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厚労省「実践の場」開拓モデル事業|対象・費用と助成金との違い

厚労省「実践の場」開拓モデル事業|対象・費用と助成金との違い

結論:厚生労働省の『デジタル人材育成のための「実践の場」開拓モデル事業』は助成金ではなく、国の委託を受けた事務局が人と仕事の現場をつなぐモデル事業です。2026年11月1日現在、会社が使える型は2つあり、IT以外の業種の中小・中堅企業にDXアドバイザーが伴走してその人件費を上限の範囲内で国の事業から支払う「ユーザー企業モデル」と、デジタル分野の訓練を終えた35歳以上の求職者を派遣で受け入れる「エントリー〜ミドルモデル」です。研修費の一部を後から助成する人材開発支援助成金とは、お金の流れも、対象になる時間(実務か研修か)も違います。

  • 要点1:ユーザー企業モデルの上限は、プロジェクト実践型が1時間27,500円(税込)・288時間まで、DXツール導入型が1時間5,500円(税込)・144時間まで。ソフトウェアのライセンス料や旅費交通費は対象外です。
  • 要点2:人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)は、業務と切り離した10時間以上の研修(OFF-JT)が対象で、中小企業の経費助成率は75%。令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置で、計画届は研修開始日の1か月前までに出します。
  • 要点3:実務の中でAI・DXの導入を進めながら社員を育てたいなら「実践の場」、職務に合わせた研修で社員に技能を付けたいなら助成金が基本の使い分けです。同じ経費・同じ時間を両方に重ねて載せると、対象外になることがあります。

対象読者:AI・デジタルの研修や人材育成に国の支援を使いたい中小企業の経営者・人事担当者

読了後にできること:自社がどの窓口に相談すべきかを1つに決め、募集の締切と計画届の期限から逆算して、今月中にやることを決められます。

「国の支援でAI研修やデジタル人材の育成ができないか」と調べ始めると、名前の似た制度がいくつも出てきて、どれが自社の話なのか分からなくなります。

2026年11月1日にラッコキーワードで調べたところ、「デジタル人材育成支援事業」は月320回検索されていて、いっしょに調べられている語には「落ちた」「35歳以上」「口コミ」「ハイエンドコース」が並んでいました。この語で出てくる情報の多くは、東京都が求職者向けに行っている職業訓練の話です。会社が社員を育てるために申し込む制度ではありません。

一方で、厚生労働省の『デジタル人材育成のための「実践の場」開拓モデル事業』は、令和8年度から、IT以外の業種の中小・中堅企業が自社の社員をDXの担い手に育てる型を始めています。当社は人材開発支援助成金の対象となる場合があるAI研修を企業向けに提供していて、研修の見積もりでは助成金の条件をいっしょに確かめることがよくあります。ただ「実践の場」は、その助成金とは仕組みも、合う会社も違います。

この記事では、両方の制度の事務局サイトと厚生労働省の資料を2026年11月1日に読み直し、対象・上限・募集期間・お金の流れを並べました。どちらを先に相談すべきかを、自社の状況に当てはめて決められるように整理しています。数字にはすべて、その場で出典に当たれるリンクを付けています。

「実践の場」開拓モデル事業とは|助成金ではなく国のモデル事業

『デジタル人材育成のための「実践の場」開拓モデル事業』は、厚生労働省が民間の事業者に委託して進めているモデル事業です。厚生労働省の事業ページでは、OFF-JTだけでは足りない実務経験を積むための「実践の場」をつくる事業として、令和8年度〜9年度の2か年事業と位置づけています(厚生労働省 事業ページ)。アビームコンサルティング事務局の募集要項にも、企業内でDXを進める人材は「座学講座だけでは育成できず、『実践の場』を通じて経験を積むことが必要」と書かれています(参加企業 募集要項 第2版 1.)。

実践の場のユーザー企業モデルは国の事業からアドバイザーへ人件費が支払われ、人材開発支援助成金は会社が研修費を全額払った後に支給申請と労働局の審査を経て支給される、お金の流れの違いを示す図

型は2つ|社員を育てる型と、訓練を終えた人を受け入れる型

事業ページは、対象者の違う「エントリー〜ミドルモデル」と「ユーザー企業モデル」の2つを並べ、それぞれ2社ずつ受託法人を載せています。令和8年度の概算要求を説明した2025年9月24日の第53回人材開発分科会でも、同じ2つの型で説明されました(第53回人材開発分科会 議事録)。2026年11月1日に確認した内容を並べると、次のとおりです。

項目ユーザー企業モデルエントリー〜ミドルモデル
育てる人自社の社員公的職業訓練などを修了した35歳以上の求職者
会社がすることDXアドバイザーの助言とレビューを受けながら、社員が主役でDX・AIの導入を進める派遣社員として3〜6か月受け入れ、社員が実務を指導する
国の事業が持つものアドバイザーの人件費(上限の範囲内で全額)派遣料金の一定額の減額とメンター経費の支給。採用時の紹介手数料は無料
受託法人(事務局)アビームコンサルティング/みらいワークスアデコ/パーソルクロステクノロジー
募集期間2026年11月30日まで(アビーム)/2027年10月31日まで(みらいワークス)2027年11月30日まで(2社とも)

人材開発支援助成金との一番の違いは「お金の流れ」

人材開発支援助成金は、会社が労働局に計画届を出して研修(OFF-JT)を行い、研修費を全額払った後に支給申請をして、審査を経て経費と賃金の一部が支給される制度です(事業展開等リスキリング支援コース 詳細版パンフレット p.3・p.44)。パンフレットには、受講すれば必ず助成金を受け取れると厚生労働省や労働局が保証することはない、とも書かれています(同 p.55)。

これに対してユーザー企業モデルは、アドバイザーの人件費を上限の範囲内で国の事業から支払います。みらいワークス事務局の募集要項では、人件費は事務局からアドバイザーへ支払うため、会社がアドバイザーに支払いの手続きをする必要はないとされています(みらいワークス事務局の企業募集要項 6.)。アビームコンサルティング事務局では、会社がアドバイザーの供給元と業務委託契約を結び、実践の完了を確認した後に厚生労働省から供給元へ支払う流れです(参加企業 募集要項 5.2・8.)。上限単価を上回る分の人件費は、アビームコンサルティング事務局の募集要項では会社の負担です(参加企業 募集要項 5.2)。みらいワークス事務局の募集要項は、上限を超えるアドバイザー人件費を「企業様負担となる可能性があります」としています(企業募集要項 6.)。

項目実践の場(ユーザー企業モデル)人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)
制度の性格厚生労働省の委託によるモデル事業雇用関係助成金(雇用保険適用事業所の事業主が申請)
対象になる時間実際の業務でDX・AIを導入する時間(伴走支援)業務と切り離した研修の時間(OFF-JT・10時間以上)
国の事業が持つものアドバイザーの人件費(上限の範囲内で全額)研修経費の一部(中小企業75%)と研修中の賃金の一部(1人1時間1,000円)
お金の流れ国の事業からアドバイザー(または供給元)へ支払い会社が全額を払った後、支給申請と審査を経て支給
申込先各事務局(メールまたは申込フォーム)事業所を管轄する労働局(計画届)
期限事務局ごとの募集期間。募集数に達した時点で終了計画届は研修開始日の6か月前から1か月前まで。令和8年度末までの時限措置

研修と伴走支援の違いそのものは、AI研修と伴走支援の違い5つでも整理しています。ユーザー企業モデルは、その伴走支援の部分に国の事業がお金を出す仕組みだと考えると分かりやすいです。

名前が似た制度の見分け方|東京都の「デジタル人材育成支援事業」は別物

検索で最初に出てきやすい東京都の「デジタル人材育成支援事業」は、都が行う求職者向けの職業訓練です。2026年4月30日の東京都の報道発表では、対象は「原則35歳以下の求職中または非正規雇用の方」で規模は1,000名、1.5〜3か月の通学またはオンラインで、短期集中コースとハイエンドコース(通学のみ)があると案内されています(東京都 報道発表 2026年4月30日)。受講するのは個人で、会社が社員のために申し込む制度ではありません。

申し込むのが個人か会社か、育てる場が研修か実務かの2つの軸で、東京都のデジタル人材育成支援事業、実践の場のエントリー〜ミドルモデルとユーザー企業モデル、人材開発支援助成金を位置づけた図

ややこしいのは、厚生労働省の「実践の場」のうちエントリー〜ミドルモデルが、逆に35歳以上の求職者を対象にしていることです。名前ではなく「申し込むのは個人か会社か」「育てる場は研修か実務か」の2点で見ると、4つの制度の位置がはっきりします。

制度運営申し込む人育てる場
東京都 デジタル人材育成支援事業東京都求職中・非正規雇用の個人(原則35歳以下)研修(職業訓練)
実践の場 エントリー〜ミドルモデル厚生労働省(アデコ・パーソルクロステクノロジーに委託)受け入れる会社と、35歳以上の求職者実務(派遣で3〜6か月)
実践の場 ユーザー企業モデル厚生労働省(アビームコンサルティング・みらいワークスに委託)IT以外の業種の中小・中堅企業実務(アドバイザーの伴走)
人材開発支援助成金厚生労働省(都道府県労働局)雇用保険適用事業所の事業主研修(OFF-JT)

なお、東京都には、都内の中小企業等が社員に受けさせるDX研修の経費を助成する令和8年度DXリスキリング助成金もあります(東京しごと財団)。同じ研修について国や自治体の助成を受けている、または受ける予定がある場合は対象外とされています。国の制度との使い分けは東京都DXリスキリング助成金の記事で別に整理しています。

ユーザー企業モデルの中身|対象・2つの型・上限・募集期間

会社が社員を育てるために使うのは、ユーザー企業モデルです。ここでは2つの事務局の募集要項に書かれていることだけを並べます。

ユーザー企業モデルの申込から完了までの流れを、申込と事務局面談、アドバイザー選定、目標と実施計画、月1回以上の進捗確認を受けるDX推進、完了と評価の順に示した図

対象になる会社・ならない会社

アビームコンサルティング事務局の募集要項では、参加企業の要件の1つ目に「IT以外の産業分野において、日本国内で営業する中小企業または中堅企業であること」を挙げ、大企業が株式の2分の1以上を持つ会社などの「みなし大企業」を除いています(参加企業 募集要項 3.1)。ほかに、人材育成に取り組む意思、育成対象者・上長・実務担当者を出せる社内体制、月次の進捗確認や精算への協力、成果を社名が特定されない形で国に報告することへの了承などが要件です。

みらいワークス事務局の募集要項は、対象外の法人をもっと具体的に書いています。医療法人、社会福祉法人(介護事業所等)、NPO法人、一般社団・一般財団・公益社団・公益財団法人、学校法人、宗教法人、政治団体、有限責任事業組合(LLP)、地方公共団体などの公的機関、みなし大企業、そして産業分類にかかわらず実態がIT企業(システム開発・ITコンサルティング・ソフトウェアの提供が主な事業)の法人です(企業募集要項 2.)。

申込の時点でDXのテーマが決まっている必要はありません。アビームコンサルティング事務局のよくある質問では、実践内容が明確でなくても応募でき、採択後に事務局とアドバイザーで実践範囲や目標を決めればよいとされています(よくあるご質問(企業向け) Q1)。

プロジェクト実践型とDXツール導入型

支援の型は2つで、期間・時間・単価の上限が大きく違います(参加企業 募集要項 2.・3.2・5.2、企業募集要項 2.(3)・6.)。

項目プロジェクト実践型DXツール導入型
想定する取り組み業務プロセスの見直しを前提に、システムの新規構築・刷新・改修・カスタマイズを伴うプロジェクト既製のSaaS・クラウドサービス・パッケージソフトの導入・見直しと、業務部門での定着
対象情報システム部門を持つ中堅企業(アビームコンサルティング事務局は「専任者あり」と明記)。中小企業は事前に厚生労働省との協議と承認が必要人材育成が必要な業務部門を持つ中小企業
支援期間6〜12か月程度3か月程度
アドバイザーの支援時間1社あたり上限288時間1社あたり上限144時間
人件費の上限単価1時間あたり27,500円(税込)1時間あたり5,500円(税込)
時間と単価の上限を掛けた額792万円792,000円
取り組みの例個社固有業務のシステム構築、基幹・業務システムの刷新、既存システムの改善勤怠・労務、顧客・営業案件、受発注・在庫・請求、現場日報・点検記録のツールの導入・見直し

「時間と単価の上限を掛けた額」は、募集要項の上限から計算した参考値です。契約上の単価が上限より低ければ契約上の単価が上限になり、上限単価を超える分や対象外の費用は会社が払います(参加企業 募集要項 5.2)。対象外の費用として、ソフトウェアライセンス料、クラウド利用料、機器購入費、通信費、アドバイザー人件費以外のシステム開発費・設定作業費・データ移行費、自社の従業員の人件費、社内会議費、旅費交通費が挙がっています。

アビームコンサルティング事務局は「10月1日(木)以降は、DXツール導入型を中心に募集」としていて、プロジェクト実践型を希望する場合は申込の前に事務局へ相談するよう書いています(参加企業 募集要項 6.2)。

生成AIの導入はどちらの型になるか

まず、AIの活用はこの事業の対象に入っています。厚生労働省の企業向けリーフレットは、本事業のDXを「デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革や業務効率化」とし、対象の例に「プログラミング、ネットワーク・サーバー管理、AI活用、業務効率化ツール導入等」を挙げています(ユーザー企業モデル 企業向けリーフレット)。どちらの型になるかは、アビームコンサルティング事務局のよくある質問のQ15にそのまま書かれています。AI-OCR、AIチャットボット、AI議事録ツールのような既製品を導入して稼働させ、操作の習得と社内への定着までを目的にするならDXツール導入型。AIを使って業務フローの刷新、関係部署との調整、運用ルールづくり、効果検証まで含め、企画から運用・保守までを一体で進めるならプロジェクト実践型です(よくあるご質問(企業向け) Q15)。

1つ注意があります。同じ事務局は、DXツール導入型について「SaaS更新(既存SaaS利活用促進)やPoCは対象外」としています(同 Q4)。一方で、みらいワークス事務局のサイトは「DXツールを導入しても使いこなせない」という課題をDXツール導入型の例に挙げています(みらいワークス事務局の事業サイト)。すでに入れたAIツールの立て直しが対象になるかは、申込の前に事務局へ確かめてください。また、DXツール導入型では、ツールのメーカーや販売代理店に属する人はアドバイザーになれません(同 Q13)。

事務局が2つある|募集期間・募集数・支払いの違い

ユーザー企業モデルの受託法人は、アビームコンサルティングとみらいワークスの2社です(厚生労働省 事業ページ)。支援の型と上限は同じですが、2026年11月1日に両方の募集要項を読み比べると、次の点が違いました。

項目アビームコンサルティング事務局みらいワークス事務局
募集期間2026年6月29日〜11月30日(9月18日に延長)。令和9年度も継続予定で、改めて募集期間を設定2026年6月15日〜2027年10月31日。事業は2028年3月31日まで
募集数30社(プロジェクト実践型10・DXツール導入型20)60社程度(プロジェクト実践型20・DXツール導入型40)
申込方法申込様式・誓約書と同意書・会社概要をメールで送る申込フォームから。支援コースが決まった後に申込書を出す
人件費の支払い会社は供給元と業務委託契約を結び、完了確認後に厚生労働省から供給元へ事務局からアドバイザーへ。会社の支払い手続きは不要
育成の目安ITSSレベル2以上の関連資格があれば目標に設定助言があれば実務の各工程を自力で進められる状態(ITSSレベル2相当)

どちらも、募集数に達した時点で締め切ります。どちらの事務局に申し込むべきかの区分(地域など)は、厚生労働省の事業ページにも両方の事務局サイトにも書かれていませんでした。

申込から完了までの流れ

アビームコンサルティング事務局の流れは7段階です。申込書類を送る、事務局と面談して要件の確認と課題の棚卸しをする、事務局が紹介するアドバイザー候補と面談して選ぶ、アドバイザーの供給元と業務委託契約を結ぶ、人材育成目標と「実践の場実施計画」を決める、月1回以上の進捗確認を受けながらDXを進める、完了時に目標の達成状況を評価する、の順です(参加企業 募集要項 8.)。審査は評価ではなく要件に合うかの確認で、面談から5営業日以内を目途に結果が届きます(同 7.)。みらいワークス事務局は、フォームの送信から5日以内に初回ヒアリングの日程の連絡が来ると案内しています。

ここで押さえておきたいのは、アドバイザーは作業を代わりにやる人ではないことです。募集要項は、アドバイザーの役割を助言・観点の提示・論点整理・成果物のレビューとし、会社の業務や成果物づくり、導入作業、契約判断を代行しないと明記しています(参加企業 募集要項 5.1)。資料作成や導入作業を全部任せることもできません(よくあるご質問(企業向け) Q3)。

エントリー〜ミドルモデル|訓練を終えた35歳以上の人を派遣で受け入れる

もう1つの型は、社員を育てる制度ではなく、デジタル分野の人材を外から迎える入口です。厚生労働省の企業向けリーフレットは、デジタル分野の公的職業訓練を受けた35歳以上の人が実務経験を積む「実践の場」として、派遣で受け入れる企業を募集しています。受け入れ企業のメリットとして挙がっているのは、派遣期間(3〜6か月)の派遣料金の一定額の減額、指導にあたるメンター経費の一定額の支給、採用時の紹介手数料の無料、双方の同意による派遣後の直接雇用の4つです(エントリー〜ミドルモデル 企業向けリーフレット)。受託法人はアデコとパーソルクロステクノロジーの2社で、それぞれ企業向けのサイトを開いています。

項目アデコ事務局パーソルクロステクノロジー事務局
募集期間2026年4月8日〜2027年11月30日2026年6月30日〜2027年11月30日
会社の主な参加条件事業所で派遣社員を最低90日(契約期間3か月)受け入れられる/派遣禁止業務でない/労働関係の法令を守っているデジタル分野の職種で派遣を受け入れ、社員が実務を指導できる/メンターの勤務表などの証憑を厚生労働省に出すことに同意する/労働関係の法令を守っている
費用の案内「雇用奨励金」1人1か月当たり55,000円(税込)、「メンター経費」1か月88,000円(税込)。支払いの条件は企業向けページに記載なし派遣受け入れ企業に、雇用奨励金1人1か月当たり55,000円(税込)とメンター経費1人1か月当たり88,000円(税込)。派遣期間が3〜6か月の場合が対象で、その月の派遣実績が10日以上あれば1か月分
紹介手数料なしで採用する条件記載なし(採用時の紹介手数料は無料と案内)双方の合意、派遣で経験した業務と似たデジタル分野の業務、期間の定めのない雇用で雇用保険に加入

出典はアデコ事務局の企業向けページと、パーソルクロステクノロジー事務局の企業向けページです。受け入れる人は、35歳以上で、申込日からさかのぼって概ね1年以内にデジタル分野の公的職業訓練や民間講習を修了した人です。アデコ事務局の案内では、職種はプログラマ・エンジニア、ユーザーサポート・ヘルプデスク、運用管理・保守、WEBマーケティング、WEB制作です(アデコ事務局 本事業について)。同じ事務局のよくある質問は、登録者の多くは実務未経験だとしています(アデコ事務局 よくある質問)。派遣期間中の雇用主は派遣会社で、受け入れる会社は派遣先になります(参加の流れ)。

なお、2社の事務局サイトの題名にはどちらも「東京都事業」と入っていますが、本文は厚生労働省の委託事業として説明していて、受け入れる会社の所在地の条件は書かれていません。東京以外の会社は、申し込む前に事務局に確かめるのが確実です。

人材開発支援助成金の要点|研修の経費と賃金の一部を後から助成

人材開発支援助成金は7つのコースからなる厚生労働省の助成金です(厚生労働省 人材開発支援助成金)。AI・DXの研修でよく検討されるのは、事業展開やDX・GX化に伴って新しい分野の知識と技能を身につける訓練を対象にした「事業展開等リスキリング支援コース」です。

人材開発支援助成金の手続きの関門として、開始1か月前までの計画届、10時間以上のOFF-JT、職務に直結した内容、経費の全額支払い、終了翌日から2か月以内の支給申請と審査を示し、要件を満たさないと不支給になることを示した図

事業展開等リスキリング支援コースの数字

項目中小企業大企業
経費助成率75%60%
賃金助成(1人1時間あたり)1,000円500円
経費助成の限度額(1人1訓練・10時間以上100時間未満)30万円20万円
eラーニング・通信制の経費助成の限度額15万円10万円
対象の訓練OFF-JTで実訓練時間10時間以上。事業展開、DX・GX化、人事・人材育成の計画に基づき今後従事する職務のいずれか
計画届訓練開始日の6か月前から1か月前までに、管轄の労働局へ
支給申請訓練終了日の翌日から2か月以内。それまでに訓練経費を全額払っていること
実施期間令和4年12月から令和8年度末までの時限措置

出典は詳細版パンフレット(令和8年8月3日版)のp.2(助成メニューの表と「※7 令和8年度末までの時限措置」)、p.3、p.13、p.38、p.41、p.44です。eラーニング・通信制は経費助成のみで、所定労働時間外や休日に行った分の賃金助成は対象になりません(同 p.10・p.38)。人材開発支援助成金には、職務に関連した10時間以上のOFF-JTなどを対象にした「人材育成支援コース」もあり、正規雇用の人への人材育成訓練は経費助成率45%(賃金要件などを満たすと60%)です(同 p.2)。

2026年8月3日から「汎用的なプロンプト研修」は対象外

2026年8月3日以降に出す計画届から、DX・GX化に関する訓練でも、職務に間接的に必要なだけの知識や、職業人として共通して必要なものは対象外になりました。厚生労働省のリーフレットは、AI研修の例をはっきり載せています。「生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練」は対象外、「生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練」は対象です(令和8年8月3日からの変更点)。あわせて、eラーニングによる訓練は同じ人につき1年度1回までになりました。改正の中身はリスキリング支援コース2026年8月改正点の記事で詳しく書いています。

実務そのものは研修の時間に数えない

「実践の場」と比べるうえで大事なのが、OFF-JTの定義です。パンフレットは、OFF-JTを「生産ライン又は就労の場における通常の生産活動と区別して業務の遂行の過程外で行われる訓練等」としています(詳細版パンフレット p.18)。さらに対象外のOFF-JTとして、通常の事業活動として行うもの、たとえば「コンサルタントによる経営改善の指導」や「自社の業務で用いる機器・端末等の操作説明」を挙げています(同 p.28)。

つまり、実務の中で専門家が伴走する部分は、そもそもこの助成金の研修には当たりにくい作りです。実務の伴走は「実践の場」、業務と切り離した研修は助成金、と役割が分かれていると読むのが自然です。

令和9年度は概算要求の表にこのコースの行がない

2026年8月の「令和9年度概算要求の概要」では、人材開発支援助成金の要求額は602億円(前年度当初539億円)です。コースの表は、一般訓練(経費助成45%、賃金要件などを満たすと60%)・特定訓練・団体訓練からなる訓練実施コースと、休暇制度導入コースに組み替えられていて、事業展開等リスキリング支援コースの行はありません(令和9年度概算要求の概要 p.6)。概算要求は要求の段階で、確定は政府の予算案と支給要領を待つ必要があります。期限から逆算した日程はリスキリング支援コースの終了と期限の逆算の記事にまとめています。たとえば2027年3月31日に始める研修なら、計画届の期限は2027年2月28日です(詳細版パンフレット p.41)。

AI研修、貴社に合う進め方を30分で整理

6,000名以上の研修実績。人材開発支援助成金の対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。30分の無料相談で貴社に合うプランと進め方を整理します。

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どちらを使うか|目的別の使い分けと併用の注意

当社の考え方はシンプルです。まず「育てたいのは、実務の中で動ける力か、研修で身につける技能か」を決めます。実務の中でツールの導入や業務の作り直しを進めながら育てたいなら「実践の場」のユーザー企業モデル、職務に合わせた研修で技能を付けたいなら人材開発支援助成金、人そのものを迎えたいならエントリー〜ミドルモデルが候補です。

やりたいことから制度を選ぶ分かれ道として、ツールを入れて現場で使うならDXツール導入型、システムと業務を作り直すならプロジェクト実践型、職務に合わせて研修するなら人材開発支援助成金、デジタル人材を採用するならエントリー〜ミドルモデルを示した図

やりたいこと合う制度最初の一手
AIツールやSaaSを入れて、現場が自分で使える状態にしたいユーザー企業モデル(DXツール導入型)困っている業務のメモを持って事務局に相談する
システムの刷新や業務プロセスの作り直しを、社内の情報システム担当が主体で進めたいユーザー企業モデル(プロジェクト実践型)アビームコンサルティング事務局は申込前の相談が必要。中小企業は厚生労働省との協議が前提
職務に合わせたAI研修で、社員に技能を付けたい人材開発支援助成金カリキュラムが職務に直結しているかを先に確かめ、研修開始日の1か月前までに計画届
デジタル分野の人材を採用したいエントリー〜ミドルモデルアデコかパーソルクロステクノロジーの事務局に求人を相談する。派遣で3〜6か月受け入れ、社員が実務を指導する

想定シナリオで見る使い分け

事例区分:想定シナリオ
以下は、制度の条件に当てはめた構成例です。特定の企業の結果ではありません。

シナリオ1:受発注を紙とExcelで管理している卸売業で、情報システムの専任者がいない場合。DXツール導入型の取り組み例「受発注・在庫・請求管理ツールの導入・見直し」に近い形です。プロジェクト実践型は情報システム部門を持つことが前提なので外れます。導入したツールの社内向けの操作説明は、助成金では「自社の業務で用いる機器・端末等の操作説明」として対象外になりうるため、定着までを伴走でまかなえるユーザー企業モデルのほうが合っています。

シナリオ2:営業部門で生成AIを提案書づくりに使いたい場合。営業担当者に「生成AIで提案書の構成案をつくり、文章を生成し、直す」方法を研修で教えるなら、厚生労働省のリーフレットが助成対象の例に挙げている訓練と同じ形です。一方、全社員に向けた汎用的なプロンプトの講座だけでは対象外になります。研修は助成金、社内の利用ルールづくりや定着は別の取り組みとして分けて考えます。

シナリオ3:基幹システムの刷新を控え、情報システムの専任者がいる中堅の製造業の場合。要件定義・調達・受け入れを社員が主体で進め、アドバイザーがレビューするプロジェクト実践型の形です。アビームコンサルティング事務局は10月以降はDXツール導入型を中心に募集しているため、申込の前に事務局へ相談するのが先です。

併用はできる? 同じ経費・同じ時間は二重に載せない

2つの制度が支援する経費は違います。「実践の場」はアドバイザーの人件費、助成金は研修の経費と研修中の賃金です。そのため、別々の取り組みとして両方を検討する余地はあります。ただし、同じ経費や同じ時間を両方に重ねて載せるのは避けてください。詳細版パンフレットは「同一の事由(同一の訓練受講、経費、賃金等)に係る助成制度を複数利用する場合、併給できない場合があります」としています(p.38)。アビームコンサルティング事務局は、同じか似た内容で他の公的支援を使っている・使う予定がある場合は申込時に申告するよう求め、重複と判断されれば支援内容の調整や対象外になるとしています(参加企業 募集要項 5.3・Q11)。

実務では、アドバイザーの伴走(実務の中での助言)を研修の時間に数えない、研修は通常の業務と区別した時間と場所で行う、両方の窓口に予定を伝えて確かめる、の3点を守ると混乱しません。みらいワークス事務局の募集要項には併用についての記載がないため、同じように事務局へ確かめてください。

そのまま使える確認プロンプト5つ

社内で検討を進めるときに、生成AIにそのまま貼って使えるプロンプトです。制度の説明は2026年11月1日に確認した内容で書いています。数字と条件は、必ず出典の最新版と突き合わせてください。

プロンプト1:自社が相談すべき窓口を1つに絞る

あなたは中小企業の人材育成と国の支援制度に詳しい相談役です。
次の4つの制度の説明と当社の状況をもとに、当社が最初に相談すべき窓口を1つ選び、理由を3行で説明してください。

【制度】
A. 実践の場(ユーザー企業モデル):IT以外の業種の中小・中堅企業に、DXアドバイザーが伴走する。アドバイザーの人件費は上限の範囲内で国の事業から支払われる。社員が主役で実務を進める。
B. 実践の場(エントリー〜ミドルモデル):公的職業訓練などを修了した35歳以上の求職者を、派遣社員として3〜6か月受け入れ、社員が実務を指導する。
C. 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース):業務と切り離した10時間以上の研修の経費と賃金の一部を、研修後の申請と審査を経て助成する。計画届は研修開始日の1か月前まで。
D. 東京都のデジタル人材育成支援事業:原則35歳以下の求職者・非正規雇用の個人が受ける職業訓練。会社は申し込めない。

【当社の状況】
- 業種と従業員数:
- 情報システムの専任者の有無:
- いま困っている業務(紙・Excel・特定の人しか分からない など):
- 育てたい人(部署・人数):
- やりたいこと(ツールの導入/研修/採用):

条件:
- 当社の情報で判断できない点は、推測で埋めずに「確認が必要」と書いてください。
- 不足している情報があれば、最初に質問してから判断してください。

プロンプト2:事務局との面談の前に困りごとを棚卸しする

あなたは中小企業のDX推進を支援するアドバイザーです。
当社は「実践の場」開拓モデル事業(ユーザー企業モデル)の事務局と面談する前に、困りごとを整理したいです。
以下のメモを読み、次の表を作ってください。

列:業務名/いまのやり方(紙・Excel・メール・特定の人だけが知っている など)/困っていること/関わる部署と人数/デジタル化した後の姿(1行)
並べ方:困りごとの大きい順

最後に、DXツール導入型とプロジェクト実践型のどちらに近いかを、理由とともに1つ挙げてください。

【メモ】
(部署ごとの困りごとを箇条書きで貼る)

条件:
- メモに無い数字(時間・件数・金額)を作らないでください。
- 判断できない点は「事務局に確認」と書いてください。

プロンプト3:DXツール導入型かプロジェクト実践型かを判定する

次の取り組み案が、「実践の場」開拓モデル事業(ユーザー企業モデル)の次の2つの型のどちらに近いかを判定してください。

・DXツール導入型:既製のSaaS・クラウドサービス・パッケージソフトを導入し、業務部門が自分で使える状態にする。既存の業務フローを大きく変えない電子化も含む。既存SaaSの更新やPoCは対象外とする事務局がある。
・プロジェクト実践型:業務プロセスの見直しを前提に、システムの新規構築・刷新・改修・カスタマイズを伴う。企画から運用・保守まで一体で進める。情報システム部門が前提。

【取り組み案】
(例:問い合わせ対応にAIチャットボットを入れ、総務の担当者が回答文を自分で更新できるようにしたい)

出力:
1. 近い型と理由(3行以内)
2. 型の判断が変わる条件
3. 申込の前に事務局へ確認すべき質問を3つ

条件:
- 制度に無い条件を足さないでください。分からない点は「事務局に確認」としてください。

プロンプト4:AI研修のカリキュラムが職務に直結しているかを点検する

あなたは人材開発支援助成金の要件に詳しい社労士の補助役です。
以下のAI研修のカリキュラムを、2026年8月3日以降の事業展開等リスキリング支援コースの考え方で点検してください。

点検の観点:
1. 受講者の特定の職務に必要な知識・技能か
2. マナー・リテラシー・概念理解・汎用的なプロンプトの作り方にとどまっていないか
3. 訓練の内容に合った部署の人を受講者に選んでいるか
4. 通常の業務そのもの(自社の業務の作業・会議・成果物づくり・自社の機器の操作説明)を研修の時間にしていないか

出力:コマごとに「対象になりやすい/対象外になりやすい/判断できない」とその理由。対象外になりやすいコマは、職務に直結する書き方の案。

【カリキュラム】
(コマ名・時間・内容・受講者の部署を貼る)

条件:
- 最終判断は労働局が行う前提で、断定せずに書いてください。
- 制度の説明には、厚生労働省のパンフレットの該当ページを添えてください。

プロンプト5:2つの制度を使うときの経費と時間を切り分ける

当社は「実践の場」開拓モデル事業(ユーザー企業モデル)と、人材開発支援助成金の研修の両方を検討しています。
同じ経費や同じ時間を二重に申請しないよう、次の表を作ってください。

列:取り組み/時期/時間数/費用の支払先/費用の種類(アドバイザーの人件費・研修の経費・ツールの利用料 など)/どちらの制度に載せるか/申告する窓口(事務局・労働局)

条件:
- アドバイザーの伴走(実務の中での助言)は、研修の時間に数えないでください。
- 研修(OFF-JT)は、通常の業務と区別した時間と場所で行う前提で書いてください。
- 判断できない行は「事務局と労働局に確認」と書いてください。
- 不足している情報があれば、最初に質問してください。

【予定】
(実施予定の取り組み・研修・ツールの導入を時系列で貼る)

【要注意】よくある失敗パターン4つ

失敗1:「実践の場」を助成金だと思い込み、先に専門家と契約する

❌ 自社で見つけたコンサルタントと先に契約・支払いをしてから、事務局に申し込む
⭕ 申込→事務局との面談→事務局が紹介するアドバイザー候補との面談と選定→契約、の順で進める

なぜ重要か:両方の事務局とも、アドバイザーは事務局がマッチングして決める流れです。先に結んだ契約の費用が対象になるかは、どちらの募集要項にも書かれていません。契約の前に事務局へ確かめてください。

失敗2:アドバイザーに作業を任せるつもりで申し込む

❌ 資料づくりやツールの設定を、アドバイザーに全部やってもらう前提で計画する
⭕ 育成対象の社員が手を動かし、アドバイザーは助言とレビューに回る前提で、上長と実務担当者の時間も確保する

なぜ重要か:アビームコンサルティング事務局のよくある質問のQ3は、資料作成や導入作業を全部任せることは「できません」と答えています。社内の参加体制や月1回以上の進捗確認への協力は参加要件で、体制が足りないと支援の中止もありえます(参加企業 募集要項 3.1・11.)。

失敗3:伴走で進めた実務の時間を、助成金の研修に入れる

❌ アドバイザーと進めたプロジェクトの作業時間を、人材開発支援助成金の訓練時間として計画届に書く
⭕ 研修は通常の業務と区別した時間と場所で行い、伴走の時間とは別に記録する

なぜ重要か:OFF-JTは通常の生産活動と区別して行う訓練で、コンサルタントによる経営改善の指導や自社の機器の操作説明は対象外です(詳細版パンフレット p.18・p.28)。同じ事由での併給もできない場合があります(同 p.38)。

失敗4:汎用的なプロンプトの講座を助成金の前提で組む

❌ 全社員向けに「プロンプトの基本」を教える講座を、助成金を使う前提で申し込む
⭕ 営業なら提案書、経理なら月次の集計のように、受講者の職務に直結する内容と受講者の選び方にする

なぜ重要か:2026年8月3日以降に出す計画届では、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は対象外です(令和8年8月3日からの変更点・詳細版パンフレット p.28)。カリキュラムの書き方ひとつで判断が分かれるので、計画届の前に点検しておくと安心です。

この記事で分からないこと

次の点は、公開されている資料からは分からないか、個別の判断になるため、この記事では書いていません。

  • 自社がユーザー企業モデルの対象になるか、採択されるか(事務局の面談と確認で決まります)
  • 助成金が支給されるか、いくら支給されるか(労働局の審査で決まり、支給は保証されません)
  • ユーザー企業モデルの2つの事務局の分担(地域や業種での割り振りは、両サイトに記載がありませんでした)
  • 先に結んだ契約の費用が、ユーザー企業モデルの対象になるか(記載がありませんでした)
  • アデコ事務局の雇用奨励金・メンター経費の支払いの条件と、2社の事務局サイトの題名にある「東京都事業」が指す範囲(企業向けページに記載がありませんでした)
  • 令和9年度のユーザー企業モデルの募集条件と、令和9年度の人材開発支援助成金の最終的な形(前者は改めて募集期間を設定予定、後者は概算要求の段階です)
  • この事業の令和8年度の予算額(確認できる資料が見つかりませんでした)

よくある質問

「実践の場」開拓モデル事業は助成金ですか?

いいえ。厚生労働省が民間の事業者に委託して行うモデル事業です。ユーザー企業モデルでは、アドバイザーの人件費を上限の範囲内で国の事業から支払うため、会社が研修費を立て替えて後から受け取る助成金とは流れが違います。

参加にお金はかかりますか?

上限の範囲内のアドバイザー人件費は、国の事業から支払われます。アビームコンサルティング事務局の募集要項では、上限単価を上回る分の人件費と、ソフトウェアのライセンス料、クラウド利用料、機器の購入費、通信費、旅費交通費、自社の従業員の人件費などの対象外の費用は会社の負担です(参加企業 募集要項 5.2)。アドバイザーの支援時間は上限の時間までとされています。

IT企業や医療法人、社団法人でも申し込めますか?

ユーザー企業モデルはIT以外の業種の中小・中堅企業が対象です。みらいワークス事務局は、実態がIT企業の法人、医療法人、社会福祉法人、NPO法人、一般社団・一般財団法人などを対象外と明記しています。

生成AIの導入にも使えますか?

使える場合があります。AIチャットボットやAI議事録ツールのような既製品の導入と定着はDXツール導入型、AIで業務プロセスそのものを作り直す取り組みはプロジェクト実践型として扱うと、アビームコンサルティング事務局のよくある質問(Q15)に書かれています。

人材開発支援助成金と同時に使えますか?

個別の判断です(アビームコンサルティング事務局のよくある質問 Q11)。支援する経費が違うので別々の取り組みとして検討する余地はありますが、同じか似た内容の支援で経費を重ねて計上すると、支援内容の調整や対象外になることがあります。同じ事務局の募集要項は、他の公的支援を使っている、または使う予定がある場合、申込時か分かった時点で申告するよう求めています(参加企業 募集要項 5.3)。

「デジタル人材育成支援事業」と同じ制度ですか?

違います。「デジタル人材育成支援事業」は、東京都が原則35歳以下の求職者・非正規雇用の人に向けて行う職業訓練です。会社が社員のために申し込む制度ではありません。

募集はいつまでですか?

2026年11月1日現在、ユーザー企業モデルはアビームコンサルティング事務局が2026年11月30日まで、みらいワークス事務局が2027年10月31日までで、どちらも募集数に達した時点で終了します。エントリー〜ミドルモデルは、アデコ事務局とパーソルクロステクノロジー事務局のどちらも2027年11月30日までです。

事業展開等リスキリング支援コースは来年度も使えますか?

このコースは令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置で、2026年8月の令和9年度概算要求のコース表にこのコースの行はありません。最終的な形は、政府の予算案と支給要領が出るまで確定しません。

まとめ|4つの制度の早見表と今日から始める3つのアクション

制度申し込む人育てる場制度が持つもの期限(2026年11月1日現在)窓口
実践の場 ユーザー企業モデルIT以外の業種の中小・中堅企業実務(アドバイザーの伴走)アドバイザーの人件費(上限の範囲内で全額)2026年11月30日(アビーム)/2027年10月31日(みらいワークス)。募集数に達し次第終了各事務局
実践の場 エントリー〜ミドルモデル受け入れる会社と35歳以上の求職者実務(派遣で3〜6か月)派遣料金の一定額の減額とメンター経費の支給。紹介手数料は無料2027年11月30日アデコ/パーソルクロステクノロジーの事務局
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)雇用保険適用事業所の事業主研修(OFF-JT・10時間以上)経費の一部(中小企業75%)と賃金の一部(1人1時間1,000円)令和8年度末までの時限措置。計画届は研修開始日の1か月前まで管轄の労働局
東京都 デジタル人材育成支援事業求職中・非正規雇用の個人(原則35歳以下)研修(職業訓練)個人が受ける都の職業訓練令和8年度の募集は2026年4月30日に開始都の運営事務局
  1. 今日やること:プロンプト1に自社の状況を入れて、最初に相談する窓口を1つに決める。
  2. 今週中:ユーザー企業モデルなら、プロンプト2で困りごとのメモをつくり、事務局に相談する(アビームコンサルティング事務局は2026年11月30日まで、どちらも枠が埋まり次第終了)。研修なら、プロンプト4でカリキュラムを点検し、計画届の期限から日程を逆算する。
  3. 今月中:伴走と研修の両方を使うなら、プロンプト5で経費と時間を切り分け、事務局と労働局の両方に予定を伝えて確かめる。

あわせて読みたい

参考・出典


職務に合わせたAI研修を組み、人材開発支援助成金の対象になるかを確かめながら進めたい場合は、当社の法人向けAI研修のページをご覧ください。人材開発支援助成金の対象となる場合があります(要件の審査があり、支給を保証するものではありません)。申請の手続きは社労士の業務のため、ご希望に応じて社労士事務所をご紹介します。

著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』『Claude仕事術』(SBクリエイティブ・書籍シリーズ累計66,000部)、『AI推進担当になったら読む本』(大和書房)。
SBクリエイティブ「ビジネス+IT」ほかで生成AI連載を執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

ご質問・ご相談は お問い合わせフォーム からお気軽にどうぞ。

この記事の内容を社内展開する方へ: AI研修導入40項目チェックリスト(無料・PDF 33ページ+Excel) をダウンロードできます。

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佐藤傑
この記事を書いた人 佐藤傑

株式会社Uravation 代表取締役CEO/生成AIエバンジェリスト。法人向けAI研修・コンサルティングを手がけ、日経・SBクリエイティブ・GMO等のメディアで生成AIについて執筆。

執筆・監修:佐藤傑/下書き・図版・機械検査:当社のAI社員(人が確認してから公開しています)。記事の作り方と検査の方針

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