課題
AI業界の最新情報や導入事例はキャッチアップできていたが、自社業務へ落とし込む時間と思考コストが壁になっていた。
一般的な活用事例を、数万人規模の会員に向き合う自社特有の業務へ変換する思考負荷が高く、無意識に後回しになっていた。
全社規模でのAI導入推進や「AI活用のゴール設定」にも心理的・実務的なハードルがあった。
取り組み
週1回・1時間の個別研修で、1時間の中で実際のシステム導入まで実施。「学んで終わり」にせず、その場で業務に落とし込んだ。
事例の紹介にとどまらず、なぜその仕組みなのか・どこが本質か・他業務へどう応用できるかという「エッセンス」まで共有。
同じレイヤーのメンバーが同時受講して共通言語をつくり、常駐PCの導入でAIが常時業務を処理する基盤を整備。

成果
イベント告知・ウェビナー企画・全国各地でのリアルイベント運営までを自動化。ウェビナーは1本あたり約5時間→約5分でスライド初稿まで、リアルイベントは1件あたり最低10時間以上→確認・承認中心の30分以内に。
従来は複数チームで担っていた業務体制を大幅に縮小し、数名のスタッフとAIで運営できる体制へ。削減効果は月間350万〜400万円規模。
作業時間以上に「確認・相談・連携・判断」というマネジメントコストを大幅に圧縮できたことが最大の成果。
| 業務 | 研修前 | 現在 |
|---|---|---|
| ウェビナー準備(1本あたり) | 約5時間 | 約5分 |
| リアルイベント運営(1件あたり) | 最低10時間以上 | 30分以内 |
| 業務体制 | 複数チーム | 数名+AI |
※ウェビナーはスライド初稿まで、リアルイベントは確認・承認を中心とした時間です。

現場で動いているもの
- 会員向けイベント告知の自動化
- X投稿・記事作成の自動化
- サムネイル作成の自動化
- サムネイル分析の自動化
- 記事分析の自動化
- コンテンツ改善の自動化
- Slack上の情報を読み取り、他システムへ連携
- 社内ミーティングの情報を読み取り、その後の調整・連携を自動化
AIを個人の便利ツールとして使う段階から、組織の業務フローそのものをAI前提に再設計する段階へ移行できた。

インタビュー全文
お話を伺った方: A社/コミュニティ運営責任者
受講前は、AI活用についてどのような状況でしたか。
AI業界の最新情報や導入事例自体は、キャッチアップできていました。ですが、知っていると活用するというところには、やはり一つのハードルがあり、足りなかったのは、それを自分の業務へ落とし込む時間です。日々の業務が忙しく、AIについて学んでも「自分の業務ならどう使うか」を考えて実装する時間を確保しづらい。情報収集はできているのに、実務への具体的な転換が進みにくい状態でした。
情報があっても転換が進まなかったのは、なぜでしょうか。
一般的なAI活用事例を、自社特有の業務へ変換する思考コストが高かったんです。世に出回っているのは、一般企業やさまざまな業界における活用事例が中心です。一方で私たちの業務は「コミュニティ会員の成果創出」など、数万人規模の会員さん個々の状況や特性に合わせて、多様なニーズに応えるという特殊性が高いので、事例をそのまま転用できない。「この事例を自分たちの業務ならどう使うか」を毎回考える必要があって、その思考負荷の高さから、無意識に後回しにしていました。
ほかに、ハードルに感じていたことはありますか。
全社規模でAI導入を推進することへの、心理的・実務的なハードルがありました。たとえば自律型AIエージェントやAIシステムの社内導入です。ありがたいことに、急拡大した組織であり、業務に従事したタイミングによって社内でのAI知識の差が広がっていて、他メンバーを説得するには情報収集・整理・説明が必要になる。自ら率先して導入を進めるには負荷が高く、億劫になっていました。
もうひとつ、「AI活用のゴール」を設定しづらいという問題もありました。AIはできることの幅が広いので、「どこまでできれば十分なのか」「次に何を目指すべきなのか」が曖昧になりやすい。すでに一定程度AIを活用できていたからこそ、さらに改善することの優先順位が下がっていました。
重要度は高いのに、後回しになっていた。
そうです。目の前の業務や、その他の将来的な投資業務を優先してしまっていました。4象限でいうと、AI活用の高度化が「緊急度は低いが重要度は高い領域」に入り、継続的に後回しになっていた。
一言でまとめると、「AIの情報や知識は持っている。しかし、自社業務への具体的な転換・実装に時間と認知負荷がかかり、AI活用を次のレベルへ引き上げられていなかった」ことが最大の課題でした。
研修を受けて、まず何が変わりましたか。
AI活用を「考える」から「毎週実装する」状態に変わりました。同じAI業界で、AIを前提に事業を行う企業から、社内でのAI活用の生の事例を高いレベルで学べたことが大きかったです。
単純な成功事例の紹介ではなく、なぜその仕組みになっているのか、どの部分が本質なのか、他業務へどう応用できるのか、といった「エッセンス」まで共有されたため、自社業務へ転用しやすかった。特に、PM・マネージャー・リーダー、そしてAI活用がすでに進んでいる企業が次にぶつかる課題を扱う内容が多く、自社の状況との親和性が高かったです。
1時間の研修の中で実際のシステム導入まで行うので、「学んで終わり」ではなく、その場で業務に落とし込めました。毎週実施されることで、AIによる業務改善そのものがルーティン化されたと思います。
具体的に、どのようなものを作られましたか。
研修内で構築したシステムを起点に、「これができるなら、こちらも自動化できるのではないか」と発想を横展開して、複数のツール・仕組みを作りました。
- 会員向けイベント告知の自動化
- X投稿・記事作成の自動化
- サムネイル作成の自動化
- サムネイル分析の自動化
- 記事分析の自動化
- コンテンツ改善の自動化
- Slack上の情報を読み取り、他システムへ連携
- 社内ミーティングの情報を読み取り、その後の調整・連携を自動化
従来は人が情報を確認し、判断し、別システムへ入力・連絡していた工程まで、自動化できるようになりました。
「常駐PC」を使った自動化基盤も導入されたそうですね。
研修と検証を通じて、常駐型PCを利用するメリットを具体的に理解できました。その結果、常駐PCを導入する意思決定ができました。これにより、「人がPCを操作しているときだけAIが動く」状態から、AI・自動化システムが常時業務を処理する状態へ変わりました。
さらに、同じレイヤーのメンバーが同時に研修を受けていたため、共通言語ができる、AIでできることへの認識が揃う、システム導入の説明コストが下がる、意思決定が早くなる、という副次的な効果も生まれました。
個別の業務では、どのくらい変わりましたか。
イベント告知関連では、複数チーム・計6名程度が関わっていた業務を自動化しました。これまで告知作業に使っていた時間を、別のより重要な業務へ振り分けられるようになりました。
分かりやすいのはウェビナーです。従来は講師自身が、会員アンケートを確認し、学習状況を確認し、会員の課題を分析し、ウェビナー企画を考え、アンケート項目を設計し、スライド構成を作り、スライドを作成して微調整する、という一連の作業をしていました。1本あたり平均約5時間です。
今はAIが、会員データ分析から課題抽出、企画立案、アンケート設計、スライド構成、スライド初稿作成まで実行します。講師は必要な部分を音声で補足して、微修正するだけ。約5時間かかっていたものが、約5分でスライド初稿まで作成できるようになりました。講師は資料作成ではなく、生徒へのサポートやコンテンツ品質向上、成果創出、新しい企画といった、本来人間が時間を使うべき業務に集中できています。
全国各地でのリアルイベントについても伺えますか。
全国各地で開催しているリアルイベントでは、イベント企画、関係者との連携、告知、システム連携、各種設定など、多数の業務が発生していました。これを常駐PC・AI・各種自動化システムを連携させて、今は人間が3箇所程度で承認するだけで、その後の処理が自動的に進む状態になりました。
1イベントあたり、従来は最低10時間以上かかっていたものが、確認・承認を中心に30分以内です。最低でも1企画あたり約9時間30分の削減になります。全国で開催している分すべてで同程度の削減が起きると仮定すれば、単純計算で400時間以上の削減余地があることになります。
全体としては、どのくらいのインパクトになりましたか。
自動化は単純な作業時間の削減だけでなく、告知、イベント作成、講師のスライド準備、合宿、ウェビナー、全国各地のリアルイベントなど、複数領域に波及しました。その結果、従来は複数チームで担っていた業務体制を大幅に縮小し、数名のスタッフとAIで運営できるまでになりました。削減効果としては、月間350万〜400万円規模になりました。
一番大きかった効果は、作業時間の削減でしょうか。
いえ、それ以上に大きかったのは「マネジメントコスト」の削減です。マネージャーの確認、リーダー間の調整、担当者への指示、情報共有、判断、コミュニケーションといった管理・判断コストが減りました。
人が何人も介在する業務ほど、「作業時間」以上に「確認・相談・連携・判断」に時間がかかっていたんです。システム化・自動化によって、ここを大幅に圧縮できたことが最大の成果でした。
成果を一言でまとめると、AIを個人の便利ツールとして使う段階から、組織の業務フローそのものをAI前提に再設計する段階へ移行できた、ということだと思います。
どういった立場の方に向いている研修だと感じられましたか。
特に向いているのは「業務改善を考えられる中間〜上位レイヤー」です。AI導入を成功させるには、現場の作業者だけがAIを使えるようになるだけでは不十分だと思います。重要なのは経営層、部長、マネージャー、PM、リーダー、業務改善担当者など、「どこにAIを入れるべきか」を判断できる人材です。
上位レイヤーには、AIで何ができるのか、どこまでできるのか、導入すべきかどうか、投資する価値があるのか、リスクとベネフィットを正しく判断し、意思決定できる程度のAI知識が必要です。現場から「AIを使えばこういうことができます」という提案が上がってきたときに、正しく評価して早く意思決定できることが重要になります。
中間管理職・PM層には、何が求められますか。
中間層が特に重要です。中間層には、①AIを使う作業能力と、②業務を改善する判断能力の両方が求められます。
たとえば今回の場合、現場の具体的な作業をヒアリングする、業務フローを整理する、「ここをAI化できる」と判断する、AI導入の要件定義を作る、実際の担当者へ渡す、現場メンバーが実装する、という流れで改善を進めました。つまり、「AIを業務で使える人」以上に、「業務を理解してAIでどう変えるかを設計できる人」が重要だと思います。
現場では、日々の作業をAI化する、自動化する、効率化する、AIに任せる範囲を広げることで、人間にしかできない仕事へ時間を移していく。そのため、経営層・管理職・現場の3階層でAIに対する認識を揃えることも重要だと感じました。
最後に、どのような方におすすめできますか。
こういった方に合うと思います。
- AIの基礎知識や活用経験はすでにあるが、組織導入まで進められていない人
- AIの情報は大量に収集しているが、自社業務への落とし込みが進んでいない人
- PM・マネージャーなど、複数人の業務を設計・改善する立場の人
- AI導入の提案を受ける経営層・部長・意思決定者
- 業務フローを理解し、要件定義ができる人
- AI活用を「個人の時短」ではなく、部署・会社単位の生産性改善につなげたい人
- AI導入を進めたいものの、何をどこまで自動化すればよいか判断できていない企業
最も相性が良い層を一言で表すなら、「業務改善の視点・要件定義能力を持っている人に、"AIで何が可能か"という新しい武器を与える研修」という位置づけが、一番近いと思います。
個別研修は、実名のメンバーが設計から毎回の伴走まで担います。
外注の講師ではなく、最前線でAIを使い続けるメンバー自身が、設計から毎週の1on1まで一貫して対応します。
※掲載内容はご本人へのインタビューに基づきます。成果は業務内容・環境により異なります。数値は同社確認済みの範囲で掲載しています。記載の各ツール名は各社の商標または登録商標です。










