3:試せるのは開発用の署名で入れた実機と、TestFlight(公開前のアプリを試してもらう Apple の仕組み)の社内のテスターだけで、外部のテスターと App Store の版では動きません
  • 要点4:Siri AI は日本語を含む 6 言語に対応。EU の iOS・iPadOS・watchOS では今は使えず、13歳未満は対象外で、サーバー側のモデルを使う一部の機能に 1日の上限があります

対象読者:自社の iPhone アプリ(EC・予約・配送・飲食・会員アプリなど)を持つ会社の事業責任者、アプリの担当者、開発を委託している会社の担当者

読了後にできること:Siri AI に出す操作の候補とログインや支払いの扱いを書き出し、開発の担当者や委託先に「何を・どう試すか」を頼めます

「Siri AI から、うちのアプリを使ってもらえるの?」「何を直せばいいの?」という問いには、何が変わるか、いつ届くか、どう試すか、の順に確かめると迷いません。Siri AI そのものは10月26日の 27.2 で日本語でも使えるようになっていて(ベータ版・Apple Newsroom「Siri AI、日本語で提供開始」)、今回はそこに「作る側」がアプリをつなぐ話なんです。AI 導入のご相談でも、「自社のアプリを AI アシスタントから使えるようにしたい」という話はよく出ます。

使う側の話(対応機種・回数の制限)は10月28日の記事「Siri AIが日本語で開始|できること・機種・回数制限」で整理したので、この記事はアプリを持つ会社が決めることと頼むことに絞ります。2026年11月4日時点で公式の資料を確認しました(Apple の発表ページと開発者向けドキュメント)。コードはドキュメントの例の写しで、Uravation が動かした結果ではありません。最終更新:2026年11月4日。

Siri AIのアプリ連携とは|今までとの違い

Siri AI のアプリ連携とは、アプリが App Intents ではっきり出した操作と中身を、Siri AI が利用者の頼みに合わせて探し、呼び出す仕組みです。Apple Intelligence(Apple が OS に組み込んでいる AI の機能の総称)は、アプリが定めた app intent(操作)や app entity(中身のデータの型)を使って、アプリの操作と中身を扱います(Apple Intelligence and Siri AI)。

Siri AIのアプリ連携の今までとこれから。今までは決めた型に合う操作(例:メッセージの送信)。これからは独自の操作(例:配送の確認・予約・注文)、Spotlightのどのentityも、skillsも扱える

これまでも数千の開発者が Siri との連携を作り、道順を聞く・メッセージを送るといったことができました(Apple Developer News)。10月26日の発表でも、Yahoo!乗換案内などを Siri AI から使う例が挙がっています(Apple Newsroom)。プレビューのドキュメントは、これまでの対象を「Apple が決めた型(app schema domains)に合う機能とデータ」とし、プレビューではアプリ独自の操作と情報も扱えると説明しています(Siri AI Developer Preview)。たとえると、決まった申込書に合う頼みだけを受けていた窓口が、アプリの書いた操作の説明を読んで、頼みに合う操作を選べるようになった形です。

項目今までこれから(Developer Preview)
呼べる操作Apple が決めた型に合う操作。例:メッセージの送信アプリが App Intents で出した独自の操作も。例:配送の確認・予約・注文
見つけられる中身既存の型に合う entity(中身のデータ)Spotlight(iPhone や Mac の検索)の semantic index(意味で探せる索引)にある、どの entity も
複雑な頼み操作の組み合わせ方を教える仕組み(skills)はなかった。今回加わったskills で、複数の操作の組み合わせ方を教えられる
開発の作業操作を schema に合わせると Siri から使えるapp intent に @AppIntent(.tool) を付け、title と description を書く

表の出典は Apple Developer News、Siri AI Developer Preview、Bringing custom actions and content to Siri です。Siri が扱えるのはアプリがはっきり出した中身と操作だけで、アプリを入れているだけでは使えません(Siri AI Developer Preview)。新しい Siri と会社の AI 活用の関係は、新Siriが企業のAI活用に与える影響 にまとめています。

11月3日の発表の要点

Apple は2026年11月3日(現地時間)、開発者向けのニュースで次のことを発表しました。ITmedia NEWS も11月4日 9時37分に、Siri AI とアプリの連携が全開発者に開放されたと報じています(ITmedia NEWS)。

項目内容出典
何が始まったかどの開発者もアプリを Siri AI につなげる Developer Preview。iOS 27.3・iPadOS 27.3・macOS 27.3・visionOS 27.3 のベータからApple Developer News
使う仕組みApp Intents で中身と操作を出し、Siri AI のパーソナルコンテクスト(利用者自身の情報や状況)の理解・オンスクリーン認識(画面の内容の理解)・自然な言い方の理解を使うApple Developer News
skills と Spotlight複数の操作を 1 つの体験にまとめる方法を教える skills を導入。Spotlight の semantic index のどの entity も Siri AI が出せるApple Developer News
Apple のアプリカレンダー・メール・マップ・メッセージ・写真・Safari など多くの Apple のアプリで展開を始めた(発表に名前があるのは 15 のアプリ)Apple Developer News
時期利用者に初めて届くのは数か月後。App Store への提出は春からApple Developer News
規約と利用方針Siri AI を通じた体験の規約と利用方針は、詳細を後日発表Apple Developer News

表の出典は Apple Developer News「Siri AI is now open to all developers」(2026年11月3日)です。App Store への提出について、発表は「in the spring(春に)」とだけ書き、年は書いていません。発表が2026年11月なので次の春と読むのが自然で、ITmedia NEWS は「2027年春」と報じています。Apple のエンジニアに質問できる Apple Intelligence Group Labs は11月4日 9〜10時と11月5日 18〜19時(太平洋時間)で、日本時間では11月5日 2〜3時と11月6日 11〜12時です(太平洋標準時から換算・申し込みは発表ページから)。

使える条件と日程|OS・端末・言語・テスト

日程は「今・数か月後・春」の 3 段階で考えると整理しやすくなります。今は開発者が試す段階です。

Siri AIのアプリ連携の日程。今(11月3日から)は開発用の署名の実機と社内のテスターで試せる。数か月後に初めて利用者に届く。春からApp Storeへの提出の受け付け

日程

時期何が起きるか出典
今(11月3日から)27.3 のベータで Developer Preview を試せる。開発用の署名の実機と、TestFlight の社内のテスターだけApple Developer News・Siri AI Developer Preview
数か月後プレビューの機能が、初めて利用者に届くApple Developer News
春App Store への提出の受け付けが始まるApple Developer News

どの時期も、具体的な日付は出ていません。プレビューの間は App Store で公開した版でプレビューの機能が使えず(Siri AI Developer Preview)、提出は春からなので、自社アプリの独自の操作を一般の利用者に届けられるのは春以降と読めます。日付は Apple の次の発表で確かめてください。

使える条件

条件内容出典
OSDeveloper Preview は iOS・iPadOS・macOS・visionOS の 27.3 のベータ(Siri AI そのもののベータは watchOS 27.3 にもある)Siri AI Developer Preview・Apple Developer News
端末Apple Intelligence に対応した端末を、対応する言語に設定して使うSiri AI Developer Preview・Apple Developer News
言語英語・フランス語・日本語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語の 6 言語。近く繁体字中国語・ノルウェー語・トルコ語・ベトナム語の 4 言語が加わるApple Developer News
地域EU の iOS・iPadOS・watchOS では今は使えない(Apple は道を探るために EU と前向きに協議していると説明)。一部の機能は地域や言語によって使えない場合があるApple Developer News
年齢13歳未満は使えないApple Developer News
1日の上限Siri AI など、サーバー側のモデルを使う一部の機能にある。機能・頼みの複雑さ・混み具合などで変わり、上限を広げた使い方は今後有料の予定Apple Developer News
テスト開発用の署名の実機と、TestFlight の社内のテスター(App Store Connect のユーザー・最大100人)だけ。外部のテスターと App Store で公開した版では使えないSiri AI Developer Preview・App Store Connect ヘルプ
変更プレビューの間は、App Intents の API と Siri の動きが変わることがあるSiri AI Developer Preview

表の出典は Apple Developer News と Siri AI Developer Preview です。1日の上限の回数と有料の使い方の料金は発表に書かれておらず、アプリの操作を Siri AI から呼んだ時の上限の数え方も、11月4日時点では確認できませんでした。

社内のテスターは App Store Connect(アプリの公開やテストを扱う Apple のサイト)のユーザーです。Apple School Manager と Apple Business の予約済みのドメインで作った管理対象の Apple Account では、テストのビルド(試す版)を試せません(App Store Connect ヘルプ「Add internal testers」)。

Siri AIがアプリでできること|4つの場面

プレビューのドキュメントは、Siri AI がアプリの独自の中身と操作を扱う場面を 4 つ挙げています。例は英語の例を日本語にしたものです(Siri AI Developer Preview)。

Siri AIがアプリでできる4つの場面。前面にある時はアプリ名を言わずに頼める、裏にある時はアプリ名を言えば使える、ほかのアプリへ渡して操作する、アプリのブランドや雰囲気のカードで答える

1. 前面にある時は、アプリ名を言わずに頼める

アプリが前面にある時、Live Activity(ロック画面などに出る進み具合の表示)が動いている時、アプリの名前が出た会話を Siri アプリで続けている時は、アプリ名を言わなくても頼めます。例は配車のアプリで、Live Activity で車を待つ間に「Hey Siri、迎えの場所を新しい住所に変えて」と頼めます。

2. 裏にある時は、アプリ名を言えば使える

アプリが裏にある時も、頼みの中でアプリ名を言えば、Siri はそのアプリの中身を探して答えます。例は「Hey Siri、(アプリ名)でいいねしたスニーカーはセール中?」です。

3. ほかのアプリへ渡して操作する

あるアプリの中身を見つけ、指定したアプリに渡して操作まで進めます。例は「Hey Siri、お気に入りのスニーカーを(メッセージのアプリ名)でパートナーに送って」で、Siri はスニーカーを見つけ、連絡先でパートナーを特定して送ります。

4. 自社の見た目のカードで答える

頼まれた中身を、アプリが用意したカード(card snippet)で見せます。カードはアプリ独自の画面の部品で作るので、アプリのブランドや雰囲気を出せます。

例えば、アプリがその操作を出していれば、EC なら「注文した商品はいつ届く?」、予約なら「明日の予約の時間を遅らせて」、飲食なら「いつもの注文をもう一度」のような頼み方が考えられます。発表も配送の確認・予約・注文を例に挙げています(Apple Developer News)。

開発の流れ|App Intentsの対応手順

新しい entitlement も別の開発者プログラムも要らず、今ある App Intents のコードを直します(Siri AI Developer Preview)。App Intents をまだ使っていないアプリは、app intent を新しく作って @AppIntent(.tool) を付けます(Bringing custom actions and content to Siri)。流れは次の 6 つです(Bringing custom actions and content to Siri、Orchestrating complex actions with app skills)。

App Intentsの対応の6つの手順。出す操作を選ぶ、操作をツールにする、名前と説明を書く、中身を見つけてもらう、複雑な頼みにはskillsを足す、確かめる

  1. 出す操作を選ぶ:どれを出すかはアプリ側が決めます。ドキュメントは主な機能と、利用者が Siri で頼みそうな機能を勧めています。Siri に対応した schema に合わせ済みの操作と、WidgetConfigurationIntent のように処理(perform())が無い操作には、次の手順の印 @AppIntent(.tool) を付けません
  2. 操作をツールにする:app intent に Swift(Apple のプログラミング言語)のマクロ(コードに付ける印)@AppIntent(.tool) を付けると、ToolIntent(Siri が呼べるツールであることを示す決まり)に合い、Siri が呼べるツールになります。ショートカットだけに対応した schema の操作は @AppIntent(.tool, schema:) にします
  3. 名前と説明を書く:Siri は title と description で操作を理解し、ほかの操作と見分けます。引数(parameter)と、app entity の @Property・@DeferredProperty・@ComputedProperty にも説明を付けます
  4. 中身を見つけてもらう:app entity を Spotlight に登録します(登録しない場合は、アプリが用意する EnumerableEntityQuery からも OS が取れます)。画面の中身と entity を結び付けると「これ」が通じ、利用者の操作を OS に伝えておく(donate)と、あいまいな頼みの見分けに使われます。ほかのアプリへ渡す中身には Transferable(受け取れる形)の表現を用意します
  5. 複雑な頼みには skills を足す:いくつもの操作を組み合わせる作業は、Skills.skillsbundle に SKILL.md を置いて教えます
  6. 確かめる:AppIntentsTesting のテストに加え、Xcode(Apple のアプリ開発のソフト)の Siri Integration Advisor の助言と、頼みを台本にして答え方を測る SiriEvaluations を使います。手では、ショートカットのアプリ・Spotlight・Siri で試します(skills の確認は、Xcode の中で端末を模す Simulator でなく実機で)

公式の例:買い物アプリの「カートに追加」

ドキュメント「Bringing custom actions and content to Siri」の公式の例をそのまま写したものです(Uravation が動かした物ではありません)。

@AppIntent(.tool)
struct AddToCart: AppIntent {
    static let title: LocalizedStringResource = "Add to Cart"
    static let description = IntentDescription(
        LocalizedStringResource("Adds a product to the shopping cart.")
    )

    @Parameter(title: "Item", description: LocalizedStringResource("The product to add"))
    var item: ProductEntity

    @Parameter(title: "Quantity", description: LocalizedStringResource("How many to add"), default: 1)
    var quantity: Int

    func perform() async throws -> some IntentResult {
        try await Cart.shared.add(item, quantity: quantity)
        return .result()
    }
}

ログインや支払いが絡む中身の扱い

app entity は、既定では認証なしで Siri やショートカットに情報を見せます。お金の情報のような中身は、IntentAuthenticationPolicy で見せる前に認証を求められます(entity 全体か、@Property などの項目ごとに requiresAuthentication のような値を渡す)。項目の設定は Siri の返事にだけ効くので、結果として機微な情報を返す操作は、操作の側でも認証を求めます。Siri に一切出したくない項目は、visibility を internal にするとアプリと拡張機能だけが使えます(Bringing custom actions and content to Siri)。

複雑な頼みは skills で補う

いくつものツールを使う頼みでは、どれを優先するか、何をしてはいけないかを SKILL.md で教えます。Skills.skillsbundle(アプリのターゲットに 1 つ)にスキルごとのフォルダ(名前は英小文字・数字・ハイフン)を作り、SKILL.md の先頭に name と description、続けて1万字までの自由な文を書きます。ただし skills で動きを決め打ちはできず、Siri AI はスキルに並べた順に操作を実行するわけではありません(Orchestrating complex actions with app skills)。

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会社が先に決めること|出す操作・ログイン・委託先

開発に入る前に事業の側で決めておくことは、次の 5 つです。どれもドキュメントと発表の記載から逆算しています。

会社が先に決める5つのこと。出す操作と出さない操作、ログインと支払いの扱い、委託先への頼み方、試す端末と社内のテスター、発表を待つこと

決めること中身根拠
1. 出す操作と出さない操作お客さまが繰り返す操作から選ぶ。Siri が使えるのは出した操作だけBringing custom actions and content to Siri
2. ログインと支払いの扱い見せる前に認証を求める項目と、Siri に出さない項目(visibility を internal)を決めるBringing custom actions and content to Siri
3. 委託先への頼み方今の App Intents の対応状況、出す操作の一覧、試し方をそろえて頼むSiri AI Developer Preview
4. 試す端末と社内のテスターApple Intelligence に対応した端末と、社内のテスター(App Store Connect のユーザー)を用意するSiri AI Developer Preview・App Store Connect ヘルプ
5. 発表を待つことApp Store への提出(春から)と規約と利用方針(後日)。リリースの時期と社外への案内はその後に決めるApple Developer News

審査の基準・費用・手数料は、11月4日時点の発表とドキュメントでは確認できませんでした。規約と利用方針は追って知らされます(Apple Developer News)。社内の検討は、次のメモの型から始められます。

【Siri AI 対応の検討メモ】対象のアプリ:   作成者:
1. Siri AI から使ってほしい操作(名前・何をするか・頼み方の例)
2. Siri AI に出さない操作と、その理由
3. ログイン・支払い・個人の情報が絡む項目と、認証を求めるか
4. 今の App Intents の対応(Siri やショートカットに出している操作)
5. 試す人(App Store Connect の社内のテスター)と端末
6. 規約と利用方針の発表を見てから決めること(提出の時期・社外への案内)

出す操作の候補は、社外秘を含まない機能一覧から AI に書き出させると早く進みます。

あなたはスマホアプリの企画担当の補佐役です。
次の「アプリの機能一覧」を読み、Siri から呼べると便利な操作の候補を表にしてください。
・列は「操作の名前」「何をするか(1文)」「頼み方の例を2つ」「ログイン・支払い・個人の情報が絡むか」「Siri に出すのを控えたほうがよい理由(あれば)」
・機能一覧に書かれていない機能は作らない
・お金が動く操作と、取り消せない操作には印を付ける
不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
仮定した点は必ず"仮定"と明記してください。
[ここにアプリの機能一覧を貼り付け]

開発を委託している場合、「Siri AI に対応してほしい」だけで頼むと、範囲と試し方が人によって変わります。次の依頼文は、ドキュメントに出てくる作業の名前で範囲を区切っています。委託先の選び方は AIエージェント開発を外注する時の会社の選び方 も参考になります。

件名:Siri AI Developer Preview への対応のご相談
〇〇様
いつもお世話になっております。Apple が11月3日に発表した Siri AI Developer Preview について、弊社アプリでの対応を検討しております。次の点をご相談させてください。
1. 現在の App Intents の対応状況(Siri やショートカットに出している操作、app schema に合わせている操作)
2. 次の操作を Siri AI に出す場合の作業の範囲(@AppIntent(.tool) の付与、title と description の整備、Spotlight への登録、必要に応じて skills):(操作1)(操作2)
3. ログイン・支払い・個人の情報を含む項目の認証の方針
4. 試し方(開発用の署名の実機と TestFlight の社内のテスター)と、Siri Integration Advisor・SiriEvaluations での確認
5. お見積りと日程の目安
規約と利用方針は Apple が今後発表するとしているため、リリースの時期はその発表を拝見してから決めたいと考えております。よろしくお願いいたします。

【要注意】読み違いやすい4つの点

読み違い1:もう利用者が使える

❌「Siri AI からアプリの独自の操作を、もう利用者が使える」
⭕「今は開発者のベータ(iOS 27.3 など)と TestFlight の社内のテスターだけ。利用者に届き始めるのは数か月後、App Store への提出は春から。Siri AI そのものは10月26日の 27.2 から日本語でも使える(ベータ版)」

なぜ重要か:Siri AI が使えることと、自社アプリの独自の操作が使えることは別です。お客さま向けの告知の時期を発表の日付で決めないでください。

読み違い2:どのアプリも自動で Siri AI に出る

❌「アプリを入れていれば、どの機能も Siri AI から使える」
⭕「使えるのは、アプリが App Intents ではっきり出した中身と操作だけ。Siri に対応した schema に合わせた操作は今も使え、独自の操作は @AppIntent(.tool) を付けて出す」

なぜ重要か:何もしなければ、独自の操作は呼ばれません。逆に、出したくない操作は出さずにおけます。

読み違い3:EU でも同じように使える

❌「海外のお客さまにも、同じ時期に同じように届く」
⭕「EU の iOS・iPadOS・watchOS では Siri AI は今は使えない。対応は 6 言語で、一部の機能は地域や言語によって使えない。13歳未満も対象外」

なぜ重要か:海外のお客さまが多いアプリは、地域ごとに使える範囲が違います。案内に地域と言語の条件を書いておきます。

読み違い4:App Store の版や外部のテスターで試せる

❌「TestFlight の外部のテスターや App Store の版で、取引先に試してもらえる」
⭕「プレビューの機能が動くのは、開発用の署名の実機と TestFlight の社内のテスターだけ。社内のテスターは App Store Connect のユーザーで、最大100人」

なぜ重要か:取引先やお客さまに試してもらう計画は、今は立てられません。社内で試す人を先に用意しておきます。

Uravationならこう判断する

今すぐ全部の操作を出すより、春に出せる形を、今のうちに社内で試せる所まで作るのがよいと考えます。判断の順番は次のとおりです。

  1. お客さまが何度も繰り返す操作(状況の確認・予約の変更など)から少数に絞る。説明が短く具体的な操作ほど、選ばれ方を確かめやすい
  2. お金や個人の情報が絡む操作は、認証の設定と、確定の前に利用者に確かめる流れを先に決める。skills は手順を強制できないので、確かめる流れは操作の作りの側に持たせる
  3. App Store への提出の時期と社外への案内は、規約と利用方針の発表を見てから決める
  4. 開発の担当者は、11月4〜5日(太平洋時間)の Labs に質問を持ち込む

試す時は、次の観点で記録を取ります。

観点確かめること根拠
選ばれ方言い方を変えても狙った操作が選ばれるかBringing custom actions and content to Siri・Orchestrating complex actions with app skills
アプリの状態前面・Live Activity の間・裏(アプリ名あり)で動くかSiri AI Developer Preview
機微な情報認証が求められるか。internal にした項目が出ないかBringing custom actions and content to Siri
ほかのアプリへ渡す中身を別のアプリに渡せるかBringing custom actions and content to Siri
変更への備え操作を直した後に答え方が変わっていないか(SiriEvaluations)Siri AI Developer Preview

ドキュメントは skills について、言い方を変えて、description が具体的すぎず広すぎないかを確かめるよう勧めています。頼み方は先に書き出しておくと抜けが減ります。

【テストの頼み方のリスト】操作:注文の配達の状況を確かめる
アプリが前面にある時:「配達はいつ届く?」「さっきの注文、今どこ?」
アプリが裏にある時:「(アプリ名)で注文の配達の状況を教えて」
言い方を変えた時:「頼んだ荷物、まだ?」
選ばれてほしくない頼み:「注文を取り消して」(ほかの操作と混ざらないか)
記録する欄:選ばれた操作/聞き返しの有無/カードの表示/結果

社内のテスターには、試す条件をそろえて頼みます。条件は Siri AI Developer Preview と App Store Connect ヘルプの記載から取っています。

件名:Siri AI 対応の社内テストのお願い(TestFlight)
・対象:App Store Connect のユーザーとして登録した社内のテスター(最大100人)
・端末:Apple Intelligence に対応した端末。対応する言語(日本語など)に設定し、27.3 のベータを入れたもの
・入れ方:招待メールの案内に従い、TestFlight のアプリから試す版を入れる(社内のテスターは 90 日のあいだ試す版を入れられる)
・試すこと:「テストの頼み方のリスト」の頼みを、アプリが前面にある時と裏にある時の両方で言う
・記録:選ばれた操作/聞き返しの有無/カードの表示/結果を 1 行ずつ
・注意:外部のテスターと App Store の版では、プレビューの機能は動かない

正直なところ、発表の翌日の時点では、規約・利用方針・審査の扱いなど、公式に確かめられない点が残っています。急いで作り込むより、出す操作を絞って試し、記録を残すほうが判断しやすくなります。

よくある質問

Siri AIのアプリ連携はいつから使えますか?

開発者は11月3日(現地時間)から、iOS 27.3・iPadOS 27.3・macOS 27.3・visionOS 27.3 のベータで、Apple Intelligence に対応した端末を対応する言語に設定して試せます(開発用の署名の実機か TestFlight の社内のテスター)。利用者に届き始めるのは数か月後、App Store への提出は春からで、日付は11月4日時点で出ていません。

アプリを対応させるのに、特別な申請や費用は要りますか?

プレビューで試すのに、新しい entitlement も別の開発者プログラムへの参加も要らないとドキュメントにあります。費用・手数料・審査の基準は、11月4日時点の発表とドキュメントでは確認できませんでした。規約と利用方針の詳細は今後発表され、App Store への提出は春からです。

App Intentsとは何ですか?

アプリの操作(app intent)や中身(app entity)を OS に伝える Apple の仕組みです。今回のプレビューでは、app intent に @AppIntent(.tool) を付けると Siri が呼べるツールになります。

日本語の頼みでもアプリの操作を呼べますか?

Siri AI は日本語を含む 6 言語に対応していて、Apple Intelligence に対応した端末を対応する言語に設定して使います。ただ、日本語の頼みで独自の操作がどこまで選ばれるかは、11月4日時点のドキュメントでは確認できませんでした。一部の機能は地域や言語によって使えず、EU の iOS・iPadOS・watchOS では今は使えません。13歳未満も対象外です。

注文や支払いまで Siri AI に任せても大丈夫ですか?

出し方しだいです。項目ごとに、見せる前に認証を求める設定と、Siri に出さない設定(visibility を internal)があり、機微な情報を返す操作は操作の側で認証を求めます。skills では順番を強制できないので、確定の前に確かめる流れは操作の作りに持たせ、社内のテスターで試してから決めてください。

すでに Siri やショートカットに対応している操作は、何か直す必要がありますか?

操作の種類によります。Siri に対応した schema(Apple が決めた型)に合わせ済みの操作は、そのままで Siri から使え、@AppIntent(.tool) は付けません。ショートカットには対応していても Siri には対応していない schema の操作は、@AppIntent(.tool, schema:) に書き換えると Siri が呼べるツールになります。どの schema にも合わない独自の操作は、@AppIntent(.tool) を付けて title と description を書きます(Bringing custom actions and content to Siri)。

まとめ

Apple は2026年11月3日(現地時間)、どの開発者も App Intents でアプリの独自の操作と中身を Siri AI に出せる Developer Preview を、iOS 27.3 などのベータで始めました。新しい entitlement は要らず、app intent に @AppIntent(.tool) を付けて説明を整えるところから始められます。試せるのは開発用の署名の実機と社内のテスターだけで、利用者に届くのは数か月後、App Store への提出は春からです。出す操作とログインや支払いの扱いを先に決めておくと、春に慌てずに済みます。

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著者:佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』『Claude仕事術』(SBクリエイティブ・書籍シリーズ累計66,000部)、『AI推進担当になったら読む本』(大和書房)。
SBクリエイティブ「ビジネス+IT」ほかで生成AI連載を執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること:自社アプリで Siri AI から使ってほしい操作と、出したくない操作を書き出す
  2. 今週中:開発の担当者か委託先に、今の App Intents の対応状況と試し方(社内のテスターと端末)を確かめる
  3. 今月中:社内で試す範囲と、規約と利用方針の発表の後に決めること(提出の時期・社外への案内)を社内で合わせる

ご質問・ご相談はお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

参考・出典

この記事の内容を社内展開する方へ: 部門別 AIエージェント活用マップ 50選(無料・PDF 32ページ+Excel) をダウンロードできます。

佐藤傑
この記事を書いた人 佐藤傑

株式会社Uravation 代表取締役CEO/生成AIエバンジェリスト。法人向けAI研修・コンサルティングを手がけ、日経・SBクリエイティブ・GMO等のメディアで生成AIについて執筆。

執筆・監修:佐藤傑/下書き・図版・機械検査:当社のAI社員(人が確認してから公開しています)。記事の作り方と検査の方針

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